Trademark Appeal Case
品質表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2015−21655(T2015−21655/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「おしっこブロックギャザー」の文字を標準文字で表してなり、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,生理用パンティライナー,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,失禁用ナプキン,失禁用パッド,失禁用ライナー,失禁用パンツ,大人用紙オムツ(パンツ式のものを含む),失禁用おしめ,失禁用吸収性ショーツ及びトランクスその他の失禁用吸収性下着,紙製幼児用おしめ,使い捨て(紙製)乳幼児用おしめ(パンツ式のものを含む),使い捨て(紙製)乳幼児用トレニングパンツ,愛玩動物用おむつ,愛玩動物用紙製おしめ,乳幼児用粉乳,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」を指定商品として、平成26年11月11日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『おしっこブロックギャザ−』の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、その構成中『ブロック』の文字は『相手の攻撃を阻止すること』等の意味を、同『ギャザー』の文字は『寄せひだ』等の意味を有する平易な外来語であるので、全体として、『おしっこを阻止(ブロック)する寄せひだ』等の意味合いを容易に理解させるものである。そして、指定商品の分野では、おしっこ等のもれを防ぐための寄せひだ(ギャザー)を付けている商品が製造・販売されているのが実情である。そうすると、本願商標をその指定商品中、これに照応する商品(失禁用ナプキン,失禁用パッド,失禁用ライナー,失禁用パンツ,大人用紙オムツ(パンツ式のものを含む),失禁用おしめ,失禁用吸収性ショーツ及びトランクスその他の失禁用吸収性下着,紙製幼児用おしめ,使い捨て(紙製)乳幼児用おしめ(パンツ式のものを含む),使い捨て(紙製)乳幼児用トレニングパンツ,愛玩動物用おむつ,愛玩動物用紙製おしめ)に使用したときは、『おしっこを阻止する寄せひだ付きの商品』等と理解させるとどまり、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審における審尋
当審において、請求人に対し、平成28年6月30日付けで、別掲の実情を示した上で、要旨以下のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものである旨の審尋をし、期間を指定して、これに対する回答を求めた。
本願商標は、「おしっこブロックギャザー」の文字からなるところ、第5類「失禁用ナプキン,失禁用パッド,失禁用ライナー,失禁用パンツ,大人用紙オムツ(パンツ式のものを含む),失禁用おしめ,失禁用吸収性ショーツ及びトランクスその他の失禁用吸収性下着,紙製幼児用おしめ,使い捨て(紙製)乳幼児用おしめ(パンツ式のものを含む),使い捨て(紙製)乳幼児用トレニングパンツ,愛玩動物用おむつ,愛玩動物用紙製おしめ」の分野においては、尿や便のモレを防ぐために、ギャザーを付けた商品が製造販売されており、別掲のとおり、「ブロックギャザー」の文字が、「(尿や便の)モレを防ぐためのギャザー」を指称する語として使用されている事実が認められるから、これを上記指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者に、当該商品が「おしっこのモレを防ぐためのギャザー付きの商品」であるものと認識させるにとどまるものとみるのが相当であるから、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものいうべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
4 審尋に対する請求人の回答の要点
請求人は、前記3の審尋に対して、要旨以下のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものではない旨の意見を述べている。
本願商標は、外観上まとまりよく一体的に表され、称呼もリズムよく一気に称呼でき、辞書等に載っているような既成語という訳でもないから、全体で一個の造語商標といえる。
そして、別掲で挙げている使用例は、「おしっこブロックギャザー」ではないから、「おしっこブロックギャザー」が品質表示的に一般的に使用されていることを示すものではない。
また、「ギャザー」だけでおしっこ等をブロックするわけではなく、「ギャザー」の機能(の限界)等から考えれば、需要者は、本願商標から「おしっこを阻止(ブロック)する」役割に優れている、「ギャザー」付きである、といった商品の品質を漠然と誇称する程度の意味合いを想起するにすぎない。
加えて、審判請求書でも述べたとおり、「おしっこブロックギャザー」と同様の構成の商標が数多く識別力を認められて登録されている。
そうすると、本願商標は、自他商品識別標識として十分にその機能を発揮し得るものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当するものではない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「おしっこブロックギャザー」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、「おしっこ」の文字は「尿」を表す幼児語であり、「ブロック」の文字は、「妨害すること。遮断すること。」の意味を有するもの(株式会社三省堂「大辞林第3版」)として、いずれもよく知られているものである。
そして、本願の指定商品中、第5類「失禁用ナプキン,失禁用パッド,失禁用ライナー,失禁用パンツ,大人用紙オムツ(パンツ式のものを含む),失禁用おしめ,失禁用吸収性ショーツ及びトランクスその他の失禁用吸収性下着,紙製幼児用おしめ,使い捨て(紙製)乳幼児用おしめ(パンツ式のものを含む),使い捨て(紙製)乳幼児用トレニングパンツ,愛玩動物用おむつ,愛玩動物用紙製おしめ」は、いずれも主に尿や便を吸収する役割を担っており、吸収しきれない尿や便のモレを防ぐために、ギャザーを付けた商品が製造販売されている。
また、上記指定商品の分野においては、別掲のとおり、「ブロックギャザー」の文字が、「(尿や便の)モレを防ぐためのギャザー」を指称する語として使用されている事実が認められる。
そうすると、「ブロックギャザー」の文字に「尿」の幼児語である「おしっこ」の文字を結合した本願商標は、これを上記指定商品に使用したときは、これに接する取引者、需要者に、当該商品が「おしっこのモレを防ぐためのギャザー付きの商品」であると認識させるにとどまるものとみるのが相当であるから、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、前記4の回答において、本願商標は、造語商標であり、別掲に挙げられた使用例には「おしっこブロックギャザー」の記載がなく、また、「ギャザー」の機能(の限界)等から考えれば、需要者は、本願商標から「おしっこを阻止(ブロック)する」役割に優れている、「ギャザー」付きである、といった商品の品質を漠然と誇称する程度の意味合いを想起するにすぎないから、自他商品識別標識として十分にその機能を発揮し得るものである旨主張する。
また、請求人は、原審における平成27年6月16日付け意見書においては、「需要者は、『おしっこブロック』からは『おしっこの漏れを防ぐ』、『ギャザー』からは『寄せひだ』の意味合いを看取した上で、本願商標全体からは、とにかく『おしっこの漏れを防ぐ』役割に優れている、『ギャザー』付きである、といった商品の品質を漠然と暗示する程度の意味合いを想起するにすぎず、そこから、需要者はその商品の品質を看取しないと考えるのが自然です。」とも主張している。
しかしながら、本願商標を構成する「おしっこ」、「ブロック」及び「ギャザー」の語は、本願商標の上記(1)の指定商品の分野において一般に使用されているものであり、これらの使用の実情からすれば、「おしっこブロックギャザー」の文字は、これに接する者に、「おしっこのモレを防ぐためのギャザー付きの商品」であるものと認識させるにとどまるものというべきである。
また、出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号にいう商品の品質に該当するというには、我が国の取引者、需要者が商品の品質を表示するものとして認識するものであれば足りるといえるものであり、実際に商品の品質を表示するものとして使用されていることまでは必要としないと解される(東京高裁 平成12年(行ケ)第76号、平成12年9月4日判決参照)。
さらに、上記(1)の指定商品の分野においては、「おしっこのモレを防ぐ」ことは、その用途からして商品の品質に求められているものであって、「ギャザー」を付けることにより「おしっこのモレを防ぐ」ことに効果的であることは、別掲の証拠から十分に裏付けられるものである。
そうすると、請求人のいうように、「『おしっこを阻止(ブロック)する』役割に優れている、『ギャザー』付きである」や、「『おしっこの漏れを防ぐ』役割に優れている、『ギャザー』付きである」という意味合いを想起する場合であっても、本願商標は、その上記指定商品との関係において、これに接する取引者、需要者に、商品の品質を表すものと認識させるにすぎないものというべきであり、自他商品識別標識としての機能を発揮し得るとはいえない。
イ 請求人は、本願商標の登録適格性を主張するために、登録例を挙げているが、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かの判断は、当該商標登録出願の査定時又は審決時において、その指定商品又は役務との関係において、個別具体的に判断されるものであって、他の登録例の存在によって、上記判断が左右されるものではない。
ウ したがって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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