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Trademark Appeal Case

結合商標の記述性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2016−367(T2016−367/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「漆黒鋼板」の文字を標準文字で表してなり、第6類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成27年2月23日に登録出願され、その後、指定商品については、当審における平成28年6月30日付け手続補正書により、第6類「熱延鋼板」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『漆黒鋼板』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『漆黒』の文字は、『漆のように黒くて光沢のあること』を意味し、『鋼板』の文字は、『圧延によって得られる板状の鋼』を意味し、全体として『漆のように黒くて光沢のある圧延によって得られる板状の鋼』程の意味合いを有するものであるから、これを本願指定商品に使用しても、『漆のように黒くて光沢のある圧延によって得られる板状の鋼』又は『漆のように黒くて光沢のある圧延によって得られる板状の鋼を使った商品』であることを認識させるにすぎず、単にその商品の品質(材料)を普通に用いられる方法で表示するにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。

3 当審における証拠調べ

本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施した結果、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、意見を申し立てる機会を与えるべく、相当の期間を指定して、平成28年4月28日付けで証拠調べの結果を通知したところ、請求人は、同年6月30日に意見書を提出した。

4 証拠調べ通知に対する請求人の意見(要旨)

(1)本願商標は、従来にない特徴のある構成とした不可分一体のものであり、また、「漆黒鋼板」そのものの使用も出願人のもののみであるから、本願商標が自他商品識別力を発揮するものとして、市場において出願人の商標として認識され、通用している。

(2)証拠調べで挙げられた事例は、本願商標「漆黒鋼板」自体ではない「漆黒」の用語と鋼板の用例、他の色彩を示す用例のみを根拠とするものであり、本願商標の自他商品識別力を否定する根拠となり得るものではない。

(3)本意見書と同時提出の手続補正書により限定された指定商品「熱延鋼板」と、証拠調べ通知書で指摘された用例の「めっき鋼板」とは全く品種の異なる商品であって、「熱延鋼板」のみを指定商品とする本願商標が識別力なしとされる証左とはならない。

(4)したがって、本願商標「漆黒鋼板」は、指定商品「熱延鋼板」の内容を直観させるものではなく、本願商標は、その指定商品に関して自他商品識別力を有するものであって、商標法第3条第1項第3号に該当するものではない。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は、上記1のとおり、「漆黒鋼板」の文字を標準文字で表してなるところ、本願商標の構成中「漆黒」の文字部分は、「漆のように黒くて光沢のあること。または、その色。」を意味し、また、「鋼板」の文字部分は、「圧延によって得られる板状の鋼。」を意味するもの(株式会社岩波書店「広辞苑第六版」)として一般に知られている語であることから、本願商標はこれらの語を結合した商標であると容易に認識し得るものである。

また、別掲のとおり、鋼板の色の表現として「漆黒」の語が使用されている事実、本願指定商品を取り扱う分野において「色名」と「鋼板」の結合からなる語が使用されている事実、さらに、商品の色の名称として「漆黒」の語が使用されている事実が認められる。

そうとすると、本願商標の構成中「鋼板」の文字部分が、本願商標の指定商品との関係において、商品の普通名称を表すものであることを踏まえれば、本願商標に接する取引者、需要者は、本願商標をその構成全体で「漆のように黒くて光沢のある鋼板」あるいは「漆のように黒くて光沢のある色をした鋼板」であるという、商品の品質を表示したものと認識、理解するというのが相当であるから、本願商標は商品の出所識別標識としての機能を欠くものであるといわざるを得ない。また、本願商標は標準文字で表されたものであるから、態様上顕著な特徴は認められない。

以上からすれば、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるといわざるを得ない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は、「漆黒鋼板」という語が請求人案出に係る造語で、全体を漢字で不可分一体に構成した点に特徴を有するものであって、実際の市場において、出願人以外にかかる商品はないし、「漆黒鋼板」が記述的表示として用いられている用例はないことから、本願商標は、自他商品識別力を有する。さらに、「漆黒」のまたは「漆黒」の文字を含む他の登録例を挙げ、本願商標も同様に登録されるべきである旨主張する。

しかしながら、本願商標は、その構成全体をもって「漆のように黒くて光沢のある鋼板」あるいは「漆のように黒くて光沢のある色をした鋼板」程の意味合いを表したものと認識、理解されるにすぎず、商品の出所識別標識としては機能しないと判断するのが妥当であることは上記(1)のとおりである。

また、本願商標が、商品の出所識別標識としての機能を果たすものであるか否かは、本願商標自体の具体的な構成とその指定商品との関係から、審決時において、指定商品の取引の実情等を考慮して個別かつ具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた商標登録の事例は、いずれも本願商標とは、使用する商品が異なるものであるから、事案を異にするというべきであり、また、他の商標登録の事例の存在によって、本件の判断が左右されるものではない。

イ 請求人は、手続補正書により限定された指定商品「熱延鋼板」と、証拠調べ通知書で指摘された用例の「めっき鋼板」とは全く品種の異なる商品であって、「熱延鋼板」のみを指定商品とする本願商標が識別力なしとされる証左とはならない旨主張する。

しかしながら、証拠調べ通知1及び2で挙げた使用例は、「鋼板」に関するものであって、補正後の指定商品「熱延鋼板」と証拠調べ通知の使用例として挙げられている「めっき鋼板」とは、いずれも「鋼板」の一種類に属するものである。また、「熱延鋼板」と「めっき鋼板」に係る取引の経路や取引者、需要者等がそれぞれ異なるとする取引の実情を示す事実は認められず、その証左も提出されていない。そうとすると、証拠調べ通知1及び2で挙げた使用例は、本願商標の指定商品を取り扱う分野における取引の実情を表すものであるから、請求人の主張は採用できない。

ウ 請求人は、商標法第3条第1項第3号は、指定商品の品質等を示すものとして、普通に使用されていることを要件とするものであって、使用の証左を示すことなく識別力を否定されるものではない旨主張する。

しかしながら、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それゆえに登録を受けることができないとしたものであって、その表示態様が商品の品質等を表すものとして必ず使用されているものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきであり、過去の判決例(東京高等裁判所平成12年(行ケ)第76号 同年9月4日判決、東京高等裁判所平成13年(行ケ)第208号 同年12月26日判決参照)においても、同号の適用が指定商品の品質等を表すものとして、普通に使用されているものであることを要件とはしておらず、請求人の主張は採用できない。

エ したがって、請求人の主張はいずれも採用できない。

(3)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するから、これを登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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