Trademark Appeal Case
Wキャンペーンの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2015−18748(T2015−18748/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,「Wキャンペーン」の文字を標準文字で表してなり,第3類,第5類,第30類及び第35類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,平成26年9月30日に登録出願されたものである。
そして,その指定商品及び指定役務については,審判請求と同時の平成27年10月16日付け手続補正書により補正された結果,別掲1のとおりの商品及び役務となったものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は,「本願商標は,『Wキャンペーン』の文字を標準文字で表してなるところ,当該文字は,指定商品及び役務との関係において,2つのキャンペーンの対象商品であること,また,2つのキャンペーンを行うこと,を意味する語として広く使用されている。そうすると,本願商標をその指定商品及び指定役務に使用しても,これに接する需要者等は,『2つのキャンペーンの対象商品』,『2つのキャンペーンを内容とする役務』,『2つのキャンペーンの対象商品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供』 程の意味合いを理解するにとどまり,何人かの業務に係る商品及び役務であることを認識することができないものと判断する。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。
3 当審においてした審尋
当審において,平成28年6月1日付けで,請求人に対して,以下を内容とする審尋を通知し,期間を指定して,これに対する意見を求めた。
本願商標は,「Wキャンペーン」の文字を標準文字で表してなるところ,これを構成する「W」の欧文字及び「キャンペーン」の片仮名は,それぞれ,「2重,2倍,同じ物事が2つ重なること」の意味を有する「ダブル(double)」を表す記号及び「一定期間に特定の目的に対して行われる組織的宣伝広告活動」の意味を有する語として,我が国において広く親しまれているといえるものである。
そして,当審における調査によれば,別掲1のとおりの本願の指定商品及び指定役務の分野において,別掲2(1)ないし(4)のとおり,その商品の販売や役務の提供を促進させるための宣伝広告の手法として,「一定の期間内に行われる商品の販売や役務の提供に対して料金の割引等のキャンペーンを2重に実施すること」が行われており,このようなキャンペーンを表す語として,「Wキャンペーン」及び「ダブルキャンペーン」の文字が取引上,普通に採択,使用されている実情がうかがえる。
また,本願の指定商品及び指定役務中,上記調査時において,「Wキャンペーン」等の文字が使用されている実情が見いだせない「新聞記事情報の提供」等の商品又は役務の分野においても,別掲2(5)のように料金の割引等のキャンペーンは普通に行われていること,そもそもキャンペーンが期間を限って行う宣伝広告であることなどに鑑みれば,「Wキャンペーン」の文字は,「一定の期間内に行われる商品の販売や役務の提供に対して料金の割引等のキャンペーンを2重に実施すること」を表すものとして使用され得るものというべきである。
してみれば,本願商標は,これをその指定商品及び指定役務に使用しても,これに接する取引者,需要者は,その商品及び役務の宣伝広告を表示したものと理解するにとどまるものであって,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標というのが相当である。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。
4 審尋に対する回答の要旨
請求人は,前記3の審尋に対して,審尋における「3 本願の指定商品及び指定役務の分野における取引の実情」(別掲2)での引用に係る商品・役務を全て削除し,別掲3の補正案(以下「請求人補正案」という。)のとおりとする補正を行う用意があると述べ,請求人補正案の商品及び役務との関係において,要旨以下のとおり主張し,甲第1号証ないし甲第54号証を提出している。
(1)「W」及び「キャンペーン」のいずれも多義的な意味を有する語であり,これらを組み合わせてなる本願商標から一義的に「一定の期間内に行われる商品の販売や役務の提供に対して料金の割引等のキャンペーンを2重に実施すること」の意味合いを直ちに理解することはなく,また,「Wキャンペーン」自体は,広辞苑その他の辞書において記載の無い造語であるから,「Wキャンペーン」の表示のみでは具体的な役務の内容は理解し得ず,請求人補正案との関係において「Wキャンペーン」を用いたとしても,これに接した取引者・需要者は,特定の商品・役務の内容を直接的かつ具体的に理解し得るものではなく,自他商品・役務の識別標識として採用したものと認識する。
(2)過去の審査例(甲1〜47)及び審決(決定)例(甲48〜54)の商標が識別力を問題とされず,登録されていることを踏まえれば,本願商標のみが拒絶されるべき格別の根拠はない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第6号該当性について
本願商標は,「Wキャンペーン」の文字を標準文字で表してなるところ,前記3の審尋のとおり,これを構成する「W」の欧文字及び「キャンペーン」の片仮名の語意が,我が国において広く親しまれているといえることに加え,本願の指定商品及び指定役務の分野において,その商品の販売や役務の提供を促進させるための宣伝広告の手法として,「一定の期間内に行われる商品の販売や役務の提供に対して料金の割引等のキャンペーンを2重に実施すること」が行われており,このようなキャンペーンを表す語として,「Wキャンペーン」及び「ダブルキャンペーン」の文字が取引上,普通に採択,使用されていること,「Wキャンペーン」等の文字が使用されている実情が見いだせない商品又は役務の分野においても,「Wキャンペーン」の文字は,「一定の期間内に行われる商品の販売や役務の提供に対して料金の割引等のキャンペーンを2重に実施すること」を表すものとして使用され得るものであることが認められる。
そうすると,本願商標は,これをその指定商品及び指定役務(別掲1)に使用しても,これに接する取引者,需要者は,その商品及び役務の宣伝広告を表示したものと理解するにとどまるものであって,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができない商標というのが相当である。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。
(2)請求人の主張について
請求人は,本願の指定商品及び指定役務を請求人補正案(別掲3)のとおりに補正する準備があるとし,その請求人補正案の商品及び役務との関係においては,本願商標は,これに接した取引者・需要者が,特定の商品・役務の内容を直接的かつ具体的に理解し得るものではなく,素直に自他商品・役務の識別標識として採用していると認識するものであると主張する。
しかしながら,前記3の審尋で示した取引の実情(別掲2)は,「化粧品・歯磨き及びせっけん類」(別掲2(1)),「薬剤及び医療補助品」(別掲2(2)),「飲食料品」(別掲2(3))及び「被服,履物,かばん類及び袋物,身の回り品」(別掲2(4))等に係る商品及び役務の分野において,「Wキャンペーン」及び「ダブルキャンペーン」の文字が,一定の期間の商品の販売等についてキャンペーンを2重に実施していることを表すものとして,広く一般的に使用されている実情があり、かつ、「Wキャンペーン」等の文字が使用されている実情が見いだせない商品及び役務についても,料金の割引等のキャンペーンは普通に行われている実情がある(別掲2(5))ことを示したものである。
そして,審尋で示した商品及び役務(別掲2)と請求人補正案の商品及び役務は,いずれも日用品を多く含み,一般消費者を需要者とするものであって,本願商標との関係において,両商品及び役務の需要者の認識が異なるというべき特段の事情を見いだすこともできない。
そうすると,審尋で示した取引の実情は,請求人補正案の商品及び役務との関係においても参考とすべきものであるから,たとえ,本願の指定商品及び指定役務が請求人補正案のとおりに補正されたとしても,上記(1)のとおり,本願商標は,その取引者,需要者にして,その商品及び役務の宣伝広告を表示したものと理解するにとどまるというべきである。
また,請求人は,過去の登録例や審決例を挙げ,本願商標も登録されるべき旨主張しているが,商標が識別力を有するか否かの判断は,登録査定時又は審決時において,取引の実情を勘案し,その指定商品及び指定役務の取引者,需要者の認識を基準として,商標ごとに個別具体的に判断すべきであるところ,請求人が挙げた登録例等は,いずれも本願商標とは構成又は指定商品及び指定役務等を異にし,かつ,本件の審決時における取引の実情は前記のとおりである。
したがって,請求人の主張はいずれも採用することができない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
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