Trademark Appeal Case
送り仮名と識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2015−12992(T2015−12992/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「苺氷り」の文字を標準文字で表してなり、第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成26年7月24日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における同27年3月10日付け及び同月19日付けの手続補正書により、第30類「苺を使用したかき氷用の氷,その他の苺を使用した氷,苺を使用したかき氷,苺を使用した菓子及びパン」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、食品に関連する分野において、『苺氷り』、『苺氷』等の文字が『苺を使用したかき氷』程の意味合いを表すものとして使用されている実情があり、『苺を使用したかき氷』のレシピも紹介されていることから、これをその指定商品中、『苺を使用したかき氷,苺を使用した氷菓』に使用しても、これに接する需要者、取引者は、上記の意味合いを認識するにとどまり、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認める。したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審においてした審尋
当審において、請求人に対し、平成28年1月22日付けで、別掲のとおりの内容を示した上で、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであって、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものではない旨の審尋をし、期間を指定して、これに対する意見を求めた。
4 審尋に対する請求人の回答(要旨)
請求人は、前記3の審尋に対して、平成28年5月6日付け上申書(以下「上申書」という。)により、「本願商標は、その構成中の『氷』の文字に『り』の送り仮名を付する表記が標準的かな使いではないから、普通に用いられる方法で表したものではなく、造語商標であって記述的な商標ではないことから、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものであって、商標法第3条第1項第3号には該当しない。さらに、本願商標が、万が一、同号に該当するとしても、請求人の長年にわたる商標としての使用によって、需要者をして何人かの業務に係る商品であることが認識できるに至っている状態にあり、商標法第3条第2項により登録を受けるべきものである。」旨主張し、証拠として資料1ないし資料71(枝番号を含む。)を提出している。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号の該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「苺氷り」の文字を標準文字で表してなるところ、前記3の審尋のとおり、その指定商品中の「氷」又は「かき氷」について、これらの商品を表記する場合には、「氷」又は「かき氷」のように、送り仮名を付けない辞書に掲載されている用法(後掲1)のほか、後掲2に示すインターネット上の情報及び新聞記事のとおり、「氷り」、「かき氷り」又は「カキ氷り」のように、送り仮名として「り」を付けている事実も見受けられる。
また、後掲4に示すインターネット上の情報のとおり、「かき氷」及び「かき氷風の氷菓」について、当該商品に使用される果実や風味の名称を「氷」又は「氷り」の前に冠して、「○○氷」又は「○○氷り」と称して販売されている事実がある。
そうすると、本願商標は、これをその指定商品中、「苺を使用したかき氷用の氷,その他の苺を使用した氷,苺を使用したかき氷,苺を使用したかき氷風の氷菓」に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、「苺を使用した又は苺風味の氷又はかき氷」程の意味合いを理解、認識するというのが相当であるから、単に商品の品質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものである。
また、本願商標は、これを上記の商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)商標法第3条第2項の要件について
ア 請求人は、本願商標が商標法第3条第1項第3項に該当するとしても、本願商標は、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものであるから、本願商標は、同法第3条第2項により登録を受けることができる旨主張し、証拠方法として、資料1ないし資料71(枝番号を含む。)を提出している。
ところで、出願に係る商標が、商標法第3条第2項に該当し、登録が認められるかどうかは、使用に係る商標及び商品、商標の使用開始時期、使用期間及び使用地域、当該商品の販売数量等並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して、出願に係る商標が使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるかどうかによって決すべきものであり、その場合に、出願に係る商標及びその指定商品は、原則として使用に係る商標及び商品と同一であることを要するものというべきである。
そこで、以上の観点を踏まえて、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するか否かについて、請求人の提出した証拠及び主張を検討する。
(ア)請求人について
請求人は、その代表取締役及びスタッフの苺生産者等(以下「代表者等」という。)から構成され、苺の生産及び凍ったままの苺を含むかき氷の商品化事業(以下「商品化事業」という。)を行う農業生産法人として平成20年に設立された株式会社であり、「苺を使用したかき氷」の販売のほか、その原材料となる「苺を使用したかき氷用の氷」を製造し、該事業の契約販売者及び委託販売者(以下「契約販売者等」という。)に販売している(資料2、3、5、7、8、10)。
(イ)本願商標の使用
請求人は、「苺氷り」の標準文字を本願の指定商品中、「苺を使用したかき氷用の氷,その他の苺を使用した氷,苺を使用したかき氷,苺を使用した菓子」(以下「本件商品」という。)に使用している旨主張していることから、証拠を検討するに、請求人及び契約販売者等(以下「請求人等」という場合がある。)は、本願商標と同一と認められる商標を、請求人等が販売する「苺を使用したかき氷」について宣伝した請求人のホームページ(資料2)並びに契約販売者等による雑誌掲載の広告(資料12−3)及びインターネット上の宣伝(資料26−1、27、28、52、56)に使用していることが認められる。しかしながら、上記の証拠中、資料2、資料12−3、資料27、資料28、資料52及び資料56における本願商標と同一と認められる商標は、図案化した「苺氷り」の文字からなる商標(以下「図案化商標」という。)と共に記載されている。
また、請求人は、上記証拠のほか、本願商標の使用を証明する証拠として、書証を多数提出している。しかしながら、提出された商品の販売チラシ(資料1)及び請求人の催事出店を写した写真(資料4)において使用されている商標は、図案化商標のみであって、本願商標は認められない。さらに、新聞、雑誌、インターネット上の請求人等に関する記事(資料5〜11、13、14、16、17、19〜22、24、28、33、36、38、41、46、48等)中に表された本願商標と同一と認められる商標は、他人による請求人等に係る商品の紹介記事において、その標題又は説明文の中に記載されているものであるから、これらを請求人による本願商標の使用と認めることはできない。
(ウ)本願の指定商品と使用に係る商品との同一性
請求人等は、上記(イ)のとおり、「苺を使用したかき氷」について本願商標と同一と認められる商標を使用していることが認められる(資料2、12−3、26−1、27、28、52、56)。
しかしながら、請求人が契約販売者等に「苺を使用したかき氷用の氷」を販売していることは認められるものの(資料5、7、10)、「苺を使用したかき氷用の氷」及び「その他の苺を使用した氷,苺を使用した菓子及びパン」について、本願商標を使用したと認めるに足る証拠は提出されていない。
そうすると、請求人は、本願商標を「苺を使用したかき氷」について使用していると認められるものの、「苺を使用したかき氷用の氷,その他の苺を使用した氷,苺を使用した菓子及びパン」についての使用は認められない。
(エ)使用開始時期及び使用期間
資料5ないし8の新聞記事によれば、本願商標を「苺を使用したかき氷」に平成17年から使用していることが認められる。
(オ)商標の使用地域
請求人は、商品化事業において、沖縄県、福岡県など他県を含む複数の店舗と契約する形態で行い、現在の契約数は212店舗である。そして、その販売エリアは、九州、四国を中心とし、沖縄、関西、中国、中部、関東であることが認められる(上申書(参考図3〜8)、資料3)。
(カ)販売数量
請求人は、平成20年から同26年10月までに、「苺を使用したかき氷用の氷」及び「苺を使用したかき氷」の販売として、委託販売で累計4,703玉、契約販売で累計89,991玉、自社イベント販売で累計138,295カップを売上げていると陳述し、上申書中で「売上実績」(参考図2)を提出している。
しかしながら、この「売上実績」一覧表は、その体裁からして内部資料というべきものであり、一覧表の内容を客観的に裏付ける証拠の提出もなく、また、本願指定商品の市場占有率などを証する証拠の提出もされていない。
(キ)広告宣伝の方法及び回数
請求人は、本願商標を付した商品やその取り組みが、新聞、雑誌、テレビ放送といった各種メディアに取り上げられている旨主張するが、新聞については、全国紙に1回及び高知新聞に4回、また、雑誌については3回であって、その回数は決して多いとはいえない(資料5〜8、12〜14)。請求人が主張する本願商標を使用した本件商品のテレビ放送の紹介については、提出された証拠においてその事実を確認することができない。
また、請求人は、インターネット上のグルメサイトでの紹介に加えて、著名人とのコラボレーションの広告をインターネット上に掲載し、様々なインターネットサイトにおいて、本願商標を付した本件商品が紹介されて、メディアミックス展開を行っている旨を主張するが、提出された証拠には、請求人等との関係が明らかでないもの、一料理としての苺を使用したかき氷の紹介記事や第42類に属する「かき氷の提供」の役務に関する記事と認められるものが多数含まれる。さらに、「苺を使用したかき氷」について使用する本願商標と同一と認められる商標が複数のウェブサイトで採り上げられていることは認められるものの、これに接する者は、該ウェブサイトにアクセスした者に限られるところ、そのアクセス数を明らかにする資料の提出もない。(資料12−2、15、16、18、19、23、25、29〜32、34、35、37、39、40、42〜45、47、50、51、53、61、67)
さらに、請求人は、本願商標を使用した商品化事業が、平成19年度第22回高知県地場産業大賞の奨励賞を受賞し、また、平成28年3月に高知県産業振興計画地域アクションプラン事例として紹介された旨主張するが(資料9、10)、該賞や紹介は高知県内のものであって、該証拠もインターネット上での紹介に過ぎず、これをもって、直ちに取引者、需要者の間に広く認識されているとはいい難いものである。
そのほか、本願商標を使用した本願指定商品に関する広告宣伝費に関する証拠の提出もされていない。
イ 前記アのとおり、請求人は、平成17年から現在に至るまで本願商標と同一と認められる商標を「苺を使用したかき氷」に使用し、その販売範囲は、九州、四国、沖縄、関西、中国、中部、関東であることが認められる。
しかしながら、本願商標の使用においては、図案化商標と共に使用されていることから、これらの広告に接した者が「苺氷り」の文字のみをもって使用に係る商品の出所表示として認識するとまでは認められない。
また、本願商標は、「苺を使用したかき氷」について使用されていると認められるものの、「苺を使用したかき氷用の氷,その他の苺を使用した氷,苺を使用した菓子及びパン」についての使用は認められないから、出願に係る指定商品と使用に係る商品が同一であるということもできない。
さらに、本願商標を使用した本願指定商品に係る販売数量及び広告宣伝費についての客観的証拠もない上、新聞及び雑誌において紹介された回数は多いとはいえず、インターネット上における紹介も、該ウェブサイトへのアクセス数に関する資料の提出もないことからすれば、取引者、需要者の間に広く認識されているとはいい難いものである。
そうすると、本願商標は、その指定商品について使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているものとはいえない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものということはできない。
(3)請求人の主張
請求人は、資料69ないし資料71を提出し、インターネット検索サイトの「Google」及び「Yahoo!JAPAN」における「苺氷り」の検索結果は、すべて請求人等に関するものであり、また、文部科学省による「送り仮名の付け方」に拠っても、「苺氷り」の使用は、一般的に使用される用語ではない旨主張している。
しかしながら、全ての語が必ずしも辞書及び規定通りに使用されないこともあることは、経験則に照らして明らかな事実であって、商標の識別性の判断は、その指定商品に係る需要者の認識を基準として判断されるべきところ、かき氷を取り扱う業界において、「氷り」又は「かき(カキ)氷り」のように、「氷」の漢字に送り仮名の「り」を付して使用されている事実があることは、上記(1)で述べたとおりであるから、上記請求人の主張は採用できない。
(4)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであって、かつ、同法第3条第2項の要件を具備するものではないから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。