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Trademark Appeal Case

大学名称の公序良俗

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2015−21319(T2015−21319/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「建築大学」の文字を標準文字で表してなり、第9類「建築施工の見積及び工期設定のための電子計算機用プログラム,その他の電子計算機用プログラム」を指定商品として、平成27年1月16日に商標登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『建築大学』の文字を書してなるところ、学校教育法(昭和22年法律第26号)第135条は、『専修学校、各種学校その他第1条に掲げるもの以外の教育施設は、同条に掲げる学校の名称又は大学院の名称を用いてはならない。』と規定している。そうすると、『学校法人』でない出願人が、『大学』の文字を有する本願商標を自己の商標として採択・使用することは、商取引の秩序を乱すものであり、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした証拠調べ通知

当審において、本願商標が商標法第4条第1項第7号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べを実施し、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、平成28年5月19日付けの証拠調べ通知書(別掲参照)によってこれを開示し、期間を指定して、意見を述べる機会を与えたが、請求人は、何ら意見を述べていない。

4 当審の判断

(1)本願商標の商標法第4条第1項第7号該当性について

ア 本願商標は、前記1のとおり、「建築大学」の文字を標準文字で表してなるところ、別掲1のとおり、学校教育法に基づいて設置された大学において「建築」に関する学術の研究がなされ、教授の対象となっていること、また、別掲2のとおり、「建築大学」の文字が、「建築に関する学術の研究及び教育を行う最高機関の総称」の意を表示する語として使用されている事実があること、さらに、別掲3のとおり、学校教育法により設立された大学の名称として、「研究又は教育の内容を想起させる語+『大学』」という組み合わせのみからなる名称の大学が少なからず存在することからすれば、本願商標を構成する「建築大学」の文字は、学校教育法に基づいて設置された大学の名称を表示したものであるかのように看取され観念される可能性が高いというべきである。

イ また、学校教育法は第83条第2項で「大学は、その目的の実現をするための教育研究を行い、その成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする。」と規定している。そして、本願の指定商品は「建築施工の見積及び工期設定のための電子計算機用プログラム,その他の電子計算機用プログラム」であるところ、別掲4のとおり、学校教育法により設立された大学が単独で又は他大学や企業等と共同して本願商標に係る指定商品の分野における商品を研究開発し、一般に提供又は販売している事実があること、また、別掲5のとおり、学校教育法により設立された大学発のベンチャー(大学における教育研究に基づき、新たな技術やビジネス手法をもとにして設立した企業)が本願商標に係る指定商品の分野における商品を研究開発し、販売している事実があることを踏まえると、本願商標をその指定商品に使用するときには、これに接する一般需要者に対し、当該商品が、あたかも学校教育法に基づいて設置された大学における研究開発により生産されたものであるかのような誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。

ウ さらに、学校教育法は、第1条で「この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。」、第3条で「学校を設置しようとする者は、学校の種類に応じ、文部科学大臣の定める設備、編制その他に関する設置基準に従い、これを設置しなければならない。」及び第135条第1項で「専修学校、各種学校その他第1条に掲げるもの以外の教育施設は、同条に掲げる学校の名称又は大学院の名称を用いてはならない。」と規定しているところ、これは、一定の教育又は研究上の設置目的を有し、法令に定める設置基準等の条件を具備する同法第1条に定める学校の教育を公認するとともに、第1条に掲げる学校以外の教育施設が第1条掲記の「学校の名称」を用いることによって、これに接した者が当該教育施設の基本的性格について誤った認識を持ち、不利益を被らないようにするためのものと解される。

このような学校教育法の規定からすると、「大学」との名称を用いる教育施設は、学校教育法所定の最高学府であると一般に認識されるものであるから、前記アのような観念が生ずる可能性が高い本願商標は、それが使用される商品次第では、「建築」という学術の研究分野についての、学校教育法所定の最高学府である大学に関連する商標との認識が持たれることになりかねない。

エ そうすると、学校教育法に基づいて設置された大学を表示するものと誤認されるおそれのある本願商標を、学校教育法により設立された大学や大学発のベンチャー等により研究開発され一般に提供又は販売されることも多いものと認められる本願商標の指定商品に使用する場合は、これに接した需要者に対し、その商品があたかも学校教育法に基づいて設置された大学における研究開発により生産されたものであるかのように誤認を生じさせることになり、教育施設である「学校」の設置基準を法定した上で、この基準を満たした教育施設にのみその基本的性格を表示する学校の名称を使用させることによって、学校教育制度についての信頼を維持しようとする学校教育法第135条第1項の趣旨ないし公的要請に反し、学校教育制度に対する社会的信頼を害することになるというべきである。

したがって、本願商標は、公の秩序を害するおそれがある商標というべきである。

(2)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものであるから、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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