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Trademark Appeal Case

品質表示と地域名の結合の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2015−890077(T2015−890077/J3)
審判種別無効
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第5759255号の登録を無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5759255号商標(以下「本件商標」という。)は、「極み宇治煎茶」の文字を標準文字で表してなり、平成26年4月14日に登録出願され、第30類「京都府・奈良県・滋賀県・三重県の4府県産茶を京都府内業者が京都府内において宇治地域に由来する製法により仕上加工した煎茶」を指定商品として、平成27年3月26日に登録査定、同年4月17日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

1 請求の趣旨

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由要旨を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第5号証を提出している。

2 請求の理由要旨

(1)商標法第3条第1項第3号の該当性について

本件商標の前半部分「極み」は、「きわまるところ。限り。はて。」(広辞苑第6版)という意味を持つ言葉であり、通常、何らかの性質を表す言葉に付加されて、その程度が最も高いことを表す名詞である。したがって、何らかの商品の普通名称又は識別力の低い商標に付された場合、全体として、何ら識別力を付与することなく、同様に識別力のない商標となる。

一方、後半部分の「宇治煎茶」は、「宇治茶」の一種である。そして、「宇治茶」は、地域団体商標として商標登録されたことからも明らかなように(商標登録第5050328号)、商標法第3条第1項第3号に該当する商標である。「煎茶」が「茶」(日本茶)の一種であることは通常の日本人であれば誰もが知っていることであり、「宇治煎茶」なる言葉を看取すれば、一般需要者はそれを地域団体商標に係る「宇治茶」の一種であることを直ちに認識する。

そうすると、本件商標は全体として、一般需要者に対して「最高級の宇治煎茶」と認識させるにとどまる。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第10号の該当性について

「宇治煎茶」は「宇治茶」の一種であり、「宇治茶」に包含される。「宇治茶」は、日本茶の最も有名なブランドであり、その一種である「宇治煎茶」も当然ながら、そのブランド力を引き継いで、わが国の一般需要者の間に広く知られている(甲1)。「宇治茶」、特に「宇治抹茶」「宇治煎茶」「宇治玉露」は、日本の歴史において常に日本茶を代表する茶としての地位を保ってきた。このように、「宇治煎茶」は、地域団体商標である登録商標「宇治茶」の権利者である京都府茶協同組合の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標である。

一方、本件商標の前半に置かれている「極み」なる言葉は、何らかの性質を表す言葉に付加されて、その程度が最も高いことを表す名詞であり、それが「宇治煎茶」の前に付された場合、「高級な宇治煎茶」程度の意味合いしかもたない。

したがって、本件商標は、他人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標に類似する商標であって、その商品について使用をするものであり、商標法第4条第1項第10号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第7号の該当性について

お茶が中国から日本に伝えられて以降800年にわたり日本茶を育ててきた京都・南山城地域の茶生産者は、たゆまぬ努力と創意工夫により「抹茶」「煎茶」「玉露」を生み出し、それらを「宇治茶」としてブランド化してきた。その結果、現在では、日本にとどまらず、世界においても「宇治茶」は代表的な日本茶として知られ、世界遺産への登録を目指すほどになっている(甲2)。このように「宇治茶」「宇治抹茶」「宇治煎茶」「宇治玉露」なる名称・商標は、京都・南山城地域の800年にわたる努力の結晶であり、貴重な知的財産の一つである。このような地域の重要な知的財産について、その地域とは無関係の一私企業が、昨今の「宇治茶」ブームに便乗してその名声を借用する商標登録を得、その名称を独占しようとすることは、公正な競業秩序を害するものであって、社会公共の利益に反するものであり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

(4)むすび

したがって、本件商標は、商標法第46条第1項第1号によりその登録は無効とされるべきものである。

第3 被請求人の主張

被請求人は、請求人の前記主張及び審尋に対し何ら答弁していない。

第4 当審の判断

1 商標法第3条第1項第3号の該当性について

(1)本件商標は、「極み宇治煎茶」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成は、いずれも一般に広く使用されてきた、「極み」、「宇治」及び「煎茶」の語からなるものである。そして、「極み」の語は、「きわまるところ、限り、はて」の意味を有するものであり、物事の最上、最終を表す場合に使用される語である。また、「宇治」の語は、「京都府南部の市。宇治川の谷口に位置し、茶の名産地、茶の名産地として知られている京都府南部の市」の意味を有し、「京都府宇治地方から産出する茶」を表す「宇治茶」の語も広く使用されているものであって、古くから、我が国の「茶」の産地を表す語として認識されていたものと認められるものであり(甲1、甲2)、「煎茶」の語は、「葉茶を湯で煎じ出すこと、また、その飲料、その葉茶」の意味を有する語であって、「茶」の一種を表す一般的な名称であり、前記「宇治」の語と結合して「宇治煎茶」と表示されて、商品の産地及び品質を表示するものとして使用されていることが認められる(甲3〜甲5)。

そうすると、これらの語を結合した「極み宇治煎茶」の文字は、その構成全体として、「極上の宇治地方産の煎茶」の意味合いを理解させるものである。

そして、本件商標の指定商品を取り扱う業界における「極み」の語は、以下のように使用されていることが認められる(以下、アないしケは、平成28年6月30日付け「審尋」の内容である。)。

ア JAかごしま茶業は、Amazon通販サイトにおいて、緑茶について、「かごしま直送\銘茶 知覧茶 極み(きわみ)」と表示した商品写真とともに、「JAかごしま茶業 知覧茶 極み 100g」と表示し、Amazon co.jpでの取り扱い開始日を2012年7月13日と広告掲載をしている。

(http://www.amazon.co.jp/JA%E3%81%8B%E3%81%94%E3%81%97%E3%81%BE%E8%8C%B6%E6%A5%AD-%E7%9F%A5%E8%A6%A7%E8%8C%B6-%E6%A5%B5-100g/dp/B008KW2HBK)

イ 滋賀県甲賀市在の(一社)滋賀県茶業会議所は、同社団のウェブサイトにおいて、「近江の茶の新ブランド『極煎茶最澄(きわみせんちゃさいちょう)』について」と題する報告書には、名前の由来として「およそ1200年前、唐より茶の種子を持ち帰り、日本で最初に茶を伝えたとされる伝教大師最澄の名前をもとに、煎茶の最高級品として県内外の消費者に広く愛されるよう、『極煎茶最澄』と命名。」、販売については「平成25年9月から、県内44か所の茶専門店で販売開始」などと掲載している。そして、同サイトには、「極煎茶 最澄」を表示し、商品説明として「琵琶湖に注ぐ渓流・山間山脚地帯で丹念に育てられた甘み・水色・さわやかな香りがそろった茶葉を鑑定のプロが品質をチェックし厳選された煎茶です。極みの味をご堪能ください。」と掲載するとともに、「極煎茶 最澄」の文字を表示した商品写真を掲載して商品紹介をしている。

(https://www.shigaken-gikai.jp/voices/GikaiDoc/attach/Nittei/Nt3260_05.pdf)。

ウ マルオオ製茶おおいし(東京都墨田区)は、日本茶などの販売専門店であり、同店のウェブサイトには、「極み\きわみ\選りすぐった一番茶のみを使用\おおいしが贈る極上の旨味と香り」などと掲載している。(http://www.maruo-oishi.com/shop/products/list.php?category_id=11)

エ ひしだい製茶株式会社(静岡県袋井市)は、そのウェブサイトにおいて、煎茶について、「堅く艶のある茶葉\天然の濃さが味わえる\極みのお茶」、商品写真とともに「・・・味・香り・色 全てが極みです。」と掲載している。(http://www.hishidai.co.jp/sencha_goku/)

オ 丸利吉田銘茶園(京都府)は、そのウェブサイトにおいて、「極茶煎茶50g袋入り」と表示して、「昭和45年宇治市より無形文化財の指定を受けた、幣園十四代目園主 吉田喜三郎譲りの栽培製造技術にて数ある自家茶園のなかでも、特に肥培管理の行き届いた茶園より摘採し製造した品です。そして幣園は宇治茶発祥の地、京都栂ノ尾高山寺に今も残る、日本最古の茶園を肥培管理させて頂いており、其の山主 葉上照澄阿闍利様の絶賛を頂き命名して頂いたのがこの『極茶』でございます。」と掲載している。(http://yoshida-meichaen.com/items/56a9b9a1ef337702f30006c7)

カ 白井製茶園(静岡県伊東市)は、そのウェブサイトにおいて、「商品一覧」の茎茶の区分に「極み 棒茶」「上撰 棒茶」「佳撰 棒茶」、粉茶の区分に「極み 粉茶」「上撰 粉茶」、ほうじ茶の区分に「極み 焙じ茶」「ぐり棒焙じ」などと順に掲載している。(http://www.gricya-shirai.jp/Syouhin_List.htm)

キ 「お茶の福本園」(熊本県)は、そのウェブサイトにおいて、「ふかむし茶〜極〜」「・・・これぞ、ふかむし茶の極み。当社で最高級の煎茶です。」などと掲載している。(http://www.fukumotoen.co.jp/shop/products/kiwami.html)

ク 赤門茶屋(京都府宇治市)は、そのウェブサイトにおいて、商品紹介「煎茶」として、上から順に、商品写真とともに「極\宇治茶本来の純粋な香りとコク\華やかな香り、旨みを凝縮した絶品の宇治茶です。」のほかに、順に「初つみ」「八十八夜」「赤門」「さわらび」などが紹介されている。(http://www.akamon-chaya.com/cathand/cate_gyokuro/index.html)

ケ 株式会社アスカコーポレーション(福岡県福岡市)は、そのウェブサイトにおいて、煎茶について、「極 有機特上煎茶」の表示、同文字を示した商品写真の掲載及び商品の特徴を「有機栽培で茶葉本来の渋みと甘み\繊細で上品な味わい、摘みたて有機煎茶\上質な有機JAS認定茶葉を厳選。摘みたて新芽の上煎茶をご用意いたしました。」と掲載している。(http://www.aska-corp.jp/askanet/NetServlet?bn=itemDetailInit&ic=D6161)

(2)以上の実情からすると、「極み」の文字は、「茶」について、本件商標の登録査定前から使用されているものであり、また、その生産者及び販売者において、「(煎茶の最高級品として)極煎茶最澄と命名」、「(厳選された煎茶について)極みの味」(上記(1)イ)、「極みのお茶」「・・・味・香り・色 全てが極みです。」(上記(1)エ)のように使用されていることから、茶葉、味、香りなどが極上のものであることを表す文字として、また、数種類の商品がある場合に最も上級の商品であること(上記(1)カ、ク)を表す文字として、一般に使用されているものと認められる。

そうすると、「極み」の文字は、「茶」について高品質であることを表す表示であるといえるものであり、該文字と「茶」の産地を表す「宇治」及び「茶」の種類を表す「煎茶」の文字からなる本件商標は、その構成全体として「極上の宇治地方産の煎茶」の意味合いを、容易に認識、理解させるものであるというのが相当である。

そして、本件商標の登録査定時における煎茶の取引の実情において、「極み」「宇治」及び「煎茶」の各語に接する取引者及び需要者の認識が、上記と大きく相違するというべき特段の事情は認められない。

したがって、本件商標は、本件商標の登録査定時には、その指定商品の取引者、需要者において、「極上の宇治地方産の煎茶」を表すものとして理解されていたものであり、商品の品質及び産地を一般に認識させるものであって、自他商品の識別力を有するということはできないから、商標法第3条第1項第3号に該当する。

2 結論

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものであるから、請求人のその余の主張について判断するまでもなく、商標法第46条第1項第1号により無効とすべきである。

よって、結論のとおり審決する。

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