結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第35377号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
1本件商標
本件登録第2694321号商標(以下「本件商標」という。)は、「FREEDOM」の欧文字を書してなり、第17類「被服,布製身回品,寝具類」を指定商品として、昭和61年10月24日に登録出願、平成6年9月30日に設定登録されたものである。
2請求人の引用商標
本件商標の登録無効の理由として請求人が引用する登録第883399号商標(以下、「引用A商標」という。)は、「フリーダ」の片仮名文字を書してなり、同じく、登録第883400号商標(以下、「引用B商標」という。)は、「FRIEDA」の欧文字を書してなり、いずれも、第17類「被服,布製身回品,寝具類」を指定商品として、昭和43年12月10日登録出願、同45年12月11日に登録され、現在有効に存続しているものである。
3請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を無効とする、審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として平成10年8月14日付け甲第1号証乃至甲第3号証及び同年12月25日、平成12年2月27日付け甲第1号証乃至甲第22号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、英文字「FREEDOM」から成るから、この英語の発音に従って「フリーダム」と称呼されるものである。また、引用各商標は、それらの英文字及びカタカナ文字より「フリーダ」と称呼されるものである。
そこで、「フリーダム 」と「フリーダ」の称呼を比較すると、両称呼は、ほぼ同じ音数から成り、語頭の「フリーダ」の音は全く同一であり、語尾に「ム」の音の有無の相違があるにすぎない。そして、この「ム」の音は、両唇を密閉し、有声の気息を鼻腔に通じて発する無声音であり、この音自体が弱音であるであるのみならず、称呼上、重要な影響を与えない末尾に位置しているものである。
ここで、上記相違音「ム」の音質(弱音性)について特に言及するに、英語の発音によれば、「m」の子音の発音は、「くちびるをかたく閉じ、声を鼻へ送って発音され、特に、この『m』の音が語の終わりにきたときにはくちびるを閉じたままにしておくことにより発音される音」である。
したがって、英語の語尾の子音「m」は、くちびるを閉じたまま鼻にこもる音であり、これが実際ほとんど聞き取ることができない音として発音されることは、英語教育が浸透しているわが国においては、英語に関する基本的事項として一般によく知られていることである(この点、本件商標の英語「FREEDOM 」の語尾の「M」の音は、発音上、わが国のカタカナ文字の「ム」(mu)の音と同じでない点に留意すべきである。
すなわち、上記語尾の「M」の音は、上述したように唇を閉じたままでの音であるために、母音の「u」において唇を開けて発音する上記カタカナ文字の「ム」(mu)よりもさらに不明瞭な音と言える。)。
したがって、本件商標の英語「FREEDOM」の最後の子音「M」についても、上述したような英語の発音方法に従って発音される場合が決して少なくないというべきである。もし、甲第7号証の審決理由中で述べられているように「FREEDOM」が英語として比較的よく知られていることが事実であるならば、なおさらのこと、本件商標も、上述したような英語の発音方法に従って発音される場合が多いと言うべきである。
また、本件商標は、カタカナ文字を含まず、英語「FREEDOM」のみによって構成されていることからしても、上述したような英語の発音方法で発音される場合が多いというべきである。
したがって、上記相違音「ム」の音質(弱音性)に着眼するだけでも、係る「ム」の有無という差異が称呼全体に及ぼす影響は極めて小さいと言えるものである。
また、「フリーダム」の称呼は、その発音において「リー」の部分にアクセントが置かれ、強く発音されるために、これが一連に称呼された場合、最後尾の「ム」の音は、明瞭に発音され聴取されない。さらに、「フリーダム」の「ダム」の部分は、「ダ」の音が強音であるため、この音の後に続く弱音「ム」は「ダ」の音に吸収されて、明瞭には聴取され難い。さらに、「フリーダム」と「フリーダ」の称呼は、これらの称呼中の「リー」が長音を伴っているため、恰も、「フリイダム」と「フリイダ」の如く、両称呼は、実質的には、全体で5音及び4音の音数からなるものであり、これらの称呼が、「簡素な音構成からなる」とは必ずしも言えない。
したがって、「フリーダム」と「フリーダ」の両称呼を、全体として、それぞれ一連に称呼する時は、これらは、音構成、語韻、語調において極めて相紛らわしい称呼である。
よって、本件商標と引用各商標は称呼において類似する商標である。
したがって、本件商標は、引用各商標に類似し、かつこれらの指定商品も相互に抵触するから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第10号又は同第15号について
請求人である米国法人、キンバリー(キンバーリ)クラーク コーポレイション〔KimberlyーClark Corporation〕は、ティッシュペーパー・生理用品・各種紙おむつ等の一般消費者用紙製品の大手メーカーである。また、請求人は、北米以外でも、メキシコ、豪州、欧州、ブラジル等の世界各国でも事業を展開している、世界的な企業である。
請求人の製品中、生理用ナプキン「NEW FREEDOM」は、米国のみならず、世界的に有名である。
上記生理用ナプキン「NEW FREEDOM」は、米国では、古く1968年に発売が開始され、請求人の他の生理用ナプキンのブランド「KOTEX」とともに請求人の生理用ナプキンとしては、全米第1位の販売実績を有している。また、請求人は、上記生理用ナプキン「NEW FREEDOM」のテレビ・雑誌広告等の広告について、例えば、1975年の1年間をとり上げただけでも、400万米ドル以上の広告費用を米国で投入している。したがって、上記生理用ナプキン「NEW FREEDOM」が米国で有名な商標であることは明らかである。
さらに、請求人は、「NEW FREEDOM」、「KOTEX FREEDOM」又は「FREEDOM」の商標の下に生理用ナプキンの販売を、1973年カナダ、プエルトリコ及びフランス、1974年英国、マレーシア、シンガポール及びタイ、1975年香港及びインドネシア、1976年南アフリカの各国で古くに開始しており、また、これに伴い各国で商標登録も取得しており、請求人の生理用ナプキンの商標「FREEDOM」は、世界的にも有名な商標である。
また、請求人は、その生理用ナプキン「NEW FREEDOM」をわが国でも販売しており、1973年から1984年までの期間についてみると、その年間販売額は下記の通りであり、上記期間中の総販売額は、約44万米ドルである。 記
1973年‐$6,381、1974年 ‐$7,288、1975年 ‐$12,274、 1976年 ‐$20,264 、 1977年−$46,835、1978年 ‐$63,951、1979年‐$29,264、1980年‐$21,321、1981年‐$51,489、1982年‐$51,923、1983年−$56,713、1984年‐$71,447
したがって、請求人の生理用ナプキンの商標「NEW FREEDOM」が、その本国である米国その他各国での著名度とも相まって、本件商標の出願日(昭和61年10月24日)以前に、わが国の取引者・需要者、特に、生理用ナプキン・紙おしめ等の紙製品及びこれらに類似する商品の業界に広く知られていたことは明らかである。
そこで、本件商標「FREEDOM」と上記請求人商標「NEW FREEDOM」の類似性を検討するに、請求人商標中の「NEW」は、「新しい」又は「新型」を意味し、その商品の品質(商品の新しいこと又は新製品であること)を表示するにすぎないから、請求人商標の要部は、「FREEDOM」の部分にあると言える。したがって、請求人商標は、その上記要部より「FREEDOM」の称呼も生じるから、本件商標と請求人商標は、称呼において類似する商標である。
さらに、請求人商標の商品「生理用ナプキン」と本件登録商品中の「おしめ」は、相互に類似する商品である。すなわち、上記「生理用ナプキン」と「おしめ」は、材料(吸収体素材)、目的(液体吸収)及び用途(衛生用)が共通する。実際、「女性が、生理用ナプキンを尿失禁用おしめ(パッド)として使用(代用)している」事実もあるし、生理用ナプキンと尿失禁用おしめ(パッド)の中間的な商品も存在する。
したがって、これらの商品は、同一企業によって製造されることが多く、また、薬局等の販売場所・流通経路を共通にする場合も多い。これに関し、請求人は、実際、「生理用ナプキン」と「紙おしめ」を製造しており、両商品の大手メーカーである。また、我が国での、「生理用ナプキン」と「紙おしめ」の大手メーカーとされる花王、ユニー・チャーム、P&G、大王製紙等は、いずれも、両商品を製造・販売している。
したがって、本件商標が、その指定商品、特に、その中で、紙おしめ及びこの類似商品に使用された場合、需要者・取引者が、当該商品を請求人あるいはその関連企業の業務に係る商品であるかの如く混同するおそれがある。
さらに、請求人の我が国子会社である十篠キンバリー株式会社は、上述したように商品の性格としては生理用ナプキンと密接な関係にある「尿失禁用おしめ(おむつ)」に「フリーダム」の商標を使用して、その商品の販売を昭和60年より開始した。十篠キンバリー株式会社の上記商品「尿失禁用おしめ」、すなわち「フリーダム吸水パッド」は、従来の成人用のおしめ(おむつ)が寝たきり老人用の厚物タイプばかりで、通常の仕事などをしている中高年者用のものはなかったので、同社が、吸水シートを薄くしてパンツタイプに加工し、外部から装着を気づかれないないように設計したものであって、当時130万人程いると推定されている尿失禁者のためには画期的な新型の商品であった。
同社は、医師等の医療専門家、医療機関を通じての販売、さらには、通信販売によって、上記商品「フリーダム吸水パッド」の販売に努めた。
したがって、上記商品が、新タイプの商品であって、市場参入における印象が強かったこと、及び、業者、特に、同業者は、通常、他社の商品(競業品)の動向には注意を払っていることと、さらには、商品の類似性から、上記商品「フリーダム吸水パッド」が請求人の上記生理用ナプキンの著名商標「NEW FREEDOM」と関連づけて認識がされ易いこととも相まって、十篠キンバリー株式会社の上記紙おしめの商標「フリーダム」が、本件登録商標の出願日(昭和61年10月24日)以前に、わが国の取引者・需要者、特に、紙おしめ等の紙製品及びこの類似商品の業界、おしめ等の衣料の業界に広く知られていたことは明らかである。
また、十篠キンバリー株式会社(1996年に合併、現在の「株式会社クレシア」)は、その後、現在に至るまで「フリーダム」の紙製おしめを開発・販売しており、今では同社の「フリーダム」は、大人用紙おしめの市場では、同社の各種タイプ(パンツタイプ、パッド、フラットタイプ)の紙おしめを包括・統一する有名ブランドの1つとなっている。
したがって、上記「紙おしめ」の請求人商標「フリーダム」に類似する本件登録商標が、その指定商品、特に、その中で、紙おしめ及びこの類似商品に使用されに場合、需要者取引者が、当該商品を請求人あるいはその関連企業の業務に係る商品であるかの如く混同するおそれがある。
したがって、本件登録商標は、商標法第4条第1項第10号又は同第15号に該当し、無効とされるべきである。
4被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、要旨次のように答弁した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとの請求人の主張は、審決により既に同法条に該当しないことが決定されているのであり、解決済みの事柄である。
本件商標からは「フリーダム」の5音構成からなる称呼及び「自由、自主、開放」などの明解な観念が生ずるのであり、一方、引用商標からは「フリーダ」の4音構成の称呼が生じ、何ら観念を有しない造語である。
しかも、「フリーダム」は、請求人も認めているように第2音の「リ」にアクセントがあって、2音節に尻下がりに発音されるのに対して、引用商標は1音節で尻上がりの発音であるため、例え、本件商標の末尾音の「ム」が、唇を閉じたままで発音されるものであるとしても、この「ム」の音が存在することにより両者の間には構成音数、音節、アクセント、発音方法ならびに明解なる観念の相違が生ずるのであり、本件商標と引用商標との称呼には、十分に識別しうる差異を有するものとして聴取される。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第10号又は同第15号について
本件商標が商標法第4条第1項第10号又は同第15号に該当すると請求人は主張するが、この請求人の主張の根拠となる明確なる証拠は見あたらず、到底認めることはできないものでる。
本件商標の登録出願の日は昭和61年(1986年)10月24日である。本件商標について、請求人は甲第8号証以下の証拠を提出して、請求人は一般消費者用紙製品の大手メーカーであると主張している。
なるほど、1992年11月30日発行の甲第9号証によると、請求人は「Kleenex ,Kotex ,Huggiesなどのブランドで知られる消費者向け紙製品の大手メーカー。」とある。
そして、甲各号証から、この「Kleenex」はテッシユ、「Kotex」は生理用ナプキン、「Huggies」は紙おしめのブランドであることが認められる。
また、1990年に発行された甲第8号証、その他の海外にて発行の甲各号証から、生理用ナプキンのブランドとして「Kotex」の他に、「New Freedom」が使用されていることが認められる。
しかしながら、この「New Freedom」なる生理用ナプキンが売上全米1位であり、しかも、周知著名であることを裏付ける証拠は全くない。しかも、この「New Freedom」は紙おしめには使用されていない。
さらに、この「New Freedom」が、本件商標の登録出願前に、わが国において販売されていたとして甲第10号証を提示している。しかし、これは私書であり、かつ、12年間かけた生理用ナプキンの販売高が約44万ドルに過ぎないものである。そのため、この請求人の販売する商品が業界において、注目されていなかったことは、生理用ナプキンの特集であるところの甲第12号証において、全く取り上げられていないことから明らかである。
なお、請求人は生理用ナプキンの製造メーカーが大人用紙おむつを製造しているとして甲第11号証を提示しているが、そこには大人用紙おむつが「このところ活気づいてきた。」と記載されているのであり、同証の1は1993年11月30日発行であり、同証の2は1996年9月20日発行のものである。
さらに、請求人のわが国子会社であると主張する十篠キンバリー株式会社が「尿失禁用おしめ(おむつ)」に「フリーダム」の商標を使用した販売を、昭和60年から開始した。これはパンツタイプに加工したものであると主張して、甲第13号証、甲第14号証及び甲第15号証を提示している。
これらの証拠によるとその商品「フリーダム吸水パッド」は手ぬぐい大の吸水シートとゴム製の専用ベルトからなるものであると記載されており、甲第14号証では、それはふんどしタイプとしている。パンツタイプであろうとふんどしタイプであろうと、どちらにしてもその商品は「吸水パッド」であって、それは生理用ナプキンと商品の範疇を同じくするものであり、かかる生理用品は日本分類第1類の医療補助品に含まれる商品であると考えざるを得ないものである。
これら請求人の管理下による子会社の販売する商品が、日本分類による第17類の被服に含まれる商品であるとした場合、請求人自が「フリーダム」と類似であると判断した甲第2号証の「フリーダ」を入手したのは平成2年11月5日である。そのため、その間の販売は権利侵害をしていたことを自白することになる。
しかも、甲第13号証によると、この「フリーダム吸水パッド」が、わが国における販売時期は、昭和60年10月末から病院を通じて開始されるとの記事である。すなわち、極めて限定されたルートのみでしか販売されていない。
これらの事実から判断して、本件商標の登録出願前に、請求人及びその子会社による「フリーダム」の使用が周知著名であるはずのないことは明白である。
したがって、本件商標が、商標法第4条第1項第10号又は同第15号に該当しないものであることは明らかである。
5当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前記のとおり、「FREEDOM」の欧文字を書してなるものであるところ、該文字は、「自由」を意味する親しまれた英語であり、「フリーダム」の簡潔かつ明瞭な一連の称呼を生じるものであり、特定の音が省略され、あるいは弱音により称呼されるものでもない。
他方、引用A、B商標は、「フリーダ」、「FRIEDA」の文字よりなるので、それぞれの構成文字に相応し、「フリーダ」の称呼を生ずるものである。
しかして、両商標から生ずる「フリーダム」と「フリーダ」の称呼を比較すると、両者は、前者が長音を含めて5音、後者が長音を含めて4音という構成音数の相違に加え、末尾において「ム」の有無という差異を有する。しかも、末尾の「ム」音は、前記認定の如く明瞭に称呼されるものであるばかりでなく、本件商標の称呼からは前記「自由」の意味合いを容易に想起せしめるものであるから、これらの差異が両者に及ぼす影響は大きく、全体の音感、音調が相違し、両者を一連に称呼しても彼此相紛れるおそれはない。
また、観念についても、前記の如く、本件商標が「自由」の観念を有するのに対して、引用各商標は、特定の観念を有しない造語と認められるから、比較すべくもない。
さらに、両商標の外観については、本件商標と引用各商標の構成は前記のとおりであるから明らかに区別し得るものである。
したがって、本件商標と引用各商標は、称呼、外観、観念のいずれにおいても類似しないものである。
(2)商標法第4条第1項第10号又は同第15号について
請求人の使用する「NEW FREEDOM」、「FREEDOM」、「フリーダム」の周知、著名性について検討するに、 請求人の提出した甲各号証によれば、次の事実が認められる。
(a)1990年株式会社研究社発行の「英和商品名辞典」の234頁KimberlyーClark項には、「・・・生理用ナプキン(Kotex,New Freedom,など)では全米第1位、紙おむつのHuggiesも知名度が高い・・・」及び301頁New Freedomの項には、「・・・KimberlyーClark Corp.製の生理用ナプキン・・・」の記載があるが「FREEDOM」、「フリーダム」の記載はない(甲第8号証)。
(b)1992年11月30日日本経済新聞社発行の1993年版外国会社年鑑のKimberlyーClark Corp.の項には、「Kleenex,Kotex,Huggiesなどのブランドで知られる消費者向け紙製品の大手メーカー・・・生理用品,各種紙おむつ,工業用・商業用紙ぞうきん,病院・家庭用衛生用品及び関連製品や副製品があり,Kleenex,Kotex,New Freedom,Huggies,Delsey,HiーDriなどのブランド名で販売している。」 の記載があるが「FREEDOM」、「フリーダム」の記載はない(甲第9号証)。
(c)法律補助員ドローシー チブコビッチから中村合同特許事務所に送られた1998年9月22日付けの手紙の写しは、1973年から1984年の間での「NEW FREEDOM」製品の日本での販売に関するものであり、「FREEDOM」、「フリーダム」に関するものでない(甲第10号証の1)。また、請求人の国際販売部の記録資料の1973年から1974年には、「NEW FRDM」及び1975年から1984年には、「NEW FREEDOM」の記載はあるが「FREEDOM」、「フリーダム」の記載はない(甲第10号証の2)。
(d)1993年11月30日株式会社日本実業出版社発行の「一目でわかる商品・ブランド地図」の紙おむつの欄には、大人用紙おむつ、フルラインアップとして「フリーダム」(十條キンバリー)の記載はあるが「FREEDOM」の記載はない(甲第11号証の1)。1996年9月20日株式会社矢野経済研究所大阪支社発行の「(’96〜’97年版)医療・衛生用品の市場実態と製品別需要動向」の大人用紙おむつの欄には、主要参入メーカー製品一覧パンツタイプ、フラットタイプ、パッドタイプ及び軽失禁タイプとして「フリーダム」(十條キンバリー)の記載はあるが「FREEDOM」の記載はない(甲第11号証の2)。
(e)1991(平成3)年4月20日発行の朝日新聞には、「生理用ナプキン 超薄型競う厚さ2ミリもと題して 生理用ナプキンの年間売上高は、約八百億円。メーカーは全国に四十社あるが、全米系のプロクター・アンド・ギャンブル・ファー・イースト・インク(P&G)が市場の三割強を抑え、ユニ・チャームと花王がそれぞれ三割弱を占めている。」との記載があるが、請求人及び「FREEDOM」、「フリーダム」に関する記載はない(甲第12号証)。
(f)1985(昭和60)年10月24日発行の「日経産業新聞」には、「十条キンバリーは、尿失禁者専用の紙おむつを開発、十月末から病院を通じて販売に乗り出す。・・・開発した『フリーダム吸水パッド』(商品名)は、手ぬぐい大の吸水シートとゴム製の専用ベルトからなる。」旨の記載がみられる(甲第13号証)。
(g)1985(昭和60)年12月16日発行の「日経産業新聞」には、「十条キンバリーは、尿失禁者用紙おむつ『フリーダム吸水パッド』(商品名)の通信販売を始めた。」旨の記載がみられる(甲第14号証)。
(h)1986年9月1日株式会社時事通信社発行の「福祉機器用品年鑑1987」には、「フリーダム 吸水パッド・・・十條キンバリー(株)」の記載がみられる(甲第15号証)。
(i)1980年11月、1982年1月及び1983年7月発行の米国各雑誌に掲載されている請求人の生理用ナプキンの広告には、「NEW FREEDOM」、「NEW」と「FREEDOM」を上下二段に書したもの、「New Freedom」の記載はあるが「FREEDOM」のみの記載はない(甲第16号証)。
(j)1976年当時、各国で販売されていたキンバリー社の生理用ナプキンの商品写真として提出した甲第19号証には、該号証の(1)、(6)、(8)及び(9)は、「NEW」と「FREEDOM」を二段に書したものであり、(2)と(5)は、「New Freedom」、(7)は、「new freedom」、(10)は、「NEW・FREEDOM」、(3)、(4)に「Freedom」の記載がみられるも、これらは、日付を特定することができないものである。
(k)請求人の会社年報の1971年版は「New Freedom(商標)生理用ナプキン」、1975年版は「Feminine napkins Kotex,New Freedom,Lightdays,Fems,Kotex Liberte 」、1983年版は「New Freedom(商標)の薄型で通常より大きめのパッド・・・」であり、「FREEDOM」、「フリーダム」に関するものでない(甲第20号証)。
(l)甲第21号証は、生理用ナプキンの包装箱のコピー及び写真に「NEW」と「FREEDOM」を上下二段にまとまりよく書したものであり、「FREEDOM」、「フリーダム」のみの使用でない。
(m)宣誓供述書 の写しに添付のExhibitAに吸水パッド、失禁用保護材、吸水パンツ、大人用おむつに「フリーダム」、「Freedom」の記載がみられるが日付けが不明であり、ExhibitCに筆記体の「Freedom」の記載とMAR 9 1992の日付印がみられる書類があるが、該日付は、本件出願日後である。ExhibitDには十條キンバリー株式会社が吸水パッドに「Freedom」、「フリーダム」の記載がみられるが 作成年月日が不明である。ExhibitFのTrademark World,January1997に「FREEDOM」の記載があるが、本件出願日後であり、また、いかなる商品に使用しているか不明である。
以上を総合勘案すれば、「NEW FREEDOM」の商標は、本件商標の出願時に生理用ナプキンに使用されて、ある程度知られていたとしても、「NEW FREEDOM」の商標を使用した商品が世界各国に輸出されていたものとも認められないし、我が国の需要者の間に広く認識されていたとまではいえない。さらに、「FREEDOM」の商標が本件商標の出願時に「生理用ナプキン」に使用されて世界的に、或いは、我が国において需要者間に広く認識されていたものとは認められない。
また、我が国において、十條キンバリー株式会社が「FREEDOM」及び「フリーダム」の商標を紙おむつに使用して、その商品の販売を開始したのは、本件商標の出願日(昭和61年10月24日)の一年前である昭和60年からであること及びそれ程盛大に広告宣伝されたとも認められないことからすれば、本件商標の出願時において、十條キンバリー株式会社が「FREEDOM」及び「フリーダム」の商標を紙おむつに使用して我が国取引者、需要者に広く知られていたということもできない。
してみれば、「NEW FREEDOM」、「FREEDOM」及び「フリーダム」の商標が本件商標の出願前より我が国の取引者、需要者において広く認識されていること及び外国において著名な標章であることが我が国内の需要者によって認識されていることを前提とする、商標法第4条第1項第10号、同第15号に関する請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(3)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号の規定に違反して登録されたものとはいえないから、本件商標の登録は、同法第46条第1項の規定により無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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