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Trademark Appeal Case

称呼・観念・外観の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2016−900185(T2016−900185/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5838410号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5838410号商標(以下「本件商標」という。)は,「ラクトエッグ」の片仮名を標準文字により表してなり,平成27年10月20日に登録出願,同28年3月2日に登録査定,第29類「液卵,乾燥卵,凍結卵,加工卵,鶏卵,卵,卵を主材とする惣菜,加工卵を主材とする惣菜」を指定商品として,同年4月8日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,本件登録異議の申立ての理由として引用する登録第5427530号商標(以下「引用商標」という。)は,「ラクティーエッグ」の片仮名を標準文字により表してなり,平成23年1月6日に登録出願,第29類「卵,タマゴサラダ,卵どうふ,乾燥卵,液卵,冷凍卵,茹で卵,卵焼き,スクランブルエッグ,その他の加工卵,茶わん蒸し,オムレツ,スコッチエッグ」を指定商品として,同年7月22日に設定登録されたものである。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は,本件商標について,商標法第4条第1項第11号に該当するから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証(枝番を含む。)を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号について

商標の類否について,氷山印事件(最高裁昭和43年2月27日 民集22巻2号399頁)においては,「商標の類否は,対比される両商標が同一または類似の商品に使用された場合に,商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが,それには,そのような商品に使用された商標がその外観,観念,称呼等によって取引者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すべく,しかもその商品の取引の実情を明らかにしうるかぎり,その具体的な取引状況に基づいて判断するのを相当とする。」旨説示している。

この説示の下,本件商標と引用商標の類否についてみると,本件商標は,引用商標と出所の混同を生じるおそれがあるほど類似する商標に当たる。

ア 本件商標と引用商標に係る指定商品の対比

本件商標と引用商標の両商標に係る指定商品は,いずれも「卵,卵を加工した商品」からなるものであり,両者は,その品質や用途が一致し,需要者の範囲を共通にするものであるから,両者が類似する商品に当たることは明らかである。

イ 本件商標と引用商標の対比

(ア)外観について

本件商標は,「ラクトエッグ」の標準文字からなるものであり,これに対して,引用商標は,「ラクティーエッグ」の標準文字からなるものである。

両商標は,片仮名にて表されているとともに,語頭部の「ラク」の文字と,語尾部の「エッグ」の文字を共通にするものである。

この構成態様をみると,本件商標は6文字の構成であり,引用商標が7文字の構成を採っているものの,各商標の三分の二ほどの文字を同じくしている。

特に,そのうちの「ラク」の文字は,商標の識別上,最も印象に残りやすい語頭部に位置するものであり,また,具体的な商品との関係を明らかにするのに重要な役割を果たす後半部の「エッグ」を同じくするものである。

したがって,両者の差異は,横一連に表されている商標全体の中間において,一,二文字が相違という点になるが,そもそもこの中間部分は,看者の印象に残りにくい部分であることからすると,この差異が全体に与える影響は大きいものではなく,ゆえに,両商標を全体として比較した場合には,本件商標と引用商標とは,外観上,相紛らわしい商標として認識され得るものである。

(イ)観念について

本件商標の構成中の「ラクト」は,ラテン語で「乳」を意味する語である。「ラクト」が「乳」を意味することは,アイスクリームに「ラクトアイス」と称される種類のものがあることや,高校の化学でも「乳糖」の「ラクトース」について学習することからも,広く一般的に知られているものである。

これに対して,引用商標の構成中の「ラクティー」は,申立人により,「乳酸」を意味する「lactic acid」の語から創造された造語である。

したがって,両商標からは,いずれも「乳に関連する卵」程の観念を看取し得るものであり,ゆえに,本件商標と引用商標は,観念上においても相紛らわしい商標である。

(ウ)称呼について

本件商標は,「ラクトエッグ」の称呼が生じるのに対し,引用商標は,「ラクティーエッグ」の称呼が生じるものである。

したがって,両称呼は,6音,7音からなり,中間において,「ト」と「ティー」の音のみが異なるにすぎない。

そして,相違する「ト」と「ティー」の音についてみると,両音は,子音「t」を同じくし,調音位置も共に上歯の付け根の歯茎であることから,発音上近似する音である。しかも,この差異音は,聴別し難い中間に位置することにかんがみると,両者を一連に称呼した場合には,全体の語調語感が近似し,互いに聞き誤るおそれがあることから,本件商標は,引用商標と称呼上相紛らわしい商標である(甲3)。

ウ 「卵,卵を加工した商品」の分野における商取引の実情

申立人は,卵白に乳酸菌を植菌して発酵させることで新たな卵白素材である乳酸発酵卵白を開発しており,その商品名として「ラクティーエッグ」という名称(引用商標)を使用している。これらのことは,日本食品工学会誌にも掲載されているところであり(甲4),ここでは,この卵白は通常の卵白とは異なる分野や用途の活用が可能となっている点が述べられている。そして,今日では,乳酸発酵卵白を使用した商品も開発され,実際に販売されているところでもある(甲5)。

ところで,本件商標権者も,同様に卵白加工品を製造販売しているものであり(甲6),本件商標に係る出願は平成27年10月20日になされているが,これは,日本食品工学会誌への掲載の後ということになる。

そして,「ラクティーエッグ」という名称の商品が新たな卵白素材の名称として使用されている中で,すなわち,新たな分野でその名称が使用されている中で,中間音において「ト」と「ティー」の文字及び音のみが僅かに異なるだけの名称が存在した場合,需要者・取引者が,両商標が付された商品に接したときには,その種の商品の先駆者である申立人の商品若しくはそれに関連する商品であるかの如く認識するのは必至である。

つまり,この分野の今日における取引の実情に照らしたときには,本件商標は引用商標と商品の出所につき,誤認混同を生ずるおそれがある「類似の商標」に当たるものである。

(2)むすび

以上より,本件商標と引用商標は,外観,称呼及び観念を総合的に勘案すると互いに相紛れるおそれのある類似する商標であり,また,本件商標に係る指定商品が,引用商標に係る指定商品と類似することも明らかである。

加えて,本件商標に係る指定商品の分野における「取引の実情」をも考慮すると,本件商標は,引用商標と商品の出所につき,誤認混同を生ずるおそれがある「類似の商標」に当たるものである。

4 当審の判断

(1)本件商標について

本件商標は,「ラクトエッグ」の片仮名を標準文字により表してなるところ,これからは,「ラクトエッグ」の称呼を生じ,該文字は,辞書類に載録された成語ではなく,また,特定の意味合いを有する語として一般に知られたものともいえないことから,特定の観念を生じないものである。

(2)引用商標について

引用商標は,「ラクティーエッグ」の片仮名を標準文字により表してなるところ,これからは,「ラクティーエッグ」の称呼を生じ,該文字は,辞書類に載録された成語ではなく,また,特定の意味合いを有する語として一般に知られたものともいえないことから,特定の観念を生じないものである。

(3)本件商標と引用商標との類否について

本件商標と引用商標との類否について検討するに,外観においては,本件商標は「ラクトエッグ」の片仮名を表してなるのに対し,引用商標は「ラクティーエッグ」の片仮名を表してなるものであるから,「ラク」の文字に続く「ト」の文字と「ティー」の文字の差異により,十分に区別して把握,認識されるものである。

そして,称呼においては,本件商標から生じる「ラクトエッグ」の称呼と,引用商標から生じる「ラクティーエッグ」とは,語頭からの「ラクト」の音と「ラクティー」の音の差異により,それぞれを称呼するときは,全体の語調,語感が相違し,明確に聴別することができるものである。

また,本件商標と引用商標は,いずれも特定の観念を生じないものであるから,観念上,相紛れるおそれはない。

そうすると,本件商標と引用商標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(4)申立人の主張について

ア 申立人は,本件商標の構成中の「ラクト」の語について,「ラクト」は,ラテン語で「乳」を意味する語であり,「ラクト」が「乳」を意味することは,アイスクリームに「ラクトアイス」と称される種類のものがあることや,高校の化学でも「乳糖」の「ラクトース」について学習することからも,広く一般的に知られており,引用商標「ラクティーエッグ」中の「ラクティー」は,申立人により,「乳酸」を意味する「lactic acid」の語から創造された造語であるから,両商標からは,いずれも「乳に関連する卵」程の観念を看取し得るものであり,本件商標と引用商標は,観念上においても相紛らわしい商標である旨主張している。

しかしながら,本件商標の指定商品の取引者,需要者が,本件商標の構成中の「ラクト」の片仮名から「乳」の意味を,また,引用商標の構成中の「ラクティー」の片仮名から「lactic acid」の欧文字を想起し,さらに「乳」の意味合いを,それぞれ連想するとはいい難く,仮にそれらを想起,連想したとしても,「ラクト」及び「ラクティー」と,「エッグ」(卵)との関係において,本件商標と引用商標がいかなる意味合いを表すものであるかは明確でない。

また,「ラクティーエッグ」について,申立人が提出する証拠(甲4)をみても,特定の意味合いが生ずるとはいえない。

そうすると,本件商標及び引用商標は,いずれも特定の意味合いを想起させるものとはいえないから,申立人の主張は採用できない。

イ 申立人は,「卵,卵を加工した商品」の分野における商取引の実情として,申立人が開発した商品名に引用商標を使用していること,そのことが業界誌へ掲載された後に出願された本件商標は,引用商標と商品の出所につき,誤認混同を生ずるおそれがある旨主張している。

しかしながら,本件商標と引用商標とが類似するとはいえないこと前記(3)のとおりであり,申立人が提出した証拠において,両商標をそれぞれの指定商品について使用をした場合,その商品の出所について混同を生ずるというべき事情も見あたらない。

ウ 申立人は,本件商標の類否判断に関し,審決(甲3)を挙げるが,商標の類否の判断は,当該商標と他人の登録商標(引用商標)との対比において,個別・具体的に判断すべきものであって,本件商標と引用商標の類否の判断は,前記(3)のとおりであるから,該審決をもって,本件の判断が左右されるべきものではない。

(5)まとめ

以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものでないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきものである。

よって,結論のとおり決定する。

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