結論テキスト
審判費用は,請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2015−300822(T2015−300822/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
登録第5083094号商標(以下「本件商標」という。)は,「アイラ」の片仮名を標準文字で表してなり,平成18年12月4日に登録出願,第9類「特許事務所における業務管理に用いる電子計算機用プログラム,法律事務所における業務管理に用いる電子計算機用プログラム,特許事務所における業務管理に用いる電子計算機用プログラムを搭載した電子計算機,法律事務所における業務管理に用いる電子計算機用プログラムを搭載した電子計算機,その他の電子応用機械器具及びその部品,特許事務所における業務管理に関する電子出版物,法律事務所における業務管理に関する電子出版物,その他の電子出版物」及び第42類「特許事務所における業務管理に用いる電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,法律事務所における業務管理に用いる電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,その他の電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,特許事務所における業務管理に用いる電子計算機用プログラムを格納した電子計算機の貸与,法律事務所における業務管理に用いる電子計算機用プログラムを格納した電子計算機の貸与,その他の電子計算機の貸与,特許事務所における業務管理に用いる電子計算機用プログラムの提供,法律事務所における業務管理に用いる電子計算機用プログラムの提供,電子計算機用プログラムの提供,気象情報の提供,建築物の設計,測量,地質の調査,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,デザインの考案,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,著作権の利用に関する契約の代理又は媒介,社会保険に関する手続の代理,計測器の貸与,理化学機械器具の貸与,製図用具の貸与」を指定役務として,同19年10月12日に設定登録がされたものである。
そして,本件審判の請求の登録は,平成27年12月2日にされたものである。
また,本件審判の請求の登録前3年以内の期間である同24年12月2日から同27年12月1日までの期間を,以下「要証期間」という。
請求人は,商標法第50条第1項の規定により本件商標の指定商品及び指定役務中,第9類「全部指定商品」及び第42類「特許事務所における業務管理に用いる電子計算機用プログラムの提供,法律事務所における業務管理に用いる電子計算機用プログラムの提供,電子計算機用プログラムの提供」についての登録を取り消す,審判費用は,被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由として,要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
本件商標は,その指定商品及び指定役務中,上記の指定商品及び指定役務について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
被請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を審判事件答弁書,上申書及び審尋に対する回答書において要旨以下のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第12号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)被請求人は,本件商標を第9類「特許事務所における業務管理に用いる電子計算機用プログラム,法律事務所における業務管理に用いる電子計算機用プログラム」及び第42類「特許事務所における業務管理に用いる電子計算機用プログラムの提供,法律事務所における業務管理に用いる電子計算機用プログラムの提供」について,要証期間内に日本国内において使用している。
(2)使用にかかる商標
被請求人は,本件商標の表記方法について,本件商標「アイラ」及び本件商標の欧文字表記である「Islay」を,使用場所により使い分けている。「Islay」は,ウイスキーの産地として有名な,スコットランドのアイラ島を意味する英語であり,本件商標「アイラ」とは,片仮名及び欧文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標であるから,本件商標と社会通念上同一の商標である。
なお,本件商標にかかる商品等を需要者に広告し,紹介する際には,当然「アイラ」と称呼している。
(3)使用にかかる商品
乙第1号証のサーバの写真,乙第2号証及び乙第3号証のコンピュータのスクリーンショット及び乙第4号証のユーザのメールに示すとおり,被請求人は,本件商標「アイラ」又はそれと社会通念上同一の商標「Islay」(以下「使用標章」という。)を,「コンピュータソフトウェア(及びそれをインストールしたサーバ)」について使用している(以下,「使用商品」という)。使用商品は,特許事務所・法律事務所における特許の管理業務及び業務支援を行うためのコンピュータソフトウェア群,期限管理等様々な機能を有するいくつかのソフトウェアであり,被請求人は,本件商標と使用標章をこのコンピュータソフトウェア群について使用している。使用商品の使用形態は,下記の3通りある。
ア 被請求人が,使用商品であるコンピュータソフトウェア群をセットアップしたサーバを,ユーザである特許事務所等の所内(又は請求人会社内)のLANに設置して,ユーザが,ブラウザで,これにアクセスして使用する方法
イ 被請求人が,使用商品であるコンピュータソフトウェア群をインターネット上のレンタルサーバやAmazon等が提供しているCloudにセットアップして,ユーザが,インターネット経由で,使用商品であるコンビュータソフトウェア群を使用する方法
ウ 被請求人が,使用商品であるコンピュータソフトウェア群をインターネット上のサーバにダウンロード可能に配置して,ユーザである特許事務所等のPCにダウンロードして使用する方法
すなわち,被請求人は,サーバにインストールして使用するコンピュータソフトウェア,インターネットを経由して提供されるコンピュータソフトウェア及びPCにダウンロードして使用するコンピュータソフトウェアの商標として,本件商標と使用標章を使用しているものである。
しかして,被請求人の使用商品及びそれを提供する役務が,請求に係る指定商品及び指定役務に含まれることは明白である。
(4)本件商標と使用標章採択の経緯とその現在の使用状況
被請求人は,特許関連事業者向けの各種ソフトウェアの開発及びそのソフトウェアの提供,その他特許事務所をサポートする業務を行っている会社であるが,本件商標と使用標章は,2006年11月28日にある特許事務所の依頼により,被請求人の代表取締役である榎本昌史氏が開発したコンピュータソフトウェアの名称として採択された商標である。
このとき開発されたコンピュータソフトウェアは,2007年9月19日に上記特許事務所に納入され,現在も使用商品の提供が継続されている。
乙第4号証は,使用商品が納入された際のユーザの所内メールの写しである。
その後,被請求人は,前記ユーザ特許事務所に対し,使用商品にかかるコンピュータソフトウェアの提供を継続して行っている(乙5)。
乙第5号証の1ないし23は,2014年1月から2015年11月までに使用したチェックリストの写しである。これは,被請求人が,毎月8回程度,使用商品を含む被請求人の他の商品の動作チェック及び使用商品の更新を行う際に使用されるチェックリストである。前記ユーザ特許事務所においては,使用商品は,所内のサーバにインストールされ,ネット経由で提供されるものであることから,かかる行為は,被請求人によるコンピュータソフトウェアの提供に該当することは明らかである。すなわち,このチェックリストは,本件期間において,本件商標と使用標章を使用して指定役務が継続して提供されていることを証するものである。
加えて,2015年10月6日,使用商品のバージョンアップを機に,被請求人は,前記ユーザ特許事務所との間で,使用商品及びその提供について,新たにプログラム使用許諾契約書を締結している(乙6)。
したがって,被請求人が,要証期間に本件商標と使用標章を用いて,使用商品の提供を継続して行っていることは明らかである。
(1)当合議体は,被請求人に以下の審尋を発し,意見を求めた。
ア 被請求人の提出した乙第1号証ないし乙第6号証からは,本件商標「アイラ」の使用について,商標法第2条第3項各号のいずれの行為の使用か,確認することができない。
イ 「PCにダウンロードして使用するコンピュータソフト」の商品を販売するため,又は,「インターネットを経由して提供されるコンピュータソフトウェア」の役務を提供するために,本件商標「アイラ」を使用していることが具体的に確認できない。
ウ 本件商標「アイラ」を付した指定商品及び指定役務が,販売され又は提供された事実を確認する必要があるから,要証期間内に,実際に取引されていたことが証明できる書証及びこれを説明するとともに,商標法第2条第3項各号のいずれの使用であるのかを主張する書面を提出されたい。
(2)被請求人からの回答書(平成28年7月11日付け)
ア 本件商標の使用
乙第7号証は,被請求人が,顧客である国際特許事務所に対して,2015年8月21日付で発行した書類であって,被請求人が販売又は提供する商品又は役務の内容及びその料金など,被請求人との契約内容を示す書類である。これは,被請求人が,本件商標「アイラ」を,「ダウンロード可能なコンピュータソフトウェア」について使用していること証明している。
乙第7号証にかかる書類は,被請求人が,顧客との取引に際し,その顧客毎に作成する書類であって,それぞれの顧客の契約内容に合わせて作成される。この書類には,「対象期間」の記載の下に,「月額請求額」の表示及びその下部の枠内に料金の請求項目が記載され,それに続いて「月額請求額」の請求項目中の「アイラ・シリーズ ツール使用料」の内容,さらに「ツール毎の使用料(通常料金)」に関する個別の月額が記載される構成である。
乙第7号証の上部に,「月額請求額」の記載があり,その下の枠内には,「アイラ・シリーズ」及び「ツール使用料(70,000円)」の記載がある。
ここで,「ツール使用料」の「ツール」とは,被請求人が「コンピュータプログラム」の別称として用いている語であり(乙8),また,コンピュータプログラムの業界においても一般的に同様の意味を用いる語として使用されている。したがって,「ツール使用料」とは,「コンピュータプログラムの使用料」の意味である。
また,「アイラ・シリーズ」の記載は,その態様からみて「ツール使用料」の対象であることは明らかである。ここで,「シリーズ」は,単に商品や役務のまとまりを表すにすぎない語であるから,「アイラ・シリーズ」は,「アイラ」に関連する商品・役務のまとまりを意味する表示であり,「アイラ・シリーズ」の語は,本件商標「アイラ」と実質的に同一である。換言すると,乙第7号証は,被請求人が,本件商標「アイラ」と同一の商標を,ツール,すなわちコンピュータソフトウェアの商標として使用していることを示している。
加えて,乙第9号証として,被請求人が顧客である別の特許事務所に対して,2015年11月18日付で発行したサポートプラン(2015年11月1日〜2016年6月30日を対象期間とする)についてもあわせて提出する。
乙第7号証及び乙第9号証に掲載されている「ツール」には,ダウンロード可能なコンピュータプログラムとダウンロードしないで提供されるコンピュータプログラムが含まれている。
イ 本件商標を使用する商品及び役務
(ア)第9類「ダウンロード可能なコンピュータソフトウェア」
乙第10号証の1は,乙第7号証のサポートプランに基づいて,顧客が被請求人の商品及び役務の提供を受ける際に,PC上に最初に表示される画面である。本件商標にかかる被請求人の商品及び役務の提供を受ける際,ユーザ名とパスワードが必要となる。顧客が,「http://ihot.co.jp/●●●/」(●●●部分には,顧客事務所名の略語を入れる)を入力すると,乙第10号証の1の画面が表示され,続けてユーザ名等を入力することにより,それぞれの顧客のページが開く(乙10の2及び3)。
乙第10号証の2は,「アイラ・シリーズ」のツール一覧であり,顧客が契約している本件商標にかかるツールのうち,ダウンロード可能なツールをダウンロードすることができるページである。このページの右側に記載された「ダウンロード」をクリックすることにより,コンピュータプログラムをダウンロードすることができる。ダウンロード可能なコンピュータプログラムは,無体物であることから,商品そのものは物理的に存在しないため,商標を商品そのものに付することはできない。乙第10号証の2の画面上に実際の商標を付した商品の写真などは掲載されていないが,それぞれの商品の内容を示す表示がリストアップされている。また,本件商標「アイラ」は,そのリストに近接して記載されており,そのページからすぐにダウンロードする(商品の提供を受ける)ことが可能である。
したがって,上記被請求人が,乙第10号証の2及び3にかかるウェブページにおいて,「アイラ」を記載し,そのページからコンピュータプログラムをダウンロードさせる行為は,商標法第2条第3項第2号「商品に商標を付したものを電気通信回線を通じて提供する行為」に該当する。
また,乙第10号証の2に表示される本件商標にかかるダウンロード可能なツールの一覧には,乙第7号証に記載されるツールである「マクロ系HTMLツール」及び「マクロ系図面挿入」も含まれている。すなわち,乙第7号証は,「ダウンロード可能なコンピュータプログラム」の提供に際して作成される取引書類である。したがって,乙第7号証のサポートプランに本件商標「アイラ」を記載することは,商標法第2条第3項第8号に規定する,被請求人が,「商品に関する価格表若しくは取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当する。
なお,乙第7号証に記載されるツールの種類と乙第10号証の2に記載されるツール一覧に記載されるツールの種類が若干異なるのは,それぞれ発行又は表示された時期が異なるためである。乙第10号証の2については,現時点の契約内容しか表示することができず,サポートプランの作成時のツール一覧を表示することができないため,このような相違が生じている。
さらに,乙第11号証の1は,乙第7号証のサポートプランに基づいて被請求人が提供した商品及び役務に関して,被請求人が発行した請求書(要証期間2015年8月分〜同年11月を含む。)の写しである。また,乙第12号証の1は,乙第9号証のサポートプランに基づいて被請求人が提供した商品及び役務に関して,被請求人が発行した請求書(要証期間2015年11月分)である。
これら請求書の請求項目名の2段目に「アイラ・シリーズ ツール使用料」と記載されている。上述したとおり,「アイラ・シリーズ」の語は,本件商標「アイラ」と実質的に同一商標であるから,被請求人は,請求書に本件商標を記載していることは明らかである。
したがって,被請求人が,請求書に本件商標「アイラ」を記載して顧客に送る行為は,商標法第2条第3項第8号に規定する,「商品若しくは役務に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」に該当する。
以上詳述したとおり,被請求人は,要証期間において,本件商標「アイラ」を,第9類「ダウンロード可能なコンピュータプログラム」について使用していることは明らかである。
(イ)「インターネットを経由して提供されるコンピュータソフトウェアの提供」
乙第2号証は,被請求人の顧客が,本件商標を使用した商品をインストールしたサーバ(乙1)にアクセスし,データを検索して呼び出した際にPCに表示される画面である。乙第2号証の上部には「islay」の文字が記載されている。これは,地名である「アイラ」を英語表記したものである。
したがって,「islay」は,本件商標の文字の表示を欧文字から片仮名に変更したものであり,社会通念上同一の商標である。このサーバは,顧客の事務所内又は被請求人の社内のいずれかに設置され,顧客はLAN又はインターネットに接続してサーバにアクセスし,本件商標を使用したプログラムを利用するものである。乙第2号証に表示されるように,特定の案件を検索するためには,サーバにアクセスしなければならず,自己のPCにダウンロードしたコンピュータプログラムを使うのみでは,データを検索することはできない。
したがって,本件商標を,顧客が上記コンピュータプログラムを使用する際に,PCの画面上に表示する行為は,商標法第2条第3項第7号に規定する「電磁的方法により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為」に該当する。
よって,被請求人は,要証期間内に,本件商標と同一の商標を,「インターネットを経由して提供されるコンピュータソフトウェアの提供」に使用していることは明らかである。
ウ 結論
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録日前3年の間に我が国において,その請求に係る指定商品中,第9類「PCにダウンロードして使用するコンピュータソフトウェア」及び第42類「インターネットを経由して提供されるコンピュータソフトウェアの提供」について使用しており,現在も使用している。
(1)乙第6号証は,2015年10月6日に,被請求人(乙)と黒塗りされた特許事務所(東京都品川区所在:甲)との間で交わした「プログラム使用許諾契約書」である。この第2条に,「甲は乙に対し,本件プログラムの使用料として別紙料金表1に定める金額を毎月末日限り,乙の指定口座に振込みにて支払うものとする。」の記載がある。
そして,別紙には,「アイラ料金表」の見出しの下,「1.通常料金 1ライセンスあたりの月額使用料および試算」等の記載がある。
(2)乙第8号証は,被請求人のホームページである。第1葉目に「INFORMATION」及び「SERVICE」の見出しがあり,第2葉目には,「ツール(プログラム)の提供」の項において「特許実務をおこなっている方が,少しでも気持ちよく仕事を進められるようにワードやエクセルなどに組み込んで使えるツールを提供します。」の記載があり,右下には「2016/07/04」と出力日時の記載があるが,これは,要証期間外の日付である。
(3)乙第10号証の3は,被請求人と契約した顧客のPC画面上に表示されるツールの一覧画面(以下「ツール一覧画面」という。)である。左上に,「株式会社あいほっと−特許出願書類作成支援ツール」,その下に,黒塗りされた「特許事務所様」とあり,さらに,その下に,「アイラ・シリーズ(以下「使用商標」という。)ツール一覧」のタイトルの記載がある。
この一覧の下には,左側に各種のツールが並んでおり,右側にはそれに対応するように「wordダウンロード」の記載があり,右下には「2016/07/01 11:01」と出力日時の記載があるが,これは,要証期間外の日付である。
(4)乙第12号証の1は,2015年11月30日に被請求人が発行した「請求書」である。左上には,黒塗りされた「特許事務所 御中」の宛先があり,その右側には,被請求人の社名,住所,連絡先の記載がある。
そして,「請求内容:システム運用サポート 11月」の項目の下に,「ご請求金額」の欄があり,「項目名:アイラ・シリーズ ツール使用料」,「単価:25,000」,「数量:1」及び「税区分:外税」の記載がある。なお,上記発行日は要証期間内である。
(5)乙第12号証の2は,2015年12月31日に被請求人が発行した「請求書」である。左上には,黒塗りされた「特許事務所 御中」の宛先があり,その右側には,被請求人の社名,住所,連絡先の記載がある。
そして,「請求内容:システム運用サポート 12月」の項目の下に,「ご請求金額」の欄があり,「項目名:アイラ・シリーズ ツール使用料」,「単価:25,000」,「数量:1」及び「税区分:外税」の記載があるが,上記発行日は,要証期間外の日付である。
(1)被請求人の使用役務について
乙第6号証及び乙第12号証の1及び2によれば,被請求人は,特許事務所から,毎月一定額のプログラムの使用料を対価として得ていること,つまり,「コンピュータプログラムの提供」を役務として取引したことが認められる。
そして,乙第10号証の3は,「ツール一覧画面」であり,「特許出願書類作成支援ツール」の記載がある。また,乙第8号証は,被請求人が,「ツールの提供」を行っていると述べるものであって,ここで使用される「ツール」の語は,辞書によれば「コンピュータソフトウェア」のことを意味し,これは,言い換えれば「コンピュータプログラム」を表すものであるから,上記した証拠に鑑みれば,被請求人は,「特許出願書類作成を支援するためのコンピュータプログラムの提供」を行っているものということができる。
してみれば,上記役務は,本件商標の指定役務中「特許事務所における業務管理に用いる電子計算機用プログラムの提供」に含まれる役務と認められる。
なお,被請求人が,本件商標の指定商品中「特許出願書類作成を支援するためのコンピュータプログラム」(以下「本件プログラム」という場合がある。)を特許事務所に販売し対価を得たこと,すなわち,商品として取引したことは認めることができず,被請求人の提出したその他の乙各号証によっても,被請求人が,特許事務所に本件プログラムを要証期間内に商品として取引したことを認め得る証左は見いだせない。
(2)使用商標の使用について
乙第10号証の3の「ツール一覧画面」の画面上には,「アイラ・シリーズ」の文字からなる使用商標が表示されている。
これは,「特許出願書類作成を支援するためのコンピュータプログラムの提供」について,商標法第2条第3項第7号にいう「電磁的方法により行う映像面を介した役務の提供に当たりその映像面に標章を表示して役務を提供する行為」に該当するものと認められる。
(3)使用商標の使用時期について
乙第6号証の「契約書」は,要所期間内である2015年(平成27年)10月6日に特許事務所と被請求人との間で契約が締結されたものであり,乙第12号証の1の「請求書」は,要証期間内である2015年(平成27年)11月30日に発行された特許事務所あての被請求人の「請求書」である。
また,乙第10号証の3の「ツール一覧画面」には,使用商標が表示されている。
これらの証拠から,被請求人は,特許事務所と「プログラムの使用許諾契約」を結び,特許事務所へ本件プログラムの提供をし,これを使用させた期間について,本件プログラムの使用料を請求していることが認められる。
そうすれば,被請求人は,要証期間内の平成27年11月頃に使用商標を使用したものと推認することができる。
(4)本件商標と使用商標との社会通念上同一について
乙第10号証の3には,「ツール一覧画面」の画面上に「アイラ・シリーズ」の文字からなる使用商標が表示されているところ,その構成中「シリーズ」の文字は,辞書によれば「(連続・系列の意)連続性を持つ一連のもの。」の意味を有し,この文字は,本件審判の請求に係る指定役務との関係においては,後に続く「ツール一覧」の文字との関係により,「連続性を持つ一連のコンピュータプログラム」程の意味合いで使用されており,単に役務の質と理解されるものであって,自他役務識別標識としての機能を果たし得ないものであるから,これを除く「アイラ」の文字部分が自他役務の識別標識としての機能を果たしているというのが相当である。
そして,「アイラ」の文字からは,「アイラ」の称呼が生じ,該文字は,辞書等に掲載されていない造語であるから,特定の観念を生じないものである。
他方,本件商標は,前記第1のとおり「アイラ」の片仮名からなるものであるから,該文字より「アイラ」の称呼を生じ,上記のとおり,特定の観念を生じないものである。
そうすると,本件商標と使用商標の要部として認識される「アイラ」の片仮名部分は,その称呼を共通にし,外観もつづりが共通で近似し,また,観念においても,つづりが共通であって,その観念が生じないとしても異なるものでないことから,「アイラ」を要部とする使用商標は,本件商標と社会通念上同一の商標と認められる。
(5)小括
上記(1)ないし(4)によれば,被請求人は,要証期間内において,被請求人が本件商標の請求に係る指定商品及び指定役務中,「特許事務所における業務管理に用いる電子計算機用プログラムの提供」の範ちゅうに含まれる「特許出願書類作成を支援するためのコンピュータプログラムの提供」に係る被請求人と契約した顧客のPC画面において,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものということができる。
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者が,その請求に係る指定商品及び指定役務中,「特許事務所における業務管理に用いる電子計算機用プログラムの提供」について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認められる。
したがって,本件商標の登録は,その請求に係る指定商品及び指定役務について,商標法第50条の規定により,その登録を取り消すことができない。
よって,結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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