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Trademark Appeal Case

称呼類似と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2015−890050(T2015−890050/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。
審判費用は,請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5467714号商標(以下「本件商標」という。)は,「ピュアクリーンコート」の片仮名を標準文字で表してなり,平成23年8月2日に登録出願,第2類「塗料」及び第6類「鉄及び鋼,非鉄金属及びその合金,建築用又は構築用の金属製専用材料」を指定商品として,同24年2月3日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

請求人が引用する登録第4622898号商標(以下「引用商標」という。)は,「ピュアクリーン」の片仮名と「PURE−CLEAN」の欧文字とを上下二段に横書きしてなり,平成14年1年17日登録出願,第6類「鉄及び鋼」を指定商品として,同年11月22日に設定登録されたものである。

第3 請求人の主張

1 請求の趣旨

請求人は,本件商標の指定商品中,第6類「鉄及び鋼」の商標登録を無効とする,審判費用は被請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第50号証を提出した。

2 請求の理由

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標と引用商標との類否について

本件商標は,「ピュアクリーンコート」の片仮名を書してなるものであるから,「ピュアクリーンコート」の称呼が生じるが,全体として比較的長い称呼であり,語尾に付された「コート」は,指定商品中の鉄鋼二次製品の「カラー鋼鈑」(塗装鋼板)との関係では,表面に塗膜があることを表す品質表示語であって識別力が弱いことから,「ピュアクリーン」の称呼も生じると認められる。

引用商標は,「ピュアクリーン」の片仮名と「PURE−CLEAN」の欧文字を上下二段に併記してなるものであるから,「ピュアクリーン」の称呼が生じる。

したがって,両商標は,同一の「ピュアクリーン」の称呼が生じるので類似する商標である。

イ 指定商品の類否について

本件商標の指定商品中の第6類「鉄及び鋼」は,引用商標の指定商品と同一である。

ウ 被請求人の主張に対して

(ア)株式会社ピアレックス・テクノロジーズの商標「ピュアコート」は,被請求人の本件商標採択前に塗料の分野で使用実績を積んでいたので,被請求人は,それに便乗することを企図して「ピュア」と「コート」との間に一般的に用いられ識別力に乏しい語である「クリーン」を挟んだ商標を採択したと認められる。

さらには,商品「プレコート鋼板」に,請求人の引用商標が存在し実際に使用されていることを知悉しながら漫然と採択出願し登録を受け使用開始したといえる。

引用商標は,日本鋼管と川崎製鉄の合併(平成16年4月)以前は,平成14年頃からエヌケー鋼板株式会社が,親会社の許諾を受けて抗菌防カビ性能を強化したプレコート鋼板に使用していた。

被請求人は,同業他社といえる請求人及び合併前のエヌケー鋼板株式会社のプレコート鋼板に使用している「ピュアクリーン」商標を知らないはずがない。

(イ)被請求人の使用に係る「ピュアクリーンコートe」が,光触媒工業会での認証マーク「PIAJマーク」を与えられたとするが,該工業会は,商標の登録要件について審査する権限も能力も備えていない。

また,被請求人の取引先である株式会社イトーキに係るパネル製品のカタログにおいて,被請求人が提供する本件商標に係る商品(光触媒フッ素樹脂プレコート鋼板)を示すものとして,本件商標が表示されているとしても,その使用は,パネルの種類として「樹脂焼付塗装」,「木目柄塗装鋼板」,「クロス」と並んで,「ピュアクリーンコート」が提示されているので,取引者,需要者は,パネルの一般的な種類の一つとして認識することになり,特定人の商品商標とは認識しない。

(ウ)被請求人は,引用商標に関し,甲号証には,「ピュアクリーン」の片仮名と「PURE−CLEAN」の欧文字とを二段併記した商標は見当たらず,引用商標それ自体を使用しているには当たらないと主張する。

しかし,二段併記の登録商標に関する不使用取消審判例では,一方を使用したことで登録商標の使用に当たると判断されているから,請求人が使用している商標「JFEピュアクリーン」は引用商標の使用とされてしかるべきである。なお,語頭にある「JFE」は,請求人も属するJFEグループを総括する親会社(ジェイエフイーホールディングス株式会社)の著名な商標・略称というべきものであるから,「JFEピュアクリーン」は一体に認識されることもあるが,個別商標としては省略されることもあるとするのが妥当である。

(エ)請求人は,抗菌・防カビ性のあるプレコート鋼板において「ピュアクリーン」と「オプトクリーン」の2種類を用意しており,光触媒機能不要の場合は「ピュアクリーン」,光触媒機能活用の場合は「オプトクリーン」と広報(PR)している。

被請求人の商品「ピュアクリーンコート」が市場へ投入されてから,請求人の営業担当者は,請求人の商品「ピュアクリーン」との違いについて一々説明を余儀なくされている。

そこで,請求人の顧客が光触媒機能を備えたプレコート鋼板を発注する意図を有しながら,被請求人の商品の存在により錯誤して「ピュアクリーン」を発注するリスクが生じることになる。このような事態に気がつかずに商品「ピュアクリーン」を用いると,所望の効果が発揮されることはなく,顧客に多大な迷惑をかけることになる。

(2)結論

以上のとおり,本件商標は,その指定商品中の第6類「鉄及び鋼」について,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

第4 被請求人の主張

1 答弁の趣旨

被請求人は,結論同旨の審決を求め,答弁の理由を要旨次のように述べ,証拠方法として乙第1号証ないし乙第21号証を提出した。

2 答弁の理由

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標

本件商標は,「ピュアクリーンコート」の片仮名を標準文字で表してなるものである。

本件商標は,被請求人と株式会社ピアレックス・テクノロジーズとの共同開発による特許出願に係る新規商品「光触媒フッ素樹脂プレコート鋼板」を販売するに当たり,当該商品の名称として採択されたものであって,当該商品の「フッ素系イオン交換樹脂と光触媒(酸化チタン)を組み合わせ,防汚・抗菌・防臭機能などを発揮させる加工性・耐久性に優れたプレート鋼板」という特徴を示すべく,「ピュア」(純粋),「クリーン」(清浄)及び「コート」(被覆)の3つの単語を一体不可分に連結して構成されてなるものである。

本件商標を構成する上記3つの単語において,それぞれの単語における軽重の差はなく,また,それぞれの単語の意味というよりも全体として一つの造語としての観念が生じるようにして採択されたものである。

イ 本件商標の使用に基づく市場における認知性

被請求人が商品「光触媒フッ素樹脂プレコート鋼板」に使用している「ピュアクリーンコートe」の名称は,既に光触媒工業会において,その性能・利用方法等が適切であることを認めた光触媒に与える認証マークである「PIAJマーク」が与えられた商品名称としての登録を受けている。

また,被請求人の取引先の一つである株式会社イトーキが提供するパネル製品のカタログに,被請求人が提供する本件商標に係る商品(光触媒フッ素樹脂プレコート鋼板)を示すものとして,本件商標が表示されている。

このように,本件商標は,被請求人の商品を示す商標として,ユーザーや光触媒商品の業界においても認知され,一定の識別力を備え商品流通秩序を形成しているものである。

したがって,本件商標は,被請求人の商品を示す商標として,既に広く認識されており,引用商標と混同を生じるようなことはない。

ウ 引用商標

引用商標は,「ピュアクリーン」の片仮名と「PURE−CLEAN」の欧文字とを二段併記してなるものである。

請求人が提出した証拠によれば,請求人が使用している商標は,いずれも一列で表記した「JFEピュアクリーン」又は「JFEピュアクリーンGL」であって,引用商標と同様に二段併記されたものは見当たらない。そして,これらの使用商標のうち,語尾の「GL」が商品記号として省略されることはあり得るとしても,語頭の「JFE」は請求人の会社名であって強い自他識別力を発揮する部分であるから,決して省略されるような付記的記載部分ではない。したがって,これらの使用商標は,少なくとも「JFEピュアクリーン」として一体に取引者,需要者に認識されているものであるから,引用商標そのものを使用しているとの証明にはならない。

そうすると,引用商標は,それ自体として使用されているものではなく,特別な識別力を発揮するものでもないことから,その類似範囲を市場による周知性を考慮して判断しなければならないようなものではない。

よって,通常の商標の類否判断基準,すなわち,外観,称呼及び観念の類似性の有無に基づいて判断すれば十分である。

エ 本件商標と引用商標の類否

本件商標と引用商標とは,本件商標がその語尾に「コート」の部分を有することから,文字数も異なり外観が相違することは明らかである。また,称呼においても,本件商標が「ピュアクリーンコート」の7音からなるのに対し,引用商標は「ピュアクリーン」の5音からなり,相違する。さらに,その観念においても,本件商標は上述するとおり全体として独自の観念が生じることから観念的にも相違する。よって,本件商標と引用商標とは外観,称呼及び観念のいずれにおいても相違し,明らかに非類似の商標である。

オ 請求人の主張に対して

請求人は,本件商標と引用商標の類否判断において,本件商標に関し,請求人は比較的長い称呼であると指摘し,語尾部分の「コート」を省略して対比すべきと主張する。

しかしながら,何をもって称呼が長いと感じるかは,人それぞれであり,本件商標は拗音や長音を除けば7音にすぎず,それほど長いものではなく,発音に際し途中で息継ぎすることもなく一連に一息で発声できるものである。

また,請求人は,語尾の「コート」は商品カラー鋼板における表面の塗膜であることを表す品質表示であるから,識別力が弱く省略されると主張する。

しかしながら,本件商標の「ピュア」の部分も「純粋」という品質表示的な内容を有するものであり,「クリーン」の部分も「清浄」という品質表示的な内容を有するものである。したがって,「コート」部分のみが品質表示的な内容だからといって,識別力が弱く省略されるとは限らない。

本件商標は,むしろ上記3つの品質的な表示を合体させることによって一つの造語を構成するものであって,それぞれの単語が単独で識別性を発揮したり省略されるものではあり得ない。すなわち,本件商標は個々の単語としての意味より,一連不可分な一体的な商標として,全体として一個の「ピュアクリーンコート」としての識別性を発揮するものである。したがって,本件商標は,語尾の「コート」の部分が単独で省略されるものではない。

(2)まとめ

以上のとおり,本件商標は,その指定商品中の第6類「鉄及び鋼」について,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。

第5 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標について

本件商標は,前記第1のとおり,「ピュアクリーンコート」の片仮名を標準文字で表してなるものであり,その全体がまとまりよく一連に表されているものであるから,「ピュアクリーン」の文字部分だけが独立して見る者の注意をひくように構成されているということはできない。

また,本件商標は,「純粋な,きれいな」の意味を有する「ピュア」(pure),「清潔な,汚れていない」の意味を有する「クリーン」(clean)及び「塗装」の意味を有する「コート」(coat)のいずれも親しまれた外来語を結合させたものであることは容易に理解できるところ,本件審判の請求に係る指定商品(第6類「鉄及び鋼」)との関係において,本件商標は,特に「コート」の文字部分だけが自他商品を識別する機能が弱いというわけではなく,例えば,カラー鋼板(塗装鋼板,プレコート鋼板)に求められる性能として,表面の汚れがつきにくいこと(防汚性,耐汚染性)及び抗菌・防カビ性(甲5,10〜12等)が挙げられていることからすれば,本件商標の構成中の「ピュア」及び「クリーン」の各文字部分も一般的に用いられる語であって,さほど自他商品を識別する機能が強いということはできない。

さらに,本件商標から生じる「ピュアクリーンコート」の称呼は,格別冗長というほどのものではなく,無理なく一気一連に称呼し得るものである。

このほか,本件商標について,その構成中の「ピュアクリーン」の文字部分を取り出して観察すべき事情を見いだすことはできない。

したがって,本件商標は,「ピュアクリーンコート」の称呼のみを生じ,特定の観念を生じないものとみるのが相当である。

(2)引用商標について

引用商標は,前記第2のとおり,「ピュアクリーン」の片仮名と「PURE−CLEAN」の欧文字とを上下二段に横書きしてなるところ,上段の片仮名部分は,下段の欧文字部分の読みを片仮名で表したものであり,各文字の大きさ及び書体は同一(ただし,「−」(ハイフン)は半角で表されている。)であって,その全体が横幅をそろえてまとまりよく表されているものであるから,特定の文字部分だけが独立して見る者の注意をひくように構成されているということはできない。また,その指定商品との関係において,「ピュア」「PURE」及び「クリーン」「CLEAN」の各文字部分は,いずれも自他商品を識別する機能が強いということができないことは,前記(1)のとおりである。

したがって,引用商標は,その構成中,上段,下段を各一体としてみるのが相当であるから,「ピュアクリーン」の称呼のみを生じ,特定の観念を生じないものである。

(3)本件商標と引用商標との類否

本件商標と引用商標は,「ピュアクリーン」の片仮名部分において共通するものの,外観においては,欧文字あるいは「コート」の片仮名の有無により,また,称呼においても「コート」の音の有無により,いずれも異なることは明らかである。さらに,両商標は,いずれも特定の観念を生じないものであるから,比較することはできず,観念においても相紛れるおそれはない。

そうすると,本件商標と引用商標は,外観,称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標である。

(4)小括

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。

2 請求人の主張について

(1)請求人は,本件商標の「コート」部分は,指定商品中の鉄鋼二次製品である「カラー鋼鈑」(塗装鋼板)との関係では自他商品識別力が弱く,また,全体称呼も比較的長いことから,本件商標からは「ピュアクリーン」の称呼も生じる旨主張する。

しかしながら,前記1(1)のとおり,本件商標は,「カラー鋼板」(塗装鋼板)との関係においては,「コート」部分だけでなく,「ピュア」及び「クリーン」部分も一般的に用いられる語であって自他商品識別力が弱いというべきである。また,本件商標の全体称呼も,無理なく称呼し得るものであって,本件商標について,その構成中の「ピュアクリーン」の文字部分を取り出して観察すべき,取引の実情は見当たらないから,本件商標は「ピュアクリーン」の称呼を生じるものとは認めることができない。

(2)請求人は,被請求人は,同業他社といえる請求人(合併前のエヌケー鋼板株式会社を含む。)が商品「プレコート鋼板」に引用商標を使用していることを知悉しながら漫然と本件商標を採択出願し登録を受け使用開始したものであり,被請求人の取引先に係るパネル製品のカタログにおいて,本件商標が表示されているとしても,その使用は,パネルの種類として「樹脂焼付塗装」,「木目柄塗装鋼板」,「クロス」と並んで,「ピュアクリーンコート」が表示されているので,取引者,需要者は,パネルの一般的な種類の一つとして認識することになり,特定人の商品商標とは認識しない旨主張する。

しかしながら,請求人は,被請求人が引用商標の使用の実情を知悉していながら本件商標を出願したと主張するのみであり,また,被請求人の取引先に係るパネル製品のカタログの一つにおいて,上記のような本件商標の使用例が見られるということによって,本件商標の自他商品識別力を直ちに否定することはできない。そして,本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するか否かについては,上記1のとおりである。

(3)請求人は,自社製品の抗菌・防カビ性のあるプレコート鋼板については,光触媒機能不要の場合は「ピュアクリーン」,光触媒機能活用の場合は「オプトクリーン」と広報(PR)しているが,被請求人の商品「ピュアクリーンコート」が市場に投入されてから,請求人の営業担当者は,請求人の商品「ピュアクリーン」との違いについて一々説明を余儀なくされていること,また,請求人の顧客が光触媒機能を備えたプレコート鋼板を発注する意図を有しながら,被請求人の商品の存在により錯誤して「ピュアクリーン」を発注するリスクが生じることになり,このような自体に気がつかずに「ピュアクリーン」を用いると,所望の効果が発揮されることはなく,顧客に多大な迷惑をかけるおそれがある旨主張する。

しかしながら,各社の商品の性能・特性等の違いを顧客に説明するのは,営業活動として一般的な行為であり,被請求人の商品「ピュアクリーンコート」の存在により,需要者が錯誤して請求人の商品「ピュアクリーン」を発注したと認めるに足りる証拠は提出されていないばかりか,プレコート鋼板の取引に際しては,需要者においても,商品の用途,性能・特性及び価格等を慎重に検討した上で(甲21,甲40),商品の発注を行うのが通常と解され,単に商標の称呼のみによって取引することはないものと考えられる。そして,本件商標と引用商標の類否について,取引の実情を踏まえた上で外観,称呼及び観念を総合して全体的に考察すると,上記1のとおり非類似の商標というべきである。

(4)したがって,請求人の主張は,いずれも採用できない。

3 結論

以上のとおり,本件商標は,その指定商品中の第6類「鉄及び鋼」について,商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとはいえないから,同法第46条第1項の規定に基づき,その登録を無効とすべきでない。

よって,結論のとおり審決する。

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