Trademark Appeal Case
結合商標の要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2015−14978(T2015−14978/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「LIBERO−XY」の欧文字及び記号を標準文字で表してなり、第10類「眼科手術に用いるための眼科手術用機械器具,その他の医療用機械器具」を指定商品として、平成25年10月4日に登録出願されたものである。
そして、その指定商品については、当審における平成27年9月30日付け手続補正書により補正された結果、第10類「眼科手術に用いるための眼科手術用器具(カテーテルを除く。)」となったものである。
2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用した登録商標は、以下のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第3122103号商標(以下「引用商標1」という。)は、「LIBERO」の欧文字を横書きしてなり、平成4年12月24日に登録出願、第12類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同8年2月29日に設定登録され、その後、2回にわたり、商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(2)登録第5274367号商標(以下「引用商標2」という。)は、「Libero」の欧文字を標準文字で表してなり、平成20年11月10日に登録出願され、第10類「カテーテル」を指定商品として、同21年10月23日に設定登録されたものである。
(3)登録第5658924号商標(以下「引用商標3」という。)は、「Libero TM」の欧文字を標準文字で表してなり、平成25年8月30日に登録出願され、第10類「医療用機械器具(「歩行補助器・松葉づえ」を除く。),避妊用具,睡眠用耳栓,防音用耳栓,家庭用電気マッサージ器,手術着,医療従事者用マスク,医療用手袋」を指定商品として、同26年3月28日に設定登録されたものである。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 引用商標1について
本願の指定商品は、前記1のとおり補正された結果、引用商標1の指定商品と類似の商品は全て削除されたものである。
したがって、本願商標と引用商標1とは、その指定商品において互いに抵触しないものとなったから、本願商標が引用商標1との関係において、商標法第4条第1項第11号に該当するとした拒絶の理由は解消した。
イ 引用商標2及び3について
(ア)本願商標
本願商標は、前記1のとおり、「LIBERO」の欧文字と「XY」の欧文字とを「−」(ハイフン)を介して結合してなることから、その構成は、前半と後半の欧文字部分とに、視覚上分離して看取されるものである。
そして、本願商標の前半を構成する「LIBERO」の欧文字は、「サッカーで、通常はゴール前を守るが、自由に攻撃にも参加する選手。バレーボールで、守備専門の選手。」(広辞苑第六版)の意味を有する「リベロ[libero]」が我が国において外来語として知られていることから、「リベロ」の称呼が生じるものであり、「サッカーやバレーボールの守備選手」を表す「リベロ」の観念を生じるものといえる。
一方、「−」(ハイフン)を介し本願商標の後半を構成する「XY」の欧文字2字については、欧文字2字が、商品の品番、型番、種別、規格等を表す記号又は符号として一般的に使用されているものであって、本願の指定商品「眼科手術に用いるための眼科手術用器具(カテーテルを除く。)」に係る医療機器の分野においても、商品の品番等を表示するものとして、同様に採択、使用されている実情があることからすれば(別掲1)、当該欧文字部分は、商品の品番、型番等を表す記号又は符号として認識されるものというのが相当である。
そうすると、本願商標の構成中、前半の欧文字と後半の欧文字とは、「−」(ハイフン)を介して視覚上分離して観察されるものであり、前半を構成する「LIBERO」の欧文字が本願の指定商品との関係で商品の品質等を認識させるものではなく、自他商品の識別標識としての機能を十分に発揮し得るものであるのに対し、後半を構成する「XY」の欧文字は、商品の品番、型番等を表す記号又は符号を表すものとして認識され、自他商品の識別標識としての機能を発揮しないか、極めて弱いものであるとみるのが相当である。
そして、本願商標は、その構成全体から生じる「リベロエックスワイ」の称呼がやや冗長なものであり、全体として一体の観念を生じるものではない。
してみれば、本願商標は、簡易、迅速を尊ぶ取引の実際にあって、これに接する取引者、需要者が、その構成中の「LIBERO」の欧文字部分を捉えて、これから生じる称呼及び観念により取引に資する場合も決して少なくないものというべきであるから、本願商標は、構成全体より生じる「リベロエックスワイ」の称呼のほか、「LIBERO」の欧文字に相応して、「リベロ」の称呼及び観念を生じるものである。
(イ)引用商標2及び3
引用商標2は、前記2(2)のとおり、「Libero」の欧文字を標準文字で表してなるところ、上記(ア)と同様に、「リベロ」の称呼及び観念を生じるものである。
また、引用商標3は、前記2(3)のとおり、「Libero」の欧文字と「TM」の欧文字とを一文字分のスペースを空けて、「Libero TM」と標準文字で表してなるところ、頭文字のみが大文字で表された「Libero」と2字とも大文字で表された「TM」とでは、明らかにその構成が相違し、両者の間にスペースを配していることにより、視覚上分離して看取され得るものである。
そして、引用商標3の前半を構成する「Libero」の欧文字部分からは、「リベロ」の称呼と観念が生じるのに対し、後半を構成する「TM」の欧文字2字は、商品の品番、型番等を表す記号又は符号と認識されることは、上記(ア)と同様であるから、引用商標3は、構成全体より生じる「リベロティーエム」の称呼のほか、「Libero」の欧文字に相応して、「リベロ」の称呼及び観念を生じるものである。
(ウ)本願商標と引用商標2及び3の類否
本願商標と引用商標2及び3の類否についてみるに、両商標は、「リベロ」の称呼及び観念を共通にするものである。
また、本願商標並びに引用商標2及び3において、商品の出所識別標識としての要部である「LIBERO」及び「Libero」の欧文字は、同じ文字綴りからなるものであって、本願商標と引用商標2及び3とは、「リベロ」の称呼と観念を共通にし、外観上も類似するものであるから、相紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。
(エ)本願の指定商品と引用商標2及び3の指定商品の類否
本願の指定商品は、「眼科手術に用いるための眼科手術用器具(カテーテルを除く。)」であり、引用商標2の指定商品は、「カテーテル」であるところ、これらはいずれも医療用機械器具に属する商品であって、実際に眼内に用いられる内視鏡や涙道内への挿入、留置に用いるカテーテルがあり(別掲2)、また、眼科手術でも全身麻酔の際にはカテーテルを使用することが普通に行われていることからすれば、両商品は、いずれも医療用機器であって、その取扱部門、需要者を共通にすることから、これに同一又は類似する商標を使用した場合には、商品の出所について混同を生じるといえるものである。
また、引用商標3の指定商品中、「医療用機械器具(「歩行補助器・松葉づえ」を除く。)」は、本願の指定商品を含むものである。
してみれば、本願の指定商品は、引用商標2及び3の指定商品と、同一又は類似する商品である。
(オ)小括
以上のとおり、本願商標は、引用商標2及び3と類似する商標であって、本願の指定商品は、引用商標2及び3の指定商品と同一又は類似する商品である。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標は、「LIBERO」の欧文字と「XY」の欧文字とを「−」(ハイフン)を介して1つの単語に連結して書してなるものであり、構成全体としてまとまりよく一体的に表されていることをもって、引用商標2及び3とは、外観上非類似の商標であり、また、その構成中の「LIBERO」の欧文字から生じる称呼のみをもって商品の取引に当たるとみることはできないと主張する。
しかしながら、上記(1)イ(ア)のとおり、本願商標は、その前半を構成する欧文字が、独立して自他商品の識別標識としての機能を十分に発揮し得るものであるのに対し、後半を構成する欧文字が、自他商品の識別標識としての機能を発揮しないか、極めて弱いものであって、前半部分「LIBERO」が商品の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものであるから、該文字部分を他人の商標と比較して商標全体の類否を判断することが許されるものであるというべきである。
イ 請求人は、「リベロ」の語がバレーボールの分野において、「守備専門選手」を指すものとして使用される語であるとしても、本願商標あるいは引用商標2及び3をわざわざ馴染みのない分野の語句と関連づけて考えること自体稀であり、本願商標と引用商標2及び3が、「LIBERO」の欧文字を商標中に有している点で共通しているとしても、観念上の類似性を認めることは適切ではないと主張する。
しかしながら、商標の類否判断における観念の認定に当たっては、対象となる語に、その指定商品の分野における取引の実情から生じる特別な観念があるなどの事情がない限り、一般に知られている観念が生じるというべきである。そして、上記(1)イ(ア)のとおり、「LIBERO」の語は、我が国においても親しまれているスポーツ「サッカー、バレー」の「リベロ」の意味を表す外来語として一般に知られているものであるから、本願商標と引用商標2及び3との類否判断においては、「LIBERO」(Libero)の欧文字から「リベロ」の観念が生じ得るというべきである。
ウ 請求人は、本願の指定商品は、白内障などの手術を行う際に用いるもので、眼科に特化した商品であるのに対し、引用商標2の指定商品「カテーテル」は、その商標権者が心臓に関する医療用機械器具の製造販売に特化したビジネス展開をしていることから、心臓用のものであると推察され、それぞれの商品の需要者の層や流通経路などを考慮した場合、これらの出所等について混同を生じるおそれはなく、また、引用商標3の指定商品には、「医療用機械器具」が含まれており、医院又は病院で専ら使用される機械器具が全般的に指定されているものの、その商標権者は心臓に関連する医療器具に特化した企業であるから、心臓に関連する商品に限定しているものと考えることができるため、形式的にはともかくとして、具体的には商品間の類似が問題とはならないケースであると考えられるから、本願商標の指定商品と引用商標2及び3の指定商品とは、非類似の商品であると主張する。
しかしながら、商標法第4条第1項第11号は、先願に係る他人の登録商標と同一又は類似する商標であって、その商標登録に係る指定商品若しくは指定役務と同一又は類似する商品若しくは役務について使用をするものの登録を認めないとするものであるところ、本願の指定商品は、引用商標2及び3の指定商品と同一又は類似するものであることは、上記(1)イ(エ)において認定、判断したとおりである。
そして、仮に、請求人が主張する本願商標と引用商標2及び3の使用又はその商標権者の事業内容に係る実情を認めることができるとしても、それらは、単にそれぞれの商標が現在使用されている商品についてのみの特殊的、限定的なものであり、本願と引用商標2及び3の指定商品において抵触する商品全般についての一般的、恒常的な取引の実情とはいえないものである。
さらに、医療用機械器具の製造販売者においては、広く医療用機械器具を製造販売する者も多く(別掲)、特定の診療分野のみを対象とする者に限られるということはできない。
エ 請求人は、3件の審決例・判決例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨主張しているが、請求人の挙げる審判例は、本願商標とは、商標の構成態様等において相違し、事案を異にするものであって、そのような例が存することをもって、本願商標と引用商標2及び3の類否についてした上記(1)の認定、判断が左右されるべきではない。
オ 以上のとおり、請求人の主張は、いずれも採用できない。
(3)まとめ
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
なお、請求人は、原審における平成26年5月2日付け及び同年12月15日付けの意見書並びに当審における同27年9月30日付け手続補正書において、引用商標2及び3の商標権者との間で、譲渡を含めた交渉を継続中であるとし、審査及び審理の猶予を主張したが、その後、その譲渡交渉の状況を確認する平成28年3月11日付け審尋に対し、当該通知で指定した期間内に回答書及び譲渡交渉の事実が確認できる書面の提出はなく、また、上記手続補正書の提出から相当の期間が経過するも、本願について名義変更手続や引用商標について移転や取消審判の請求の手続がされていることなどは確認できず、その他、先の拒絶理由が解消したと認めるに足る事実も見いだせないものである。
よって、結論のとおり審決する。
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