結論テキスト
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 異議2014−900304(T2014−900304/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第5688043号商標(以下「本件商標」という。)は、「パティスリー メルシー」の片仮名を標準文字で表してなり、平成26年1月31日に登録出願、第30類「洋菓子,和菓子,パン,コーヒー,コーヒー豆」及び第43類「ケーキまたは菓子を主とする飲食物の提供,茶・コーヒー・清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として、同年6月4日に登録査定、同年7月25日に設定登録されたものである。
(1)引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のアないしウに示すとおりのものであり、現に有効に存続しているものである(以下、まとめていうときは「引用商標」という。)。
ア 登録第586886号商標(以下「引用商標1」という。)は、「メルシー」の片仮名を横書きしてなり、昭和35年6月20日に登録出願、第30類「菓子、パン」を指定商品として、同37年5月17日に設定登録され、平成14年5月1日にその指定商品を第30類「菓子及びパン」とする指定商品の書換登録がされたものである。
イ 登録第2705767号商標(以下「引用商標2」という。)は、「MERCI」の欧文字を横書きしてなり、平成2年12月25日に登録出願、第30類「菓子、パン」を指定商品として、同7年3月31日に設定登録され、同17年3月23日にその指定商品を第30類「菓子,パン」とする指定商品の書換登録がされたものである。
ウ 国際登録第320574号商標(以下「引用商標3」という。)は、「Merci」の欧文字を横書きしてなり、2013年(平成25年)7月11日に国際商標登録出願(事後指定)、第30類「Chocolate, sugar confectionery.」を指定商品として、平成27年2月6日に設定登録されたものである。
(2)申立ての理由
申立人は、登録異議の申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。
ア 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は片仮名で「パティスリー」と「メルシー」の各語を一文字分の空白を介して併記させてなる。
ここで「パティスリー」とは、フランス語であるが我が国においては「小麦粉を生地に使った焼き菓子・ケーキ類の総称。また、それを売る店」の意味で一般的であり、現に国語辞典にもそのように掲載されている(甲5)。一方、「メルシー」は同じくフランス語で「ありがとう」の意味である。(甲6)。
したがって、本件商標中の「パティスリー」の語は、「焼き菓子・ケーキ類の総称であって、指定商品「洋菓子」については普通名称そのものであり、「和菓子」、「パン」についても識別力が無いか、あっても極めて弱いものといえる。一方、「メルシー」の語はフランス語の成語として一般的といえ「ありがとう」の意は食品には全く無関係な言葉である以上、その識別力を否定する理由は存在しない。
その上、本件商標はその外観的構成上、「パティスリー」と「メルシー」は明瞭に分離している。
そうとすれば、そもそも本件商標は「各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合している」ものには該当しないし、「パティスリー」部分の識別力が極めて脆弱である以上、該部分から「出所識別標識としての称呼、観念が生じない」から、指定商品「洋菓子,和菓子,パン」との関係においては「商標の構成部分の一部だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することも許される」とするのが相当である。
よって、本件商標からは「メルシー」単独の称呼と、「ありがとう」の観念が生じる。
そこで、本件商標の外観、称呼、観念の各要素を対比すると、本件商標は片仮名で「パティスリー メルシー」と書してなる。このうち、「メルシー」部分は引用商標1と同一である。なお、引用商標1は手書風の外観を呈しているが、引用商標1の出願が標準文字制度の存在しなかった1960年であることを考慮すれば、かかる差異は構成文字が完全に一致することに比べればその類似性を否定するほどの差異ではない。
また、引用商標2及び引用商標3はいずれも欧文字で「MERCI」、「Merci」と書してなるが、その表音が「メルシー」であることを考慮すれば、本件商標とは文字種の違いはあれども依然として類似するものである。
称呼については前記のとおり、本件商標よりは「メルシー」単独の称呼を生じ得るものであり、この称呼と引用商標から生じる「メルシー」の称呼は完全に一致する。
観念についても、本件商標からは「メルシー」部分に応じて「ありがとう」単独の観念を生じるものであり、この観念と引用商標から生じる「ありがとう」の観念は完全に一致する。
したがって、本件商標と引用商標はその外観が類似し、称呼及び観念については同一であるから、両商標は彼此相紛らわしい類似の商標とするのが相当である。
そして、本件商標の指定商品中、第30類「洋菓子,和菓子,パン」においては引用商標の指定商品と類似するものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
イ 商標法第4条第1項第16号について
「パティスリー」の語は、元々はフランス語であるが、一般的な国語辞典にも掲載されるに至るほど我々日本人に身近な言葉となっている。そして、その意味合いは「小麦粉を生地に使った焼き菓子・ケーキ類の総称。また、それを売る店」である(甲5)。
そして、本件商標の「パティスリー」の語と「メルシー」の語は空白を介して明瞭に分離しており、かつ、両語に観念的な結びつきもない。
そうとすれば、本件商標に接する取引者、需要者は本件商標中の「パティスリー」の文字を容易に認識し、それが商品であれば「小麦粉を生地に使った焼き菓子・ケーキ類」であることを想定し、それが役務であれば「小麦粉を生地に使った焼き菓子・ケーキ類の提供場所」であることを想定するのであって、仮に本件商標が「焼き菓子・ケーキ類」以外の商品について使用されたり、「焼き菓子・ケーキ類の提供」以外の役務について使用されればその商品・役務の内容について誤認を生じることは明らかである。
したがって、本件商標は、第30類「和菓子,パン,コーヒー,コーヒー豆」及び第43類「茶・コーヒー・清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供」との関係において商標法第4条第1項第16号に該当する。
ウ 商標法第4条第1項第19号について
引用商標2及び引用商標3は、ドイツで1965年から使用が開始されて以降、1966年にオーストリア、1979年にオランダ、ベルギーなど欧州各国でも順次使用され、以来、永年に渡る使用を継続した結果、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、既に申立人の製造販売する「チョコレート菓子,チョコレートキャンディ,プラリーヌ」に係る商標として外国の一般消費者の間で周知・著名となっていることは、申立人の請求に係る欧州共同体商標の異議申立事件において提出された各種証拠により、OHIMの裁定委員会も認めていることである(甲7〜甲10)。
本件商標は片仮名で「パティスリー」の語と「メルシー」の語を一文字分の空白を介して併記してなる。そして、「パティスリー」の語は「小麦粉を生地に使った焼き菓子・ケーキ類の総称。また、それを売る店」の意味合いで我が国に浸透している(甲5)。
そうとすれば、本件商標は、申立人の外国周知・著名商標に、取扱い商品の分野又は業種を付加したに過ぎないものであって、引用商標に類似することは明白である。
引用商標2及び引用商標3が、本件商標の出願時において既に少なくともドイツ・オランダで周知・著名であったことは前記のとおりである。そして、その周知・著名性の程度はOHIMにおいても認定されているように極めて高いものであるから(甲11)、我が国で菓子の製造・販売に従事する当業者であれば引用商標2及び引用商標3が申立人の業務にかかる商品を表示する商標であることを認識していたと考えるのが自然である。
そうとすれば、それにもかかわらず商標権者において、引用商標2及び引用商標3と極めて類似する本件商標をあえて採用し、登録出願したのは、ドイツやオランダで広く認識されている引用商標2及び引用商標3の名声に便乗する不正の目的をもってしたものと考える。
したがって、本件商標は、申立人の業務に係る商品として少なくともドイツ、オランダにおいて広く認識された引用商標2及び引用商標3と類似の商標であって、不正の目的をもって出願・登録されたものであるから、全指定商品・指定役務において、商標法第4条第1項第19号に該当する。
エ 結び
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同項第16号及び同項第19号に該当するから、その登録を取り消すべきものである。
当審において、商標権者に対し、平成27年6月8日付けで通知した取消しの理由は、要旨以下のとおりである。
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標と引用商標との類否について
(ア)本件商標の構成
本件商標は、上記1のとおり、「パティスリー メルシー」と標準文字で表してなるところ、「パティスリー」の文字と「メルシー」の文字との間が一文字の間隔を空けていることから、視覚上「パティスリー」の文字部分と「メルシー」の文字部分とに分離して看取され易いものである。
そして、本件商標中「パティスリー」の文字は、「小麦粉を生地に使った焼き菓子・ケーキ類の総称。また、それを売る店」の意味を有する仏語「Patisserie」(「a」の文字にはアクサン・シルコンフレクスが付されている。以下同じ。)の表音を片仮名で表したものであって、菓子、パンを取り扱う業界においては、「パティスリー○○」のように一般にその店舗名の冒頭に用いられ、当該店舗が「洋菓子店」であることを表すものとして普通に使用されているものである。
また、本件商標中「メルシー」の文字は、「ありがとう」の意味を有する親しまれた仏語「merci」を片仮名表記したものと容易に認識されるものである。
そうすると、本件商標の構成中「パティスリー」の文字部分は「洋菓子店」であること、すなわち商品の販売地(販売場所)を表したものであって、商品の出所識別標識としての機能を果たし得ないものといえ、本件商標の構成中「メルシー」の文字部分をもって、出所識別標識として取引に資される場合も少なくないといえるから、本件商標は、その構成全体から「パティスリーメルシー」の称呼を生じ、「洋菓子店メルシー」の意味合いを認識させるほか、「メルシー」の文字部分に相応し、「メルシー」の称呼を生じ、「ありがとう」の観念を生じるものといわなければならない。
(イ)引用商標の構成
引用商標1は、「メルシー」の文字を書してなり、上記(ア)と同様に、「メルシー」の称呼を生じ、「ありがとう」の観念を生じるものである。
そして、引用商標2は、「MERCI」の文字を書してなり、引用商標3は、「Merci」の文字を書してなるものであるところ、「MERCI」及び「Merci」の文字は、「ありがとう」の意味を有する仏語とし親しまれた語であるから、「メルシー」の称呼を生じ、「ありがとう」の観念を生じるものである。
(ウ)本件商標と引用商標との対比
本件商標と引用商標1は、外観において「メルシー」の文字を共通にするものであり、また、両者は「メルシー」の称呼及び「ありがとう」の観念を共通にするものである。
次に、本件商標と引用商標2及び3は、外観において相違するとしても、「メルシー」の称呼及び「ありがとう」の観念を共通にするものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、相紛らわしい類似の商標と判断するのが相当である。
イ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
本件商標の指定商品中「洋菓子,和菓子,パン」は、引用商標1の指定商品「菓子及びパン」、引用商標2の指定商品「菓子,パン」、引用商標3の指定商品「Chocolate, sugar confectionery.」と同一又は類似する商品である。
ウ 小括
上記ア及びイのとおり、本件商標と引用商標は類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品及び指定役務中、第30類「洋菓子,和菓子,パン」は、引用商標の指定商品と同一又は類似する商品といえるものである。
(2)むすび
以上のとおり、本件商標は、本件申立に係る指定商品及び指定役務中、第30類「洋菓子,和菓子,パン」について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものと認める。
本件商標権者は、上記3の取消理由に対して、要旨以下のように意見を述べている。
(1)称呼及び観念について
ア 本件商標「パティスリー メルシー」は、片仮名を標準文字で表してなり、同一の書体、同一の大きさをもって軽重の差なく構成されており、全体としてまとまり良く一体に表現されている。また、本件商標の全体の構成音数が7音と格別冗長ではなく、よどみなく一連に称呼される。
イ 取消理由通知では、「『パティスリー』の文字は『小麦粉を生地に使った焼き菓子・ケーキ類の総称。また、それを売る店』の意味を有する仏語『Patisserie』の表音を片仮名で表したもの」であり、「そうすると、本件商標の構成中『パティスリー』の文字部分は『洋菓子店』であること、すなわち商品の販売地(販売場所)を表したものであって、商品の出所識別標識としての機能を果たし得ない」と認定しているが、「パティスリー」の文字はその他にも「ケーキ・パイ・ビスケットなど、小麦粉でつくる菓子の総称。また、それらの製造・販売者」との意味を有している。そうすると、広く一般に知られている、菓子職人を意味する仏語「Patissier」の表音を片仮名で表したパティシエにより作られたもの、あるいはパティシエにより販売されるものとの意味が生じる。
したがって、「パティスリー」の文字は商品の販売地(販売場所)のみを直接的・具体的に表すものではないから、商品の出所識別標識としての機能を果たし得ない、とはいえない。なお、菓子職人は、菓子作りにおいて専門的な修練を十分積んではじめてできる、たくみな技術等の意味を有しているが、本件商標は「技術」そのものを指定商品及び指定役務とするものではなく、この点、本件商標は商品の品質等を直接的・具体的に表すものではない。また仮に、「パティスリー」の文字から、たくみな技術に基づいて作られた商品という概念が想起されるとしても、それは単にかかる意味合いを暗示させるにとどまり、直ちに商品の直接的・具体的な品質に結びつくものではない。
そして、「メルシー」の文字が感謝の気持ちを表現する仏語「merci」を片仮名表記したものとすれば、本件商標に接した需要者は、本件商標の構成全体から「『メルシー』との名称の店舗」、あるいは「(製造・販売者である)パティシエからの感謝の気持ち」という全体としてまとまりのある観念を想起する。一方、引用商標1から引用商標3はそれぞれ「ありがとう」の観念が生じ、この場合、感情を発露する主体を特定し得えない単なる感謝の言葉としての意味合いの範囲を出ない。
そうすると、本件商標では、一文字の間隔はその外観上著しく離れた文字の部分からなる商標とまではいえず、また、仮に分離して看取される可能性があったとしても、その構成中の「パティスリー」及び「メルシー」のどちらか一方だけが独立して需要者に着目され、商品・役務の出所識別機能を発揮するというよりは、むしろ両者が結合して一体となった「パティスリー メルシー」として把握され、識別機能を発揮するとみることが実情に合致する。したがって本件商標からは一連の「パティスリーメルシー」の称呼のみが生じ、構成全体から「『メルシー』との名称の店舗」、あるいは「(製造・販売者である)パティシエからの感謝の気持ち」という観念が生じる。
一方、引用商標1から引用商標3はそれぞれ「メルシー」の称呼が生じ、「ありがとう」の観念が生じる。
したがって、本件商標と引用商標とは称呼及び観念において相紛らわしいものではない。
(2)外観について
外観については、本件商標及び引用商標はそれぞれ上述したような構成を有しており、本件商標と引用商標とはそれぞれ明確に識別される。
したがって、本件商標と引用商標は外観において相紛らわしいものではない。
(3)むすび
以上のとおり、本件商標は引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれもが相異なる非類似の商標であるから、本件商標の指定商品及び指定役務中、第30類「洋菓子,和菓子,パン」について、引用商標との関係において商標法第4条第1項第11号に違反するものではない。
したがって、本件商標の登録は維持されるべきものである。
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本件商標と引用商標の類否について
本件商標は、上記3で述べたとおり、引用商標と類似する商標であって、その指定商品及び指定役務中、第30類「洋菓子,和菓子,パン」について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
イ 商標権者の主張について
商標権者は、本件商標は、同一の書体、同一の大きさをもって軽重の差なく構成されており、まとまりよく一体に表されている。そして、その構成文字より生じる「パティスリーメルシー」の称呼も格別冗長ではなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。さらに、「パティスリー」の文字部分は、「ケーキ・パイ・ビスケットなど、小麦粉でつくる菓子の総称。また、それらの製造・販売者」との意味もあることから、「パティシエより作られたもの」及び「パティシエにより販売されるもの」との意味も生じ得るもので、全体として、「『メルシー』との名称の店舗」又は「パティシエからの感謝の気持ち」との観念を生じることから、その構成文字が一体のものとして把握され、識別機能を発揮するとみることが実情に合致する旨主張する。
しかしながら、本件商標は、「パティスリー」及び「メルシー」の文字の間に一文字の間隔を有してなり、異なる二つの語が結合してなるものと認識し得るものである。
そして、その構成中の「パティスリー」の文字部分は、上記3のとおり、「パティスリー○○」のように洋菓子店を表すものとして普通に使用されている実情に照らすならば、商品の販売地(販売場所)を表示するにすぎないとみるのが自然であり、商品の出所識別標識としての称呼及び観念を生じない部分というのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成中の「メルシー」の文字部分が強く支配的な印象を与えるといえるものであり、該文字部分が独立して商品の出所識別標識としての機能を有するというのが相当であるから、「メルシー」の文字部分を抽出し、該文字部分を引用商標と比較して本件商標と引用商標の類否を判断することは許されるものというべきである。
したがって、商標権者の上記主張は、採用することができない。
ウ 小括
以上のとおり、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第30類「洋菓子,和菓子,パン」の商品については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
そして、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、上記商品以外の指定商品及び指定役務については、引用商標の指定商品及び指定役務とは同一又は類似する商品及び役務とはいえないから、同号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第16号該当性について
本件商標の構成中の「パティスリー」の文字部分は、上記3のとおり、菓子、パンを取り扱う業界においては「パティスリー○○」のように一般にその店舗名の冒頭に用いられ、当該店舗が「洋菓子店」であることを認識させるものである。
そして、「洋菓子店」において、「パン」は普通に取り扱われているものであるし、「和菓子」である「どら焼き」や「団子」が取り扱われている事実も見受けられ、「洋菓子」以外の商品も取り扱われている実情がある。
そうすると、「パティスリー」の文字が使用された商標を「和菓子,パン,コーヒー,コーヒー豆」に使用しても、該文字に接する看者は、洋菓子店を名乗る者により、製造・販売がされている商品であることを認識するにとどまるというべきであり、申立人主張のように、該文字から「小麦粉を生地に使った焼き菓子・ケーキ類」のみを直ちに認識するとはいえないことから、本件商標を「和菓子,パン,コーヒー,コーヒー豆」に使用しても、商品の品質の誤認を生ずるとはいい難い。
また、その指定役務中の「茶・コーヒー・清涼飲料又は果実飲料を主とする飲食物の提供」に使用しても、一般に洋菓子店において茶、コーヒー、清涼飲料及び果実飲料が販売されているものであるし、そのような店舗において飲食物の提供をしている場合には、洋菓子に加えて、上記飲料も提供されることが一般的であることも考慮すると、役務の質の誤認を生ずるものともいい難い。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。
(3)商標法第4条第1項第19号該当性について
ア 申立人の業務に係る商標「MERCI」(「Merci」表示を含む)の周知性について
甲第7号証ないし甲第11号証によれば、申立人は、商標「MERCI」(「Merci」表示を含む)(以下「申立人使用商標」という。)を商品「チョコレート」に使用しており、OHIM(域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠))の異議決定において、申立人使用商標は、主にドイツ及びオランダにおいて、需要者の間に広く知られた商標であるとの判断がなされている。
そうすると、申立人使用商標は、ドイツ及びオランダを中心とするヨーロッパ地域において、需要者の間に広く知られた商標といえるものである。
イ 本件商標と申立人使用商標との類似性について
本件商標は、その構成中の「メルシー」の文字部分が独立して商品の出所識別標識としての機能を有するものであり、「メルシー」の称呼及び「ありがとう」の観念を生じるものである。
他方、申立人使用商標は、その構成文字に相応し、「メルシー」の称呼及び「ありがとう」の観念を生じるものである。
そうすると、本件商標と申立人使用商標とは、称呼及び観念を共通にする類似の商標である。
ウ 不正の目的について
申立人使用商標は、上記アのとおり、外国において需要者の間に広く知られた商標といえるところ、本件商標の商標権者が申立人に対し、本件商標を高価で買い取らせることを行っているとか、その名声を毀損させる目的で出願した等、不正の目的をもって出願したことを裏付けるような事実を見いだすことはできないから、本件商標は、不正の目的をもって使用をするものということはできない。
また、本件商標の構成中の「メルシー」の文字は、申立人使用商標とは片仮名と欧文字という表記の違いを有するものであり、構成上顕著な特徴を有するものでも、造語よりなるものでもなく、我が国では極めて慣れ親しまれた外来語といえるものであり、洋菓子の分野では、仏語に由来する外来語が多く使用されていることをも考慮すると、多くの者が採択し得る文字であるといえるものである。
そうすると、本件商標は、その構成中に「メルシー」の片仮名を有するが、不正の目的をもって使用をするものと推認することもできない。
エ 小活
上記アないしウのとおり、本件商標は、外国で需要者の間で広く知られた商標といえる申立人使用商標と類似するものではあるが、不正の目的をもって使用をするものとはいえないことから、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
以上のとおり、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第30類「洋菓子,和菓子,パン」の商品については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、同法第43条の3第2項の規定により、登録を取り消すべきである。
しかし、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品及び指定役務については、商標法第4条第1項第16号及び同項第19号のいずれにも違反して登録されたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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