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Trademark Appeal Case

称呼類似と周知商標

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2016−900140(T2016−900140/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5832318号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5832318号商標(以下「本件商標」という。)は,「HARIO」の欧文字を標準文字で表してなり,平成27年9月11日に登録出願,第30類「茶,コーヒー,ココア,菓子,調味料,香辛料,コーヒー豆,穀物の加工品」並びに第7類及び第14類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として,同28年1月28日に登録査定,同年3月4日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立ての理由

(1)商標法第4条第1項第10号について

本件商標は,登録異議申立人(以下「申立人」という。)及びその100%子会社であるハリボ ゲーエムベーハー ウント カンパニー カーゲー(HARIBO GmbH & Co.KG)の業務に係る商標として需要者の間に広く認識されている「HARIBO」の文字からなる商標(甲4〜甲7,以下「HARIBO商標」という。)と類似する商標であって,その指定商品中の第30類に属する商品は,HARIBO商標が使用されている商品「グミキャンディ」と同一又は類似の商品である。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第11号について

ア 申立人は,以下の登録商標を引用する。

(ア)登録第2111940号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲1のとおりの構成からなり,昭和61年3月18日に登録出願,第30類「菓子,パン」を指定商品として,平成元年2月21日に設定登録,その後,同21年4月30日に指定商品を第30類「菓子及びパン」とする指定商品の書換登録されたものであり,その商標権は,現に有効に存続しているものである。

(イ)登録第5792598号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲2のとおりの構成からなり,平成27年5月14日に登録出願,第30類「菓子及びパン」を指定商品として,平成27年9月11日に設定登録され,その商標権は,現に有効に存続しているものである。

以下,引用商標1及び2をまとめて「引用商標」という。

イ 本件商標と引用商標の類似性

本件商標より生じる「ハリオ」の称呼と引用商標より生じる「ハリボ」の称呼は類似するものであり,本件商標と引用商標は,外観においても類似する商標である。また,本件商標の指定商品は,引用商標の指定商品と同一又は類似の商品である。

ウ したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第15号について

引用商標及びHARIBO商標(これらをまとめていうときは,以下「申立人商標」という。)は,申立人らの業務に係る商標として,需要者・取引者に広く知られているから(甲4〜甲18),これらと類似する本件商標がその指定商品に使用された場合,商品の出所について混同を生ずるおそれがある。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

(4)商標法第4条第1項第7号及び同項第19号について

本件商標は,申立人らの業務に係る商標として,需要者・取引者に世界的に知られている申立人商標と類似する商標であり,申立人商標の周知・著名性に便乗して利益を得ようとする不正の目的をもって出願されたものである。

また,品質の劣った商品に本件商標が使用されれば,申立人商標に化体した業務上の信用を害されるおそれがあるから,本件商標は,商取引の国際的秩序を害し,国際信義,ひいては公序良俗に反する。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第7号及び同項第19号に該当する。

(5)むすび

以上のとおり,本件商標の登録は,その指定商品中,第30類「全指定商品」について,商標法第4条第1項第7号,同項第10号,同項第11号,同項第15号及び同項第19号に違反してされたものであるから,取り消されるべきである。

3 当審の判断

(1)申立人商標の周知・著名性

ア 申立人の提出した証拠(各項の括弧内に掲記)によれば,以下の事実を認めることができる。

(ア)申立人は,1920年にドイツ国に設立された企業であり,その業務に係る商品「グミキャンディ」に,申立人商標を使用している(なお,申立人商標中のHARIBO商標は,色彩を引用商標2と同一にするものとすれば引用商標2と同一の商標である。)。申立人商標を付した「グミキャンディ」(以下「申立人商品」という。)は,昭和60年に日本において販売が開始された(甲13)。

(イ)三菱食品株式会社(以下「三菱食品」という。)は,国内外の食品の販売を主たる業務とする企業であり,申立人商品の日本における輸入総代理店である。三菱食品は,その取扱いに係る輸入食品のカタログを発行しているところ,申立人商品は,三菱食品の業務に係る商品の一つとして,本件商標の登録出願日(平成27年9月11日)前である平成26年6月に発行されたカタログに掲載され,その掲載頁には,引用商標2とその片仮名表記である「ハリボー」が表示されている(甲4)。

(ウ)申立人商品は,輸入生活雑貨店PLAZAの銀座店,ルミネ新宿店,金沢香林坊アトリオ店,三井アウトレットパーク長島店,大船ルミネウィング店,舞浜イクスピアリ店,たまプラーザ テラス店,池袋パルコ店,新宿メトロピア店等において販売された。これらの各店舗の申立人商品のコーナーには,引用商標2が表示されている(甲8,平成27年7月撮影)。また,申立人商品は,東武鉄道伊勢崎線の竹ノ塚駅の売店の一角でも,引用商標2の表示のもと,販売されていた(甲9,平成25年5月撮影)。

(エ)申立人商品に関し,雑誌「Mart」(2011年12月号)に掲載された「買って当たる!ドイツ生まれのHARIBOからドイツのステキ家事グッズプレゼント」とのキャンペーン実施の広告において,引用商標2が大きく表示され,「対象商品」欄には,引用商標2とその片仮名表記である「ハリボー」が表示された(甲10)。なお,当該広告の末尾には,「輸入総代理店:株式会社リョーカジャパン」の記載があり,当該社が広告の主体と推認される。

また,申立人商品について,引用商標2の表示のもと,「ハリボーは世界の人気者!」などと記載して東武鉄道の車内広告が行われた(平成25年5月撮影,甲11)。

さらに,輸入生活雑貨店PLAZAは,平成27年7月頃に,HARIBO商標の表示と共に,「みんな大好き!ハリボー大集会!!」などと記載して,申立人商品の販売促進活動を行った(甲12)。

また,イオンモールりんくう泉南は,平成25年11月頃に,そのウェブサイトに,「HARIBO/ハリボーの歌をうたおう!」とのイベントに関するニュースを掲載した(甲14)。当該「HARIBO/ハリボーの歌をうたおう!」のイベントは,平成25年6月から同年8月にかけて,イオンモールの浜松市野,名取,土浦,高崎の各店舗で2回ずつ行われ,各会場の来場者の総計は,約329,000人であった(甲15。なお,甲15は,株式会社アイエヌジーが三菱食品に対し報告した「HARIBO/ハリボーの歌をうたおう!/実施報告書」である。)。

(オ)申立人商品の日本における輸入額は,平成25年が約547万ユーロ(約6億1,526万円),平成26年が約706万ユーロ(約7億9,410万円),平成27年が約876万ユーロ(約9億8,532万円)であった(甲16)。

イ 前記アで認定した事実によれば,申立人商標(特に引用商標2)は,ドイツ生まれのグミキャンディを表示するものとして「ハリボー」と称呼され,本件商標の登録出願時には,我が国の菓子を取り扱う分野の取引者・需要者の間においては,ある程度知られていたことがうかがえる。しかし,申立人商品の主たる需要者である一般の消費者に,比較的目に触れやすい広告等において,申立人らの名称は表示されていないこと,申立人商標は,種々の菓子等について使用される商標ではなく,グミキャンディという単一の商品に使用される商標であって,その需要者もある程度限定されていると考えられること,申立人商品は,我が国では,昭和60年に販売が開始されたにもかかわらず,その広告活動は,主に本件商標の登録出願日の約2年前である平成25年頃からのものが多く,本件商標の登録出願時までの広告をした期間が比較的短い上に,その頻度も高いとはいえず,申立人商標が,本件商標の登録出願時までに,我が国の需要者の間に広く浸透していたのか明らかでないことを考慮すると,申立人商標は,申立人らの業務に係るグミキャンディを表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたとまで認めることはできない。

(2)商標法第4条第1項第10号及び同項第15号該当性について

ア 申立人商標の周知・著名性

前記(1)認定のとおり,申立人商標は,申立人らの業務に係るグミキャンディを表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。

イ 本件商標と申立人商標の類否

(ア)本件商標

本件商標は,前記1のとおり,「HARIO」の欧文字を標準文字で表してなるところ,その構成文字に相応して,「ハリオ」の称呼を生じるものである。そして,該文字は,辞書に掲載されていない文字であって,特定の意味合いを有しない造語といえるものであるから,特定の観念を生じるものではない。

(イ)申立人商標(引用商標及びHARIBO商標)

a 引用商標1は,別掲1のとおり,肉太の「HARIBO」の欧文字と「ハリボ」の片仮名を2段に横書きしてなるところ,その構成文字に相応して,「ハリボ」の称呼を生じるものである。そして,両文字は,いずれも辞書に掲載されていない文字であって,特定の意味合いを有しない造語といえるものであるから,特定の観念を生じるものではない。

b 引用商標2は,別掲2のとおり,赤色を施した肉太の「HARIBO」の欧文字を横書きしてなり,各文字内の左上(「H」には,縦線の2箇所)には,光沢ないし立体感を表現するように,小さな白色の点が付された構成よりなるものであるから,その構成文字及び取引の実情よりすると,「ハリボ」又は「ハリボー」の称呼を生じるものであって,前記aのとおり,特定の観念は生じないものである。

c HARIBO商標は,前記(1)ア(ア)認定のとおり,色彩を引用商標2と同一にするものとすれば引用商標2と同一の構成態様よりなる商標であるから,その構成文字及び取引の実情よりすると,「ハリボ」又は「ハリボー」の称呼を生ずるものであって,特定の観念は生じないものである。

(ウ)本件商標と申立人商標との対比

a 外観

本件商標は,前記1のとおり,「HARIO」の文字を標準文字で表してなるものであり,引用商標1は,肉太の「HARIBO」の欧文字と「ハリボ」の片仮名を2段に横書きしてなるものであり,また,引用商標2は,赤色を施した肉太の「HARIBO」の欧文字を横書きしてなるものであり,HARIBO商標は,引用商標2とは,色彩が異なるだけで,その構成態様は,引用商標2と同一の商標である。

そうすると,本件商標と引用商標1とは,構成文字が欧文字のみで表したものであるか,あるいは,欧文字と片仮名を2段に表したものであるかの明確な差異があることに加え,本件商標と引用商標1の欧文字部分は,その書体において異なっていることが一見して明らかである。また,本件商標と引用商標2及びHARIBO商標とは,色彩の有無の差異があることに加え,書体において異なるものである。さらに,本件商標が5文字よりなるのに対し,引用商標1の欧文字部分並びに引用商標2及びHARIBO商標がいずれも6文字よりなるものであって,いずれも比較的簡潔な構成よりなるものであるから,そのうちの「B」の文字の有無の差異は,それぞれから受ける印象において大きく異なるものといえる。

以上を総合すると,本件商標と申立人商標は,外観上類似する商標ということはできず,これらを時と所を異にして離隔的に観察した場合においても,互いに紛れるおそれはないというべきである。

b 称呼

本件商標より生じる「ハリオ」の称呼と申立人商標より生じる「ハリボ」の称呼は,いずれも3音よりなり,語頭部の「ハリ」の音を共通にし,末尾において「オ」と「ボ」の音の差異を有するものであるところ,該差異音における「オ」は,唇の両端を少し中央に寄せ,舌を少し後方にひき,後舌面を軟口蓋に向かって高め,声帯の振動によって発する母音「o」であり,比較的明瞭に響く音といえるのに対し,差異音「ボ」は,両唇を合わせて破裂させる有声子音「b」と母音「o」との結合した音節であって,比較的強く重量感のある音として発音されるといえるから,これらの差異音は,母音を同じくするとしても,その発音の方法・位置,音質等において明確に異なるものである。

そうすると,該差異音が,3音といった短い音構成よりなる両称呼全体に及ぼす影響は決して小さいものとはいえず,両称呼は,これらを全体として称呼した場合には,その語調,語感が相違したものとなり,互いに紛れるおそれはないというべきである。

また,本件商標より生じる「ハリオ」の称呼と申立人商標より生じる「ハリボー」の称呼は,上記「ハリオ」の称呼と「ハリボ」の称呼の相違点に加え,長音の有無の差異をも有するものであるから,それぞれの称呼を一連に称呼した場合は,その語調,語感が相違したものとなり,互いに紛れるおそれはないというべきである。

したがって,本件商標と申立人商標は,称呼上類似する商標と認めることはできない。

c 観念

本件商標と申立人商標は,いずれも特定の観念を生じないものであるから,観念上比較することができず,観念上類似する商標ということもできない。

d したがって,本件商標と申立人商標は,称呼,外観及び観念のいずれの点についても,互いに紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

ウ 以上によれば,本件商標は,商標法第4条第1項第10号にいう「他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標」には該当しないというべきであり,また,本件商標の指定商品中の「菓子」と申立人商標が使用される商品の需要者等が共通することを考慮しても,本件商標は,これに接する需要者をして,申立人商標を想起又は連想させて商品の出所について誤認・混同を生じさせるものと認めることはできないから,商標法第4条第1項第15号にいう「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」にも該当しないというべきである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第10号及び同項第15号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第19号及び同項第7号該当性について

前記(2)ア認定のとおり,申立人商標は,申立人商品を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていた商標とは認めることができない。また,申立人商標が申立人商品を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,外国の需要者の間に広く認識されていたと認めるに足りる証拠の提出はない。さらに,前記(2)イ(ウ)のとおり,本件商標は,申立人商標とは,称呼,外観及び観念のいずれの点についても,互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。

してみると,本件商標は,申立人商標にフリーライドするなど不正の目的をもって使用する商標であると認めることはできず,また,商取引の国際的秩序を阻害し商道徳・国際信義に反するものともいえない。その他,本件商標が不正の目的をもって使用する商標ないし公序良俗に反する商標であると認めるに足りる証拠の提出はない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第19号及び同項第7号に該当しない。

(4)商標法第4条第1項第11号該当性について

本件商標と引用商標の構成は,前記(2)イ(ア)及び(イ)a,bのとおりであるところ,前記(2)イ(ウ)のとおり,本件商標と引用商標は,その外観,称呼及び観念のいずれの点についても互いに紛れるおそれのない非類似の商標である。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(5)むすび

以上のとおり,本件商標の登録は,登録異議の申立てに係る指定商品について,商標法第4条第1項第7号,同項第10号,同項第11号,同項15号及び同項第19号のいずれの規定にも違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。

よって,結論のとおり決定する。

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