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Trademark Appeal Case

著名キャラ称呼類似と混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2016−900226(T2016−900226/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5845409号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5845409号商標(以下「本件商標」という。)は、「ピカキュウ」の文字を標準文字で表してなり、平成27年10月30日に登録出願され、第11類「自動車用照明器具,電球類及び照明器具」及び第35類「自動車用照明器具その他の電球類及び照明器具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定商品及び指定役務として、同28年2月26日に登録査定、同年4月28日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

商標登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は次のとおり(以下、それらをまとめて「引用商標」という場合がある。)であり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。

1 登録第4247910号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成9年6月17日に登録出願、第9類、第16類、第25類、第28類、第30類及び第32類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成11年3月12日に設定登録され、その後、同21年3月10日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

2 登録第4288312号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ピカチュウ」の片仮名と、「PIKACHU」の欧文字とを、上下2段に横書きした構成からなり、平成10年4月23日に登録出願、第9類、第28類及び第38類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同11年7月2日に設定登録され、その後、同21年7月7日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

第3 登録異議の申立ての理由

本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当し、同法第43条の2第1号によりその登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。

申立人は、明治22年に創業し昭和22年に設立された日本の株式会社であり、日本のみならず世界においてゲーム機及びゲームソフトウェアを製造及び販売している法人である。

申立人は1996年に携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のゲームソフトである「ポケットモンスター赤・緑」を発売し、現在に至るまでポケットモンスター関連事業を行っている。「ポケットモンスター」は架空のモンスターを収集、育成、交換、対戦することを内容としている。そして、甲第4号証に見られるように、ポケットモンスター関連事業はゲームソフト、カードゲーム、テレビアニメ、映画、ライセンス商品等があり、全世界における市場規模は4兆8000億円以上となっている。その結果、「ポケットモンスター」は広く知られるところとなっており、特許庁においても周知・著名商標としてデータベースに掲載されている(甲5)。

そして、「ポケットモンスター」に登場するモンスターの中で初期の頃より登場し人気を博しているモンスターとして「ピカチュウ」がある。「ピカチュウ」は黄色のねずみポケモンであって、「ポケットモンスター」と同程度の認知度を有していると思料する。「ピカチュウ」を保護するため、申立人は、引用商標をはじめとする多数の商標登録を有している。

甲第6号証に見られるとおり、申立人の「ピカチュウ」に関してライセンス商品、コラボ商品、タイアップ企画などが多数存在する。このような長期間かつ広範囲にわたって使用された結果、「ピカチュウ」は本件商標の出願時には既に広く知られるところとなっている。

そして、特許庁商標課編「商標審査基準」において示されている他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標の判断基準に照らせば、(1)「ピカチュウ」が「ポケットモンスター」の代名詞ともいえる程広く知られていること、(2)申立人の「ピカチュウ」が創造商標であること、(3)「ピカチュウ」を含む「ミッキーマウス」、「ハローキティ」、「スヌーピー」等のキャラクターグッズについて一般的に幅広くライセンスグッズが販売されていることが、重要と考えられる。

上記(1)ないし(3)、特にキャラクターグッズの多様性を前提とし、本件商標「ピカキュウ」と引用商標とが語頭における「ピカ」、語尾における「ュウ」を共通の要素とし、中間に位置する「キ」と「チ」とが外観として近似し、全体として相紛らわしい点、及び全体の語調、語感が近似する点を考慮すると、本件商標がその指定商品及び指定役務に使用された場合、申立人の業務に係る商品及び役務と出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかである。

よって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断

1 申立人の業務に係るキャラクター「ピカチュウ」の周知性と引用商標の著名性について

申立人の提出した甲各号証及び主張によれば、1996年に発売された携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のゲームソフトである「ポケットモンスター赤・緑」は、大ヒット商品となり、現在に至るまで、ゲームソフト、カードゲーム、テレビアニメ、映画及びライセンス商品等の申立人の関連事業において、全世界におけるポケットモンスターの市場規模は、4兆8000億円以上となっている。

そして、「ポケットモンスター」に登場するモンスターの中で、初期の頃から登場しているモンスターとして、「ピカチュウ」がある。

このキャラクターの「ピカチュウ」に関しても、ライセンス商品、コラボ商品及びタイアップ企画などにより、そのキャラクターが使用されてきたところである(甲6)。

そうすると、申立人の業務に係るキャラクターの「ピカチュウ」は、申立人が、携帯用ゲームおもちゃ等のおもちゃに使用しはじめ、その後、テレビや映画のアニメーションのキャラクターとして、さらに、ライセンス商品により、広く使用された結果、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、上記したゲームおもちゃ等のキャラクターとしての「(ポケットモンスターに登場する)ピカチュウ」として、我が国における取引者、需要者の間で、一定程度の周知性を有しているものといえる。

また、申立人は、「ピカチュウ」を保護するため、引用商標(甲2及び甲3)をはじめとする登録商標を有している。

しかしながら、引用商標1は、別掲のとおり、先端が黒いとがった両耳、ジグザグ状の尻尾を有するネズミ風の図形部分(以下「ピカチュウの図形」という。)と、その下に、「ピカチュウ」の片仮名を書してなる構成態様である。

また、引用商標2は、「ピカチュウ」の片仮名と「PIKACHU」の欧文字を、上下2段に横書きしてなる構成態様である。

そして、上記したとおり、キャラクターとしての「ピカチュウ」が一定程度の周知性を有しているとしても、引用商標の構成態様による具体的な使用状況、例えば、引用商標を使用した商品の生産、販売数、販売地域、宣伝広告状況、又は、引用商標の使用時期等について、具体的に主張、立証していない。

そうすると、引用商標は、その構成態様によって、これが、その指定商品に使用された結果、取引者、需要者の間に広く知られているということはできない。

2 本件商標と引用商標の類似性について

(1)本件商標について

本件商標は、前記第1のとおり、「ピカキュウ」の文字からなるところ、該文字に相応して「ピカキュウ」の称呼を生じ、辞書等に載録の無い語であり、一般的によく知られ親しまれている語ともいえないから、特定の観念を生じないものである。

(2)引用商標について

引用商標1は、別掲のとおり、ピカチュウの図形と、その下に、「ピカチュウ」の片仮名を書してなる構成からなるところ、ピカチュウの図形と文字部分が、常に一体のものとして看取、把握されなければならない特段の事情は認められず、それぞれが独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものと認められる。

そして、引用商標1の図形部分は、上記1のとおり、取引者、需要者の間で、一定程度知られている申立人の業務に係るキャラクター「ピカチュウ」を表したものであり、引用商標1の「ピカチュウ」の文字部分からは、「ピカチュウ」の称呼が生じ、「(ポケットモンスターに登場する)ピカチュウ」の観念が生じるというのが相当である。

引用商標2は、「ピカチュウ」の片仮名と「PIKACHU」の欧文字を、上下2段に横書きしてなるところ、上段の片仮名は、下段の欧文字の読みを表したものとして容易に看取されるから、該文字に相応して「ピカチュウ」の称呼が生じ、「(ポケットモンスターに登場する)ピカチュウ」の観念が生じるというのが相当である。

(3)本件商標と引用商標の類否について

本件商標は、「ピカキュウ」の文字からなり、引用商標1は、「ピカチュウの図形」の下に、「ピカチュウ」の片仮名を書してなる構成からなり、引用商標2は、「ピカチュウ」の片仮名と、「PIKACHU」の欧文字を、上下2段に横書きしてなるところ、本件商標の「ピカキュウ」の文字と引用商標の構成中の「ピカチュウ」の文字部分とは、中間に位置する「キ」と「チ」の文字の差異を有するにすぎず、該両文字は、横線を2本、縦線を1本とする構成の軌を同一にするものであるから、その外観において類似する。

次に、本件商標から生じる「ピカキュウ」の称呼と、引用商標から生じる「ピカチュウ」の称呼とを比較してみるに、共に4音構成からなり、その3音目において、「キュ」の音と「チュ」の音の差異を有するものであり、拗音を含む4音という極めて少ない音構成において、該差異が、称呼全体に及ぼす影響は決して小さいものとはいえず、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときには、その語感、語調が異なり、互いに聴き誤るおそれはないというべきである。

そして、本件商標からは、特定の観念を生じないのに対し、引用商標からは、「(ポケットモンスターに登場する)ピカチュウ」の観念が生じるから、両商標は、観念において比較できないとしても、類似するものとはいえない。

そうすると、本件商標と引用商標とは、「ピカキュウ」と「ピカチュウ」の片仮名の比較において外観が類似するとしても、それぞれの構成全体の外観及び称呼においては、明確に区別できる差異を有しており、観念においては、類似するものではないから、これらを総合して考慮すれば、本件商標と引用商標は、互いに相紛れるおそれのない、非類似のものであって、別異の商標というべきである。

(4)出所の混同のおそれについて

ア 本件商標から引用商標を想起するか否かについて

前記1のとおり、引用商標は、取引者、需要者の間に広く知られているとはいえないものであり、かつ、前記(3)のとおり、本件商標と引用商標とは、別異の商標であることから、本件商標から直ちに、引用商標を連想、想起するものとはいえない。

イ 申立人の多角経営の可能性並びに申立人の業務と本件商標の指定商品及び指定役務との関連性について

申立人の多角経営の実体又は可能性は、申立人の提出した証拠からは不明であり、申立人と本件商標の指定商品及び指定役務との関連性も見いだせない。

そして、申立人は、ライセンス商品として、販売されているとする甲第6号証を提出しているが、それらの商品と、本件商標の指定商品及び指定役務の関連性は見いだせず、たとえ、その需要者を共通にする場合があるとしても、本件商標に接する取引者、需要者が、引用商標及び申立人の業務に係るキャラクター「ピカチュウ」を想起ないし連想することはないというべきである。

また、本件商標の指定商品及び指定役務と、引用商標の指定商品及び指定役務とが、関連性を有することを示す証拠の提出もない。

さらに、引用商標は、申立人の業務に係るキャラクターであって、申立人のいわゆるハウスマークでもない。

ウ 小括

以上のことからすると、申立人の業務に係るキャラクター「ピカチュウ」が、取引者、需要者の間において、一定程度の周知性を有しているとしても、本件商標と引用商標とは、別異のものであって、本件商標をその指定商品及び指定役務について使用しても、これに接する取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起することはなく、その商品及び役務が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

3 むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものとする。

よって、結論のとおり決定する。

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