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Trademark Appeal Case

普通名称と図形の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2016−900240(T2016−900240/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5850484号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5850484号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成27年12月17日に登録出願され、第9類「理化学機械器具,測定機械器具,質量分析器」を指定商品として、同28年4月7日に登録査定、同年5月13日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第3条第1項第1号若しくは同項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。

1 本件商標について

本件商標の図形部分は「人型」若しくは英文字「i」を想起させるものの、図形部分は十分に商品の識別標識として認識され得るものではなく、また、本件商標に係る商標公報(甲5)にある【称呼】「ユウエイチピイエルシイ」、「ユウエッチピイエルシイ」若しくは【検索用文字商標】「UHPLC」からも、本件商標の要部は専ら欧文字5文字「UHPLC」にあると言える。

2 証拠について

「理化学機械器具」又は「測定機械器具」に含有される「液体クロマトグラフ」及び「液体クロマトグラフ質量分析器」を取り扱う業界において、「UHPLC」の語は、「Ultra High Performance Liquid Chromatography(超高速液体クロマトグラフィー)」を表示するものとして普通に使用されている事実がある。(甲1〜甲4、甲6)

3 商標法第3条第1項第1号若しくは同項第3号、同法第4条第1項第16号について

本件商標を「理化学機械器具」又は「測定機械器具」に含有される「液体クロマトグラフ」及び「液体クロマトグラフ質量分析器」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、単に商品の普通名称若しくは品質を表示した語と認識するに止まるから、該文字は自他商品識別標識としての機能を果たし得ないものというべきであり、かつ、上記以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがある。

4 結び

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第1号若しくは同項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、商標法第43条の2第1号によって取り消されるべきものである。

第3 当審の判断

申立人は、本件商標は、商標法第3条第1項第1号若しくは同項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当すると主張しているので、以下、検討する。

1 本件商標について

本件商標の構成は、別掲のとおり、黒塗り横長矩形図形内の左端部に、灰色で、欧文字の「i」を人型状にデフォルメした図形(以下「本件図形」という。)及びその右側に「UHPLC」の欧文字を配してなるものである。

しかして、本件図形は、上記した形状をもって顕著に表され、これが付記的な図形とはいえないとみるのが相当である。

また、本件図形と右側の文字部分とは、これを常に一体のものとして把握しなければならない特段の事情があるとは認められない。

そうとすれば、本件商標構成中の本件図形部分は、独立して取引に資されることがあるといえ、これが自他商品の識別機能を果たし得ない図形ということはできないというべきである。

2 商標法第3条第1項第1号若しくは同項第3号について

上記1のとおり、本件商標は、その構成中に本件図形を有することにより、商品の普通名称あるいは商品の産地、販売地又は品質等を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるとはいえず、商標法第3条第1項第1号及び同項第3号に該当しない。

3 商標法第4条第1項第16号について

申立人は、「UHPLC」の語は、「液体クロマトグラフ」及び「液体クロマトグラフ質量分析器」を取り扱う業界において、「Ultra High Performance Liquid Chromatography(超高速液体クロマトグラフィー)」を表示するものとして普通に使用されている事実があると主張して、甲第1号証ないし甲第4号証及び甲第6号証を提出している。

そこで提出された甲各号証について検討する。

(1)甲各号証について

ア 甲第1号証

甲第1号証は、一般社団法人 日本分析機器工業会の「高速液体クロマトグラフの原理と応用|分析の原理」とのウェブ記事(2013年2月21日公開)であるところ、表題に「分析の原理」とあり、最初の小見出しは「高速液体クロマトグラフの原理と応用」と記載され、「概要」部分の書き出しには、「高速液体クロマトグラフ(HPLC)」との記載があり、さらに、同ウェブ記事2頁中段部分には、「最近では、粒子径2μm以下という高性能充填剤が開発され、従来の1/5〜1/10という短時間で高分離が得られるようになってきました。これを超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)と呼びます。」との記載がある。

イ 甲第2号証

甲第2号証は、一般財団法人化学物質評価研究機構の「LC Technical Report Vol.14 2012年01号」であるところ、「UHPLC用カラムの上手な使い方」との表題のもと、「UHPLC(超高速液体クロマトグラフィー:U1tra High Performance Liquid Chromatography)は、粒子径2μm前後の微粒子充填剤を用いたカラムを使用することにより、高速化、高分離化をはかった液体クロマトグラフィーです。」との記載がある。

ウ 甲第3号証

甲第3号証は、株式会社日立ハイテクサイエンスのウェブ記事であるところ、「分析装置」として、「超高速液体クロマトグラフ(UHPLC)」とのタイトルのもと、「超高速液体クロマトグラフ(UHPLC)の紹介です。」との記載がある。

エ 甲第4号証

甲第4号証は、2013年に公開された日本工業規格の分析化学用語(クロマトグラフィー部門)のウェブサイトであるところ、第506項目に、「UHPLC」との用語があり、該語について「超高速液体クロマトグラフィー(番号329)又は超高速液体クロマトグラフの略称。」との定義がされ、対応英語として、「u1tra high performance liquid chromatography;」、「u1tra high performance liquid chromatograph;」との記載がある。

オ 甲第6号証

甲第6号証は、検索エンジンGoogleの、欧文字「UHPLC」の語による検索結果であるところ、ここには上位10件の検索結果が示されており、そのタイトル又は記事の一部に「UHPLC」の語が掲載されている。

(2)甲各号証の内容及びこれらにおける「UHPLC」の語について

甲第1号証には「超高速液体クロマトグラフィー(UHPLC)」との記載が、甲第2号証には「UHPLC(超高速液体クロマトグラフィー:U1tra High Performance Liquid Chromatography)」との記載が、甲第3号証には「超高速液体クロマトグラフ(UHPLC)」との記載がされていることが認められる。

すなわち、これら甲第1号証ないし甲第3号証において、「UHPLC」の文字は、それ自体単独で使用されておらず、その英文の正式名称や、日本語訳が併記されていることから、「UHPLC」の文字が単独で、「U1tra High Performance Liquid Chromatography」や「超高速液体クロマトグラフ(フィー)」を表すものとして、本件商標の指定商品の取引者、需要者間において広く認識され、使用されている証左とすることはできない。

また、甲第4号証は、分析化学用語として、「UHPLC」の語の項目とその定義及び対応英語(参照)の英語名が記載されているにすぎず、一部の技術的な用語集に掲載されていることのみをもって、「UHPLC」の文字が単独で、本件商標の指定商品の取引者、需要者間において、「U1tra High Performance Liquid Chromatograph(phy)」や「超高速液体クロマトグラフ(フィー)」を表すものとして、広く認識され、使用されている証左とすることはできない。

さらに、甲第6号証は、「UHPLC」という語をもって検索された結果であるところ、掲載されている情報は、検索結果の見出しとその記事の一部であるにすぎない。また、その上位10位の検索結果の見出し及びその記事の一部においてでさえ、「UHPLC」の文字と「(超)高速液体クロマトブラフ」あるいは「超高速液体クロマトグラフィ」の語がともに使用されているものが半数で(5件)あることからすれば、「UHPLC」の文字が単独で「U1tra High Performance Liquid Chromatograph(phy)」や「超高速液体クロマトグラフ(フィー)」を表すものとして、広く認識され、使用されている証左とすることはできない。

また、当審が職権をもって調査したところ、「UHPLC」の文字のみをもって、それが超高速液体クロマトグラフを表すものとして報道されている新聞記事を発見することはできなかった。

してみれば、「UHPLC」の文字が、「U1tra High Performance Liquid Chromatograph(phy)」や「超高速液体クロマトグラフ(フィー)」を意味する語あるいは略語として使用される場合があったとしても、本件商標の指定商品の取引者、需要者間において、当該文字が、それ単独で「超高速液体クロマトグラフ装置」や「超高速液体クロマトグラフ質量分析器」の普通名称あるいは品質を表すものとして、広く認識され、普通に使用されているとはいえない。

これより本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が、その商品が「超高速液体クロマトグラフ装置」や「超高速液体クロマトグラフ質量分析器」であるかのごとく商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。

4 まとめ

以上のとおり、本件商標は、商標法第3条第1項第1号、同項第3号及び同法第4条第1項第16に該当するとは認められないから、同法第43条の3第4項に基づき、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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