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Trademark Appeal Case

結合商標の称呼と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2016−900285(T2016−900285/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5856608号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5856608商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(A)のとおりの構成からなり、平成26年8月22日に登録出願、第35類、第39類及び第44類に属する別掲(B)に記載のとおりの役務を指定役務として、平成28年4月19日に登録審決、同年6月10日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由

1 商標法第4条第1項第8号について

本件商標は、その構成中に、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の名称の英語表記の著名な略称及びその営業に係る著名な百貨店の略称である「SOGO」の文字を含んでおり、かつ、申立人の承諾を得たものではない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。

2 商標法第4条第1項第11号について

(1)申立人が引用する登録商標

申立人が引用する登録第5231800号商標(以下「引用商標」という。)は、「SOGO」の文字を横書きしてなり、平成19年6月28日に登録出願、第35類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成21年5月22日に設定登録されたものである。

(2)本件商標と引用商標との類似

本件商標は、その構成中の円図形内に、「SOGO」と「SMILE」の各文字が二段に横書きされているところ、「SOGO」の文字は、小売等役務との関係において、需要者の目を強く引く部分であり、一方で、「SMILE」の文字は、採択されやすい比較的識別力の弱い部分である。

よって、本件商標は、その構成中、指定役務との関係で看者の目を引きやすい「SOGO」の文字部分から、「ソゴー」の称呼を生じ、「申立人の著名な略称」又は「申立人の営業する著名な百貨店の名称」の観念を生ずるものであり、引用商標と称呼及び観念を共通にし、また、引用商標の指定役務と同一又は類似の役務について使用するものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

3 商標法第4条第1項第15号について

本件商標中の「SOGO」の文字部分は、申立人の業務に係る商標として広く一般に知られているものであり、取引者・需要者の目を強く引く部分である。

よって、本件商標をその指定役務について使用するときは、該役務が申立人と何らかの関係のある者の業務に係る役務であるかの如く、役務の出所について混同を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号、同第11号及び同第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。

第3 当審の判断

1 商標法第4条第1項第11号該当性について

本件商標は、別掲(A)のとおり、その中央部右に、緑色で塗られた円図形(以下「緑色円図形」という。)内に、「SOGO」の文字と「SMILE」の文字を、いずれも白抜きで二段に横書きにして表し、緑色円図形の左に、緑色円図形とほぼ同じ大きさの緑色の円輪郭(以下「緑色円輪郭」という。)を、緑色円図形と一部分が重なり合うように描き、緑色円輪郭内の下方には、笑った口を表現するように、黄緑色の円弧を配し、さらに、これらの図形の上部には、「安心をつなぐ、笑顔をつなぐ。」の文字を横書きに表してなるものである。そして、本件商標中の「安心をつなぐ、笑顔をつなぐ。」の文字部分は、キャッチフレーズを表したと捉えられる可能性が高く、自他役務の識別機能が極めて弱い部分であるのに対し、本件商標において看者の注意を最も強く引く部分は、中央部右に配された緑色円図形及び同円図形内に白抜きで二段に横書きされた「SOGO」の文字と「SMILE」の文字といえるところ、これらの文字は、同一の書体・色彩をもって、ほぼ同一の大きさで、横幅も揃えられ、緑色円図形内に極めてまとまりよく一体的に表されているものである。したがって、「SOGO」の文字と「SMILE」の文字との外観上の不可分一体性は極めて強いものといえる。

ところで、本件商標中の「SMILE」の文字部分は、「スマイル」と発音され、「笑う、ほほえむ」などを意味する英単語として、我が国においてもよく知られているものであるのに対し、「SOGO」の文字部分は、我が国において親しまれた英単語はなく、他に親しまれた外国語が存在しないところからすれば、これらの文字に接する需要者は、日本語に対応するローマ字表記「SOGO」と英語「SMILE」との組み合わせであると理解するとみるのが相当である。そして、「SOGO」の文字(語)に対応する漢字で、一般的な辞書に掲載され、我が国でよく知られているものとして、「総合」、「相好」、「相互」、「齟齬」などが挙げられるが、本件商標の商標権者の名称である「総合メディカル株式会社」との関係からみれば、「総合」の文字をローマ字表記したものと認識する場合が多いというべきである。

以上によれば、本件商標は、その構成中、「SOGO」の文字と「SMILE」の文字とは、外観上の不可分一体性が極めて強く、かつ、役務の出所識別標識としても強く支配的な印象を与えるものと認められるから、これより「ソーゴースマイル」の一連の称呼を生ずるものであって、特段の観念を有しないものということができる。

してみると、本件商標より「SOGO」の文字部分を分離・抽出し、これより「ソゴー」の称呼及び「申立人の著名な略称」又は「申立人の営業する著名な百貨店の名称」の観念を生ずるとし、これを前提として、本件商標と引用商標とが称呼及び観念において類似する商標であるとする申立人の主張は、前提において誤りがあるというべきであり、理由がない。他に本件商標と引用商標とが類似するとみるべき理由は見いだせない。

したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する商標と認めることはできない。

2 商標法第4条第1項第8号該当性について

(1)申立人は、本件商標は、その構成中に、申立人の名称の英語表記の著名な略称及びその営業に係る著名な百貨店の略称である「SOGO」の文字を含んでおり、かつ、申立人の承諾を得たものではない旨主張するので、以下検討する。

ア 申立人の「本件商標は、その構成中に、申立人の名称の英語表記の著名な略称を含む」旨の主張について

株式会社の商号は、商標法第4条第1項第8号にいう「他人の名称」に該当し、株式会社の商号から株式会社なる文字を除いた部分は同号にいう「他人の名称の略称」に該当するものと解すべきであって、登録を受けようとする商標が他人たる株式会社の商号から株式会社なる文字を除いた略称を含むものである場合には、その商標は、右略称が他人たる株式会社を表示するものとして「著名」であるときに限り登録を受けることができないものと解するのが相当である(最高裁昭和57年11月12日第二小法廷判決・民集36巻11号2233頁参照)ところ、申立人の名称は、「株式会社そごう・西武」(Sogo&Seibu Co.,Ltd.)であるから、当該商号から株式会社(又は「Co.,Ltd.」)の文字を除いた「そごう・西武」(Sogo&Seibu)が同号にいう「他人の名称の略称」に該当するものと解すべきである。そして、申立人の提出した証拠を精査しても、「他人の名称の略称」たる「そごう・西武」(Sogo&Seibu)が、本件商標の登録出願日(平成26年8月22日)及び登録審決日(平成28年4月19日)の時点において、我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたと認めるに足りる証拠は見いだせない(提出に係る証拠のうち、「そごう・西武」の表示のあるものは、いずれも本件商標の登録審決日以降にインターネット上に掲載されたものと認められる。)。してみると、申立人の略称は、本件商標の登録出願日及び登録審決日の時点において、著名であったと認めることはできない。仮に「そごう・西武」(Sogo&Seibu)が「他人の名称の略称」として、本件商標の登録出願日に既に、著名であったとしても、本件商標は、当該「他人の名称の略称」を、その構成中に含むものではない。

上記に関し、申立人は、「株式会社そごう・西武」の名称が、「そごう」、「西武」という企業の名称の結合からなり、それぞれの企業により運営されてきたことからすれば、百貨店「そごう」及び「西武」を運営する「株式会社そごう・西武」のうち、「そごう」の部分が、百貨店「そごう」運営に係る企業の名称にあたるものであることは明らかであり、「そごう・西武」の部分が名称の略称といえるのみならず、「そごう」の部分をも、企業の名称の略称として理解するのは容易であり、当該部分を申立人の略称といっても差し支えはなく、十分な著名性も有するものである旨主張する。

しかし、前記認定のとおり、申立人の名称の略称は、「そごう・西武」(Sogo&Seibu)である。なお、上記申立人の主張において、申立人の名称のうち、「そごう」の部分が、百貨店「そごう」運営に係る企業の名称にあたるものであることは明らかであるとの主張が、株式会社そごうをいうのであれば、失当というべきである。すなわち、本件商標が商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたか否かの判断時期は、その登録出願日及び登録審決日の時点であり、同号にいう「他人」は、生存ないし現存するものに限られると解されるところ、甲第4号証によれば、「平成21年8月、ミレニアムリテイリング、そごう、西武百貨店3社合併、『そごう・西武』に」の記載が認められ、当該合併により、「株式会社そごう」は消滅し、本件商標の登録出願日及び登録審決日には、現存しない企業であったといえる。してみると、「株式会社そごう」は、同号により保護すべき人格的利益が消滅し、同号にいう「他人」に当たらないというべきである。

したがって、申立人の上記主張は、前提を欠くものであり、理由がない。

イ 申立人の「本件商標は、その構成中に、申立人の営業に係る著名な百貨店の略称を含む」旨の主張について

商標法第4条第1項第8号が、他人の肖像又は他人の氏名、名称、著名な略称等を含む商標は、その他人の承諾を得ているものを除き、商標登録を受けることができないと規定した趣旨は、人の肖像、氏名、名称等に対する人格的利益を保護すること、すなわち、人(法人等の団体を含む)は、自らの承諾なしにその氏名、名称等を商標に使われることがない利益を保護することにあるところ(最高裁平成17年7月22日第二小法廷判決・裁判集民事217号595頁)、問題となる商標に他人の略称等が存在すると客観的に把握できず、当該他人を想起、連想できないのであれば、他人の人格的利益が毀損されるおそれはないと考えられる。そうすると、他人の氏名や略称等を「含む」商標に該当するかどうかを判断するに当たっては、単に物理的に「含む」状態をもって足りるとするのではなく、その部分が他人の略称等として客観的に把握され、当該他人を想起・連想させるものであることを要すると解すべきである(知財高裁平成21年(行ケ)第10074号同年10月20日判決参照)。

これを基に本件について検討する。

(ア)百貨店「SOGO(そごう)」の著名性について、

申立人の経営する百貨店「SOGO(そごう)」は、1830年(天保元年)に「大和屋」を開業したことに端を発しており、1919年(大正8年)に「十合呉服店」として百貨店経営が開始され、その後、名称変更や合併を経て現在に至っている。当初使用した「十合」の語は、その後「そごう」の語が使用され、一貫して「ソゴー」の称呼を生ずる語が店舗名として使用されている。また、欧文字からなる「SOGO」の表示は、少なくとも昭和20年代には、店舗名として既に使用されており(甲6,甲7)、現在に至るまで、千葉市、横浜市で継続して使用されている(甲8,甲9)。また、「SOGO」の表示は、日本有名商標集にも、我が国の有名商標として掲載されている(甲5)。さらに、百貨店「そごう・西武」は、大手百貨店として、景気動向に係るニュース等において、取り上げられた(甲10,甲11)。

以上によれば、「SOGO(そごう)」は、「ソゴー」と称呼され、申立人の営業に係る百貨店を表示するものとして、本件商標の登録出願日はもとより、その登録審決日においても、我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたと認め得るところである。

(イ)本件商標について

前記(1)認定のとおり、本件商標において、役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えると認められる緑色円図形及び同図形内に白抜きで二段に横書きされた「SOGO」の文字と「SMILE」の文字のうち、「SOGO」の文字部分と「SMILE」の文字部分は、全体として一体不可分の造語を表したと把握・認識されるものといえる。したがって、本件商標中の「SOGO」の文字部分は、緑色円図形内に、「SMILE」の文字部分と一体となった文字として看取され、それ自体独立して把握・認識されるものではないから、申立人の営業に係る百貨店の名称を想起・連想させることはないというべきである。

ウ 以上によれば、本件商標は、物理的にみると「SOGO」の文字を含むものであるとしても、同号にいう「他人の名称・・の著名な略称を含む商標」には該当しないというべきであり、上記申立人の主張は理由がない。

(2)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する商標と認めることはできない。

3 商標法第4条第1項第15号該当性について

前記2(1)イ(ア)認定のとおり、「SOGO」の表示は、申立人の営業に係る百貨店の名称を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録審決時において、我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたものであり、のみならず、当該百貨店で取り扱う各種小売等役務を表示するものとしても、本件商標の登録出願時及び登録審決時において、我が国の取引者・需要者の間に広く認識されていたものと認めることができる。

しかし、前記1認定のとおり、本件商標は、その構成中の「SOGO」の文字部分のみが独立して把握・認識され得ないものであり、申立人の営業に係る百貨店の名称ないしその業務に係る各種小売等役務を表示する「SOGO」とは、外観、称呼及び観念のいずれの点についても互いに紛れるおそれのない非類似の商標である。

してみると、本件商標に接する取引者・需要者は、申立人の営業に係る百貨店の名称ないしその業務に係る各種小売等役務を表示する「SOGO」を想起・連想することはないといえるから、本件商標は、これをその指定役務について使用しても、該役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する商標と認めることはできない。

4 むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第8号、同第11号及び同第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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