sokuhyo

Trademark Appeal Case

「充実大豆」の識別力と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2016−900173(T2016−900173/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5851504号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5851504号商標(以下「本件商標」という。)は,「充実大豆」の文字を標準文字により表してなり,平成27年12月10日に登録出願,第30類「大豆を使用した菓子,大豆を使用したパン,大豆を使用したサンドイッチ,大豆を使用した中華まんじゅう,大豆を使用したハンバーガー,大豆を使用したピザ,大豆を使用したホットドッグ,大豆を使用したミートパイ,大豆を使用した調味料,大豆を使用した香辛料,大豆を使用したアイスクリームのもと,大豆を使用したシャーベットのもと,大豆を使用した穀物の加工品,大豆を使用した調理済み米飯,大豆を使用した調理済み冷凍米飯,大豆を使用した調理済み麺類,大豆を使用した調理済み冷凍麺類,大豆を使用したぎょうざ,大豆を使用したしゅうまい,大豆を使用したすし,大豆を使用したたこ焼き,大豆を使用したお好み焼き,大豆を使用した弁当,大豆を使用したラビオリ,大豆を使用したパスタソース」を指定商品として,同28年4月21日に登録査定,同年5月20日に設定登録されたものである。

第2 申立人の引用する登録商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する登録商標は,以下のとおりであり,現に有効に存続しているものである。

1 登録第3298811号商標(以下「引用商標1」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成6年10月11日に登録出願,第30類「コーヒー豆,調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,サンドイッチ,すし,ピザ,べんとう,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,酒かす」を指定商品として,同9年4月25日に設定登録され,その後,同19年2月13日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

2 登録第5557287号商標(以下「引用商標2」という。)は,「充実野菜」の文字を横書きしてなり,平成23年12月15日に登録出願,第32類「飲料用野菜ジュース」を指定商品として,商標法第3条第2項の適用を受けて,同25年2月15日に設定登録されたものである。

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は,本件商標は商標法第3条第1項第3号,同法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから,その登録は,同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものであるとして,その理由を登録異議申立書及び平成28年7月22日付け上申書をもって要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。

1 商標法第4条第1項第11号について

本件商標は,「充実大豆」の文字を横書きしてなるところ,その指定商品は,いずれも「大豆を使用した」ものであるから,本件商標の「大豆」の文字は,識別性に何ら寄与するものではなく,本件商標の要部は,「充実」の部分である。

これに対して,引用商標1は,四葉クローバー図案を上段,「充実」の漢字を下段として二段書きしてなる商標であるから,引用商標1からは,「充実」の称呼,外観及び観念が生じることから,本件商標は,引用商標1と称呼,外観及び観念のいずれにおいても同一又は類似である。

また,本件商標の指定商品は,引用商標1の指定商品と重複するため,指定商品についても同一又は類似である。

2 商標法第3条第1項第3号について

本件商標は,「充実大豆」の文字を横書きしてなるものであって,「大豆を使用した」各種商品に使用するものである。

本件商標は,「中身がいっぱい入っている,内容が満ちて豊富なこと」等の意味を有する「充実」の文字と,「大豆」の文字とを一連に「充実大豆」と普通に用いられる方法で書してなるところ,全体として「中身いっぱい大豆が豊富に入っている」等の意味合いを表すものであるから,指定商品との関係から,これをその指定商品に使用しても,単に商品の品質(内容)を表示しているものと認められる。

なお,申立人は,指定商品「飲料用野菜ジュース」に使用する「充実野菜」(引用商標2)について登録出願し,同様の拒絶理由を受けた経緯がある(甲3)。かかる指摘に対して,当該商標の使用実績について多数の証拠書面を提出することにより(甲4),登録に至ったものである(甲5)。

これに対して,本件商標は,拒絶理由を受けることなく,登録査定を受けており,審査の公平性の観点からも容認できない。

3 商標法第4条第1項第15号について

申立人は,「飲料用野菜ジュース」に使用する「充実野菜」の文字を横書きしてなる商標(引用商標2)を登録出願し,商標法第3条第2項の適用が認められて登録に至っている。すなわち,同法第3条第2項で定めるとおり,引用商標2は,使用された結果,需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものと認められた。

これに対して,本件商標は,「大豆を使用した」各種商品に使用するものである。大豆が野菜であることは当業者,需要者にとって常識的事実であるから,「充実大豆」の文字からなる本件商標がその指定商品に使用された場合には,申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかである。

第4 当審の判断

1 本件商標について

本件商標は,前記第1のとおり,「充実大豆」の文字からなり,その構成文字は,同書,同大,同間隔で一連一体に表され,また,該文字に相応して生じる「ジュウジツダイズ」の称呼は,よどみなく一連に称呼し得るものである。

そして,「充実大豆」の文字は,「中身がいっぱい入っていること。内容が満ちて豊富なこと。」の意味を有する語として親しまれている「充実」の語と「マメ科作物。五穀の一つ。」の意味を有する「大豆」の語(いずれも,株式会社岩波書店 「広辞苑第六版」)を結合してなるものといえるところ,全体の構成文字から,「中身がいっぱい入っている大豆」や「内容が満ちて豊富な大豆」程の意味合いを想起する場合があるとしても,具体的な意味合いを認識させるものとはいい難く,かつ,それを認識させるものと認め得る証拠も見いだせないことから,本件商標は,特定の意味合いを生じない一種の造語というべきである。

してみれば,本件商標は,その構成文字全体が一体不可分のものとして認識され,その構成文字に相応して,「ジュウジツダイズ」の称呼のみを生じるというべきであり,また,特定の観念は生じないものといわなければならない。

2 商標法第3条第1項第3号該当性について

本件商標は,上記1のとおり,構成全体をもって一体不可分の一種の造語として理解,認識されるとみるのが相当であって,全体の構成文字から,「中身がいっぱい入っている大豆」や「内容が満ちて豊富な大豆」程の意味合いを想起するとしても,それが本件商標の指定商品の具体的な品質を表示するものとはいい難いものである。

また,申立人は,過去の商標登録出願の審査例を挙げて,本件商標も商標法第3条第1項第3号に該当すると主張するのみで,本件商標が具体的な品質を表示するものとして,需要者に認識されるとする証拠の提出はない。

さらに,職権をもって調査するも,本件商標の指定商品を取り扱う業界において,「充実大豆」の文字が商品の品質を表すものとして,使用されている事実及び取引者,需要者が,商品の品質を表すものと認識し得るという特段の事情も見いだせない。

してみれば,本件商標は,商品の品質などを表示する標章のみからなるものとはいえないから,自他商品の識別標識としての機能を果たし得るものである。

したがって,本件商標は,商標法第3条第1項第3号に該当しない。

3 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標

本件商標は,上記1のとおり,構成全体をもって一体不可分の一種の造語として理解,認識されるとみるのが相当であるから,その構成文字に相応して「ジュウジツダイズ」の称呼のみを生じ,特定の観念を生じないものというべきである。

(2)引用商標1

引用商標1は,別掲のとおり,四葉風の図形(以下「四葉図形」という。)を配し,その下に「充実」の漢字を書してなるところ,四葉図形と「充実」の文字とは,上段と下段に分けて表示してなるものであるから,視覚上容易に分離して看取されるものであり,また,これらを常に一体不可分のものとしてのみ捉えなければならない特段の事情は認められず,それぞれが独立して自他商品の識別標識として機能を果たすものと認められる。

そして,四葉図形からは,特定の称呼及び観念は生じないものであり,「充実」の文字からは,その構成文字に相応して,「ジュウジツ」の称呼,及び「中身がいっぱい入っていること。内容が満ちて豊富なこと。」の観念を生じるものである。

(3)本件商標と引用商標1の類否

本件商標と引用商標1は,それぞれ上記のとおりの構成からなるところ,その構成文字中,「大豆」の文字及び四葉図形の有無において相違するものであるから,外観上,相紛れるおそれはない。

また,本件商標から生じる「ジュウジツダイズ」の称呼と引用商標1から生じる「ジュウジツ」の称呼とを比較すると,「ダイズ」の音の有無において明らかに相違するから,それぞれを一連に称呼しても,互いに聴き誤るおそれはなく,両者は,称呼上,明確に聴別することができるものである。

さらに,本件商標は,特定の観念を生じないものであるのに対し,引用商標1の文字部分からは,「中身がいっぱい入っていること。内容が満ちて豊富なこと。」の観念を生じるといえるから,観念上,比較できないとしても類似するとはいえないものである。

してみれば,本件商標と引用商標1とは,外観,称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。

4 商標法第4条第1項第15号該当性について

(1)本件商標と引用商標2の類否

本件商標は,上記1のとおり,「充実大豆」の文字からなるところ,その構成文字は,同書,同大,等間隔でまとまりよく表されており,構成全体をもって一体不可分の一種の造語として理解,認識されるとみるのが相当であるから,その構成文字に相応して「ジュウジツダイズ」の称呼のみを生じ,特定の観念を生じないものというべきである。

他方,引用商標2は,前記第2の2のとおり,「充実野菜」の文字を横書きしてなるところ,その構成文字は,同書,同大,同間隔でまとまりよく表されており,構成全体をもって一体不可分の一種の造語として理解,認識されるとみるのが相当であるから,その構成文字に相応して「ジュウジツヤサイ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

そうすると,本件商標と引用商標2とは,前半部分の「充実」の文字を共通にするとしても,後半部分の「大豆」と「野菜」の文字に差異を有しており,外観上,相紛れるおそれはない。

また,本件商標から生じる「ジュウジツダイズ」の称呼と,引用商標2から生じる「ジュウジツヤサイ」の称呼とは,前半において「ジュウジツ」の音を共通にするとしても,後半における「ダイズ」と「ヤサイ」の音に差異を有し,それぞれを一連に称呼するときには,称呼上,明確に聴別されるといえる。

さらに,本件商標と引用商標2とは,一種の造語と認識され,特定の観念を生じないものであり,観念上,比較することができない。

そうすると,本件商標と引用商標2とは,観念において比較することができないとしても,外観及び称呼において類似しないものであるから,非類似の商標というべきである。

(2)引用商標2の著名性について

引用商標2は,前記第2の2のとおり,商標法第3条第2項の適用を受けて登録されたものであり,その審査課程で提出された意見書(甲4)によれば,引用商標2は,「飲料用野菜ジュース」について,使用された結果,需要者の間に広く知られているものと認められる。

(3)小活

以上からすると,引用商標2が「飲料用野菜ジュース」を表示するものとして,需要者の間において広く知られているとしても,本件商標と引用商標2は,非類似の別異の商標であるから,本件商標をその指定商品に使用しても,これに接する需要者は,引用商標2を連想,想起することはなく,該商品が申立人又は同人と組織的若しくは経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのようにその出所について混同を生じるおそれはないというべきである。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。

5 申立人の主張について

申立人は,平成28年7月22日付けの上申書において,「充実青汁」(以下「申立人商標」という。)の商標登録出願における判断事例を挙げて,本件商標についても,申立人商標と同様に商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第11号に該当することは明らかであるから,商標登録異議申立書における申立ての理由を裏付ける事案である旨を主張している(甲6,甲7)。

しかしながら,商標の自他商品識別性についての判断は,当該の商標について,当該判断時の取引の実情などを勘案しつつ,個別具体的に判断されるべきものであるところ,申立人の挙げた上記判断事例と本件商標とは,使用する商品が異なり,商標の構成態様においても異なるものであるから,その事例を直ちに本件商標に適用して自他商品識別性についての判断をすることは適切とはいえない。

そして,商標の類否の判断は,対比される商標について,当該判断時の取引の実情を勘案しつつ,その指定商品の取引者,需要者の認識を基準に個別具体的に判断されるべきものであるところ,申立人の挙げた上記事例は,本件商標とは,使用する商品が異なり,商標の構成態様においても異なるものであるから,事案を異にするというべきであり,また,そもそも,他の事例の存在によって,本件の判断が左右されるものではない。

したがって,申立人の主張は採用することができない。

6 むすび

以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第3条第1項第3号,同法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。

よって,結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。