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Trademark Appeal Case

縦書き欧文字の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2016−1694(T2016−1694/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は,別掲1のとおりの構成からなり,第2類ないし第4類,第8類,第9類,第11類,第14類,第16類,第18類,第20類,第21類,第23類ないし第28類及び第35類に属する願書に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務とし,2014年(平成26年)7月8日,同月17日及び同月21日にアメリカ合衆国においてした3件の商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して,平成27年1月5日に登録出願されたものである。

そして,その指定商品及び指定役務については,原審における平成27年7月6日付け及び審判請求と同時に提出された同28年2月4日付け手続補正書により補正された結果,第21類,第25類及び第35類に属する別掲2のとおりの商品及び役務となったものである。

2 原査定における拒絶の理由の要旨

原査定は,以下(1)及び(2)のとおり認定,判断し,本願を拒絶したものである。

(1)本願商標は,商品の品番,型式,規格等を表すための記号又は符号として類型的に採択使用されるローマ文字「E」,「D」を,上下に普通に用いられる方法の範囲内で表してなるものであるから,極めて簡単で,かつ,ありふれた標章のみからなる商標と認める。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第5号に該当する。

(2)本願の指定商品及び指定役務中,第18類「宝石整理用ケース」は,平成27年7月6日付け意見書によれば,第14類に属する商品であるから,本願は,政令で定める商品及び役務の区分に従って商品及び役務を指定したものと認めることができない。したがって,本願は,商標法第6条第2項の要件を具備しない。

3 当審の判断

(1)商標法第6条第2項について

本願の指定商品及び指定役務については,前記1のとおり,補正されたものである。

その結果,本願は,政令で定める商品及び役務の区分に従って商品及び役務を指定したものと認められる。

したがって,本願は,商標法第6条第2項の要件を具備するものとなった。

(2)商標法第3条第1項第5号について

ア 商標法第3条第1項第5号該当性

本願商標は,別掲1のとおり,「E」及び「D」の各欧文字を上下に配してなるところ,各欧文字は,いずれも欧文字の一般的な書体であるセリフ体(文字のストロークの端にある小さな飾り(serif セリフ)を有する書体)のうち,縦線に対して横線を極端に細く描いたもの(別掲3)により,同じ大きさで,僅かな間隔をもって配されていることから,一般的な書体で表した「ED」の欧文字2字を縦書きしたものと看取される。

そして,一般に,欧文字2字からなる標章は,商品の品番,型番,種別,形式,規格等又は役務の種別,等級等を表した記号又は符号(以下「商品又は役務の記号又は符号」という。)として,取引上普通に採択・使用されているのが実情であり(別掲4),また,本願の指定商品及び指定役務は,別掲2のとおり,身の回り品や被服等の日用品に係るものを多く含むため,その需要者は主に一般消費者であるところ,我が国においては,新聞や国語の教科書等に縦書きが採用され,書籍,看板等でも縦書きのものも多いことから,これらに日常的に接してきた一般消費者が縦書きされた文章に慣れ親しんでいることは経験則に照らして明らかであり,実際に,商品を紹介する雑誌等において,商品又は役務の記号又は符号が縦書きで表記されているものも見受けられる(別掲5)。

してみれば,一般的な書体で表した「ED」の欧文字2字を縦書きしたにすぎない本願商標は,これをその指定商品及び指定役務に使用しても,これに接する取引者,需要者が商品又は役務の記号又は符号の一類型を表示したものと理解するにとどまるものであって,極めて簡単で,かつ,ありふれた標章のみからなる商標というのが相当である。

したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第5号に該当する。

イ 請求人の主張

(ア)請求人は,本願商標は出願人により独自に考案された書体からなり,一般に使用される書体で表現されたものではなく,(a)本願商標は,MSゴシック及びArielで表した「ED」とは,セリフを有するか否かという点及び横線と縦線の太さに強弱があるか否かで相違し,(b)MS明朝,Century及びTimes New Romanで表した「ED」とは,「E」の一番上及び一番下の横線のセリフが垂直に表されているか,斜めに表されているかという点及び本願商標の横線は極めて細く表され,一方縦線は極めて太く表されている点で相違するから,一般の書体とは異なる特徴的な書体からなる本願商標が,商品又は役務の記号又は符号として使用されるとは到底考えられないと主張する。

しかしながら,請求人が主張する上記特徴は,それぞれが種々のセリフ体で広く採用されているものであり,別掲3で示したDedot(ディド)又はBodoni(ボドニ)書体などは,本願商標を構成する各欧文字の書体とほぼ特徴を共通にし,かつ,極めて近似した印象を与えるといえるものである。

そうすると,本願商標を構成する各欧文字の書体の特徴は,仮に,横線と縦線の太さの強弱等において請求人による創意工夫がされているとしても,一般的な書体(セリフ体)の特徴にとどまるものというのが相当であるから,本願商標は,その書体の特徴をもって,商品又は役務の記号又は符号として使用されることはないとはいえないものである。

よって,請求人の上記主張は採用することができない。

(イ)請求人は,ローマ文字は横書きされるのが通常であり,ローマ字の2字を縦書きした点に大きな特徴のある本願商標が普通に用いられる方法の範囲内で表してなるものであるということはできず,このように極めて珍しい縦書きのローマ字が商品又は役務の記号又は符号として一般に採択されることは想定し得ないのみならず,本願商標は請求人により独自に考案された特徴的な書体からなるから,本願商標に接する需要者・取引者が,本願商標を商品又は役務の記号又は符号として認識するということはあり得ず,さらに,本願商標は,商品の品番等のように小さく表示されるのではなく,商品の包装等に大きく目立つように使用されるものであると主張する。

しかしながら,商標登録を受けようとする商標が商標法第3条第1項第5号に該当するか否かは,これに接する取引者,需要者の認識を基準として判断されるべきであるところ,上記で述べたとおり,本願商標を構成する各欧文字の書体の特徴は,一般的な書体の特徴にとどまるものであり,「ED」を含む欧文字2字からなる標章は,我が国において,商品又は役務の記号又は符号として取引上普通に採択・使用されているものであって,かつ,縦書きは,我が国で広く一般に採択されるありふれた表記といえるものである。

そうすると,「ED」の欧文字2字を,一般的な書体で縦書きしたにすぎない本願商標は,これに接する取引者,需要者に,商品又は役務の記号又は符号の一類型を表示したものと理解させるにとどまるというのが相当であって,極めて簡単で,かつ,ありふれた標章のみからなる商標といわざるを得ない

なお,仮に,請求人が,商品の包装等に大きく目立つように使用するために本願商標を採択したのだとしても,本件審決における本願商標が自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を発揮するか否かの判断は,願書に記載された商標に基づいてされるべきである。

よって,請求人の主張は採用することができない。

(ウ)請求人は,本願商標と同一の商標は,例えば,オーストラリア,香港で登録されており,このように,本願商標と同一の商標がローマ字を日常語とする国においてさえ登録されていることに鑑みれば,本願商標が,ローマ字を日常語としないわが国において識別力を欠くことを理由にその登録を拒絶されるのは不合理という他ないと主張する。

しかしながら,商標が識別力を有するか否かの判断は,登録査定時又は審決時において,取引の実情を勘案し,その指定商品及び指定役務の取引者,需要者の認識を基準として,商標ごと,各国ごとに個別具体的に判断すべきであるところ,本件審決時の我が国における取引の実情及びその指定商品及び指定役務の取引者,需要者の認識は上記のとおりであるから,請求人の主張は採用することができない。

(3)まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第5号に該当し,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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