Trademark Appeal Case
役務提供場所表示の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2016−10823(T2016−10823/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,「原宿駅前広場」の文字を標準文字で表してなり,第3類,第8類,第9類,第14類ないし第16類,第18類,第20類,第21類,第24類ないし第26類,第28類,第35類,第38類,第41類及び第45類に属する願書記載のとおりの指定商品及び指定役務について,平成27年7月14日に登録出願されたものである。その後,原審における同28年1月26日受付の手続補正書及び当審における同年7月19日受付の手続補正書により,最終的に,第41類「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,コンサートの企画・運営及び開催,演芸の上演,演劇の上演,歌及び音楽の演奏,歌唱の実演,音楽グループによる生演奏,舞台における演劇・演芸の上演,舞踊・演芸・演劇又はミュージカルの演出又は上演,ショー又はコンサートの演出又は上演,ライブパフォーマンスにおける演芸の上演又は音楽の演奏,オーケストラ及びコンサートによる演奏,ダンスの上演・実演及び演出,キャラクターショウに関する興行の企画・運営又は開催及びこれらに関する情報の提供,コンサート演奏の形態の娯楽の提供,娯楽の提供,ライブによる娯楽の制作」(以下「本件指定役務」という。)と補正された。
2 原査定の拒絶の理由
本願商標は,「原宿駅前広場」の文字を標準文字で表してなるところ,インターネット情報等によれば,(1)「原宿」,「駅前」及び「広場」の文字は,いずれも一般的な辞書に掲載された親しまれた語であること,(2)「原宿」は,地名及び駅名として,広く知られるものであること,(3)鉄道等の駅前には広場が設けられ,各種のライブやイベントが行われていることが少なからず認められること,(4)原宿駅において駅前広場と称されている場所があること,また,(5)「広場」とは,「うち開けた場所でおもに歩行者の利用に供するもの。」(「世界大百科事典第2版」)であり,その大きさは問われないこと,(6)都市計画の一環で「駅前広場」は,新設や再整備が行われることが少なくないこと,を総合的に考慮すると,「原宿駅前広場」の文字に接する取引者,需要者は,当該文字から「原宿駅の駅前にある広場」の意味合いを直ちに認識するものであるから,本願商標をその指定役務中,本件指定役務に使用するときは,需要者,取引者をして,その役務の提供の場所を表示したものと認識させるにすぎない。
したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号について
商標法第3条第1項第3号にいう「役務の提供の場所を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」というには,需要者又は取引者によって,当該指定役務が当該商標の表示する場所において提供されているであろうと一般に認識されることをもって足り,また,本件審決時において,本願商標が指定役務の提供の場所を表すものと取引者,需要者に広く認識されている場合はもとより,将来を含め,取引者,需要者にその役務の提供の場所を表すものと認識される可能性があり,これを特定人に独占使用させることが公益上適当でないと判断されるときには,その商標は商標法第3条第1項第3号に該当する(昭和61年1月23日 昭和60年(行ツ)第68号 最高裁判所第1小法廷判決,平成24年10月3日 平成24年(行ケ)第10197号 知的財産高等裁判所判決)。
(2)本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性
本願商標は,「原宿駅前広場」の文字よりなるところ,その構成中,「原宿」,「駅前」及び「広場」の語は,それぞれ,「東京都渋谷区東部の地区」,「駅の正面に広がる地域」及び「ひろびろとひらけた場所」(広辞苑 第6版,岩波書店,2008年1月11日発行)の意味を有する語として親しまれている。そして,「原宿駅」も東京都渋谷区の原宿に所在するJR東日本の山手線の駅名として一般に知られており,「駅前広場」の語も,辞書において「駅前」の語の用例として紹介されるような親しまれた語(別掲1及び2)であることからすれば,本件指定役務における需要者,取引者は,本願商標全体から「原宿駅の駅前広場」の意味合いを容易に認識できる。
そして,例えば,原審が例示した高円寺駅の「北口駅前広場」,「JR有楽町駅前広場」及び「JR博多駅前広場」のほかにも,「池袋西口駅前広場」,「川口駅前広場」,「JR桜木町駅前広場」,「御岳山駅前広場」,「御徒町南口駅前広場」及び「日暮里駅前広場」(別掲3〜11)などのように,様々な駅にある駅前広場において,各種のイベントやライブ活動などが行われている実情が認められる。
また,原審も例示するとおり,原宿駅前には駅前広場と称されるような場所も実際に見受けられること(別掲12〜14)や,駅前広場が新設,再整備される可能性もあること(別掲15〜17)からすると,本願商標は,現在又は将来において,需要者,取引者に上記認識を強く示唆するものといえる。
そうすると,本願商標は,将来を含め,本件指定役務との関係においては,その需要者,取引者をして,「原宿駅の駅前広場」において役務が提供されること,即ち,単に役務の提供の場所を表示したものと認識される,又はその可能性があることから,これを特定人に独占使用させることは,公益上適当ではない。よって,本願商標は,自他役務の識別標識とは認識し得ないものであり,商標法第3条第1項第3号に該当する。
(3)請求人の主張について
請求人は,本願商標からは,単なる役務の提供場所として認識するに限られるというよりは,「ファッション・芸能・食などを包括する最先端としての始発点,また,発展する段階の停留所としての原宿周辺に存在するサブカルチャーやポップカルチャーを包括する広い領域」などというような漠然としつつもまとまりのある観念を想起させると主張するが,請求人の主張するような観念が,本件指定商品の需要者,取引者をして一般的に生じることを認めるに足りる証拠の提出はなく,前記(2)のとおり,本件指定役務における需要者,取引者が,本願商標全体から「原宿駅の駅前広場」の意味合いを容易に認識できるものである以上,本件指定役務が本願商標の表示する場所において提供されているであろうと一般に認識する可能性があることを否定できない。
また,請求人は,原宿駅前にはやや広めの通路はあるものの駅前広場はない旨や,駅前広場が新設,再整備される可能性を考慮してはならない旨を主張するが,本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するというためには,本件審決時において,本願商標が本件指定役務との関係で,将来を含め,その取引者,需要者によって役務の提供の場所を表示するものと一般に認識されるものであれば足りることは,前記(1)のとおりである。
さらに,請求人は,過去の登録例を挙げて反論するが,登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号に該当するものであるか否かは,当該登録出願の査定時又は審決時において,その商標が使用される役務の取引の実情等に基づいて,個別具体的に判断されるべきものである。
したがって,請求人の上記主張は,いずれも採用できない。
(4)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
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