Trademark Appeal Case
図形商標の細部差異と類似性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2016−900249(T2016−900249/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5847633号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲1のとおりの構成よりなり,2015年3月26日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,平成27年9月7日に登録出願,第42類「ホスティング/クラウドサービスプロバイダーサービスの自動化及び統合に使用されるダウンロードできないコンピュータソフトウェアの一時的な使用の提供,仮想専用サーバーの運用においてホスティング/クラウドサービスプロバイダーにより使用されるダウンロードできないコンピュータソフトウェアの一時的な使用の提供,クラウドベースソフトウェアアプリケーションの配信のパッケージ化及び自動化においてウェブホスティング/クラウドサービスプロバイダーにより使用されるダウンロードできないコンピュータソフトウェアの一時的な使用の提供,ウェブホスティングサービスプロバイダー及びウェブベース企業管理に使用されるダウンロードできないコンピュータソフトウェアの一時的な使用の提供,ネットワークアクセスサーバーの運用に使用されるダウンロードできないコンピュータソフトウェアの一時的な使用の提供,コンピュータネットワークセキュリティ用のダウンロードできないコンピュータソフトウェアの一時的な使用の提供,ウェブサイトの設計に使用されるダウンロードできないコンピュータソフトウェアの一時的な使用の提供,インターネットその他のネットワーク経由による仮想コンピュータサーバーの提供においてウェブホスティング/クラウドサービスプロバイダーにより使用されるダウンロードできないコンピュータソフトウェアの一時的な使用の提供,クラウドサービスプロバイダー向け支援活動・クラウドベースソフトウェアアプリケーションの配信及びウェブベース企業管理に使用されるインフラストラクチャー・アズ・ア・サービスの提供においてウェブホスティング/クラウドサービスプロバイダーにより使用されるダウンロードできないコンピュータソフトウェアの一時的な使用の提供」を指定役務として,同28年3月28日に登録査定,同年5月13日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,引用する登録第5698414号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲2のとおりの構成よりなり,平成25年5月14日に登録出願,第9類,第35類,第41類,第42類及び第45類に属する別掲3に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,同26年8月29日に設定登録されたものである。
第3 登録異議申立ての理由
申立人は,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから,その登録は,同法第43条の2第1号によって取り消されるべきものであるとして,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
1 本件商標の指定役務と引用商標の指定役務
本件商標の第42類における指定役務は,すべて役務類似群である「電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供」(42X11)に属するものである。
引用商標の第42類の指定役務中には,「アプリケーションサービスプロバイダーによるコンピュータプログラムの提供,電子計算機用プログラムの提供」といった役務類似群(42X11)に属する役務を含むものである。
したがって,それぞれの商標の役務は,抵触(類似)関係にある。
2 本件商標及び引用商標
本件商標は,真ん丸の図形の真下に少し間隔を空けて横方向に棒状の線を配したものである。これに対し,引用商標は,真ん丸の図形の真下に少し間隔を空けて横方向の棒状の線を中心から左右をやや上方向に持ち上げた態様の線を施したものである。それぞれの商標は真ん丸の図形に強いインパクトがあり,特徴がある。
本件商標と引用商標の真ん丸の図形においては多少線の太さに違いがあるだけで実質的には同一の図形である。本件商標は引用商標の真下の線を単に一直線に描いただけの違いしかない。それぞれの商標は構成の軌を一にするものであり,これらの図形は極めて近似した図形として看取され,印象付けられる。
実際に取引者,需要者はある商標に接した場合に,過去に他の場所で接した商標の記憶・印象をたよりに,そこからそれぞれの商標が類似しているという印象を抱くのが通常である。人間の一般的な記憶は極めて曖昧であり,僅かな違いなどはほとんど記憶に残っていることはない。したがって,本件商標と引用商標のように真ん丸の図形に強いインパクトがあり,特徴がある場合にその下にある横方向の棒状の線の態様が多少異なっていても,時と所を異にした離隔的観察を行った場合にそれぞれの商標の区別は難しく相紛れるおそれは十分にある。
そうであればこそ,拒絶査定不服の審決(不服2012−11387および平成9年審判第7469号)においても同様の理由でそれぞれの登録商標は類似商標である旨判断されているものである(甲3および甲4)。
3 むすび
以上のとおり,本件商標は,明らかに引用商標に類似した商標であり,商標法第4条第1項第11号に反して登録された商標である。
第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標及び引用商標は,それぞれ別掲1及び2のとおりの構成からなる図形商標であるから,両商標は,いずれも格別の称呼及び観念を生ずるものではない。
そこで,両商標の外観上の類否について以下検討する。
(1)本件商標
本件商標は,別掲1のとおり,肉太の線で,やや縦長に円を描き,その下部に,上記円の横幅より短い両端を丸くした肉太の直線を配した構成からなるものである。
(2)引用商標
引用商標は,別掲2のとおり,肉太の線で,正円を描き,その下部に,上記円の直径とほぼ同じ幅で,欧文字の「V」の開き角を大きくし,両端を角張らせた肉太の線(以下「V字状の線」という。)を配した構成からなるものである。
(3)外観上の類否について
本件商標は,一見して,短い横線の上にやや縦長の円を配しており,不安定な印象を与える図形として認識されるのに対し,引用商標は,図形全体に対する線の太さが,本件商標より太く描かれ,正円とV字状の線が近接しており,本件商標より力強く安定した1つの記号を表しているような印象を与える図形として認識されるというものである。
そうすると,本件商標と引用商標とは,その構成中,肉太の直線とV字状の線において,明らかな差異を有しており,図形全体から受ける印象も大きく異なるものであって,両商標を対比観察した場合はもとより,時と所を異にして離隔的に観察した場合においても,外観上,十分に区別できるものであり,相紛れるおそれはないものと判断するのが相当である。
その他,両商標が類似するというべき事情は見いだせない。
(4)小括
してみれば,本件商標は,引用商標と外観において類似するものではなく,前記のとおり,称呼及び観念において比較することはできないから,両者は非類似の商標というべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 申立人の主張について
申立人は,商標登録異議申立書において,他の拒絶査定不服審判の事例を挙げて,本件商標についても,商標法第4条第1項第11号に該当することは明らかである旨を主張している(甲3,甲4)。
しかしながら,商標の類否の判断は,対比される商標について,その指定役務の取引者,需要者の認識を基準に個別具体的に判断されるべきものであるところ,申立人の挙げた上記事例は,本件商標の指定役務とは異なり,商標の構成態様においても異なるものであるから,事案を異にするというべきであり,また,他の事例の存在によって,本件の判断が左右されるものではない。
したがって,申立人の主張は採用することができない。
3 むすび
以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから,同法第43条の3第4項の規定に基づき,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
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