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Trademark Appeal Case

iWatch称呼類似と品質誤認

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2016−900234(T2016−900234/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5849925号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5849925号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおり「iWatch」の文字を横書きした構成からなり、2012年(平成24年)12月3日にジャマイカにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成25年6月3日に登録出願された商願2013−42097の商標法第10条の規定による新たな商標登録出願(分割出願)として、同26年4月25日に登録出願、第14類「測時器及び計時用具,腕時計,置き時計及び掛け時計,時計,時計の部品及び附属品,ストップウォッチ,クロノメーター,時計用ストラップ,時計用バンド,腕時計・時計・測時器及び計時用具用のケース,腕時計・時計・測時器及び計時用具用の部品,デジタル時計,電子時計,宝飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,身飾品,キーホルダー,宝石箱,記念カップ,記念たて,貴金属製靴飾り」を指定商品として、同28年4月19日に登録査定、同年5月13日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する国際登録第962366号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおり、ややデザイン化された「iswatch」の欧文字を横書きしてなり、2007年(平成19年)11月28日にSwitzerlandにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、2008年(平成20年)4月7日に登録出願、第14類「Jewellery, precious stones ; horological and chronometric instruments.」、第35類「Retail services for clocks and watches of all kinds and jewellery ; retail services via global networks of computers (Internet) of clocks and watches of all kinds and jewellery.」及び第37類「Repair and maintenance of horological products and jewellery.」を指定商品及び指定役務として、平成21年10月2日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由(要約)

申立人は、本件商標は、商標法第3条第1項、同法第4条第1項第16号、同項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同第43条の2第1号によって商標登録が取り消されるべきものである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証(枝番号を含む。)を提出した。

1 商標法第4条第1項第16号について

(1)「Watch」の語は、「腕時計」や「懐中時計」といった「携帯用の小さな時計」を意味する英語の単語であり、このことは、我が国では義務教育である「中学校」で教わることであって、我が国の需要者・取引者ならば、誰であっても、「Watch」は「携帯用の小さな時計」であることは十分に知っているものである(甲2)。

(2)日本語では「時計」と称しているが、英語では、「(携帯用の小さな)時計」を「Watch」といい、また、「置き時計」とか「掛け時計」といった「(携帯することはない)時計」を「Clook」というのは、我が国では義務教育である「中学校」で教わることであって、我が国の需要者・取引者ならば、誰であっても、「Watch」は「携帯用の小さな時計」のことであり、「Clock」は「携帯することはない時計」のことであるのは、十分に知っているものである(甲2)。

(3)本件商標は、その構成中に「Watch」の文字を有し「Watch」の文字が本件商標に接する者の印象に強く残るものであり、本件商標に接する需要者・取引者は、実に容易に「Watch」から「腕時計」とか「懐中時計」といった「携帯用の小さな時計」を連想するのであるから、本件商標が「(携帯用の小さな)時計」とは全く無関係の商品に使用されるとなると、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。

(4)また、本件商標が「Clock」つまり「携帯することはない時計」に該当する商品に使用されるとなると、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。

(5)よって、本件商標は、その指定商品中、「宝飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,身飾品,キーホルダー,宝石箱,記念カップ,記念たて,貴金属製靴飾り」及び「測時器(携帯することはないもの),計時用具(携帯することはないもの),置き時計及び掛け時計,携帯することはない時計,携帯することはない時計の部品及び附属品,時計・測時器及び計時用具(携帯することはないもの)用のケース,時計・測時器及び計時用具(携帯することはないもの)用の部品,デジタル時計(携帯することはないもの),電子時計(携帯することはないもの)」に関しては、商標法第4条第1項第16号に該当する。

2 商標法第3条第1項について

(1)本件商標「iWatch」は、「W」のみが大文字で他の文字は小文字となっており、欧文字で綴る単語の冒頭の一文字が大文字で書かれることが頻繁にあることから、外観上、「i」と「Watch」と分離して把握され、また、「iWatch」は、全体として特定の意味合いを有するものではなく、「Watch」の語が「(携帯用の小さな)時計」を意味する英単語で、我が国の需要者・取引者ならば誰であっても知っているものである(甲2)ことからすれば、観念上も、「i」と「Watch」とに分離して把握される。その他、「iWatch」には、常に一体不可分のものと把握すべき別段の理由も全く存在しないから、「i」と「Watch」とに分離・分断されて把握されるものである。

(2)欧文字1文字は商品の型式・品番等を表す記号・符号等として各種業界で商取引上一般的・類型的に採択・使用されている実情があり、商品「腕時計」の業界でも同様に冒頭に欧文字1文字を付し商品の型式・品番等を表す記号・符号等として用いている実情がある(甲6及び甲7)。かかる取引の実情からすれば、本件商標「iWatch」の「i」は、取引者にとって、型式・品番等を表す記号・符号等と把握され理解されるものである。

(3)そうすると、指定商品「測時器及び計時用具,腕時計,置き時計及び掛け時計,時計,時計の部品及び附属品,ストップウォッチ,クロノメーター,時計用ストラップ,時計用バンド,腕時計・時計・測時器及び計時用具用のケース,腕時計・時計・測時器及び計時用具用の部品,デジタル時計,電子時計」のいずれかに付された本件商標「iWatch」に接する取引者・需要者は、本件商標を、型式・品番等を表す記号・符号等と理解・把握され自他商品の識別機能を有しない「i」と、商品そのものを示しているにすぎず自他商品の識別機能を有しない「Watch」と認識する。

(4)すなわち、型式「i」タイプの「時計」とか、品番「i」の「時計」と認識するため、結局のところ、本件商標「iWatch」からは商品の出所を理解する手掛かりを得ることができないものである。

(5)よって、本件商標は、その指定商品中、「測時器及び計時用具,腕時計,置き時計及び掛け時計,時計,時計の部品及び附属品,ストップウォッチ,クロノメーター,時計用ストラップ,時計用バンド,腕時計・時計・測時器及び計時用具用のケース,腕時計・時計・測時器及び計時用具用の部品,デジタル時計,電子時計」について、商標法第3条第1項に該当する。

3 商標法第4条第1項第11号について

(1)本件商標「iWatch」の称呼については、「i」は基本的な欧文字であって「アイ」と称呼され、また、「Watch」は、「携帯用の小さな時計」を意味する基本的な英語の単語として我が国で広く知られていて「ウォッチ」と称呼される(甲2)ので、本件商標から自然に生じる称呼は「アイウォッチ」である。

(2)他方、引用商標は「iswatch」であり、「i」は基本的な欧文字であって「アイ」と称呼され、「swatch」の部分は、申立人の名称の略称として、また、申立人の製品(特に商品『腕時計』)の商標として、日本のみならず世界的に知られていて、「スウォッチ」と称呼されるものであるから(甲6、甲9及び甲10)、引用商標は「アイスウォッチ」と称呼されるのが自然である。

(3)本件商標と引用商標とを称呼の観点から比較すると、本件商標の称呼「アイウォッチ」と引用商標の称呼「アイスウォッチ」とでは、その差異は「ス」の音の有無のみであって、「ス」の音自体が舌端を前硬口蓋に寄せて発する響きの弱い無声摩擦子音であって聴取しにくい音である上に、当該差異は聴者の印象に残りにくい称呼の中間部に存在しているため、本件商標と引用商標とは、称呼上、酷似するものである。

(4)よって、本件商標と引用商標とは、称呼を類似にする商標であり、本件商標とは類似の商標となる。

(5)したがって、本件商標は、その指定商品中、「測時器及び計時用具,腕時計,置き時計及び掛け時計,時計,時計の部品及び附属品,ストップウォッチ,クロノメーター,時計用ストラップ,時計用バンド,腕時計・時計・測時器及び計時用具用のケース,腕時計・時計・測時器及び計時用具用の部品,デジタル時計,電子時計,宝飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,身飾品」について、商標法第4条第1項第11号に該当する。

4 商標法第4条第1項第15号について

(1)申立人は、1983年以降、商品「腕時計」を製造し、我が国のみならず世界各国において広く販売してきており、申立人の名称の略称「Swatch」は、我が国のみならず世界各国において、周知、著名になっているものである(甲6、甲9及び甲10)。

(2)また、申立人は、2000年以降、商品「身飾品」も製造し、我が国のみならず世界各国において広く販売してきており、この点からも、申立人の名称の略称は、我が国のみならず世界各国において、周知、著名になっているものである(甲6)。

(3)申立人の周知・著名な略称「Swatch」と比較した場合、本件商標「iWatch」は、外観において酷似するものである。

「申立人が商品の出所である」との表示となる申立人の周知・著名な略称である「Swatch」と比べ、わずか1文字しか綴りが違わない本件商標「iWatch」が、申立人が商品を製造・販売している「主として、貴金属、貴金属製品又は貴金属を被覆した製品並びに一般に宝飾品及び時計を含む」商品の区分である第14類の指定商品について使用されるともなると、あたかも周知・著名な略称が「Swatch」である申立人がかかる商品の出所であると需要者・取引者に誤解されてしまい、本件商標の指定商品につき商品の出所について誤認・混乱が生じ、本件商標の商標権者にとり「他人」である申立人の業務に係る商品であるかの如く受け取られてしまうので、混同を生じるおそれが多大に存在する。

(4)したがって、本件商標は、第14類「全指定商品」について、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断

1 商標法第3条第1項及び同法第4条第1項第16号該当性について

本件商標は、前記第1のとおり、「iWatch」の欧文字からなるところ、これよりは「i」と「Watch」の文字からなるものと看取され得るとしても、該文字は、同じ書体、同じ太さ、等間隔で外観上まとまりよく一体のものとして把握されるものであり、その構成文字全体に相応して生じる「アイウォッチ」の称呼も、格別冗長とはいえないものであって、よどみなく一気に称呼し得るものである。

申立人は、欧文字1文字は商品の型式・品番等を表す記号・符号等として各種業界で商取引上一般的・類型的に採択・使用されている実情があり、商品「腕時計」の業界でも同様に冒頭に欧文字1文字を付し商品の型式・品番等を表す記号・符号等として用いている実情があるから(甲6及び甲7)、本件商標「iWatch」の「i」は、取引者にとって、型式・品番等を表す記号・符号等と把握され理解されるものである旨主張している。

しかし、申立人の提出に係る証拠及び職権により商品「腕時計」を取り扱う分野を調査しても、本件商標のように一連一体の欧文字のみからなる語をもって、申立人が主張するような意味・内容を表すものとして取引上一般的に使用されている証左は見当たらなかった。

そうすると、本件商標は、その構成中「Watch」の語が、「携帯用の時計、腕時計」等の意味を有するとしても、構成文字全体をもって、特定の意味合いを看取させることのない一種の造語よりなるものと判断するのが相当である。

してみると、本件商標は、これを指定商品中の「測時器及び計時用具,腕時計,置き時計及び掛け時計,時計,時計の部品及び附属品,ストップウォッチ,クロノメーター,時計用ストラップ,時計用バンド,腕時計・時計・測時器及び計時用具用のケース,腕時計・時計・測時器及び計時用具用の部品,デジタル時計,電子時計」について使用しても、商品の品質等表示するものとして取引者、需要者の間に認識されているものとはいえず、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たし得るものであり、かつ、これを指定商品中の「宝飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,身飾品,キーホルダー,宝石箱,記念カップ,記念たて,貴金属製靴飾り」及び「測時器(携帯することはないもの),計時用具(携帯することはないもの),置き時計及び掛け時計,携帯することはない時計,携帯することはない時計の部品及び附属品,時計・測時器及び計時用具(携帯することはないもの)用のケース,時計・測時器及び計時用具(携帯することはないもの)用の部品,デジタル時計(携帯することはないもの),電子時計(携帯することはないもの)」について使用しても、商品の品質について誤認を生ずるおそれはないものである。

したがって、本件商標は、商標法第3条第1項各号及び同法第4条第1項第16号に該当しない。

2 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標

本件商標は、前記第1のとおり、「iWatch」の文字からなるところ、これよりは欧文字の「i」と「Watch」の文字からなるものと看取され得るとしても、該文字は、同じ書体、等間隔で外観上まとまりよく一体のものとして把握されるものであり、その構成文字全体に相応して生じる「アイウォッチ」の称呼も、格別冗長とはいえないものであって、よどみなく一気に称呼し得るものである。

そうすると、本件商標は、構成文字全体に相応して、「アイウォッチ」の称呼を生じ、一体不可分の一種の造語を表したものとみるのが自然であるから、特定の観念を生じないものである。

(2)引用商標

引用商標は、前記第2のとおり、ややデザイン化された「iswatch」の欧文字を横書きした構成からなるところ、その構成中、語頭の文字は、アルファベットの「i」の文字をモチーフにしたものと理解され、それに続く「swatch」の文字とは、書体、文字の太さが異なるところから、外観上は、「i」と「swatch」とに分離して看取、把握され得る場合もあるといえる。

そして、「swatch」の語は、「(布地・革などの小さく切った)見本、小片」等の意味を有するものである。

してみると、引用商標は、構成中「swatch」の文字部分に相応して「スウォッチ」の称呼及び「(布地・革などの小さく切った)見本、小片」の観念が生じるものである。

また、引用商標は、その構成全体を一体のものとしてみた場合には、特定の語義を有する成語とは認められないから、一種の造語として認識されるとみるのが相当であって、該構成文字に相応して、「アイスウォッチ」の称呼を生じ、特定の観念は生じないものである。

(3)本件商標と引用商標との類否

ア 外観

本件商標と引用商標とは、それぞれ上記のとおりの構成からなるものであるから、両者は、構成文字及び態様の相違により相紛れるおそれのないことが明らかである。

イ 称呼

まず、本件商標から生じる「アイウォッチ」の称呼と引用商標から生じる「スウォッチ」の称呼とを比較すると、両称呼は、称呼の識別上、重要な要素をしめる語頭において、「アイ」と「ス」という明確な差異を有するものであり、構成音数の相違及び相違する構成音の差によって、明瞭に聴別できるものである。

次に、本件商標から生じる「アイウォッチ」の称呼と引用商標から生じる「アイスウォッチ」の称呼を比較すると、両称呼は、第3音目における「ス」の音の有無という差異があり、この差異音である「ス」の音は、弱く発音される音である「イ」の音に続く音であることから、比較的明瞭に発音、聴取されるものとなり、この差異が称呼全体に与える影響は決して小さいものとはいえないから、それぞれを一連に称呼するときは、語感、語調が相違し、互いに聴き誤るおそれはないとみるのが相当である。

ウ 観念

本件商標からは特定の観念が生じないものであるのに対し、引用商標からは「(布地・革などの小さく切った)見本、小片」の観念が生じる場合もあるのであって、両商標は、観念上の共通性はなく、また、相紛れるおそれのある特段の事情は見いだせない。

エ 小括

上記アないしウによれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

3 商標法第4条第1項第15号該当性について

申立人は、1983年以降、商品「腕時計」を製造し、我が国のみならず世界各国において広く販売してきており、申立人の名称の略称である「Swatch」(以下、単に「Swatch」標章という。)は、我が国のみならず世界各国において広く知られ、周知、著名になっている旨、また、申立人は、2000年以降、商品「身飾品」も製造し、この点からも、「Swatch」標章は、広く知られ、周知、著名になっている旨主張している。

しかしながら、申立人提出の証拠からは、1983年に「スウォッチ」が創業され、「腕時計」に「Swatch」の文字が使用されていることは認められるものの、「Swatch」標章が、申立人名称の略称して使用されていると認め得る証左や本件商標の登録出願日ないし登録査定日前の我が国における広告宣伝、販売数量、売上高及び市場占有率など、本件商標の登録出願日において、「Swatch」標章が周知であったことを認めるに足りる証拠の提出はないから、本件商標の登録出願時ないし登録査定時において、「Swatch」標章が申立人の著名な略称として、本件商標の取引者、需要者の間で周知著名となっていたとまではいえない。

仮に、「Swatch」標章が本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の著名な略称として取引者、需要者の間に広く認識されていたものであるとしても、本件商標と引用商標とは、上記のとおり、十分に区別し得る別異の商標というべきものであって、ほかに商品の出所について混同を生ずるおそれがあるとすべき特段の事情も見いだせないものである。

してみれば、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者は、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように誤認し、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

4 結論

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第3条第1項各号、同法第4条第1項第16号、同項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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