Trademark Appeal Case
商標の要部と著名性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2016−900281(T2016−900281/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5855009号商標(以下「本件商標」という。)は、「CRYSTAL GUARDIAN」の文字を標準文字で表してなり、平成27年11月11日に登録出願、第17類「ガラス飛散防止フィルム,ガラス保護用粘着フィルム」を指定商品として、平成28年5月19日に登録査定、同年6月3日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する登録第4644761号商標(以下「引用商標」という。)は、「GUARDIAN」及び「ガーディアン」の文字を二段に書してなり、平成13年3月16日に登録出願、第19類、第20類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成15年2月14日に設定登録されたものである。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第24号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第15号の該当性について
本件商標は、「CRYSTAL GUARDIAN」の文字からなるが、これは既成語ではなく、馴染まれた熟語的意味合いを有しないものであり、「CRYSTAL」と「GUARDIAN」との間に、切り離せない密接な関連性があるということはできない。むしろ、本件商標の構成に含まれる「CRYSTAL」の文字が、本件商標の指定商品との関係では商品の品質(用途)を表す、自他商品識別機能がないか極めて弱い文字であるのに対して、「GUARDIAN」の文字が、わが国において周知・著名な商標であることに鑑みれば、これに接する需要者・取引者をして、本件商標が「GUARDIAN」の文字を顕著に含むことを容易に理解させるだけでなく、これが特に注目されて、強く印象付けられるから、申立人が製造・販売する建築用強化ガラスを含む一連の板ガラス製品群に使用される主たるブランド名として使用し、広く一般に知られている「GUARDIAN」又は「ガーディアン」からなる引用商標と類似し、又は、引用商標を構成する「GUARDIAN」の文字を構成中に含むもので、申立人の著名商標を想起若しくは連想させるものである。また、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、いずれも、住居等のガラスを割れにくくし、不法侵入や窃盗等の犯罪から守るための商品であり、非常に高い関連性を有しているので、本件商標がその指定商品に使用された場合、あたかも申立人若しくは申立人と何等かの関係がある者の業務に係る役務であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(2)むすび
以上の理由により、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、取り消されるべきものである。
4 当審の判断
(1)引用商標の著名性について
申立人が提出した証拠によれば、申立人は、1932年に米国において自動車用ガラスの製造業者として創業、1970年に板ガラスの生産を開始し、1980年に欧州市場に、1990年に日本市場に参入し、現在は、米国を始め、カナダ、ブラジル、ドイツ、インド等の世界31か所に製造工場を有し、建築用ガラス、自動車用ガラス、断熱及び反射ガラスを展開しているものであり(甲24)、1990年代前半において、世界屈指の板ガラスメーカーであって、我が国では、主にビル用及び住宅用板ガラスの販売を開始したことが認められる(甲4、甲5、甲14〜甲19、甲24)。しかしながら、申立人は、その後、「GUARDIAN」又は「ガーディアン」の文字が表示されたパンフレット及び取引書類を継続して使用していることが認められるものであるが(甲20、甲23等)、それらの頒布方法及び規模等を示す証拠の提出はないものであり、その他、申立人製品の市場占有率、広告宣伝等の程度なども明らかでない。
以上によれば、申立人は、本件商標の登録出願前から登録査定時において、「GUARDIAN」又は「ガーディアン」の文字を板ガラスについて使用していたことは認められるが、申立人が提出した証拠により、引用商標を構成する「GUARDIAN」又は「ガーディアン」の文字が申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標は、上記1のとおり、「CRYSTAL GUARDIAN」の文字を標準文字により表してなるものであるところ、その外観は、いずれかの文字が強く看者の印象に残る態様ではなく、同じ書体によりまとまりよく一体的に表されているものであり、また、その構成全体から生じると認められる「クリスタルガーディアン」の称呼も、無理なく一気に称呼し得るものである。
そして、申立人は、本件商標の構成中「CRYSTAL」の文字が、「クリスタルガラスの略」を表す外来語「クリスタル」に通じ、わが国で親しまれている英語であるから、本件商標の指定商品との関係において、該文字が商品の用途等を表すものであり、自他商品の識別力を発揮しない旨主張するが、申立人からは、本件商標の指定商品について「crystal(クリスタル)」の文字が商品の用途・品質を表示するものであるとする証拠の提出はないものであって、職権により調査をしても、上記文字が当該商品の用途等を具体的に認識させるものとして使用されている実情は見当たらないことから、本件商標は、構成中の「CRYSTAL」の文字部分が捨象されて「GUARDIAN」の文字部分のみが、その要部であると認めることはできない。さらに、引用商標は、上記(1)のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、申立人の業務に係る商品を表示するものとして我が国における需要者の間に広く認識されていた商標と認めることはできないものである。
その他、本件商標が、その構成中の「GUARDIAN」の文字部分のみに着目されて取引に資されるというべき特段の事情はないというべきである。
そうすると、本件商標は、その構成中の「CRYSTAL」又は「GUARDIAN」のいずれかの文字部分が商品の出所表示標識として強く支配的な印象を与えるものではないから、全体の構成文字に相応して「クリスタルガーディアン」の一連の称呼のみを生じ特定の観念を生じない全体として一体の造語とみるのが相当である。
したがって、本件商標は、これをその指定商品について使用した場合に、その取引者、需要者において、構成中の「GUARDIAN」の文字から申立人の商標「GUARDIAN」又は引用商標を連想させるものではなく、その商品が申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その出所について混同を生ずるおそれはないというべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しないものであるから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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