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Trademark Appeal Case

ナイロンの役務識別性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2015−12178(T2015−12178/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は,成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標について

本願商標は,別掲1のとおりの構成よりなり,第9類,第18類,第25類及び第35類に属する商品及び役務を指定商品及び指定役務とし,平成25年9月30日に登録出願された商願2013−76166に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として,同26年6月9日に出願されたものである。

その後,本願商標の指定商品及び指定役務については,当審における平成27年6月26日受付及び同28年2月22日受付の手続補正書において,最終的に,第35類「被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要旨

原査定は,「本願商標は,『NYLON』の欧文字を横書きしてなるところ,該文字は,『ポリアミド系の合成高分子化合物の総称』であり,絹に似た光沢をもつ,強度の高い合成繊維として,また各種の成型品として広く用いられるものである。そして,『NYLON』及びその表音である『ナイロン』の文字は,各種商品の原材料表示として使用されている。そうすると,本願商標をその指定商品及び指定小売等役務(商標法第2条第2項に規定する役務)に使用した場合,商品の品質及び役務の質を表示したものと認識されるにとどまる。また,本願商標を『ナイロン製以外の商品』及び『ナイロン製の商品を取り扱わない小売等役務』に使用するときは,商品の品質及び役務の質の誤認を生じさせるおそれがある。したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。」旨,認定,判断し,本願を拒絶したものである。

3 当審における審尋

請求人に対し,平成28年1月14日付けで,別掲2の事実を示した上で,本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同項第6号に該当するものである旨の審尋をし,期間を指定して,これに対する意見を求めた。

4 審尋に対する請求人の回答

前記3の審尋に対し,請求人は,平成28年2月22日付け回答書を提出し,要旨以下のように回答した。

(1)「被服」,「かばん」等,特定の商品を取り扱う小売店であっても,用途,機能,素材等を異にする多種多様な商品を陳列・販売しており,「ナイロン製の商品」ばかりを集めて販売することはない。

(2)小売等役務において商標が用いられる態様は,制服,カゴ,陳列,店の看板等といった,商品に直接用いられない態様であって,これらの態様において商標は,商品自体よりその提供主体や事業全体を認識させる機能を発揮する。したがって,小売役務の需要者等は,具体的な商品との関係で商標を強く認識することはないと考えられるから,本願商標が小売等役務において使用された際に,「ナイロン製の商品」のみを扱っているものと認識されることは皆無である。

5 当審の判断

(1)本願商標について

本願商標は,別掲1のとおり,「NYLON」の欧文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるものである。

そして,「NYLON」の欧文字は,別掲2(1)に示した事実によれば,「(合成繊維の)ナイロン」を表す語として一般に知られている語であるというのが相当である。

また,本願の指定役務の分野においては,「NYLON」の欧文字及びこれを片仮名で表した「ナイロン」の文字が,別掲2(2)のとおり,当該役務の取扱商品であるかばん類や被服,靴等の原材料を表すものとして広く一般に使用されている実情が認められる。

そうすると,本願商標をその指定役務,すなわち,被服,履物及びかばん類を取扱商品とする小売等役務に使用するときは,これに接する需要者,取引者は,「当該小売等役務で取り扱われる商品がナイロン製の商品であること」を容易に理解するにとどまるというのが相当であるから,本願商標は,単に小売等役務の取扱商品の品質,原材料を普通に用いられる方法で表したにすぎないものであって,自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないというべきである。

したがって,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当する。

(2)請求人の主張について

ア 請求人は,「本願商標は各構成文字それぞれについて独特の書体で構成しつつ,文字の太さや細さのバランスをとり,それらを横長矩形状の中に収めたようなまとまりと存在感があるものであり,普通に用いられる方法で書してなるものではない。」旨主張する。

しかしながら,本願商標を構成する各欧文字については,子細にみれば僅かにデザイン化されているということはできるものの,当該デザインは,一見しただけでは判別するのが困難といえる程微細なものであり,本願商標に接する需要者等が,デザインが施されているとは認識し得ないというのが相当であるから,普通に用いられる態様の文字の範囲を脱しているものということはできない。

したがって,請求人の上記主張は採用できない。

イ 請求人は,「小売等役務において商標が用いられる態様は,制服,カゴ,陳列,店の看板等といった,商品に直接用いられない態様であって,これらの態様において商標は,商品自体よりその提供主体や事業全体を認識させる機能を発揮する。したがって,本願商標を小売等役務に使用した際に,『ナイロン製の商品』のみを扱っていると認識されることは皆無である。」旨主張する。

しかしながら,小売等役務には,例えば,店員が顧客に商品の説明をするような便益の提供も含まれ得ることを踏まえれば,商品の品質,原材料等を表示する文字は,店員が顧客に商品の説明をする際に誰しもが必要とするものであって,識別標識として機能し得るとはいい難く,本願商標をその指定役務である小売等役務に使用するときは,当該役務の取扱商品の品質,原材料を表すものであって,自他役務の識別標識としての機能を欠くものであるといわざるを得ない。

したがって,請求人の上記主張は採用できない。

ウ 請求人は,「本願商標は,請求人が発行する女性ファッション誌の題号として,主に20代の女性を中心に広く知られているものであり,また,本願商標の指定役務の取扱商品はファッション性の高い商品であるから,本願商標に接するファッションに敏感な需要者,取引者は,上記雑誌の題号を想起して本願商標の指定役務と結び付けることが想定され,単に『ナイロン製』であるとの認識を生じさせることはない。」旨主張し,本願商標が請求人の発行に係る雑誌の題号として知られていることを示す証拠として,甲第1号証ないし甲第8号証を提出している。

しかしながら,請求人の提出に係る各証拠によれば,請求人が発行する雑誌の題号は,「NYLON」の末尾の「N」の下に小さく「JAPAN」の欧文字が付されているものであり,また,当該雑誌は,業界において「NYLON JAPAN(ナイロンジャパン)」と称されていることがうかがえるから,本願商標が単独で広く知られている事実を見いだすことができない。さらに,上記各証拠を見ても,本願商標がその指定役務の需要者,取引者間において,直ちに請求人が発行する雑誌の題号を想起するほどに広く知られているとは認められず,また,仮に女性ファッション誌の分野の需要者,取引者間において,本願商標が請求人に係る商品を表すものとして相当程度知られているとしても,そのことから直ちに,本願商標に係る指定役務の取引者,需要者が,前記雑誌の取引者,需要者と一致するとまではいい難いから,結局,本願商標から直ちに請求人が発行する雑誌の題号を想起するともいえない。

したがって,請求人の上記主張は採用できない。

6 まとめ

以上のとおり,本願商標は,商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから,登録することができない。

よって,結論のとおり審決する。

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