Trademark Appeal Case
爆音上映の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2016−11663(T2016−11663/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「爆音上映」の文字を横書きしてなり、第41類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成27年5月26日に登録出願、その後、指定役務については、同年12月1日付けの手続補正書により、第41類「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,映画に関するイベントの企画・運営又は開催,映画祭の企画並びに運営,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),セミナーの企画・運営又は開催,書籍の制作」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『爆発する音』を意味する『爆音』の文字と、『上映』の文字を一連に『爆音上映』と書してなるところ、『爆音上映』の語は、本願の指定役務中、映画に関する役務を提供する業界において、『大音量での上映』程の意味で使用されている語であり、これを本願の指定役務中、『映画の興行の企画又は運営,映画の制作又は配給,映画に関するイベントの企画・運営又は開催,映画祭の企画並びに運営』に使用しても、これに接する需要者は、該役務が『大音量での上映に関する役務』程の意味合いを認識、理解するから、単に役務の質(内容)を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、「爆音上映」の文字を横書きしてなるところ、その構成中、「爆音」の文字は、「爆発する音」の意味を有する語であり、「上映」の文字は、「映画をスクリーンにうつして観客に見せること」の意味を有する語(いずれも、株式会社岩波書店「広辞苑第六版」)であって、どちらも一般的に親しまれている語といえるから、本願商標の構成文字全体からは、「爆音で映画を見せる(上映する)」程の意味合いを容易に看取、把握されるものというが相当である。
ところで、本願の指定役務中、「映画の興行の企画又は運営,映画の制作又は配給,映画に関するイベントの企画・運営又は開催,映画祭の企画並びに運営」を取り扱う業界において、「爆音上映」の語が、「大音響による上映方法」又は「通常よりも音響効果に力を入れた上映方法」の意味合いで使用されていることは、原審で示した事実のほか、別掲のインターネット情報からも裏付けられるものである。
そうすると、「爆音上映」の文字からなる本願商標を、その指定役務中、「映画の興行の企画又は運営,映画の制作又は配給,映画に関するイベントの企画・運営又は開催,映画祭の企画並びに運営」に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「大音響による上映方法」又は「通常よりも音響効果に力を入れた上映方法」に係る役務であることを認識するにすぎないものである。
してみれば、本願商標は、映画の上映方法についての役務の質を表示したにすぎず、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものであるから、その役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)商標法第3条第2項該当性について
請求人は、本願商標は、請求人が長年にわたってその業務に係る役務について使用してきた結果、その役務と密接に結びついて自他役務の識別力を発揮するに至ったと評価することができるから、商標法第3条第2項に該当する旨主張し、証拠方法として、甲各号証を提出している。
そこで、以下、本願商標が、同項に該当するかに否かについて検討する。
ア 本願商標の使用開始時期・期間・地域、実際の使用状況等
請求人は、2004年5月頃から、ロック・ミュージックのライブ用音響機材を使用し、特殊な上映方法として、東京・吉祥寺所在の映画館「バウスシアター」での上映を皮切りに、現在に至るまで、約12年間にわたり「爆音上映」の文字を使用し、日本の各地で映画祭及び上映会を企画及び開催してきた(甲1ないし甲6、甲8及び甲9)。
イ 開催規模、メディアでの取扱い等
請求人は、2004年から2016年までの間に、年に4回から10数回のペースで、数日から1か月間程度の期間の上映会の企画及び開催を行っている(甲1)。
そして、その様子は、各種メディアにも取り上げられてきた(甲6、甲7及び甲9)。
しかしながら、提出された証拠は、請求人関係者の発行による書籍、作成者不明の年表等とフライヤー広告のみで、具体的な、上映会の開催された会場の規模、入場者数や広告宣伝の回数、方法等が不明であり、実際にどの程度の需要者が目にしたかは明らかでない。
また、メディアに取り上げられたとして、証拠として提出されたのは、新聞及び雑誌の掲載記事がわずか各1回と、ブログの記事が1回にすぎないものであり、かつ、甲第7号証の雑誌においては、「爆音映画祭」の文字は読み取れるものの、本願商標である「爆音上映」の文字は見当たらないばかりか、その発行部数等も不明である。
以上のとおり、これらの事実によっては、本願商標が、請求人の業務を表すものとして、需要者の間において広く知られていると認めることはできないものである。
そうすれば、本願商標は、その指定役務中、「映画の興行の企画又は運営,映画の制作又は配給,映画に関するイベントの企画・運営又は開催,映画祭の企画並びに運営」を取り扱う業界において、これに接する需要者が、「大音響による上映方法」又は「通常よりも音響効果に力を入れた上映方法」という役務の質表示であるとの認識を上回って、使用された結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるものに至ったとまではいえないものである。
してみれば、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するということはできない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ同条第2項の要件を具備するものではないから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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