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Trademark Appeal Case

すっきりの識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2015−900406(T2015−900406/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5796453号商標の指定商品中、第5類「サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」及び第30類「菓子,即席菓子のもと」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5796453号商標(以下「本件商標」という。)は、「すっきり」の文字を標準文字で表してなり、平成26年11月11日に登録出願、第5類「サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」、第29類「肉製品,加工水産物,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,加工卵,海藻若しくは海藻抽出物・こんにゃく又は豆腐を主材とする惣菜」及び第30類「菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,即席菓子のもと」を指定商品として、平成27年9月9日に登録査定、同年10月2日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要旨)

(1)登録異議申立人「江崎グリコ株式会社」は、要旨以下のとおり述べ、その証拠として甲第1号証ないし甲第18号証(枝番号を含む。)を提出した。

本件商標は「気分や味わいが爽快であるさま」を意味する平仮名「すっきり」を標準文字で構成した態様からなり、この「すっきり」の語は、本件商標の指定商品である「サプリメント」との関係では「気分がすっきりする効果のある商品」であることを示すために使用されており、指定商品中の「菓子」との関係では「味わいが爽快な商品」であることを示すために使用されていることから、本件商標をその指定商品である「サプリメント」及び「菓子」、とりわけ「飴」に使用した場合は、需要者は「すっきりとした気分になるサプリメントであること」、「すっきりとした食感の味わえる飴等であること」といった意味合いを単に想起するに過ぎず、識別性がなく独占適応性にも欠けるものである。

したがって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号に違反して登録されたものであり、本件商標を上記意味合いが生じる「サプリメント」或いは「菓子」以外の「サプリメント」や「飴等の菓子」に使用した場合には、商品の品質を誤認する恐れがあることから、本件商標は商標法第4条第1項第16号に該当する。

さらに、仮に、本件商標が商標法第3条第1項第3号に該当しない場合であっても、本件商標を構成する「すっきり」の語が「すっきりとした気分になるサプリメント」「すっきりとした食感の味わえる飴」といった意味合いを需要者に想起せしめるに過ぎず、何人かの業務に係る商品であることが認識できないものであることから、本件商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。

以上により、本件商標の登録は取り消されるべきである。

(2)登録異議申立人「塚本真司」は、要旨以下のとおり述べ、その証拠として甲第1号証ないし甲第19号証を提出した。

本件商標は、「すっきり」の文字を標準文字により書してなるところ、該文字は、飲食料品を取り扱う業界においては、その風味や後口等がさっぱりしていて爽やかであるという程のことを表現するために使用されることが少なくないものであり、特に、その品質において清涼感や爽快感が求められる申立てに係る指定商品(第5類「サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」及び第30類「菓子,パン」)との関係では顕著ということができる。

また、過去の審査実務においては、「すっきり」の文字を書してなる商標について、自他商品識別標識としての機能を発揮し得ないものとして拒絶されていると認められる。

さらに、過去の登録異議の決定又は審決においては、「スッキリ」の文字につき、例えば『食品業界においては、「爽快感がある」、「爽快にさせる」などの意味合いを表す商品の品質表示用語として頻繁に使われている』旨認定した例をみることもできる。

そうとすれば、本件商標「すっきり」は、申立てに係る指定商品との関係においては、「その風味や後口等がさっぱりしていて、爽やかである。」という程のことを理解させるに過ぎないものといわざるを得ない。

したがって、本件商標は、上記登録異議の申立てに係る指定商品については商標法第3条第1項第3号に該当するにも関わらず、商標法第15条第1項の規定に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきものである。

3 本件商標に対する取消理由

当審において、商標権者に対し、平成28年7月14日付けで別掲の事実とともに通知した取消理由は、要旨以下のとおりである。

本件商標は、前記1のとおり、「すっきり」の文字を標準文字で表してなるものであるところ、これをその指定商品中の第5類「サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」、第30類「菓子,即席菓子のもと」について使用した場合は、「毎日すっきり」、「スッキリと飲みやすく」又は「すっきりした後味」などと使用され、サプリメント・食餌療法用食品・乳幼児用飲料等を取り扱う業界、ゼリーやアイスクリーム等の菓子を取り扱う業界等における取引の実情に照らせば、その取引者・需要者をして、「商品の味わいが爽快である」といった意味合いをもって、商品の品質を表示したものと認識させるにすぎないものというべきである。

してみると、本件商標は、本件指定商品中の第5類「サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」、第30類「菓子,即席菓子のもと」について、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきであるから、自他商品の識別標識としての機能を有しないものといわなければならない。

したがって、本件商標は、その登録査定日の時点において、指定商品中の第5類「サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」、第30類「菓子,即席菓子のもと」について、商標法第3条第1項第3号に該当するものであったというべきである。

4 商標権者の意見

本件商標は、標準文字の「すっきり」からなる商標であり、「すっきり」の語は、広辞苑及び日本語オノマトペ辞典(乙1)によれば、「すっかり。すべて。」、「気分や味わいが爽快であるさま。」「言動、気持ち、態度に過不足がなく、快いさま。洗練されていて、見ていて気分のよいさま。」等の意味が掲載されており多義的である。

そして、「すっきり」自体は多義的であるがゆえ、しかも、様々な場面や事物の状況・様子等の表現の仕方によって意味が異なるのであるから、本件商標がその指定商品であるサプリメント・菓子等に使用された場合に、本件商標「すっきり」のみによって商品の品質等が直接的に表わされるのではなく、むしろ、その「質」、「効能」、「用途」等を間接的に表示するものといえるのであり、商品の品質等を表す他の文字をともなう場合にあってはじめて、その意味が明らかになる語である。

他の文字と共に記述的に使用されることによって、はじめて具体的な内容を表すものとして理解される商標は、商標法第3条第1項第3号には該当しないとした審決・決定が存在し、また、商標自体が多義であり、かつ/または、その文字のみでは商品等の品質表示とまではなりえない語は、指定商品の「品質」等を間接的に表示する商標であるとして登録になっている登録例が存在する。さらに、「すっきり」のみでなく、「すっきり」と他の品質表示に近い語との結合商標であって、直接的に商品の品質を表示する語となりうる商標であっても登録されている例もある。

以上のとおり、本件商標「すっきり」自体は多義的であり、指定商品の品質を間接的に表示することはあっても、直接的に表示しているとは到底いえないものであり、「すっきり」のみまたは「すっきり」と他の品質表示に近い語との結合商標であったとしても登録になっていることを鑑みると、本件商標は商標法第3条第1項第3号に該当しないことは明らかである。

したがって、本件商標はその登録を維持すべきである。

5 当審の判断

(1)本件商標の商標法第3条第1項第3号の該当性について

本件商標は、「すっきり」の文字を標準文字で表したものであるところ、該文字は「気分や味わいが爽快であるさま」の意味を有する語である。

そして、サプリメント・食餌療法用食品・乳幼児用飲料等を取り扱う業界、ゼリーやアイスクリーム等の菓子を取り扱う業界において、別掲のとおり、「すっきり」の文字は、本件商標の登録査定時前から、商品の使用時に表れる爽快感や商品に付加された効果等を表示する語として広く使用されていることが認められる。

そうすると、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、「すっきり」の文字が、「気分や味わいが爽快であるさま」を表すものとして理解するとみるのが相当であるから、本件商標は、その指定商品中「サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」及び「菓子,即席菓子のもと」に使用するときは、商品の品質を表示したものと認識されるにとどまり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないというべきである。

したがって、本件商標は、その指定商品中の「サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」及び「菓子,即席菓子のもと」について、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)商標権者の意見について

商標権者は、「本件商標自体は多義的であり、指定商品の品質等を間接的に表示するものといえるのであり、商品の品質等を表す他の文字をともなう場合にあってはじめて、その意味が明らかになる語であるから、直接的に商品の品質等を表示しているとはいえない」旨主張するとともに、過去の登録例及び審決例を挙げて、本件商標は商標法第3条第1項第3号に該当しない旨主張している。

しかしながら、「すっきり」の語は、多義語であるとしても、「気分や味わいが爽快であるさま」の意味を表すことも広く知られているといえることから、商品の品質等を表す他の語と結合しなくても該文字のみでその意味合いを十分に認識できるものであり、該文字が単独で使用された場合であっても指定商品との関係から、「味わいが爽快であるさま」「余計なものがなく気持よく整っているさま」を表す語として取引者、需要者に認識されるものと判断するのが相当である。さらに、サプリメント・食餌療法用食品・乳幼児用飲料等を取り扱う業界、ゼリーやアイスクリーム等の菓子を取り扱う業界では、上記意味合いを表す語として、別掲のとおり使用されていることからすると、該文字は、本件商品に係る商品の品質を容易に認識するというべきである。

したがって、本件商標は、その指定商品中、第5類「サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」及び第30類「菓子,即席菓子のもと」については、本件商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるというべきである。

さらに、商標権者は、過去の登録例、審決例を挙げて、本件商標も自他商品の識別標識としての機能を果たし得る旨主張しているが、商標が識別力を有するか否かの判断は、登録査定時又は審決時において、取引の実情を勘案し、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準として、商標ごとに個別具体的に判断すべきであるところ、商標権者が挙げた登録例等は、いずれも本件商標とは構成等を異にし、かつ、本件の審決時における取引の実情は上記のとおりであるから、商標権者の主張は採用できない。

よって、商標権者の主張は、いずれも妥当なものとはいえず、取消理由通知を覆すに足りるものではない。

(3)むすび

以上のとおりであるから、本件商標の登録は、本件指定商品中の第5類「サプリメント,食餌療法用飲料,食餌療法用食品,乳幼児用飲料,乳幼児用食品」及び第30類「菓子,即席菓子のもと」について、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。

しかし、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品については、取り消すべき理由が認められないから、商標法第3条第1項第3号に該当しないものであり、その登録は、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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