Trademark Appeal Case
結合商標の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2016−900288(T2016−900288/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5858151号商標(以下「本件商標」という。)は、「WORLD SERIES OF FIGHTING」の文字を標準文字で表してなり、平成27年9月11日に登録出願、第25類「運動用特殊衣服、すなわち運動競技用ワイシャツ類及びシャツ、運動競技用ズボン及びパンツ、運動競技用ジャケット、運動競技用履物、運動競技用帽子、運動競技用ユニフォーム,断熱・保温効果のあるトップス,水泳着,ビーチシューズ,ベルト,布地から作られるベルト,ビキニ型水泳着,ブラウス,ボード用ショートパンツ,ボトムス,ボクサーブリーフ,ボクサーショーツ,ボクシング靴,ブリーフ,柔道衣,レスリングの試合衣,被服、すなわちアームウォーマー,フリース製プルオーバー型セーター及びプルオーバー型シャツ,フリース製トップス,履物及び運動用特殊靴,手袋(被服),体操用パンツ,体操用靴,体操用スーツ,ヘッドバンド(運動競技用),帽子、すなわち野球用帽子、ニット帽、ヘッドバンド(運動競技用)およぴキャップ,フード付きのプルオーバー型セーター及びプルオーバー型シャツ,フード付きスウェットシャツ,ジャケット,ジャージー製被服,ジョギングウェア,ジョギングパンツ,ジョギングスーツ,ニット製ジャケット,ニットシャツ,ニット製下着,長袖シャツ類及びアンダーシャツ,ラウンジウェア,マーシャルアーツ用ユニフォーム,マーシャルアーツ用スーツ,マッスルトップス,ズボン,ポロシャツ,防雨用ジャケット,ラッシュガード,ランニングシューズ,サンダル靴及びサンダルげた,ワイシャツ類及びシャツ,靴及び運動用特殊靴,半そでのワイシャツ類及びアンダーシャツ,ショートパンツ及びショーツ,寝間着,ソックス,スポーツシャツ,スポーツ用の帽子,ジャージー製運動用衣服及びジャージー製運動用特殊衣服,運動用ズボン及びパンツ並びに運動競技用ズボン及びパンツ,ストッキング及びユニホーム用ストッキング,ストレッチパンツ,汗止めバンド,スウェットジャケット,スウェットパンツ,スウェットシャツ,スウェットショートパンツ,スウェットスーツ,水泳用トランクス,ティーシャツ,タンクトップ,テニス靴,防寒用下着,トング(下着),トップス,運動靴,スリップ,テディ,下着,制服及びユニフォーム,風除けズボン,風除けジャケット,風除けシャツ,ヤッケ,ヨガ用パンツ,ヨガ用シャツ」及び第41類「混合格闘技(MMA)のイベントを特徴とした娯楽の提供,混合格闘技(MMA)のイベントの開催」を指定商品及び指定役務として、同28年4月26日に登録査定、同年6月10日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する登録商標は、以下の4件であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第1888544号商標(以下「引用商標1」という。)は、上段に「WORLDSERIES」の欧文字を、下段に「ワールドシリーズ」の片仮名を二段書きしてなり、昭和53年8月21日に登録出願、第22類に属する商標登録原簿に記載されたとおりの商品を指定商品として、同61年9月29日に設定登録され、その後、平成20年3月26日に指定商品を第6類、第14類、第18類、第21類、第22類、第25類及び第26類とする指定商品の書換登録がなされ、さらに、同28年4月26日に指定商品を第18類「傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」、第21類「靴ブラシ,靴べら,靴磨き布,軽便靴クリーナー,シューツリー」、第25類「履物」及び第26類「靴飾り(貴金属製ものを除く。),靴はとめ,靴ひも,靴ひも代用金具」とする区分を減縮する商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。
2 登録第2300695号商標(以下「引用商標2」という。)は、上段に「WORLDSERIES」の欧文字を、下段に「ワールドシリーズ」の片仮名を二段書きしてなり、昭和53年8月7日に登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載されたとおりの商品を指定商品として、平成3年1月31日に設定登録され、その後、同15年1月22日に指定商品を第22類「衣服綿,ハンモック,布団袋,布団綿」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,ヘルメット,帽子」とする指定商品の書換登録がなされ、さらに、同23年2月8日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
3 登録第5409040号商標(以下「引用商標3」という。)は、「WORLD SERIES」の欧文字を横書きしてなり、平成19年7月2日に登録出願、第35類に属する別掲1のとおりの役務を指定役務として、同23年4月28日に設定登録されたものである。
4 登録第5415351号商標(以下「引用商標4」という。)は、「WORLD SERIES」の欧文字を横書きしてなり、平成16年10月28日に登録出願、第25類、第28類及び第41類に属する別掲2のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同23年6月3日に設定登録されたものである。
以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)引用商標について
「WORLD SERIES」とは、メジャーリーグベースボールにおける優勝チーム決定戦を意味するものである。実際、商願2004−99014「WORLD SERIES」に関する拒絶理由通知書においても、当庁の審査官から「WORLD SERIES」は「米国のプロ野球選手権試合」を意味するものであるとの指摘を受けている(甲4)。
(2)本件商標と引用商標との類似について
本件商標と引用商標とは、欧文字「WORLD SERIES」の部分が共通する。また、本件商標中「OF FIGHTING」の部分は「格闘技のための」という意味を有するが、指定商品及び役務との関係において、その商品の用途及び品質、役務の質等を表す記述的な語にすぎない。
よって、本件商標の要部は「WORLD SERIES」の部分であり、引用商標とは、称呼及び観念、外観において類似する。特に、「WORLD SERIES」は申立人の優勝決定戦を示す語として世界的によく知られている(甲3)。このような状況において、本件商標の指定商品及び役務は、引用商標の指定商品又は役務に類似する。
すなわち、本件商標と引用商標とは互いに類似するものであり、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
2 メジャーリーグベースボール及び引用商標について
申立人は、米国メジャーリーグベースボールの商標権その他の権利を管理する法人である。引用商標「WORLD SERIES」は、米国メジャーリーグベースボールの有名な「選手権試合」を示すものである。メジャーリーグベースボールの歴史は、1876年にナショナル・リーグが発足したことから始まり、1900年に「クラシックエイト」といわれる8球団が確定した。野球は、米国では最も人気のあるスポーツであるが、我が国においても、特に第二次世界大戦後、アメリカ文化の流入とともに人気が高まり、老若男女を問わず多くのファンが存在する。さらに、特別なファンではなくても、我が国では、メジャーリーグに関して、ベーブ・ルース、ハンク・アーロン等の有名選手の名前とともに多くの球団名、ニューヨーク・ヤンキース、サンフランシスコ・ジャイアンツ、シアトル・マリナーズ等が一般的に知られているが、これらと並んでメジャーリーグベースボール(MLB)の選手権試合である「WORLD SERIES」もきわめてよく知られている。
特に、2004年からは電通がメジャーリーグベースボールの試合の日本向け放映権を獲得し、NHK、TBS、フジテレビジョン及びSKY PerfecTV!で放映するようになったので、メジャーリーグベースボール所属のチーム名は以前にも増して、日本の視聴者の間に浸透することとなった(甲3)。
その後、日本人選手が米国に渡ってメジャーリーグベースボールで活躍するようになっており、このことが日本におけるメジャーリーグベースボールの人気を押し上げている(甲3)。1995年に野茂英雄が渡米し、投手としてメジャーリーグベースボールで活躍したのを皮切りに、2001年には新庄剛志、イチローほか7人の日本人選手がメジャーリーグでプレーした。その後、石井一久、小宮山、田口等の選手がメジャーリーグに移籍し、2006年7月には、日本人のメジャーリーガーは13人となっていた。このような状況から、本件商標の出願時において、日本の一般的な需要者の間においても、メジャーリーグベースボールに関する知識はかなり豊富になっていたといえる(甲3)。
メジャーリーグベースボールとそのマークの周知性は、甲第5号証及び甲第6号証に示す異議決定においても認められている。日本国内でメジャーリーグベースボールの試合がテレビ放映され、新聞・雑誌等でもそのニュースが報道されている昨今では、メジャーリーグベースボールで使用されるマーク、試合の名称は日本の一般的な需要者の間でよく知られるものとなる。
「WORLD SERIES」は、毎年レギュラーシーズン終了後の10月にナショナル・リーグとアメリカン・リーグのそれぞれの優勝チームが7回戦制の4戦先勝方式でその年の全米一を争うものである。毎年のワールドシリーズの様子は日本でも放映、報道されている。かかる状況において、日本においても「WORLD SERIES」は大リーグ、つまりメジャーリーグベースボールが開催するプロ野球選手権として認識されているものということができる(甲3)。
したがって、引用商標は、メジャーリーグベースボールという出所を表す標章として日本国内で広く知られているといえる。
3 商標法第4条第1項第15号について
本件商標は上述のとおり、申立人の引用商標と類似する。ここで、引用商標は上記2で述べたとおり、メジャーリーグベースボール(MLB)の選手権試合を示す語として、日本の需要者、取引者によく知られたものである。申立人の商標は、申立人の業務にかかる商品である「帽子,被服,運動用具」等のライセンス商品やライセンスした役務「野球の試合に関する放送番組の配給」等に使用されているものである。上記ライセンス商品又は役務は日本でも提供されている(甲3)。また、甲第3号証に示すとおり、申立人の商標はアパレル、テレビ業界においてライセンスされており、これら商品及び役務との関連において申立人の商標と極めて類似する本件商標が使用されれば、需要者は本件商標にかかる役務が申立人の業務と関連するものであると誤認する可能性がきわめて高い。つまり、かかる状況において、本件商標をその指定商品及び役務に使用すると、需要者、取引者の間で申立人の業務にかかる商品及び役務との間で出所の混同が生じる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するにもかかわらず登録されているので、その登録は取り消されるべきである。
第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
申立人の提出に係る証拠及びその主張によれば、申立人は、米国メジャーリーグベースボールの商標権その他の権利を管理する法人である。
メジャーリーグベースボールの歴史は、1876年にナショナル・リーグが発足したことから始まった。「WORLD SERIES」は、毎年レギュラーシーズン終了後の10月にナショナル・リーグとアメリカン・リーグのそれぞれの優勝チームが7回戦制の4戦先勝方式でその年の全米一を争う試合である。
そして、2004年からはメジャーリーグベースボールの試合の日本向け放映権が獲得され、放送各社が放映するようになった(甲3)。その後、毎年のワールドシリーズの様子は日本でも放映、報道されている。
また、インターネット情報によれば、帽子、トレーニングウェア、ボール、ベルト、ポロシャツ、Tシャツ、DVD、時計等の多数の商品に本件商標が表示されて販売されている実情がある(甲3)。
ところで、申立人の提出した証拠は、「WORLD SERIES」に関する商品や放映等について、その売上高、市場シェアなどの事業規模、宣伝広告の程度、放映に関する情報など周知性の程度を推測できる証拠の提出はなく、また、英語の証拠については、その翻訳の提出もないものである。
そうすれば、申立人の提出した証拠によっては、引用商標が、申立人の業務に係る商品及び役務を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたことを客観的に裏付けるものではない。
しかしながら、近年には、多くの日本人選手がメジャーリーグで活躍するようになり、「ワールドシリーズ」において、2013年のレッドソックスの上原浩治や田澤純一、2009年のヤンキースの松井秀喜、2008年のフィリースの田口壮、レイズの岩村明憲等の選手が出場しており、日本でもこれらの試合が放映され、報道されていることは一般によく知られていることであるから、引用商標は、申立人の業務に係る商品及び役務であることを表示するものとして、一定の知名度を有しているといい得るものであって、遅くとも本件商標の登録出願の日前から、取引者、需要者の間において、広く認識されていたものと認めることができ、その周知性は現在も継続しているものといえる。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「WORLD SERIES OF FIGHTING」の文字からなるところ、その構成文字は、いずれも同書、同大で、まとまりよく表されており、その構成中の特定の文字部分が強く支配的な印象を与えるものではないから、視覚上一体的に把握されるものといえ、これより生じる「ワールドシリーズオブファイティング」の称呼も、格別冗長というべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標の構成中の各語は、「WORLD」の文字は、「世界、地球」等の意味を、「SERIES」の文字は、「一連、(競技などの)争覇戦、連続試合、シリーズ」等の意味を、「OF」の文字は、「〜の、〜である」等の意味を、「FIGHTING」の文字は、「格闘(組み討ち)する、奮闘する」等の意味を有する語であって、いずれも我が国において親しまれた英語であって、全体として「格闘の世界的な連続試合(シリーズ)」程の観念を生ずるものと認められる。
(2)引用商標について
引用商標1及び2は、前記第2の1及び2のとおり、上段に「WORLDSERIES」の欧文字を、下段に「ワールドシリーズ」の片仮名を二段書きしてなるところ、下段の文字は、上段の読みを特定したものであるから、これよりは「ワールドシリーズ」の称呼を生ずるものである。
また、引用商標3及び4は、前記第2の3及び4のとおり、「WORLD SERIES」の欧文字を横書きしてなるところ、これよりは「ワールドシリーズ」の称呼を生ずるものである。
そして、「WORLD SERIES」及び「ワールドシリーズ」の文字は、辞書によれば「アメリカのプロ野球で、アメリカン・リーグとナショナル・リーグのそれぞれの優勝チームの間で争われる選手権試合。」(株式会社岩波書店「広辞苑第六版」)の意味を有する語であって、メジャーリーグベースボールのシーズン最後に全米一を決めるシリーズ戦として一般に知られているものであるから、引用商標からは、「メジャーリーグベースボールの選手権試合」程の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
ア 外観について
本件商標と引用商標とを比較すると、本件商標は、「WORLD SERIES OF FIGHTING」の文字からなるものであるのに対して、引用商標は、「WORLD SERIES」の欧文字を有するものであるから、両者のそれぞれの単語数、文字構成が相違し、外観上、十分に区別できるものである。
イ 称呼について
本件商標は「ワールドシリーズオブファイティング」の称呼を生じ、引用商標は「ワールドシリーズ」の称呼を生じるところ、両者は、構成音、構成音数などが明らかに相違し、称呼上、十分聴別できるものである。
ウ 観念について
本件商標からは「格闘の世界的な連続試合(シリーズ)」程の観念を生じるのに対し、引用商標からは「メジャーリーグベースボールの選手権試合」程の観念を生じるものであるから、それぞれの観念は明らかにその意味合いにおいて相違し、観念上、類似しないものである。
エ 小括
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人の引用商標の周知性については、前記1のとおり、その周知性が認められるものであるが、前記2のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
そうすれば、被請求人(商標権者)が本件商標をその指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者をして申立人の商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品及び役務が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのごとく、その商品及び役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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