Trademark Appeal Case
一般名称と対象の結合の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2016−12494(T2016−12494/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「幼児リトミック」の文字を標準文字で表してなり、第41類「カウンセラーの育成及び養成,人材育成のための教育及び訓練,技芸・スポーツ又は知識の教授,資格の認定及び資格の付与,資格検定試験の企画・運営又は実施,セミナーの企画・運営又は開催,演芸の上演,マジックの上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,映画の上映・制作又は配給,オンラインによる映画・画像・映像の提供,映像の上映」及び第44類「音楽療法」を指定役務とし、平成27年7月9日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『幼児リトミック』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の『リトミック』の文字は、『律動的な、リズミカルな』の意を有する仏語『rythmique』の表音と認められるものであり、広辞苑第六版によれば、『(1)詩や音楽のリズムに関する研究。律動法。(2)リズムに基礎を置く教育法の一つ。体の動きを音楽に結びつけてリズム感覚を育てるもので、舞踊・体操などにも採り入れられる。ダルクローズの創始。律動法。』の記載が認められる。そして、『リトミック』の文字は、幼児教育の場でも、音楽リズムを採り入れた幼児の情操・能力開発の方法を表すものとして使用されていることからすれば、本願商標は全体として『幼児を対象とした音楽リズムを採り入れ体の動きを音楽に結びつけてリズム感覚を育てる音楽教育法(リトミック)』程の意味合いを容易に認識させるものである。そうすると、本願商標をその指定商品中、例えば、『幼児のための音楽リズムを採り入れた情操教育・総合的な能力開発教育に関する指導員の養成講座における知識の教授,幼児のための音楽リズムを採り入れた音楽療法』等について使用しても、これに接する取引者・需要者は、前記意味合いを理解するに止まり、本願商標は、役務の質(内容)を表示するにすぎないものである。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、上記役務以外の役務に使用するときは、役務の質について誤認を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審における証拠調べ
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権による証拠調べをした結果、別掲に示す事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成28年11月10日付け証拠調べ通知書によってこれを開示し、期間を指定して、意見を述べる機会を与えた。
4 証拠調べ通知に対する請求人の意見
請求人は、前記3の証拠調べ通知に対し、指定した期間内に何ら意見を述べていない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号該当性について
本願商標は、「幼児リトミック」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字は、前半が漢字、後半が片仮名と、その文字種が異なることから、一見して「幼児」及び「リトミック」の文字を結合したものと容易に把握されるものである。
そして、本願商標の構成中の「リトミック」の文字は、国語辞書によれば、別掲1のとおり、「体の動きを音楽に結びつけてリズム感覚を育てるもので、舞踊・体操などにも採り入れられるリズムに基礎を置く教育法。律動法。」を意味する語である。
また、本願指定役務中の教育及び指導等の役務を取り扱う業界において、別掲2のインターネット記事によれば、例えば、親子を対象とする「リトミック」を「親子リトミック」と、また、ベビー(赤ちゃん)を対象とする「リトミック」を「ベビーリトミック」と称しているように、「リトミック」の語の前に「リトミック」を受ける者(対象者)を表す名称を冠して使用されている事実が見受けられる。
さらに、同業界において、別掲3のインターネットの記事によれば、「幼児リトミック」の文字が、「幼児を対象とする、体の動きを音楽に結びつけてリズム感覚を育てる教育法及び療法」の意味合いを示す語として使用されている事実があることも明らかである。
そうすると、本願商標は、これをその指定役務中の「カウンセラーの育成及び養成,人材育成のための教育及び訓練,技芸・スポーツ又は知識の教授,資格の認定及び資格の付与,資格検定試験の企画・運営又は実施,セミナーの企画・運営又は開催,音楽療法」に使用した場合には、これに接する需要者、取引者は、「幼児を対象とする、体の動きを音楽に結びつけてリズム感覚を育てる教育法及び療法を内容とする役務」であることを理解、認識するにとどまり、単に役務の質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものというのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、また、上記以外の役務に使用するときは、役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。
(2)請求人の主張
ア 請求人は、「幼児」と「リトミック」の語が全く結びつきのない文言同士であるから、本願商標は原審説示のごとき意味合いを認識するとはいえず、自他役務識別標識として機能する旨主張しているが、本願商標が、その指定役務の取引の実情に照らし、「幼児を対象とする、体の動きを音楽に結びつけてリズム感覚を育てる教育法及び療法を内容とする役務」であることを認識させることは、上記(1)で述べたとおりである。
イ 請求人は、インターネット上の検索結果の内容を検討すると、そのほとんどが請求人又はその関係者による情報であり、それ以外の情報を提供している者のうち、実際に「幼児リトミック」に関する教室を行っていることを確認できるのは、1社を除き、全国展開していない数少ない者のみであって、請求人が全国で297教室を展開していることからすれば、「幼児リトミック」の語は、請求人が提供するものとして需要者に広く認識されているといえるものである旨主張している。
しかしながら、仮に、上述の主張が、本願商標の使用による識別力を獲得したものとの趣旨(商標法第3条第2項)であると解したとしても、請求人が当審において提出した証拠によれば、「国立音楽院卒業生が全国で活躍中!現在120会場297教室」及び「『幼児リトミック』を日本で始めたのは、国立音楽院です。」という記述が認められるにすぎず、本願商標に係る使用期間、使用地域、売上高、広告宣伝の規模等の事実は一切不明である。そして、上記(1)で認定した本願商標から生ずる意味合い及び使用状況に鑑みれば、本願商標は、これが使用された結果、需要者が何人かの業務に係る役務であることを認識することができるものとなっているとは認められず、商標法第3条第2項の要件を具備しない。
ウ また、請求人は、過去の登録例等を挙げ、本願商標も登録されるべき旨主張しているが、商標が識別力を有するか否かの判断は、査定時又は審決時において、取引の実情を勘案し、その指定商品及び指定役務の取引者、需要者の認識を基準として、商標ごとに個別具体的に判断すべきであるところ、請求人が挙げた登録例は、本願商標とは構成等を異にするものが含まれ、かつ、本件の審決時における取引の実情は上記(1)のとおりである。
エ よって、請求人の主張は、いずれも採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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