Trademark Appeal Case
称呼類似と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2016−2278(T2016−2278/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は,「TOMATO SYSTEM」の欧文字を標準文字で表してなり,第9類「電子応用機械器具及びその部品」及び第42類「電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,機械器具に関する試験又は研究,電子計算機用プログラムの提供」を指定商品及び指定役務として,平成27年5月11日に登録出願されたものである。
2 引用商標
原査定において,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして引用した登録商標は,以下のとおりであり,現に有効に存続しているものである。
(1)登録第4394923号商標(以下「引用商標1」という。)は,「TOMATO」の欧文字を標準文字で表してなり,1997年(平成9年)8月27日にグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して,平成10年2月5日に登録出願され,第42類「電子計算機その他の用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,電子計算機用プログラム・コンピューターソフトウェア及びCD−ROMの設計」を含む,第41類及び第42類に属する別掲1のとおりの役務を指定役務として,同12年6月23日に設定登録されたものであり,その後,同23年1月4日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(2)登録第5238348号商標(以下「引用商標2」という。)は,別掲2(1)のとおりの構成からなり,平成19年6月28日に登録出願され,第35類「電気機械器具類(「起動器・交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。)・交流発電機・直流発電機・配電用又は制御用の機械器具・回転変流機・調相機・陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。)・電機ブラシ・磁心・抵抗線・電極・電気絶縁材料」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を含む,第35類に属する別掲2(2)のとおりの役務を指定役務として,同21年6月12日に設定登録されたものである。
以下,引用商標1及び2をあわせて「引用商標」という場合がある。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号該当性について
ア 本願商標について
本願商標は,前記1のとおりの構成からなるところ,1文字分のスペースを介して表された「TOMATO」の欧文字と「SYSTEM」の欧文字からなるものと容易に理解されるものである。
そして,本願商標の構成中の「TOMATO」の欧文字は,野菜の「トマト」の意味を有する英語であり,また,構成中の「SYSTEM」の欧文字は,「(組織的な)機械装置,(オーディオ・コンピュータなどの)システム」(新英和中辞典第7版(株式会社研究社))の意味を有する英語であって,いずれも我が国において広く親しまれた語であるところ,両語の間に観念的な結びつきは見いだせず,かつ,前記1のとおりの機械器具(装置)やコンピュータプログラム等に係る本願の指定商品及び指定役務との関係において,「TOMATO」の欧文字が特定の商品又は役務の具体的な品質又は質等を表したものと認識させるものとはいえないのに対し,「SYSTEM」の欧文字は,機械器具(装置)やコンピュータプログラムのシステムに関する商品又は役務である程の意味合いを理解させるにすぎないものであるから,自他商品及び自他役務の識別標識として機能し得ないか,極めて弱いものというのが相当である。
そうすると,本願商標は,これを構成する「TOMATO」の欧文字と「SYSTEM」の欧文字とが視覚上,分離して看取し得るものであり,観念上両語の間に特段の結びつきはなく,「TOMATO」の欧文字が独立して自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を発揮し得るものであるから,これに接する取引者,需要者に,常に一体不可分のものであるとして認識されるとはいい難く,本願商標から「TOMATO」の該文字部分を分離,抽出し,これをもって取引に資されることも少なくないというべきである。
してみれば,本願商標からは,その構成文字全体から生じる「トマトシステム」の称呼のほかに,構成中の「TOMATO」の欧文字部分に相応して「トマト」の称呼及び観念をも生じるものである。
イ 引用商標について
引用商標1は,前記2(1)のとおり,「TOMATO」の欧文字を標準文字で表してなるものであって,「トマト」の称呼及びの観念が生じるものである。
また,引用商標2は,右上部と左下部の隅を丸めた赤色の正方形状の図形内に,上方左角を接点として小さな緑色の正方形を描いた図形と,1文字目を緑色,他の文字を赤色で彩色してデザイン化した「tomato」の欧文字とを,半文字程度のスペースを介して横一連に表してなるものである。
そして,その構成中の「tomato」の欧文字は,前記アのとおり,野菜の「トマト」を意味する英語として,我が国において広く親しまれた語であり,構成中の図形部分も,前記のとおりの形状及び色彩からすれば,トマトのへた及び実を模したものと認識されるものとみるのが相当である。
そうすると,引用商標2は,その構成中の「tomato」の欧文字部分及び構成全体から「トマト」の観念を生じるものであり,かつ,欧文字部分に相応して「トマト」の称呼が生じるものである。
ウ 本願商標と引用商標の類否について
本願商標と引用商標1との類否についてみるに,両商標は,「トマト」の称呼及び観念を共通にするものである。
また,本願商標と引用商標1は,その構成全体として,「SYSTEM」の欧文字の有無に差異があるものの,本願商標の構成中の出所識別標識としての要部である「TOMATO」の欧文字と引用商標1とを比較すれば,両者は,同一の文字構成及び書体からなるものである。
そうすると,本願商標と引用商標1は,「トマト」の称呼と観念を共通にし,外観において共通する部分がある類似の商標というべきである。
次に,本願商標と引用商標2との類否についてみるに,両商標は,「トマト」の称呼及び観念を共通にするものである。
また,本願商標と引用商標2は,その構成全体として,「SYSTEM」の欧文字及び図形の有無に差異があるものの,両商標の構成中,「TOMATO」の欧文字と「tomato」の欧文字とを比較すれば,両者は,書体及び大文字と小文字に差異を有するものの,同一の文字構成からなるものである。
そうすると,本願商標と引用商標2は,称呼と観念を共通にし,外観において一定の共通性を有する類似の商標というべきである。
エ 本願の指定商品及び指定役務と引用商標の指定役務の類否について
本願の指定役務と引用商標1の指定役務の類否についてみるに,本願の指定役務中,第42類「電子計算機用プログラムの設計・作成又は保守」は,引用商標1の指定役務中,第42類「電子計算機用プログラム・コンピューターソフトウェア及びCD−ROMの設計」と同一又は類似の役務であり,また,本願の指定役務中,第42類「電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明」は,引用商標1の指定役務中,第42類「電子計算機その他の用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明」と同一の役務である。
次に,本願の指定商品と引用商標2の指定役務の類否についてみるに,第35類「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」には,第9類「電子応用機械器具及びその部品」を取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供が含まれる(商品及び役務の区分解説[国際分類第10版対応]参照)ことから,引用商標2の指定役務中,「電気機械器具類(「起動器・交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。)・交流発電機・直流発電機・配電用又は制御用の機械器具・回転変流機・調相機・陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。)・電機ブラシ・磁心・抵抗線・電極・電気絶縁材料」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」には,本願の指定商品中,第9類「電子応用機械器具及びその部品」を取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供が含まれるから,これらの指定商品又は指定役務に同一又は類似の商標が使用された場合,これに接する取引者,需要者がこれら商品及び役務を同一営業主の製造,販売又は提供に係るものと誤認混同を生じるおそれがあるというのが相当である。
したがって,本願の指定商品及び指定役務と引用商標の指定役務とは,同一又は類似するものである。
オ 小括
以上からすれば,本願商標と引用商標とは,類似する商標であり,その指定商品及び指定役務も同一又は類似するものであるから,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は,「本願商標中の『TOMATO』の部分は,特にわが国における著名な会社の名称または略称を表示するものではないし,かつ,電子計算機や電子計算機用プログラムの分野において周知性を有する商標でもなく,外観上もまとまりよく一体的に構成されているものであり,全体として特定の観念を生じない一体不可分の造語であると把握することが妥当かつ適切であって,しかも,本願商標の全体の構成音数は7音であり,よどみなく一気に称呼することに何ら差支えがないものであるから,本願商標の構成前半部分である『TOMATO』の一部分のみを殊更に分離して他人の商標との類否を判断することは許されない」旨主張する。
しかしながら,前記(1)のとおり,本願商標は,これを構成する「TOMATO」の欧文字と「SYSTEM」の欧文字とが視覚上,分離して看取し得るものであるところ,両語の間に観念上の結びつきはなく,かつ,機械器具(装置)やコンピュータプログラム等に係る本願の指定商品及び指定役務との関係においては,「TOMATO」の欧文字が自他商品及び自他役務の識別標識としての機能を発揮するものであるのに対し,「SYSTEM」の欧文字は,自他商品及び自他役務の識別標識として機能し得ないか,極めて弱いものであることからすれば,本願商標においては,その構成中の「TOMATO」の欧文字が取引者,需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものというのが相当であって,これを抽出して,この部分だけを引用商標と比較して商標そのものの類否を判断することが許されるものである。
よって,請求人の主張は採用することができない。
イ 請求人は,「本願商標は病院等の医療施設における情報管理システム及びその設計・管理・運営に関連して用いられるものであるから,その主な取引者・需要者は医療機関の経営者であるのに対し,引用商標1の指定商品・役務は,主に音楽や美術関連分野のものに大きく偏っており,その主な取引者・需要者はレコード販売業者や,テレビ・ラジオ局等のメディア関係業者と考えられる。引用商標2の権利者である株式会社サンライフは,主に大分県において引用商標2を用いてスーパーマーケットを営む業者であり,その主な取引者・需要者は一般消費者であるから,本願商標が登録を受けたとしても,引用各商標の営業主の提供に係る商品又は役務と誤認混同されるおそれなど全く無い」旨主張する。
しかしながら,前記(1)のとおり,本願商標は,引用商標と類似の商標であって,本願の指定商品及び指定役務は,引用商標の指定役務と同一又は類似の商品及び役務であるから,商標法第4条第1項第11号に該当するといわざるを得ないものである。
なお,請求人は,本願商標や引用商標2の使用の一例(甲1,甲2)や引用商標1の指定役務(本願の指定商品及び指定役務と類似しないもの)の記載を挙げて,前記のとおり主張するが,商標の類否判断に当たり考慮することのできる取引の実情とは,その指定商品又は指定役務全般についての一般的,恒常的なそれを指すものであって,単にその判断の対象となる商標が現在使用されている商品又は役務についてのみの特殊的,限定的なそれを指すものではないし,現在の事業内容が異なることをもって混同を生じるおそれがないとはいえない。
よって,請求人の主張は採用することができない。
ウ 請求人は,商標の類否判断についての過去の審判決例等を挙げ,本願商標も登録されるべきである旨主張する。
しかしながら,請求人が挙げる審判決例等は,商標の構成態様等において相違し,本願商標とは事案を異にするものであるから,請求人のかかる主張も採用することはできない。
(3)まとめ
以上のとおり,本願商標は,商標法第4条第1項第11号に該当し,登録することができない。
よって,結論のとおり審決する。
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