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Trademark Appeal Case

使用商標の同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2016−300208(T2016−300208/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4505617号商標の指定商品中、第29類「肉製品,かつお節,寒天,削り節,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり,その他の加工水産物,加工野菜及び加工果実,食用油脂」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

登録第4505617号商標(以下「本件商標」という。)は、「シゴル」の片仮名を横書きしてなり、平成12年8月2日に登録出願、第29類「食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,かつお節,寒天,削り節,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり,その他の加工水産物,豆,加工野菜及び加工果実,冷凍野菜,冷凍果実,卵,加工卵,乳製品,食用油脂,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,お茶漬けのり,ふりかけ,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,食用たんぱく」を指定商品として同13年9月14日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

なお、本件審判の請求の登録は、平成28年4月11日である。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、その指定商品中、第29類「肉製品,かつお節,寒天,削り節,とろろ昆布,干しのり,干しひじき,干しわかめ,焼きのり,その他の加工水産物,加工野菜及び加工果実,食用油脂」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきである。

2 答弁に対する弁駁

被請求人の主張及び証拠類は、日本国内において被請求人が本審判の請求に係る指定商品に本件商標を使用した事実を証明するものではない。

したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

(1)「シゴルプルコギ」について

ア 商標非類似について

被請求人は答弁書において「シゴルプルコギ」なる商品名を使用しているため、本件商標を使用してきたと主張する。

しかしながら、乙第1号証のパッケージに記載された商標は「シゴルプルコギ」なる文字で構成された商標であって、「シゴル」なる文字のみで構成された商標ではない。当該パッケージに記載された商標は「シゴルプルコギ」なる文字を同書・同大・等間隔に記載した商標であって、一連一体の商標を構成する。このことからすれば、被請求人が使用したと主張する商標は本件商標と社会通念上同一の関係にはなく、非類似の関係にある。

したがって、本件商標を使用したという被請求人の主張には理由がない。

イ 指定商品への本件商標の不使用

被請求人は答弁書において本件商標を「牛すじ煮込みのレトルトパック商品」に使用していると主張する。

しかしながら、乙第1号証において示された証拠は、「牛スジ肉使用」の文字が記載されただけの未使用のパケージであって、実際に商品が販売された事実を証明するものではない。乙第1号証から認識できるのは、パッケージが製造されたという事実だけである。この点に関しては被請求人による答弁書の内容全体を考慮しても、いずれの時期に、どの程度の期間、当該パッケージを使用したどのような商品が販売されていたのかを把握することができない。

したがって、本件商標を本審判の請求に係る指定商品に使用したという被請求人の主張には理由がない。

ウ 指定商品の非同一性について

被請求人の答弁書には「牛すじ煮込みのレトルトパック商品」がどのような商品であるかの説明がないため、その商品の内容は不明である。しかし、あえて被請求人が販売しているという商品を検討するならば、当該商品は「牛すじ・牛肉・大豆を主材とする調理済み惣菜」であると推測される。

乙第1号証に示されたパッケージの裏面の記載によると、原材料に「牛すじ、牛肉、大豆」が記載され、続いて調味料と思われる材料名が列記されている。また、当該パッケージの調理例として、「そのままごはんのおかずに」できる旨が記載されている。そうすると、被請求人が述べる「牛すじ煮込みのレトルトパック商品」なる商品は「牛すじ・牛肉・大豆を主材とする調理済み惣菜」に相当する商品であると考えられる。

これに基づき、J−Platpatにより提供されている「商品・役務名検索」にて近似する商品を確認したところ、「肉を主材とする調理済み惣菜」なる例示が検出された。主材料を考慮すると「牛すじ・牛肉・大豆を主材とする調理済み惣菜」は「肉を主材とする調理済み惣菜」に近似する。

ところで、第29類「肉を主材とする調理済み惣菜」には、類似群コード32F01、32F06が付されている。一方、第29類「肉製品」には類似群コード32F01のみが付されている。そうすると、「牛すじ・牛肉・大豆を主材とする調理済み惣菜」と「肉製品」は類似関係にあるものの、「肉製品」の概念に「牛すじ・牛肉・大豆を主材とする調理済み惣菜」は含まれない(甲1)。

商標法第50条第2項は、「・・・商標権者(中略)がその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れない。」と規定する。

すなわち、被請求人が本件商標の取り消しを免れるためには本件商標を本件審判の請求に係るいずれかの指定商品と同一の商品について使用していることを証明しなければならない。

ところが、「牛すじ・牛肉・大豆を主材とする調理済み惣菜」は、本件審判の請求に係る第29類「肉製品」と類似する商品であって、「肉製品」と同一の商品ではない。

したがって、仮に被請求人が「牛すじ煮込みのレトルトパック商品」に本件商標を使用していたとしても、本件商標の取り消しは免れない。

(2)「シゴル串」について

ア 商標の比較

被請求人は、本件商標の使用を示す証拠として、乙第2号証において「シゴル串」なる文字が記載された4枚のラベルを提出している。

当該ラベルに記載された「シゴル串」なる文字は同書・同大・等間隔に記載され、「シゴル串」なる一連一体の商標を構成する。

このことからすれば、被請求人が使用したと主張する商標は本件商標の「シゴル」とは異なり、両者は社会通念上同一の関係にはなく、非類似の関係にある。

したがって、本件商標を使用したという被請求人の主張には理由がない。

イ 「牛すじ肉を串刺しにした商品」の特定及び非同一性について

被請求人は乙第2号証のラベルを「牛すじ肉を串刺しにした商品」に使用してきた旨を主張する。

しかし、被請求人が述べる「牛すじ肉を串刺しにした商品」が、どのような商品であるかは不明である。このため、「牛すじ肉を串刺しにした商品」が本件審判の請求に係る指定商品のいずれかに該当するのかについても不明である。

よって、本件商標を本審判の請求に係る指定商品に使用したという被請求人の主張には理由がない。

なお、「牛すじ肉を串刺しにした商品」が本件審判の請求に係る指定商品に該当するのかどうかをあえて検討するのであれば、以下のように判断されるべきである。

本件商標の第29類の指定商品のうち、「牛すじ肉を串刺しにした商品」が該当する商品は、「食肉」又は「肉製品」のいずれかであると考えられる。

ここで、「食肉」及び「肉製品」の詳細を確認するために、J−Platpatにより提供されている「商品・役務名検索」を確認したところ、第29類の「食肉」に類似する商品として「薄切りにした牛(Beef slices)」、「鶏の胸肉の切り身(chicken breast fillets)」が分類されていた(甲2)。上記例示からすると、調理を行いやすくするために一定の加工を加えた「食肉」は「肉製品」ではなく、「食肉」に分類されるものである。

さらに、特許庁の過去の出願(商願平11−068297、登録第4444898号)では、「串に刺した鶏肉」が「食肉」に含まれるものとして登録が許されていた(甲3)。

以上の点からすれば、「牛すじ肉を串刺しにした商品」、すなわち「串に刺した牛すじ」は「食肉」に含まれる商品であって、「肉製品」ではない。

「食肉」は本件審判の請求に係る指定商品に含まれていないため、本件商標を本件審判の請求に係る指定商品に使用したという被請求人の主張には理由がない。

ウ 指定商品への本件商標の不使用

被請求人は「牛すじ肉を串刺しにした商品」が牛すじを加工したものであって、第29類の「肉製品」に該当すると主張したのかもしれない。

しかしながら、仮に、「牛すじ肉を串刺しにした商品」が第29類の「肉製品」に該当するものであったとしても、被請求人の主張は本件商標が当該商品に使用された事実を証明するものにならない。被請求人が「シゴル串」なる商標を使用した事実を示すために提出した証拠は乙第2号証のみである。

乙第2号証は、「シゴル串」なる文字が記載されただけの未使用のラベルであって、実際に当該ラベルが「牛すじ肉を串刺しにした商品」に貼付され、被請求人によって販売された事実を証明するものではない。 乙第2号証から認識できるのは「シゴル串」なる文字が記載されたラベルが製造されたという事実だけである。このように、被請求人の答弁書の主張からは、いずれの時期に、どの程度の期間、当該ラベルを使用したどのような商品が販売されていたのかを把握することはできない。

したがって、仮に被請求人が述べる「牛すじ肉を串刺しにした商品」が第29類の「肉製品」に該当するものであったとしても、本件商標を本件審判の請求に係る指定商品に使用したという被請求人の主張には理由がない。

(3)まとめ

以上のとおり、本件商標は本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者等によって第29類「肉製品」又は本件審判の商標の取り消しの請求に係るいずれの指定商品に使用されているものではない。

第3 被請求人の主張

被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第2号証を提出した。

1 答弁の理由

被請求人は、食肉及び肉製品等の食品販売を業とする株式会社である。

被請求人は、平成12年8月2日に本件商標「シゴル」の出願を行い、平成13年9月14日に本件商標について商標登録をうけたものであるが、本件商標の出願後、実際に本件商標を使用し、「オモニ料理シリーズ」として、「シゴルプルコギ」の商品名で牛すじ煮込みのレトルトパック商品を、また、「シゴル串」の商品名で牛すじ肉を串刺しにした商品を販売するなどしてきている。

2 平成28年11月1日付け上申書

被請求人は、食肉及び肉製品等の食品販売を業とする株式会社であり、食肉商品を使用した惣菜の製造・販売も許可を得て行っている。

答弁書で主張したとおり、被請求人は、本件商標の出願後、実際に本件商標を使用し、「オモニ料理シリーズ」として「シゴルプルコギ」の商品名で牛すじ煮込みのレトルトパック商品を、また、「シゴル串」の商品名で牛すじ肉の串刺しを販売するなどしてきた(以下、これらの商品を「本件各商品」という。)。乙第1号証の商品袋や乙第2号証のラベルは、本件各商品の販売のために被請求人が製造し、使用してきているものであり、被請求人が本件商標を用いた本件各商品を実際に販売してきたことを証するものである。

もっとも、被請求人は、本件各商品の販売を開始して以降、これまでの間、本件各商品の売れ行きの状況や市場における消費者の動向、卸先の販売店やスーパーでの販売方針等に応じて本件各商品の製造・出荷を調整してきており、ここ3年ほどの間は、本件各商品の製造・販売を見合わせてきている。そのため、被請求人は、本件審判請求の登録前3年の間に本件商標を使用していたことにつき、そのことを証する証拠を提出することができない。しかし、被請求人は、現在、上記のような事情に照らし、本件商標を用いた本件各商品の製造・販売を再開するつもりである。

したがって、被請求人が現在、本件商標を使用していないことについては正当な理由があるため、請求人らによる本件審判請求は成り立たない。

第4 被請求人に対する審尋及び回答

1 被請求人に対し、平成28年12月13日付けで送付した審尋は、要旨以下のとおりである。

(1)被請求人提出に係る乙各号証に関する暫定的な見解

被請求人(以下「商標権者」ともいう。)は、商標権者が、本件審判請求の登録前3年以内(以下「要証期間内」という。)に、日本国内において、「牛すじ煮込みのレトルトパック商品、牛すじ肉を串刺しにした商品」について本件商標の使用をしていると主張し、その証拠方法として乙第1号証及び乙第2号証を提出している。

しかしながら、上記乙各号証のみによっては、次のア及びイの理由により、本件商標の要証期間内における使用が認められるとするには未だ十分な立証がされたとはいえない。

ア 乙第1号証は、「シゴルプルコギ」、「牛スジ肉使用」等の文字が記載された未使用のレトルトパックの袋の写しと見受けられるが、これのみでは、いつ、どのような商品が販売されていたのか確認することができない。

イ 乙第2号証は、「シゴル串」等の文字が記載された未使用の4枚のラベルの写しと見受けられるが、これのみでは、いつ、どのような商品が販売されていたのか確認することができない。

(2)平成28年11月1日付け上申書について

被請求人は、平成28年11月1日付け上申書において、「『シゴルプルコギ』の商品名の牛すじ煮込みのレトルトパック商品と、『シゴル串』の商品名の牛すじ肉の串刺しの売れ行きの状況や市場における消費者の動向、卸先の販売店やスーパーでの販売方針等に応じてこれらの商品の製造・出荷を調整してきており、ここ3年ほどの間は、これらの商品の製造・販売を一時的に見合わせているにすぎないから、被請求人が現在、本件商標を使用していないことについては正当な理由がある。」旨述べている。

しかしながら、商標法第50条第2項で規定する登録商標をその指定商品について使用していないことについての正当な理由とは、例えば、地震等の不可抗力によって生じた事由、第三者の故意又は過失によって生じた事由、法令による禁止等の公権力の発動に係る事由その他の商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の責に帰することができない事由が発生したために、商標権者等において、登録商標をその指定商品又は指定役務について使用をすることができなかった場合をいうと解するのが相当であるから(平成22年12月15日知的財産高等裁判所判決 平成22年(行ケ)第10012号参照。)、被請求人の上記主張のみでは、本件商標の使用をしていないことについての正当な理由があると認めることはできない。

したがって、被請求人は、本件商標をその指定商品に使用していないことについて、上記のごとく正当な理由があることを示す具体的な証拠を、指定の期間内に提出されたい。

2 上記審尋に対して、被請求人は、何ら回答していない。

第5 当審の判断

商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。

1 被請求人が提出した証拠によれば、以下の事実が認められる。

(1)乙第1号証は、未使用のレトルトパックの袋の写しであり、表面には、「シゴルプルコギ」、「牛スジ肉使用」の記載があり、裏面には「お好みにより白髪葱、七味唐辛子、キムチ等加えてお召し上がり下さい。コラーゲンたっぷりの牛すじ煮込みの出来上がりです。」、「原材料名/牛すじ、牛肉、大豆、醤油、水飴、味噌、香辛料、・・・」、「製造者/しげ食品株式会社 大阪市東住吉区住道矢田6−16−16」の記載がある。

(2)乙第2号証は、未使用の4枚のラベルの写しであり、横楕円形のラベルの中央部に「シゴル串」、「5本」、「原料:牛スジ肉・消費期限:製造日より4日」、「製造者 しげ食品株式会社 大阪市東住吉区住道矢田6−16−16」の記載がある。

2 上記1で認定した事実によれば、以下のとおりである。

牛すじ肉を主材料とした食品のレトルトパックの袋に、「シゴルプルコギ」、「牛スジ肉使用」等の文字と商標権者の名称が記載されている(乙1)が、当該袋が、商標権者により、いつ、どのような商品を入れ、製造、販売されたのか明らかではない。

また、牛すじ肉を主材料とした食品のラベルに、「シゴル串」等の文字と商標権者の名称が記載されている(乙2)が、当該ラベルが、商標権者により、いつ、どのような商品に付され、製造、販売されたのか明らかではない。

上記について、前記第4の1(1)のとおり、当審から被請求人に対し、審尋を行ったが、請求に係る商品のうち、どの商品に、いつ使用されたかについて、具体的な説明はされなかった。

したがって、提出された証拠をもっては、本件商標が、要証期間内に、請求に係る商品のいずれかについて、商標法第2条第3項各号の使用行為がなされたものということができない。

3 「正当な理由」の主張について

商標法第50条第2項で規定する登録商標をその指定商品について使用していないことについての「正当な理由」とは、上記第4の1(2)において説示のとおりであるところ、被請求人は、商品の売れ行きの状況や市場における消費者の動向、卸先の販売店やスーパーでの販売方針等に応じて、商品の製造・販売を一時的に見合わせている旨述べるのみである。

したがって、上記主張のみでは、商標法第50条第2項ただし書きに規定する正当な理由があるものと認めることはできない。

4 むすび

以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件請求に係る商品のいずれかについて、本件商標を使用していることを証明していないものであり、また、その使用がされていないことについて正当な理由があるものということもできない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により指定商品中「結論掲記の指定商品」についての登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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