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Trademark Appeal Case

化粧品における「Rouge」の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2016−680002(T2016−680002/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件国際登録第1216490号商標(以下「本件商標」という。)は、「Orage Rouge」の欧文字を横書きしてなり、2014年(平成26年)4月28日に国際商標登録出願、第3類「Bleaching preparations and other substances for laundry use,cleaning,polishing and degreasing preparations,cleaning preparations;oils for cleaning,preservatives for leather(waxes),leather bleaching products,polishing creams,creams for leather,shoe creams,shoe polishes,waxes for leather,wax for cobblers;perfumery products;perfumes;toilet water;eaux de parfum;eaux de Cologne;perfume bases;extracts of flowers;essential oils;air fragrancing preparations;potpourris[fragrances];incense;cosmetic skin and lip care products;cosmetic preparations for slimming;lotions for cosmetic use;beauty masks;cosmetic hand,face and body care products;hair care products;conditioners;hair lotions;hair bleaches;hair dyes;hair styling creams or gels;hair sprays;depilatory creams,hair−removing waxes;shaving products;shaving soap;shaving foam;after−shave products;sunscreen products for cosmetic use;suntan enhancing preparations for cosmetic use;self−tanning preparations for cosmetic use;toiletries;dentifrice;soaps;shampoos;shower gels;bath gels;bath oils;bath salts;foaming bath products;bath beads;talcum powder for toilet use,cleansing milk for toilet use;deodorants;make−up products;lipstick;mascaras for eyelashes;rouge;make−up powder;eye shadows;make−up pencils;make−up removing products;decorative transfers for cosmetic use,temporary tattoos for the body and nails;make−up sets;nail care and nail appearance improvement products;nail polish,nail protectors,nail lacquers,nail product removers;false nail kits,namely false nails for the hands and feet and adhesives for affixing false nails.」を指定商品として、平成27年7月10日に登録査定、同年9月18日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第46号証を提出した。

1 無効事由

本件登録商標は、商標法第4条第1項第16号に該当し、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。

2 無効原因

本件登録商標「Orage Rouge」中「Rouge」の文字は、「口紅、頬紅、べんがら」を意味するものである(甲第2号証)。

そして、「Rouge」及びその読み仮名の「ルージュ」の文字は、化粧品業界において、ごく当たり前に、「口紅」を意味するものとして使用されている事実が認められる(甲第3号証ないし甲第17号証)。

加えて、「Rouge」及びその読み仮名の「ルージュ」の文字を含んでなる商標はその指定商品を「口紅」、あるいは、「口紅,頬紅」に限定している(甲第18号証ないし甲第45号証)。

さらには、本件商標権者は、商標登録第5755624号に係る商標登録異議申立の手続補正書(平成27年10月13日付)の、4.申立ての理由(3)5〜8行目において、「そして、『Rouge』のカタカナによる音訳表記である『ルージュ』は、・・・特に『口紅』を意味する言葉としてわが国においても定着し広く使用されている言葉であることは、御庁においても顕著な事実であると思料致します(甲第5号証及び甲第6号証)。」と、自ら主張していることからしても、「Rouge」「ルージュ」の文字が「口紅」を認識させるものであるとすることは明らかである(甲第46号証)。

したがって、「口紅」、「頬紅」を直ちに理解させる「Rouge」、「ルージュ」の文字を含んでなる本件登録商標「Orage Rouge」は、これを本件指定商品中「口紅,頬紅」以外の商品について使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。

よって、本件登録商標「Orage Rouge」は、商標法第4条第1項第16号に違反して商標登録が認められたものであるから、同法第46条第1項第1号により、無効にすべきものである。

第3 被請求人の主張

被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第9号証を提出した。

1 多義語としての「rouge」

本件登録商標「Orage Rouge」は、「Rouge」という文字が存在するという一事をもって、それを契機に品質の誤認を需要者に生じさせてしまうと考えるべきではない。その理由は、「Rouge」という言葉が多義的な言葉であるからである。

すなわち、「Rouge」という言葉は、「赤」、「紅」、「赤信号」、「共産主義」など、多くの意味を有する多義語である(乙第1号証)。このような多義的な言葉は、使い方次第、対象となる商品次第で、その意味が変わってくる。

例えば、「Orage Rouge」という商標を付した「香水」が、百貨店の店頭におかれていた場合、この香水を手に取った消費者が、この商品を「口紅」と誤認することはありえない。それは、「Rouge」が、「赤」などの意味も有する多義的な言葉だからであり、「Orage Rouge」を必然的に「口紅」とは特定しないからである。

請求人は、化粧品業界において「Rouge」という言葉が「口紅」を意味する語として使用されていると主張する。

しかしながら、「『Rouge』という言葉が『口紅』を意味する語として使用されている」ということと、「『Rouge』という言葉を『口紅』以外に使用した場合、商品の品質の誤認を生じる」ということは、直接的結びつくものではない。なぜなら、多義語である「Rouge」という言葉は、使用する商品・状況により異なる意味を有するからである。

2 実際の市場における考察

例えば、「Orage Rouge」を、指定商品「香水」に使用した場合、店頭でこれに接した消費者が品質を誤認するおそれは皆無である。香水を買う際、消費者は、瓶の意匠を見て、香水のにおいを嗅いで購入する。化粧品は、体に直接つけるものであるから、消費者は慎重に商品を選ぶ。

このような状況の下、消費者が「Rouge」という文字が一部に使われているということのみをもって、それが「口紅」であると誤認するはずがない。香水と口紅は、流通経路も違えば、商品が陳列されている場所も異なり、色・形・容器など、すべての面で容易に区別できるものである。需要者にして、「Rouge」という言葉が、その商品の普通名称として使われていないことは、容易に判断できる。このことは、香水に限らず、他のすべての本件にかかる指定商品にもいえることである。

3 フランス語の「rouge」

フランス語の「rouge」は、「赤色」という意味を有する。そして、「赤」から連想されるイメージが「女性や太陽、暖かさ、情熱、愛情」などエネルギーを感じさせるポジティブな心理効果を有するものであるために、好んで用いられているという取引の実情もある。

仮に、「rouge」を使った言葉を、全て「商品の品質誤認を生じさせる」とすれば、我が国におけるフランス語の使用を不当に制限することとなってしまう。また、「rouge」が使用されていることのみをもって、その商品が『口紅』と誤認される」などといった判断をすれば、あまりにもフランス語話者の正しい理解とかけ離れた結果を生み、妥当ではない。

4 請求人の主張に対する反論

(1)反論1

請求人は、「本件登録商標『Orage Rouge』中『Rouge』の文字は、『口紅、頬紅、べんがら』を意味する」と主張して、甲第2号証(英和辞典)を提出する。

しかしながら、本件商標は、「Orage」がフランス語であることから、「Rouge」もフランス語と考えるべきである。需要者・取引者も、仮に「Orage」というフランス語の意味を理解できないとしても、「Orage」という英語がないことから、「Orage」がフランス語であることは想像できるはずであり、「Rouge」もフランス語として受け取るはずである。したがって、「Rouge」も、フランス語の意味を検討すべきである。

本件においては、「rouge」というフランス語は、上述のとおり、「赤」、「紅」、「赤信号」、「共産主義」などの意味を有する多義的な言葉である(乙第1号証)。決して、「口紅、頬紅、べんがら」のみを意味する一義的・狭義的な言葉ではない。

したがって、請求人の主張は、その根本において誤りがある。

(2)反論2

請求人は、「『Rouge』及びその読み仮名の『ルージュ』の文字は、化粧品業界において、ごく当たり前に『口紅』を意味するものとして使用されている事実が認められる」と主張して、甲第3号証ないし甲第17号証を提出する。

しかしながら、上述のとおり、「rouge」という言葉は多義的な語であり、「口紅」の意味もある。甲第3号証のように「化粧品」と「ROUGE」の検索キーワードを使って「画像検索」をすれば、口紅の画像が大量に出てくるのは当たり前のことであり、「本件登録商標が品質誤認を生じさせる」という主張を裏付ける証拠とはなっていない。

(3)反論3

請求人は、「『Rouge』及びその読み仮名の『ルージュ』の文字を含んでなる商標はその指定商品を『口紅』、あるいは、『口紅、頬紅』に限定している」と主張し、甲第18号証ないし甲第45号証を提出している。

しかしながら、指定商品を「口紅」等に限定するか否かは、それぞれの出願人の勝手であり、自由である。

このような、各出願人の個別の事情を根拠に、「本件登録商標が品質誤認を生じさせる」という結論を導き出すのは、論理の飛躍がはなはだしいといわざるを得ない。

逆に、「rouge(ルージュ)」という言葉を含む商標で、「口紅」等に限定していない登録商標も、枚挙にいとまがない(乙第3号証ないし乙第7号証)。

なお、請求人が提出した甲第18号証ないし甲第45号証にかかる登録商標を子細に検討すると、そのほとんどが「rouge」という言葉を「英語」として使用している。

しかしながら、上述のとおり、本件登録商標「Orage Rouge」はフランス語である。英語での使用態様ばかりを集めた請求人の甲第18号証ないし甲第45号証は、「『rouge』という言葉を『口紅』以外に使用した場合、商品の品質の誤認を生じる」という請求人の主張を裏付ける「説得力のある証拠」とは到底いえない。

(4)反論4

請求人は、「本件商標権者(被請求人)が、商標登録第5755624号に係る商標登録異議申立の手続補正書において、「『Rouge』のカタカナによる音訳表記である『ルージュ』が特に『口紅』を意味する言葉として我が国においても定着し広く使用されている言葉である」と、自ら主張していることを引用して、「Rouge」、「ルージュ」の文字が口紅を認識させるものであることは明らかであると述べているが、「Rouge」という言葉は多義的な言葉であるから、該語が「口紅」という意味で使用され、認識されているのも一面で正しいが、状況が異なり意味が異なれば、「商品の品質を想起させるような言葉とは認識されない」というのもまた一面において正しいのであるから被請求人の主張に矛盾はない。

5 「化粧品」と非類似の商品について

本件指定商品中、「化粧品」と非類似の商品である「洗濯用漂白剤その他の洗濯用剤,洗浄剤(煙突用化学洗浄剤を除く。),つや出し剤及び油脂除去剤,洗浄剤(煙突用化学洗浄剤を除く。),清浄用油,革用保存剤(ワックス),革用漂白剤,つや出しクリーム,革用クリーム,靴クリーム,靴用のつや出し剤,革用ワックス,靴の縫糸用ろう,香料,薫料,精油,芳香剤,ポプリ,香,ひげそり用せっけん,せっけん類及び歯磨き,歯磨き,せっけん,シャンプー,シャワージェル,浴用ゲル状洗浄剤,つめ用のタトゥーシール,つめ用プロテクター,つけづめキット,すなわち手足用つけづめ及びつけづめ固定用接着剤」に関しては、論じるまでもなく、商品の品質に誤認を生ずるおそれはない。これらの商品は、「口紅,頬紅」とは、商品の使用目的・原材料・外観など商品の特性を著しく異にするものであり、いわゆる「関連性のない商品」であり、品質の誤認が生じる余地がないためである。

6 結語

以上詳述したとおり、本件商標は、その指定商品中「口紅,頬紅」以外の商品に使用したとしても、商品の品質の誤認を生じさせるおそれはないから、商標法第4条第1項第16号には該当せず、本件審判請求は理由がない。

第4 当審の判断

1 商標法第4条第1項第16号該当性について

(1)本件商標について

本件商標は、前記第1のとおり、「Orage Rouge」と欧文字で横書きしてなるものであるところ、その構成中の「Orage」の文字は、我が国において最も多く使用されている外国語である英語の成語にはないが、相当程度親しまれているフランス語では、「雷雨、にわか雨、激怒、激動」等の意味を有する語である。また、後半の「Rouge」の文字は、「紅、口紅、ほお紅」を意味する英語の成語である一方、前半の「Orage」の文字がフランス語と目されることと、「Rouge」の文字自体が、我が国において「赤い、赤くなった、赤熱した、共産主義の、口紅」を意味するフランス語としても親しまれていること、そして、本件指定商品に含まれる化粧品を取り扱う業界においては、フランス語の文字が商標として多く採択使用されている事情にかんがみれば、本件商標に接する取引者、需要者は、商標全体としてフランス語の文字からなるものと認識、理解するとみるのが相当である。

そして、本件商標の構成各文字は、いずれも同じ書体で外観上まとまりよく一体的に表されており、また、全体の構成文字より生ずると認められる「オラジュルージュ」の称呼も、よどみなく一連に称呼し得るものである。

そうすると、たとえ本件商標の構成中「Rouge」の文字が、「口紅、頬紅」等を表示するものとして、化粧品関係の分野で使用されていることがあったとしても、かかる構成にあっては、特定の商品又は商品の品質、用途等を具体的に表示するものとして直ちに理解できるものとはいい難いことから、構成全体をもって一体不可分のものと認識、把握し、取引に当たるものとみるのが相当である。

してみれば、本件商標は、一体不可分の一種の造語として認識、把握されるものであるから、ことさら、その構成中の「Rouge」の文字部分に着目して「口紅、頬紅」を認識することはないというべきであり、いずれの指定商品に使用しても商品の品質の誤認を生じるおそれはないというべきである。

(2)請求人の主張について

請求人は、「Rouge」又は「ルージュ」の文字は、化粧品業界において、「口紅」を意味するものとして使用され、また、構成中に該文字を含む多くの登録商標が指定商品を「口紅、頬紅」に限定している旨主張している。

しかしながら、上記(1)のとおり、本件商標については、全体としてフランス語の文字からなる一体的なものとみるのが相当であり、フランス語における「Rouge」の語には、「赤い、赤くなった、赤熱した、共産主義の、口紅」等の意味を有することから、常に「口紅」を意味するものと認識されるとはいえない。また、請求人が掲げる登録商標以外にも「Rouge」又は「ルージュ」の文字を構成中に有する登録商標が多く存在しており、それらは、指定商品を特に「口紅、頬紅」に限定することなく登録されていることからすれば、請求人の掲げる登録例をもって直ちに化粧品業界の実情を反映するものであるとまではいえないから、請求人の主張は採用することができない。

(3)小括

以上によれば、本件商標をその指定商品に使用しても、商品の品質の誤認を生じるおそれはないものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に該当しない。

2 まとめ

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第16号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすることができない。

よって、結論のとおり審決する。

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