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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2016−685017(T2016−685017/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

国際登録第1237821号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件国際登録第1237821号商標(以下「本件商標」という。)は、「AGOUR」の欧文字を書してなり、2014年4月30日にFranceにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2014年(平成26年)10月29日に国際商標登録出願、第29類、第30類、第35類及び第42類に属する別掲1のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成28年5月27日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、本件登録異議申立ての理由として引用する登録商標は、以下の4件であり、いずれも現に有効に存続しているものである(以下、これらをまとめていうときは「引用商標」という。)。

(1)登録第2285781号商標(以下「引用商標1」という。)は、「SAINT AGUR」の欧文字を書してなり、昭和63年12月27日登録出願、第31類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、平成2年11月30日に設定登録され、その後、同12年9月27日に指定商品を第29類「食用油脂,乳製品」とする指定商品の書換登録がされたものである。

(2)登録第4016238号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成元年6月16日に登録出願、第31類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同9年6月20日に設定登録され、その後、同19年11月21日に指定商品を第29類「フランス製の乳製品」とする指定商品の書換登録がされたものである。

(3)登録第4071101号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成6年4月26日に登録出願、第29類「乳製品」を指定商品として、同9年10月17日に設定登録されたものである。

(4)国際登録第991309号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲4のとおりの構成からなり、2008年(平成20年)7月11日にFranceにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2009年(平成21年)1月9日に国際商標登録出願、第29類「Blue cheeses.」を指定商品として、平成22年5月14日に設定登録されたものである。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は、その指定商品及び指定役務中、第29類「Dairy products;cheeses;cheese−based food preparations.」、第35類「Retail and whole sale of dairy products,cheeses,cheese−based food preparations,edible oils and fats;procurement services for others(purchasing dairy products and dairy ingredients for other businesses).」及び第42類「Research and development of new dairy products and dairy ingredients for others.」について、商標法第4条第1項第11号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第17号証を提出した。

(1)本件商標について

本件商標は、欧文字「AGOUR」を左横書きした構成からなるものである(甲1)。

本件商標の権利者であるINDARKIがフランス企業であること、及び本件異議申立の対象となる商品は主に「チーズ」を中心とする「乳製品」であり、当該商品分野においてはフランス語が一般的に使用されていることから、本件商標はフランス語読みされ、「アグール」の称呼が生じる。また、本件商標は何ら特定の観念を生じない造語から構成される。

(2)引用商標について

引用商標1は、欧文字「SAINT AGUR」を左横書きにした構成からなるものである(甲2)。

引用商標2は、八角形の図形の4ヶ所に、欧文字「SAINT」と欧文字「AGUR」を上下二段に書したものを配置した構成からなるものである(甲3)。

引用商標3は、八角形の図形の4ヶ所に、欧文字「SAINT」と欧文字「AGUR」を上下二段に赤色で表した構成からなるものである(甲4)。

引用商標4は、六角柱の形状の箱の上に欧文字「Frais Plaisir」、欧文字「Saint」及び欧文字「Agur」を上下三段に表した構成(「Frais Plaisir」部分は緑色、「Saint」部分及び「Agur」部分は赤色で表されている。)からなるものである(甲5)。

引用商標2ないし4において「Agur」の部分のみが大きく目立つような態様で表されており、外観上分離して観察され得ることから、これらの商標は、全体のみならず、「Agur」部分単独でも自他商品等識別力を発揮し得る。

また、引用商標を所有する申立人は、「チーズ」等の商品について「ST MORET」(甲6ないし甲8)、「SAINT−ALBRAY」(甲9及び甲10)、「SAINT AUBIN」(甲11)、「SAINT AMOUR」(甲12)等、「SAINT」又はその略称である「ST」(甲13)を含む商標を多数所有しており、これらの商標を付した「チーズ」を販売してきた(甲14ないし甲16)。

また、フランス産の「チーズ」の分野においては、「Saint−nectaire(サン・ネクテール)」、「Sainte−Maure−de−Touraine(サント・モール・ド・トゥレーヌ)」等、フランス語で「聖...」を意味する「SAINT(サン)」又は「SAINTE(サント)」の語(甲13)、又はその略称である「ST」を含む商標が使用されることが多い(甲17)。

このように、「SAINT」という語は、「乳製品」、特に「チーズ」との関連で一般的に使用されている既成語であるのに対し、「AGUR」は造語である。

したがって、引用商標からは、その全体から称呼のみならず、「AGUR」部分をフランス語読みした「アギュール」又は「アグール」の称呼も生じ得る。

(3)本件商標と引用商標との比較

ア 外観について

本件商標の外観と引用商標1及び2を構成する「AGUR」の外観とを比較するところ、両者の相違点は、3文字目の「O」の有無のみである。

また、本件商標の外観と引用商標3及び4を構成する「Agur」の外観とを比較するところ、両者の相違点は、上記に加え、2文字目以降が大文字か小文字かのみである。

両商標は、中間の一文字において相違するのみであり、他の文字において共通するものであるから、その外観において紛らわしい類似の商標であるといえる。

イ 観念について

本件商標と引用商標を構成する「AGUR」又は「Agur」は、共に何ら観念の生じない造語から構成されるものであるから、観念において両商標を比較することはできない。

ウ 称呼について

本件商標から生じ得る「アグール」の称呼と引用商標から生じ得る「アギュール」又は「アグール」の称呼を比較すると、「グ」と「ギュ」の音は相互に近似する音であるから、両称呼が同一又は類似であることは明らかである。

エ 本件商標と引用商標の類否

本件商標と引用商標は、外観及び称呼においても類似しており、両商標は相互に類似する商標である。

(4)指定商品について

本件商標の指定商品及び役務と引用商標の指定商品及び役務は同一又は類似するものである。

(5)むすび

以上より、本件商標は、商標法第4条1項第11号に該当する。

4 当審の判断

(1)本件商標について

本件商標は、前記1のとおり、「AGOUR」の文字を書してなるところ、該文字は、一般の辞書等に載録されていないものであるから、特定の意味を有しない一種の造語として認識されるものである。

そして、一般的に、特定の意味を有しない欧文字からなる造語にあっては、我が国において親しまれた外国語である英語読みをもって称呼される場合が少なくないといえること、また、本件申立てに係る指定商品を取り扱う分野においては、フランス語も比較的多く使用されていることから、本件商標は、英語読みの「アグアー」及びフランス語読みの「アグール」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものとみるのが相当である。

(2)引用商標について

ア 引用商標1は、前記2(1)のとおり、「SAINT AGUR」の文字を、同じ書体、同じ大きさでまとまりよく表してなるものである。

そして、その構成中、「SAINT」の文字は、「聖人、聖者、聖・・・」等の意味を有する英語及びフランス語(株式会社小学館「プログレッシブ英和中辞典第4版」、株式会社旺文社「ロワイヤル仏和辞典」)であり、その英語読みである「セント」やそのフランス語読みである「サン」の文字とともに、我が国において比較的親しまれているものであるが、「AGUR」の文字は、一般の辞書等に載録されていないないものであるから、特定の意味を有しない一種の造語として認識されるものである。

そうすると、引用商標1は、特定の観念を生じないものである。

また、引用商標1は、我が国において親しまれた英語読みに倣い、「セントアグア」の称呼を生じ、引用商標1の指定商品である乳製品を取り扱う分野においては、フランス語も比較的多く使用されていることから、フランス語読みの「サンタギュール」及び「サンタグール」の称呼をも生じるものというのが相当である。

イ 引用商標2は、別掲2のとおり、正八角形の中央に模様が描かれた図形を配し、その周りに、「SAINT」の文字を小さく、「AGUR」の文字を大きく、二段に書した台形の図形と、黒色の台形の図形を交互に配した構成からなり、その構成中、4ヶ所に表示された「SAINT AGUR」の文字部分は、いずれも同じ書体、同じ色彩で、各台形の図形内にまとまりよく一体感のある構成態様で表されているものである。

そして、引用商標3は、別掲3のとおり、正八角形の中央に建物と思しきものが描かれた図形を配し、その周りに、「Saint」の文字を小さく、「Agur」の文字を大きく、赤字で二段に書したクリーム色の台形の図形と、深緑色の台形の図形を交互に配した構成からなり、その構成中、4ヶ所に表示された「Saint Agur」の文字部分は、いずれも同じ書体、同じ赤系の色彩で、各台形の図形内にまとまりよく一体感のある構成態様で表されているものである。

また、引用商標2の構成中、4ヶ所に表示された「SAINT AGUR」の文字部分は、引用商標1と同一の構成文字であり、引用商標3の構成中、4ヶ所に表示された「Saint Agur」の文字部分は、引用商標1の構成文字を「S」及び「A」以外小文字で表した同一の文字からなるものであるから、引用商標1と同様の理由により、これらからは、「セントアグア」、「サンタギュール」及び「サンタグール」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

ウ 引用商標4は、別掲4のとおり、クリーム色と緑色で彩色した立体的な六角柱の包装用箱の図形であり、その上面には、上部に、緑色の「Frais Plaisir」の文字を表し、その下に、緑色で極めて小さく「de」の文字を表し、中央に、赤系の色でまとまりよく一体感のある構成態様で大きく「Saint」及び「Agur」の文字を二段に表し、さらにその右下に、白色で小さく二段に表した「FROMAGE」及び「AU BLUE」の文字と商品の写真を配してなり、その側面には、上面と同様の「Saint」及び「Agur」の文字や商品の写真等を配してなるものである。

そして、引用商標4の「FROMAGE AU BLUE」の文字部分は、「ブルーチーズ」のフランス語表記であり、その指定商品が「Blue cheeses.」(ブルーチーズ)であることからすれば、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものである。

また、引用商標4の構成中、「Frais Plaisir」の文字部分は、「Frais」の文字が「新鮮な」等の意味を、「Plaisir」の文字が「楽しみ」等の意味を有するフランス語(いずれも、株式会社旺文社「ロワイヤル仏和辞典」)であることから、フランス語読みの「フレプレジール」の称呼を生じるものの、我が国におけるフランス語の普及の程度からすれば、特定の意味合いを生ずることのない造語として把握されるとみるのが相当である。

さらに、「de」の文字は、フランス語の冠詞として知られているものであるが、「Saint Agur」の文字部分は、引用商標1の構成文字を「S」及び「A」以外小文字で表した同一の文字からなるものであり、引用商標4を構成する他の文字がフランス語であることからすれば、「Saint Agur」の文字部分からは、引用商標1と同様のフランス語読みの「サンタギュール」及び「サンタグール」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

そうすると、引用商標4は、「Frais Plaisir」、「de」及び「Saint Agur」の文字部分から、フランス語読みの「フレプレジールドサンタギュール」又は「フレプレジールドサンタグール」の一連の称呼のほか、「Frais Plaisir」及び「Saint Agur」の文字部分に相応して、それぞれ「フレプレジール」、「サンタギュール」及び「サンタグール」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものというべきである。

エ 請求人は、「SAINT」という語は、フランス産の「チーズ」の分野において一般的に使用されている既成語であるから、引用商標からは、「AGUR」の文字部分をフランス語読みした「アギュール」又は「アグール」の称呼も生じ得る旨述べている。

しかしながら、申立人の証拠から、我が国において、「SAINT」、その略称である「St」、その読みである「サン」、「サント」の文字を冠した商品名の「チーズ」が取り扱われている事実が把握できるとしても、商品「チーズ」との関係において、殊更「SAINT」等の文字を捨象すべき特段の事情は見いだせない。

(3)本件商標と引用商標の類否について

ア 本件商標と引用商標1とを比較すると、外観については、本件商標は、「AGOUR」の文字からなるものであるのに対し、引用商標1は、「SAINT AGUR」の文字からなるものであり、両商標は、構成各文字が明らかに相違するものであるから、明確に区別できるものである。

また、称呼については、本件商標から生じる「アグール」の称呼と、引用商標1から生じる「セントアグア」、「サンタギュール」又は「サンタグール」の称呼とは、構成音及び構成音数において明らかな差異を有するから、相紛れるおそれはないものである。

さらに、観念については、本件商標と引用商標1は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、両者は比較することができず、類似するとはいえないものである。

そうすると、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。

イ 本件商標と引用商標2及び引用商標3とを比較すると、外観については、本件商標は、「AGOUR」の文字からなるものであるのに対し、引用商標2及び引用商標3は、別掲2及び3のとおりのものであるから、構成文字及び構成態様が明らかに相違し、両商標は明確に区別できるものである。

そして、本件商標と引用商標2及び引用商標3の「SAINT AGUR」又は「Saint Agur」の文字部分をみても、構成各文字が明らかに相違するものであるから、外観上明確に区別できるものである。

また、称呼及び観念については、上記アと同様の理由により、両商標は、相紛れるおそれはない。

そうすると、本件商標と引用商標2及び引用商標3とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。

ウ 本件商標と引用商標4とを比較すると、外観については、本件商標は、「AGOUR」の文字からなるものであるのに対し、引用商標4は、別掲4のとおりのものであるから、構成文字及び構成態様が明らかに相違し、両商標は、明確に区別できるものである。

そして、本件商標と引用商標4の「Saint Agur」の文字部分をみても、構成各文字が明らかに相違するものであるから、外観上明確に区別できるものである。

また、称呼については、本件商標から生じる「アグール」の称呼と、引用商標4から生じる「フレプレジールドサンタギュール」、「フレプレジールドサンタグール」、「フレプレジール」、「サンタギュール」及び「サンタグール」の称呼とは、構成音及び構成音数が著しく異なるものであるから、相紛れるおそれはない。

さらに、観念については、上記アと同様の理由により、両商標は、相紛れるおそれはない。

そうすると、本件商標と引用商標4とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標というのが相当である。

エ したがって、本件商標は、引用商標とは非類似の商標であるから、本件商標の申立てに係る指定商品及び指定役務と引用商標の指定商品の類否について判断するまでもなく、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(4)まとめ

以上のとおり、本件商標は、第29類「Dairy products;cheeses;cheese−based food preparations.」、第35類「Retail and whole sale of dairy products,cheeses,cheese−based food preparations,edible oils and fats;procurement services for others(purchasing dairy products and dairy ingredients for other businesses).」及び第42類「Research and development of new dairy products and dairy ingredients for others.」について、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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