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Trademark Appeal Case

品質・数量表示の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2016−11965(T2016−11965/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「1ポンドステーキ」の文字を標準文字で表してなり、第29類「カナダ産牛肉」を指定商品として、平成27年9月15日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における同年12月29日付けの手続補正書により、第29類「カナダ産牛リブロース」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由(要点)

原査定は、「本願商標は、『1ポンドステーキ』の文字を標準文字で書してなるところ、その構成中の『1ポンド』の文字は、『ヤード−ポンド法での質量の単位。約453.6グラム。』の重さを表し、『ステーキ』の文字は、『肉や魚の厚めの切り身を焼いた料理。特に、ビーフ−ステーキの略。』を指称するものであり、他人の使用例に鑑みれば、その指定商品との関係において、『1ポンドのカナダ産ステーキ(牛のリブロース)』ほどの意味合いを無理なく看取させるものといえる。そうすると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、商品の品質を表示したものと認識するにすぎないから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、1ポンドのステーキ用以外の指定商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当する。また、出願人は、商標法第3条第2項の適用を主張し資料を提出しているところ、出願人の使用に係る標章と本願商標とは、その構成を異にし、その他出願人の主張及び提出に係る資料を総合してみても、本願商標が自他商品識別標識としての機能を有するものとは認められない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審においてした証拠調べ

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲1及び2のとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成28年10月21日付け証拠調べ通知書によって該事実を開示し、期間を指定して、これに対する意見を求めた。

4 証拠調べに対する請求人の意見(要点)

証拠調べ通知書で提示された証拠は、「ポンド」又は「1ポンドステーキ」の文字が「宮崎牛サーロインブロック」(別掲1(1))や「アメリカ産牛肉(ロース)」(別掲2(1))等に使用されたものであり、本願の指定商品「カナダ産牛リブロース」について使用されたものではない。

本願の指定商品について「1ポンドステーキ」の文字を使用しているのは、請求人のみである。

5 当審の判断

(1)商標法第3条第1項第3号の該当性について

本願商標は、上記1のとおり「1ポンドステーキ」の文字を標準文字で表してなるものであるから、これは、普通に用いられる方法で表示してなるものである。

そして、その構成中「ポンド」の文字は、「ヤード−ポンド法の質量の単位」であり、「ステーキ」の文字は、「肉や魚の厚めの切り身を焼いた料理。特に、ビーフ−ステーキの略。」の意味を有する語であるから、本願商標は、「1ポンドのステーキ」ほどの意味合いを容易に理解させるものである。

また、「ポンド」の文字は、別掲1のとおり、食肉の重さの単位として使用されている事実があり、別掲2のとおり、「1ポンド」の文字と「ステーキ」の文字とを結合させた「1ポンドステーキ」の文字が、「1ポンドのステーキ用肉」ほどの意味合いで、食肉の品質、用途を認識させるものとして使用されている事実がある。

そして、本願の指定商品は「カナダ産牛リブロース」であるところ、リブロースは、食肉である牛肉の部位の一つ(背中の肩寄りの部分)であって、一般にローストビーフやステーキなどに用いられるものである。

以上からすると、本願商標をその指定商品に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、本願商標から「1ポンドのステーキ用肉」であると容易に理解し、認識するにとどまるとみるのが相当である。

したがって、本願商標は、商品の品質、用途を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)商標法第3条第2項の該当性について

請求人は、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとしても、同条第2項に該当し、登録されるべきものである旨主張している。

ア 商標法第3条第2項について

商標法第3条は、同条第1項第1号ないし第6号に該当する商標については、商標登録できない旨の規定である。

そして、商標法第3条第2項は、同条第1項第3号から第5号に該当する商標に対する例外として、「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの」は商標登録を受けることができる旨を規定している。その趣旨は、特定人が当該商標をその業務に係る商品の自他識別標識として長期間継続的かつ独占的に使用し、宣伝もしてきたような場合には、当該商標は例外的に自他商品識別力を獲得したものということができる上に、他の事業者に対してその使用の機会を開放しておかなければならない公益上の要請は乏しいということができるから、当該商標の登録を認めるというものであると解される(知的財産高等裁判所平成18年(行ケ)第10441号判決 判決日 平成19年3月29日参照)。

そこで、以上の観点を踏まえて、本願商標が商標法第3条第2項に該当するか否かについて検討する。

イ 本願商標の商標法第3条第2項の該当性について

(ア)商標の使用について

a 商標の同一性について

請求人の使用する商標は、「1ポンドステーキ」の文字を一般的に用いられる書体で表してなるものであり、取引者又は需要者の注意をひく特徴を有せず、本願商標の書体とも近似しているものである(甲1、甲9、甲14、甲28、甲29、甲32)から、本願商標と請求人の使用する商標とは外観において同一性を有するといえる。

b 商品の同一性について

請求人の本願商標を使用する商品は、日本ではリブロースと呼ばれる部位で、肩ロースからサーロインと続くロースの真ん中の部分であり、ステーキやローストビーフに最高の部位とされるもので、かつ、カナダ産のものであるから(甲14)、本願の指定商品と請求人が本願商標を使用する商品とは同一のものといえる。

したがって、請求人は、本願商標を本願の指定商品について使用しているといえる。

(イ)商標の使用状況に関する事実について

a 使用開始時期及び使用期間

本願商標の使用開始時期は、提出された全ての証拠をもってしても、請求人のいう2008年10月とは特定できない。しかしながら、請求人が本願商標を使用した商品をインターネットモールの「カナダビーフ館」(甲1、甲28)及びバーベキューグッズ通販サイトの「BBQ WONDERLAND」(甲29)で販売していること、また、その間の2012年9月に当該商品が漫画家の気に入りの商品として週刊文春で紹介されたこと(甲3)、2015年に楽天市場の「牛肉部門」で「グルメ大賞」に選出されたこと(甲35)、2016年8月にカナダビーフ国際機構(甲38)から表彰(甲37)を受けたことから、請求人は数年間にわたり、本願商標を使用した商品を通信販売していることがうかがえる。

b 商品の販売数及び市場占有率等

請求人は、本願商標を使用した商品の2009年1月ないし2015年11月の「カナダリブロース『1ポンドステーキ』の仕入れ枚数」を示すグラフ(甲12(1頁目))を提出しているが、これは仕入れた枚数を示すものであって本願商標を使用した商品の販売枚数を示すものではないが、仮に当該グラフが、本願商標を使用した商品の販売枚数を示すものであったとしても、食肉市場全体における市場占有率が不明である。

また、「都道府県別1年間の『1ポンドステーキ』の売上枚数のグラフ」(甲12(2頁目))も提出されているが、集計期間も食肉市場全体における市場占有率も不明である。

c 広告宣伝等の方法、期間、地域及び規模

請求人は、本願商標を使用した商品のペイパークリック広告(インターネット広告のうち、広告のリンクがクリックされた回数にしたがって報酬が発生するタイプの広告)を行っていることがうかがえる(甲30)。

しかしながら、その広告期間や広告がクリックされた回数等の実績が不明である。

なお、「楽天カナダビーフ館(株式会社ビーフアイ)『1ポンドステーキ』ページへのアクセス数」(甲12(3頁目))は、2014年12月ないし2015年1月の1年間に、請求人の運営する楽天市場のカナダビーフ館のウェブサイト(甲1)へ187,599回(1日あたり約500回)のアクセスがあったことを示すものと思われるが、該ウェブサイトへのアクセス数の多寡について、比較すべき客観的な証拠を見いだせないため、請求人の本願商標を使用した商品が、他の事業者が取り扱う食肉に比べて多数の需要者の目に触れる状況にあったともいえない。

また、請求人の本願商標を使用した商品が掲載されたチラシ(甲9(5頁目〜7頁目)、甲11)は、その頒布部数、頒布時期等が明らかではない。

さらに、請求人の本願商標を使用した商品が掲載された雑誌広告(甲4)は、発行年月日及び発行部数が明らかではなく、雑誌記事(甲5)では、バーベキュー用の肉を買えるウェブサイトとして「カナダビーフ館」が紹介され、その品ぞろえの一つとして「1ポンドステーキ」が挙げられているにすぎないから、これらをもって請求人が本願商標を使用した商品の広告宣伝を大規模に行っているとはいえない。

そして、「出願人のメディア掲載履歴(「カナダビーフ館」のホームページ)」(甲15)によれば、カナダビーフ館館長が2012年10月20日ないし2014年8月24日の間に放映(開催)されたテレビ放送、ラジオ放送及び催しに出演したことがうかがえるが、放送内容等が明らかにされておらず、請求人の本願商標を使用した商品が取り上げられたか否かを確認することができない。

d 請求人以外の事業者による本願商標と同一又は類似する文字の使用の有無及び使用状況

別掲2のとおり、請求人以外の事業者によって、「1ポンドステーキ」の文字が、「1ポンドのステーキ用肉」ほどの意味合いで、食肉の品質、用途を認識させるものとして使用されている事実がある。

(ウ)判断

上記(ア)及び(イ)からすると、「1ポンドステーキ」の文字が、請求人以外の事業者によって、食肉の品質、用途を認識させるものとして使用されている事実があり、また、請求人が本願商標を使用した商品をインターネットモールの「カナダビーフ館」で数年間にわたり販売し、広告宣伝等していることは認められるものの、本願商標を使用した請求人の商品の我が国における販売枚数、市場占有率等が不明であって、広告宣伝の詳細も明らかではないから、請求人が提出した証拠からは、本願商標は、請求人に「使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるもの」に至っているとまでは認めることはできない。

そうすると、本願商標は「例外的に自他商品識別力を獲得したもの」ということができず、「他の事業者に対してその使用の機会を開放しておかなければならない公益上の要請は乏しい」ということもできない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第2項に該当しない。

(3)請求人の主張について

請求人は、請求人は本願商標を指定商品について、楽天市場の「カナダビーフ館」で使用しており、その結果、本願商標は、上記(2)(イ)aのとおり、2015年に楽天市場の「牛肉部門」で「グルメ大賞」に選出(甲35)されるほど全国的な知名度を獲得しており、2016年8月にカナダビーフ国際機構(甲38)から表彰(甲37)を受けたことから、カナダビーフ業界において請求人の会社名(株式会社フーズアイ)と本願商標は認識されている旨主張する。

しかしながら、たとえ本願商標が、通信販売において「カナダ産牛リブロース」に使用され、楽天市場の通信販売に係る「牛肉」の需要者において、請求人に係る商標として相当程度知られているとしても、通信販売以外の一般のスーパーマーケットなどにおける販売も含めた、我が国における牛肉市場ひいては食肉市場全体における、本願商標を使用した商品の市場占有率は、上記(2)(イ)bのとおり、明らかではない。

したがって、請求人の主張には、いずれも、食肉市場全体を対象とした、他人と比較できる数的根拠となる証拠の提出がないから、採用することができない。

なお、請求人は、「1ポンドステーキ」(又は「ポンド」)の語で検索すると、請求人及びカナダビーフ館のサイトが表示される旨を主張し、その検索結果の1頁目を提出している(甲7、甲17、甲39、甲40、甲41)。

確かに、検索結果には、「株式会社フーズアイ」、「(株)フーズアイ」及び「カナダビーフ館」の文字が表示されていることが認められる。しかしながら、当該検索結果は、国内において流通量の少ない「カナダビーフ」、「カナダ産牛肉」又は「カナダ産牛リブロース」を検索対象語に加えた条件を限定した上での検索結果であって、食肉全体(カナダ産以外の産地の牛肉、豚肉、鶏肉などを含む。)における本願商標を使用した請求人の商品の周知度が他の事業者と比較して高いということを示すものではない。

(4)まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、かつ、同法第3条第2項に該当するものではないから、登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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