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Trademark Appeal Case

指定役務での使用立証

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2016−300058(T2016−300058/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4827050号商標の商標登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4827050号商標(以下「本件商標」という。)は、「TMF」の欧文字を標準文字で表してなり、平成16年5月7日に登録出願、第36類「生命保険契約の締結の媒介,生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険の引受け,保険料率の算出,生命保険及び損害保険についての相談,保険情報の提供,金融情報の提供,財務情報の提供,預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,投資信託の引受け,金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定著物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,遺言信託の引受け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,割賦購入あっせん,前払い式証票の発行,ガス料金又は電気料金の徴収の代行,ガス料金又は電気料金の支払の取次ぎ,クレジットカードの発行の取次ぎ,クレジットカードの利用者に代わってする支払代金の清算,有価証券の売買,有価証券指数等先物取引,有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引,有価証券の売買・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の売買取引・有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,株式市況に関する情報の提供,有価証券に係る投資顧問契約に基づき口頭・文章及びその他の方法により行う助言,商品市場における先物取引の受託,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供,建物又は土地の管理・賃貸・売買に関する相談,土地の有効活用に関する企画及び指導,骨董品の評価,美術品の評価,宝玉の評価,中古自動車の評価,企業の信用に関する調査,税金に関する情報の提供,慈善のための募金,紙幣・硬貨計算機の貸与,現金支払機・現金自動預け払い機の貸与」を指定役務として、同年12月17日に設定登録されたものである。

なお、本件審判の請求の登録は、同28年2月15日にされており、商標法第50条第2項に規定する「審判の請求の登録前3年以内」とは、同25年2月15日ないし同28年2月14日である(以下「要証期間」という場合がある。)。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書、審判事件弁駁書及び口頭審理陳述要領書及び上申書において、その理由等を要旨次のように述べ、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、その指定役務について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁

(1)指定役務についての未使用

被請求人は、本件商標が通常使用権者により使用されていると主張し、同人のホームページの打ち出し(乙5)を提出している。しかるに、ホームページに掲載されている写真の中に「TMF(HK)」の文字があるが、この文字は本件商標の指定役務との何らの関連性が見出せない。

また、旧ホームページ(乙9)とされているものにおいても「TMF(HK)」の文字と本件商標の指定役務との関連性が見出せず、本件商標が指定役務に自他役務識別標識として使用されていたことを何ら立証するものではない。

(2)本件取消審判の予告登録前三年以内の未使用

乙第5号証は要証期間内のものではない。したがって、本件取消審判の予告登録前三年以内の使用が立証されていない。乙第5号証のホームページは平成26年12月31日をもって現在のものに変更されたと主張し、被請求人と通常使用権者とのやり取りのメールを提出しているが、これをもって要証期間内に本件商標がその指定役務に使用されていることを何ら立証するものではない。

また、旧ホームページ(乙9)が要証期間内のものであることを何ら客観的に立証されていない。

(3)日本国内での未使用

通常使用権者のホームページには「弊社は、1953年に当地香港で保険営業をスタートし、各種保険の引受け、クレームサービス、日常生活のご相談等、60年を超える経験・実績を生かし、幅広く皆様方のご要望にお応えしております。又、弊社の貨物保険の取扱高は香港でトップクラスにはいり、S&Pの格付けではAを取得しております。」との記述がある。

また、「医療保険」(乙5)、「海外旅行傷害保険(香港発行証券)」(乙5)、「自動車保険」(乙7)及び「アマチュアゴルファー保険」(乙8)に関する記述、さらに、通常使用権者のホームページ上にはトップメッセージ(甲1)として「当社の2014年の収入保険料はHKD332Mであり、貨物保険分野の総収入保険料は香港損害保険業界でトップクラスに位置します。・・・私ども東京海上香港も、日系の保険会社として日本の製造会社と同様の高い評価を得ることをサービス方針に掲げ、香港での営業活動を行っています。(以下省略)」との記述がある。

以上の記述から、通常使用権者は専ら香港において役務の提供を行なってきたといえる。香港で日本人向けに提供を行なっても日本での使用にならないことは多言を要しない。

なお、上記保険について本件商標が自他役務識別標識として使用されていたことも何ら立証されていないこと、並びに、被請求人も述べるように、「自動車保険」(乙7)及び「アマチュアゴルファー保険」(乙8)は要証期間外のものである。

(4)総括

以上述べたように、被請求人の主張及び提出した証拠方法によっては、本件商標が本件取消審判の予告登録前三年以内に日本国内において通常使用権者によってその請求に係る指定役務に使用していることを立証していない。

3 口頭審理陳述要領書(平成28年10月7日付け)

(1)乙第5号証及び乙第9号証が要証期間内のものであることの立証について

被請求人はホームページを管理する通常使用権者の担当者の証明書(乙12)を提出する。当該証明書は被請求人の子会社の社員一明らかに被請求人側に立っている者が一方的に述べているものであって、何らの裏付けのないものである。したがって、乙第12号証の証明書は乙第5号証及び乙第9号証が要証期間内のものであることを客観的に何ら立証できるものではない。

また、被請求人は、インターネットアーカイブ「WayBack machine」による過去に掲載していたホームページ(乙13及び乙14)を提出している。インターネットアーカイブ「WayBack machine」は公的機関のものでないのでそもそも信憑性に欠ける。

しかも、乙第13号証のホームページは乙第5号証及び乙第9号証のいずれとも異なるので、明らかに、乙第5号証及び乙第9号証が要証期間内のものであることを立証していない。

また、乙第9号証とほぼ同一の体裁とされる乙第14号証は、被請求人も述べるように、明らかに、乙第5号証及び乙第9号証が要証期間内のものであることを立証していない。

「TMF(HK)」が要証期間外の2012年7月30日のホームページに掲載されていたとしても、本件商標はその取消を免れない。

被請求人は、乙第13号証及び乙第14号証により乙第5号証及び乙第9号証が要証期間内のものであることを容易に推認できると主張しているが、以上述べたことから明らかなように、当該事項を客観的に立証はおろか、経験則上も十分に推認することもできない。

(2)指定役務についての未使用

乙第5号証において、「TMF(HK)」上部に表示され、その下に東京海上グループのコミットメント及び東京海上香港のコミットメントが記載され、その更に下に、会社概要、リスクコンサルティング、保険金請求について、各種サービスと共に、保険商品が並んでいる。このような表示方法において、「TMF(HK)」がその指定役務について自他役務識別標識として使用されるとはいえない。乙第5号証は自己の企業内容の見出しを掲載した各企業のホームページの表紙と何ら変わることはない。

乙9号証は「TMF(HK)」が掲載された小冊子の写真が表示されているだけであって、本件商標の指定役務についての何ら言及をしていない。したがって、乙9号証における「TMF(HK)」がその指定役務について自他役務識別標識として使用されるとはいえない。

(3)日本国内での未使用

商標法第50条第1項は日本国内において使用していない場合には登録商標を取り消す旨を規定している。しかるに、被請求人のホームページは日本では提供されない役務に関するものである。何ら役務の提供を伴わないホームページ上での表示によっては決して業務上の信用が商標に化体しないことは明らかである。不使用に基づく取消審判の趣旨が業務上の信用が化体していない不使用商標の排除にある以上、上記ホームページ上での表示は商標法第2条第3項第8号に該当しない。

(4)乙第7号証及び乙第8号証のパンフレット

弁駁書の主張に加えて、被請求人のいう付保規制及びその印刷年月からして要証期間内に日本国内で頒布されたとは考えられない。

(5)まとめ

以上述べた如く、本件商標が要証期間内に日本国内において通常使用権者によってその請求に係る指定役務に使用していることを立証していない。

4 上申書(平成28年11月28日付け)

(1)要証期間内の使用が立証されていない

被請求人は乙第10号証の2014年12月にホームページを旧バージョンから現在のものに変更した際のメールを提出している。

しかるに、このメールは被請求人と通常使用権者の間で専らやり取りされたものであって客観性に欠けるものである。また、その内容から通常使用権者のホームページがどのように変更されたかも全く不明であり、この証拠方法は乙第5号証が要証期間内のものであることを何ら立証ないしは推認させるものではない。

乙第12号証は請求人の口頭審理陳述要領書で主張したように、被請求人の子会社の社員「明らかに被請求人側に立っている者」が一方的に述べているものであって、何らの裏付けのないものである。被請求人は、乙第16号証として乙第12号証の証明書が真正なものであることを立証するため公証人の公証がされた宣誓書を提出しているが、公証人はあくまで被請求人の子会社の社員がその面前で宣誓したことを公証するだけであって、宣誓された内容が真実であることまでを公証するものではない。

したがって、公証された宣誓書であっても、乙第5号証が要証期間内のものであることを何ら立証ないしは推認させるものではない。

乙第14号証は、被請求人も述べるように、明らかに、乙第5号証及び乙第9号証が要証期間内のものであることを立証していない。

被請求人はホームページが概ね2〜3年あるいは3〜4年毎に変更するのが一般的であると主張しているが、請求人はこのような事実を不知であり、被請求人はこの事実を証する証拠方法を一切提出していない。したがって、この被請求人の主張は受け入れられないものである。

以上述べたように、これまで提出した証拠方法並びに上申書と共に提出した乙第16号証によっても乙第5号証が要証期間内のものであることを立証はおろか何ら推認すらできない。

(2)日本国内での指定役務についての本件商標の使用が立証されていない

ア 日本国内での役務の提供がない

被請求人が本件商標の使用をする証拠方法として提出した乙第5号証に列挙されている役務は「付保規制」により法律上日本国内において通常使用権者たる香港の保険会社が保険の引受けができないものである。「貨物・運送の保険」の記述があるからといって、この中に「外航貨物海上保険」(国際貨物海上保険)があるとは理解されない。日本国内で引受けでない保険が列挙されていても日本国内での広告がされたとはいえない。この点でも乙第5号証によって本件商標の取消を免れることはできない。

通常使用権者は「付保規制」により、日本国内では、国際海上運送に使用される日本国籍の船舶及びこれにより国際間で運送中の貨物並びにこれらのものから生じる責任のいずれか又はすべてを対象とする保険契約等限られたものしか締結できない。

ここでまず留意すべきは、日本国内においては法律上可能であることが直ちに商標法上日本国内においてその役務に本件商標を使用していることを意味するものではない。

被請求人は日本国内で通常使用権者は日本国内において「国際海上貨物・輸送等の保険の引受け、保険の相談、同保険情報の提供」等を行なっていると主張している。被請求人は乙第22号証として通常使用権者の担当者と三井物産プラスチック株式会社とやり取りしたメールの打ち出しを提出して上記事実を立証しようと試みていると思われる。

しかしながら、まず第一に、このメールは要証期間経過後の2016年8月24日にやり取りされたものである。さらに、このメールからは、要証期間内に通常使用権者が誰を被保険者又は保険契約者としてどのような内容の保険契約の締結(保険の引受け)を日本国内でされたのか全く不明である。 したがって、日本国内において通常使用権者が外航貨物海上保険の引受及び外航貨物海上保険の相談・同保険の情報提供を行なっていることが立証されていない。

イ 日本国内での広告がない

被請求人は乙第5号証に保険商品として「貨物・運送の保険」が掲載してあり、そのホームページの次ページ以降のように記載されていると主張して、乙第21号証のホームページの打ち出しを提出している。

この乙第21号証のホームページには本件商標が掲載されていないので、これ自体では本件商標の使用を立証できるものではない。

本件商標が、要証期間内に、「外航貨物海上保険」(国際貨物海上保険)の引受けが日本に所在する企業に対して通常使用権者によって行われたこと、並びに、日本国内で広告されていたこは立証されていない。

通常使用権者が保険を引き受けた者への日本における対応は役務の使用とはなり得ない。

被請求人は、香港で通常使用権者によって保険を引き受けられた被保険者が日本滞在中に自動車事故やゴルフ事故等についての保険の相談、損害保険の査定、保険情報の提供を日本国内で行なっていると主張している。

しかるに、被請求人は通常使用権者が日本国内にいる被保険者に保険の相談、その損害保険の査定、保険情報の提供を電話、メール等で行っていること又は日本に出向いて対応していることを何ら立証していない。

(3)自他役務識別標識としての使用が立証されていない(指定役務について使用されていない)

乙第9号証においては、「TMF(HK)」が掲載された小冊子の写真が表示されているだけであって、本件商標の指定役務についての何ら言及をしていない。

したがって、乙9号証における「TMF(HK)」が役務について自他役務識別標識として使用されるとはいえない。

また、乙第5号証においても、口頭審理陳述要領書で詳述したような構成からして、「TMF(HK)」がそこに列挙されている役務について他役務識別標識として使用されるとは考えられない。

第3 被請求人の主張

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、と答弁し、その理由を答弁書、口頭審理陳述要領書及び上申書において要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第22号証を提出した。

1 答弁の理由

(1)本件商標の使用の事実

本件商標は、被請求人(商標権者)の通常使用権者である東京海上火災保険(香港)有限公司により、要証期間内に日本国内において、その指定役務中、第36類「生命保険の引受け,損害保険の引受け」など各種保険の引受け等(以下「使用役務」という場合がある。)に使用されている。

ア 通常使用権者「東京海上火災保険(香港)有限公司」について

被請求人の通常使用権者である「東京海上火災保険(香港)有限公司」が本件商標を使用している。

なお、使用権者は、被請求人との間で通常使用権許諾契約書などの文書による契約書は取り交わしているものではないが、使用権者は、被請求人の数あるグループ会社のうちの一社であり、このような関係にある場合、文書による契約書等がなくとも、黙示の合意等により、通常使用権者として認められることは、幾多の審決例でも示されている(乙2、乙3)。

イ 使用権者による本件商標「TMF」の使用について

使用権者は、そのホームページに本件商標「TMF」を使用している(乙5)。

ホームページの左上には「東京海上グループ」を表す図形マークと「TOKIO MARINE」の文字を配し、その右に「東京海上火災保険(香港)有限公司/The Tokio Marine and Fire Insurance Co.(HK)Ltd.」の各文字が記載されている。

そして、その下の横長長方形枠内に「鳥が羽ばたく図形」と共に「To be a 」と「Good Company」の欧文字とを二段に横書きし、その下に本件商標「TMF(HK)」の欧文字を横書きしている。

したがって、商標「To be a Good Company」の下段に記載された「TMF(HK)」の文字自体は、「To be a Good Company」と一体不可分ではなく、独立して商標としての機能を果たしているものである。

一方、使用商標は「TMF(HK)」であり、厳密にいえば本件商標「TMF」とはその構成態様が同一のものではない。

しかしながら、「HK」の文字部分は、括弧の中に記載され、「TMF」の文字部分とは分離されているばかりでなく、「HK」は識別性のない地名としての「香港」の略称を表すものといえるから、このような態様の商標については、括弧書きにより分離された「HK」の文字部分を捨象し、「TMF」の文字部分も独立して商標としての機能を果たすものということができる。

そうすると、使用商標である上記「TMF(HK)」の欧文字部分は、本件商標「TMF」と社会通念上同一の商標ということができ、よって、「TMF(HK)」の使用は本件商標と社会通念上同一の商標の使用というべきである。

ウ 本件商標の使用役務について

使用権者のホームページ(乙5)からも明らかなとおり、使用権者は、各種保険に係る業務を行っている会社である。

このことは、乙第5号証中の使用権者の「会社概要」によれば、「弊社は、1953年に当地香港で保険事業をスタートし、各種保険の引受け、クレームサービス、・・・中略・・・ご要望にお応えしております。また、弊社の貨物保険の取扱高では香港ではトップクラスに入り、S&Pの格付けではAを取得しております。」と記載されているから、第36類「各種保険の引受け,貨物保険」等の保険に係る役務を行っていることは明らかである。

また、他のページには、「主な保険商品のご案内」として、「法定保険」、「パッケージの保険」、「貨物・運送の保険」、「工事の保険」、「医療の保険」、「取引信用保険」など各種保険を取り扱っていることが窺うことができる。

そうすると、上記の行為は、使用役務を内容とする情報に、標章(本件商標)を付して電磁的方法により、提供する行為に該当するから、使用権者は、本件商標を使用役務について使用しているといえるものである。

エ 国内での使用であること

使用権者は被請求人の海外グループ会社であり香港を拠点とするものであるが、日本のユーザーにも各種保険の引受け等のサービスを提供しており、そのために日本語のホームページを作成しているのである。

日本のユーザーを対象としていることは、例えば、乙第5号証中、「医療保険」のページに、「日本の海外旅行保険の利便性をそのまま香港に滞在される日本人駐在員及びそのご家族向けに提供している医療保険です。」との記載があり、特に香港に赴任する日本人向けに保険の引受け等の広告を行っている。

また、日本語の「自動車保険」のパンフレット(乙7)、及び「アマチュアゴルファー保険」のパンフレット(乙8)を作成し、国内ユーザーに対して頒布していたので、要証期間外の発行のものではあるが、継続して頒布されている資料であるので、これらのパンフレットも証拠として提出する。

以上のとおり、日本のユーザーを対象とし、日本語によるホームページにおいて、本件商標を使用役務に使用していたのであり、また、以前から日本語の「自動車保険」、「アマチュアゴルファー保険」のパンフレットを頒布していたのであるから、日本国内において本件商標を使用していることは明らかである。

オ 使用時期について

乙第5号証のホームページ中、本件商標の使用箇所をプリントアウトした日付け、「平成28年4月13日」であるから、要証期間経過後のものであることは否定できない。

しかしながら、乙第5号証のホームページは、2014年(平成26年)12月31日をもって現在の新しいものと替えたものである。

すなわち、2014年(平成26年)12月31日に、旧ホームページに使用されていた「Credo」「TMF(HK)」から、「To be a Good Company」「TMF(HK)」に替えたものであって、以下、その経緯を示したメール等を証拠として提出する。

(ア)旧ホームページ(ウェブページ)に使用していた「Credo」及び「TMF(HK)」(乙9)

乙第9号証は、現在のホームページの体裁とほぼ同じであるが、横長長方形の枠内には、パンフレットのような図形内に「Credo」と「TMF(HK)」の各欧文字が二段に横書きされている。

そして、日本語で「クレドとは、ラテンで信条、約束、志を意味します。・・・(以下、省略)」と記載されている。

上記の横長長方形の枠内には、「Credo」と「TMF(HK)」の各欧文字が二段に横書きされており、「Credo」と「TMF(HK)」との間には何らの一体性もないから、「TMF(HK)」の文字部分も独立して商標としての機能を果たすものであり、よって、本件商標「TMF」と社会通念上同一の商標を使用していたものといえる。

(イ)ホームページの変更経緯を示すメールについて(乙10)

乙第10号証は、旧ホームページから現在のホームページに替えたことを示すメールである(なお、英文メールの日本語訳は仮訳、かつ要約である。)。

冒頭の2016年4月21日付けメールには以下のように説明がなされている。

「わが社ウェブサイト上のウェブページの『To be a Good Company』のアップデートに関する以下のメールのやりとりをご覧ください。

我々は2014年12月31日以来、『TMF(HK)』の語を伴う写真を使用してきました。『To be a Good Company』にアップデートする前でさえも、我々のウェブページ『Credo』には、『TMF(HK)』語を伴う写真が示されていました。」

以下、内容変更の経緯を時系列に示すと以下のとおりである。

a 2014年12月19日メール(日本語ページのアップデートのお願い)

・「クレド」のワードを削除し、「To be a Good Company」に変更する

b 2014年12月22日メール

「クレド」の部分に「To be a Good Company」を追加すべきことを確認します。

もう一点の変更は、「グランドクレド」の語句を削除し「コミットメント」に変更

c 2014年12月24日メール

その内容でよいことを確認しました。進めてください。

d 2014年12月31日メール

実施の準備、実施日は2014年12月31日

以上のとおり、2014年12月31日をもって旧ホームページ上の「Credo」から「To be a Good Company」へ変更したものであるが、「TMF(HK)」の部分は変更されていないから、少なくとも、要証期間内の2014年12月31日から今日まで、継続して商標「TMF(HK)」は使用されていたことが容易に推認されるものである。

(2)むすび

以上のとおり、被請求人が提出した乙第1号証ないし乙第10号証により、被請求人の使用権者は、日本国内において、本件審判請求の予告登録前3年以内に、本件商標と社会通念上同一の商標を本件審判請求に係る指定役務中、使用役務に使用していたことは明らかである。

2 口頭審理陳述要領書(平成28年9月29日付け)

(1)乙第5号証が日本国内において電磁的方法により提供された事実を裏付けるものとして、乙第4号証に記載された通常使用権者の名称部分をクリックすると乙第5号証の画面に入ることができること

乙第4号証の通常使用権者の名称部分をクリックすると乙第5号証の画面に入ることのできる手順は、以下のとおりである。

ア 通常使用権者の名称部分「Hong Kong」

The Tokio Marine and Fire Insurance Company(Hong Kong)Limited

イ 東京海上火災保険(香港)有限公司(HP)上段の「AboutUs」をクリックする。

ウ 英文のページが出るので、左上の「日本語」をクリックする。

エ 日本語の「会社概要」が出るので、左枠内の「To be a Good Company」をクリックすると、乙第5号証の画面が出る。

なお、被請求人が乙第4号証の「東京海上日動のグループ会社」から入ったのは、「東京海上火災保険(香港)有限公司」は、被請求人のグループ会社であることを立証し、通常使用権契約等は締結されていなくても、グループ会社として当然に黙示の使用権が許諾されていることを示すためである。

そこで、直接「東京海上火災保険(香港)有限公司」の以下のウェブサイトによって、直ちに日本語による同社の会社概要、保険商品等の項目を見ることができるので、以下の日本語ウェブサイトを提出する(乙11)。

http://www.tokiomarine.com.hk/internet/Default.asp?lang=jp#

上記ウェブサイトは「日本語」が主であり、日本のユーザーを対象とするものであるが、最上段左上の「English」をクリックすることにより、英語でも見ることができる。

(2)通常使用権者のホームページ(乙5)又はその旧バージョン(乙9)が要証期間内に、日本国内において電磁的方法により提供された事実を裏付ける客観的な証拠

要証期間内に掲載されたことを充分に推認させる証拠として、以下のア及びイを提出する。

ア 要証期間内に、乙第5号証又は乙第9号証において「TMF(HK)」が掲載されていたことを証明する書面(乙12)

乙第5号証又は乙第9号証などのホームページを管理する通常使用権者の担当者の署名入りの証明書を乙第12号証として提出する。

上記証明書によれば、通常使用権者のホームページ上において、要証期間内の2013年2月15日〜2016年2月14日の3年間、「TMF(HK)」を掲載し使用していたことに間違いない旨の証明がなされている。

イ インターネットアーカイブによる通常使用権者が過去に掲載していたホームページ(乙13及び乙14)

インターネットアーカイブ「WayBack machine」により、通常使用権者の過去のホームページとして、要証期間内の2013年11月7日のもの(乙13)を提出する。

乙第13号証は現在のホームページの体裁とほぼ同じであるから、少なくとも2013年11月7日以降、今日までほぼ同じ体裁で掲載されてきたことが推認できる。

また、旧バージョン(乙9)とほぼ同一の2012年7月30日付けのホームページ(乙14)を提出する。

乙第14号証は、2012年7月30日付けであるから要証期間外のものではあるが、答弁書でも述べたとおり、乙第9号証に掲載された通常使用権者のホームページの「Credo」及び「TMF(HK)」は、2014年12月31日まで使用されていたものである。

上記の乙第13号証及び乙第14号証により、通常使用権者は、要証期間内又はそれ以前にも継続して現在とほぼ同じ体裁でホームページにおいて掲載してきたことが容易に推認できるものである。

(3)請求人の主張に対する意見

ア 請求人は、被請求人が提出した通常使用権者のホームページの打ち出し(乙5)に対し、本件商標と指定役務との関連性を見出せないから、指定役務に自他役務の識別標識として使用されていたことを立証するものではない、旨主張する。

しかしながら、乙第5号証の上段の長方形の枠内には、被請求人グループ各社が統一して使用しているコーポレートブランドである「To Be a Good Company」とともに、本件商標と社会通念上同一の商標「TMF(HK)」が商標として表示されている。

そして、上記本件商標のもと、同じページの下段に通常使用権者の「会社概要」のほか、本件審判請求に係る指定役務中「保険の引き受け」等を含む「保険商品」の「パッケージの保険、企業財産の保険、工事の保険、障害の保険、医療の保険、自動車の保険」など明らかに第36類「保険」に係る業務が羅列されている。

また、乙第9号証についても、これと同じインターネットアーカイブによる旧バージョン(乙14)によれば、下段の業務の欄に現在のホームページとほぼ同じ英文表示が記載されている。

すなわち、「Product」、「Business Package」、・・・「Home Insurance」「Home Plus Insurance」などの保険に関する業務が掲載されているから、「保険」に関するものについて使用していたことは明らかである。

以上のことから、通常使用権者は本件商標と社会通念上同一の商標を、請求に係る指定役務中、「保険の引受け」を含む「保険」について、電磁的方法により提供し使用していたことは明らかである。

イ 本件審判請求の登録前3年以内の使用について

乙第5号証のホームページの打ち出し日は、2016年4月13日であるから、要証期間内のものではないし、また、乙第9号証についても打ち出し日の記載がない、旨主張する。

しかしながら、被請求人の提出した乙第12号証ないし乙第14号証及び乙第10号証によって、通常使用権者は、要証期間を含め、その前後においても継続してホームページにおいて、本件商標と社会通念上同一の商標「TMF(HK)」を使用役務について掲載し、使用してきたことが容易に推測できるものである。

ウ 日本国内での未使用について

請求人は、通常使用権者は、専ら香港において役務の提供を行ってきたといえる。よって、日本国内において請求に係る指定役務について使用していることを立証していない、旨主張する。

(ア)商標法第2条第3項第8号による使用であること

請求人の上記主張について、これが日本国内での使用に当たるか否かについてはともかくとして、前述のとおり、少なくとも、通常使用権者は商標法第2条第3項第8号により、本件商標を日本国内で使用していたことは明らかである。

(イ)請求人の主張する「現地スタッフの保険の治療費をお支払いする保険です。」、「東京海上香港の海外旅行傷害保険は着任されてから香港でのお申込みになります。」等々の記載について、これらが専ら香港において提供される役務である、との点について

不保規制(自国の保険会社の保護や育成、また外貨管理を目的として自国外の保険会社による保険の引受を規制する法律・法規での取り決めのこと。)によるものであり、単なる法律上の問題であるから、これが商標の使用に当たるか否かとは別問題である。

また、「弊社では契約者を香港の企業様とする法人とする法人契約のみを取り扱っております。」との記載は、法人の契約については、香港の企業のみに限定しているにすぎず、個人の契約まで香港人に限定しているわけではなく、当然、日本人をも対象としているものである。

3 上申書(平成28年11月24日付け)

口頭審理において、被請求人の陳述に一部、誤解していた点があったので、以下のとおり訂正する。

(1)訂正事項

「陳述の要領」の「被請求人」の陳述中、「4.被請求人は、日本国内において、本件に係る『保険の契約』はしていない。」は、誤解であったので、これを以下のとおり訂正する。

正しくは、「4.被請求人は、日本国内において、本件に係る『国際海上貨物・輸送に係る保険の引受契約等』を行っている。」である。

(2)請求人の口頭審理陳述要領書に対する反論

ア 乙第5号証及び乙第9号証が要証期間内のものであることを立証していない、ことについて

乙第5号証の表示は、2015年1月からのものであるが、それ以前にホームページ上において使用されていた「TMF(HK)」表示については、乙第9号証として提出した。

(ア)2014年12月にホームページを旧バージョンから現在のものに変更した際のメール記録(乙10)

(イ)使用権者の情報技術部(ホームページ)担当者の証明書(乙12)

(ウ)2012年7月30日に使用権者のホームページに「TMF(HK)」が掲載されていたことを証明するインターネットアーカイブ(乙14)

(エ)上記(イ)の証明書が真正なものであることを立証するための、香港の公証人の認証した証明書及びその訳文(乙16)

以上の証拠により、2013年2月15日〜2016年2月14日までの間(要証期間)、使用権者のホームページ上に本件商標と社会通念上同一の「TMF(HK)」が掲載され、貨物・運送の保険その他保険に関する役務に使用されていたことは十分に推認できる。

イ 指定役務について未使用である

請求人は、そのホームページ(乙5)の上部に本件商標「TMF(HK)」が表示され、その下部に会社概要、保険金請求、保険商品等の各種サービスが並んでいることに対し、本件商標がその指定役務についての識別標識として使用されているとはいえない、と主張している。

しかしながら、ホームページにおいて、その表題部における本件商標「TMF(HK)」の表示のもと、具体的な指定役務に係る役務が表示され、当該役務が取り扱われているものと判断されれば、当該役務について本件商標が使用されていると認められてしかるべきである。

ウ 日本国内での未使用

請求人は、「問題のホームページは日本では提供されない役務に関するものであり、上記ホームページ上での使用は商標法第2条第3項第8号に該当しない」旨主張する。

しかしながら、請求人の上記主張は誤りであるので、その理由を以下の2点について申し述べる。

(ア)被請求人は、日本国内において、「国際海上貨物・輸送等の保険の引受、同保険の相談、同保険情報の提供」等を日本国内で行っていること、について

この点については、被請求人の陳述に一部誤解があったので、これを訂正するとともに、あらためて使用権者が日本国内において、本件商標の指定役務中、「国際海上貨物・運送に係る保険の引受、同保険の相談、同保険情報の提供」等を行っていることを証明する。

a 「国際海上貨物・運送に係る保険の引受」等について

被請求人は、これまで述べたとおり保険業界には「付保規制」があり、海外の保険会社は、日本国内において日本の企業等とは直接、保険契約をすることができないところ、国際海上運送に使用される日本国籍の船舶、国際間で運送される貨物等の保険契約は例外的に日本国内で契約を行うことができる。また、航空機による国際間の運送の保険契約も同様である。

b 使用権者が国際海上運送に使用される日本国籍の船舶、国際間で運送中の貨物等の保険契約等を日本国内で行うことができ、かつ、上記国際海上運送の保険に関する広告を行っていることについて

使用権者は、日本企業等に対し、その保有する日本国籍の船舶が日本から香港への海上貨物輸送や、香港を中継地として中国大陸への海上貨物輸送時に発生する損害に対する保険の引き受けを行っている。

また、外航貨物海上保険の相談、同保険情報の提供も行っている。

これらは、付保規制の対象外であるから、当然、日本国内において日本国籍の船舶を有する日本企業等に対し、日本国内において外航貨物海上保険の引き受けは可能であるし、また実際に行っている。

念のため、使用権者と三井物産プラスチック株式会社との間の貨物運送に係る「在庫のオールリスク保険」の更新に関するメールを提出する(乙22)。

さらに、外航貨物海上保険に関する相談や、同海上保険情報の提供なども行っている。

そして、上記の外航貨物海上保険に関するサービスを行うために、日本語による、日本企業を主な対象とした内容のホームページを作成し、本件商標と社会通念上同一の商標「TMF(HK)」を付して、電磁的方法により提供している。

(イ)日本滞在中に生じた被保険者の自動車事故、ゴルフ事故等に関する保険の相談、損害保険の査定、保険情報の提供などを日本国内で行っていること、について

この点について、被請求人は、日本滞在中に生じた被保険者の自動車事故やゴルフ事故等に関する保険の相談、損害保険の査定、保険情報の提供などを日本国内で行っている。

また、被請求人(使用権者)は、日本国内において国際海上貨物・運送に関する保険の引受、同保険の相談、同保険情報の提供等を行っている。

さらに、付保規制の対象となる保険についても、日本国内で発生した被保険者の事故等に対して、日本国内内において保険の相談、損害額の査定等に係る役務の提供をしている。

(3)まとめ

以上のとおり、被請求人(使用権者)は、そのホームページ上において、本件商標と社会通念上同一の商標「TMF(HK)」を本件審判請求に係る指定役務中、「国際海上貨物・運送に係る保険の引受」などの広告、又はこれらを内容とする情報に本件商標を付して電磁的方法により提供していた。

また、上記電磁的方法により提供していた時期は、乙第5号証、乙第10号証、乙第12号証、乙第14号証及び乙第16号証等からすれば、要証期間内のものであることは充分に推認できるものである。

さらに、被請求人(使用権者)は、要証期間内にそのホームページ上において、本件商標と社会通念上同一の商標を自動車事故、ゴルフ事故等に関する保険の関する広告、又はこれらを内容とする情報に本件商標を付して電磁的方法により提供し、また、上記のパンフレットなども頒布した。

そして、日本国内で発生した被保険者の事故等については保険の相談、保険の査定、保険情報の提供などを行っている。

以上のとおり、被請求人(使用権者)は、要証期間内に本件商標と社会通念上同一の商標を本件取消審判請求に係る役務について使用していたのであるから、本件商標の登録は商標法第50条第1項により取り消すことはできない。

第4 当審の判断

1 被請求人が提出した証拠について

(1)乙第4号証について

乙第4号証は、被請求人のグループ会社に係るインターネットのウェブページである。

1葉目には、「東京海上日動のグループ会社」のタイトルの下、「東京海上日動のグループ会社についてご紹介します。・・・海外では『Tokio Marine』の名で昔から親しまれてきたヨーロッパやアメリカの拠点をはじめ、世界各地で多くのグループ会社が事業を展開しています。」の記載がある。

2葉目には、「Global Network/Asia & Pacific」のタイトルの下、「Korea」、「China」に続いて、3葉目には、「Hong Kong」の表示の下、「The Tokio Marine and Fire Insurance Company(Hong Kong)Limited」の記載がある。

4葉目には、上段に「東京海上火災保險(香港)有限公司」及び「The Tokio Marine and Fire Insurance Co.(HK)Ltd.」と記載があり、中段に横長の写真が表示され、中段以下には、「Marine Insurance」、「Risk Consulting」、「OUR COMPANY」、「PRODUCTS」、「RISK CONSULTING」、「CLAIMS CENTRE」及び「OTHER RESOURCES」等の記載がある。

(2)乙第5号証について

乙第5号証は、「東京海上火災保險(香港)有限公司」のホームページである。

1葉目には、上部に、空と思しき背景に鳥が飛んでいる写真があり、その中に「To be a」、「Good Company」及び「TMF(HK)」の欧文字が3段に記載されている。

そして、該写真の下に、「TO BE A GOOD COMPANY」の欧文字、及び、「東京海上グループでは、世界中の全社員がお客様に安心・安全を提供し持続可能な未来の創造に貢献することで、お客様や地域社会から信頼される“Good Company”になることを目指しています。“Good Company”になるためにはどうあるべきか、何をしたらいいのか、社員が自分の立場で自ら考え、コミットメントを作成しています。」(以下「メッセージ文」という。)の記載がある。

また、下部には、「会社概要」、「保険商品」、「リスクコンサルティング」、「保険金請求について」及び「各種サービス」の記載があり、「保険商品」として、「法定保険」、「パッケージの保険」、「企業財産の保険」、「貨物・運送の保険」及び「工事の保険」と記載があり、右下には、「2016/04/13」の記載がある。

なお、被請求人が提出した平成28年9月29日付け口頭審理陳述要領書には、乙第4号証の通常使用権者の名称部分をクリックすると乙第5号証の画面に入ることができる手順が説明されている。

(3)乙第9号証について

乙第9号証は、2014年12月31日まで使用していたとする「東京海上火災保險(香港)有限公司」の旧ホームページである。

これには、5冊のパンフレットと思しき写真が表示され、写真中のパンフレットと思しきものの表紙には「Credo」及び「TMF(HK)」の欧文字が記載されている。

そして、該写真の下に、「クレドをもつ理由」の文字、及び、「クレドとはラテンで信条、約束、志を意味します。大切なお客様との末永いお付き合いをさせていただくために、日常意思決定をする際の礎となる価値を私たちは『信条』として明記しました。クレドは私たちのたゆまぬ成長への鍵となると確信しています。」の記載がある。

(4)乙第10号証について

乙第10号証は、ホームページ変更経緯を示すメールである。

3葉目には、「From:Betty Tsui(TMFHK)」、「Sent:Friday,19 December,2014 1:53 PM」、「TO:Rosita Cheung(TMFHK)」の記載、及び「Please help to update the Japanese page.」に続いて、「Delete the word クレド」、「Change to: To be a Good Company」、「Change to: To be a Good Company」及び「Delete original wordings and change to:」に続き、上記(2)のメッセージ文の記載がある。

(5)乙第13号証について

乙第13号証は、インターネットアーカイブ(WayBack machine)による2013年11月7日における「東京海上火災保險(香港)有限公司」のホームページである。

これには、上部に、「東京海上火災保險(香港)有限公司」及び「The Tokio Marine and Fire Insurance Co.(HK)Ltd.」と記載があり、中程に、横長の写真が表示され、それ以下には、「Marine Insurance」、「Risk Consulting」、「OUR COMPANY」、「PRODUCTS」、「RISK CONSULTING」、「CLAIMS CENTRE」、「OTHER RESOURCES」等の記載がある。

(6)乙第14号証について

乙第14号証は、インターネットアーカイブ(WayBack machine)による2012年7月30日における「東京海上火災保險(香港)有限公司」のホームページである。

これには、上部に「東京海上火災保險(香港)有限公司」及び「The Tokio Marine and Fire Insurance Co.(HK)Ltd.」と記載があり、中程には、乙第9号証に表示されている写真と同一の写真が表示されている。

(7)乙第22号証について

乙第22号証は、「東京海上火災保險(香港)有限公司」と日本企業との間の保険契約に関するメールである。

これには、「Sent:Wednesday,24 August,2016 10:45 AM」、「Subject:オールリスク保険更新のご通知」の記載があり、メール本文には、「さて本日は貴社の在庫のオールリスク保険が9月17日に満期を迎えるため、ご連絡申し上げました。・・・更新手続きにつき、Renewal noticeをPDFにてお送り致します。・・・以下の点について変更がないかご確認いただきますようお願い致します。」の記載、及び末尾には「東京海上火災保險(香港)有限公司」の英語表記が記載されている。

2 上記1によれば、以下のとおり判断できる。

(1)使用者について

被請求人の提出に係る乙第4号証によれば、世界各地で被請求人の多くのグループ会社が事業を展開しており、その中に「東京海上火災保險(香港)有限公司(The Tokio Marine and Fire Insurance Company(Hong Kong)Limited)」がある。

そして、被請求人の主張と併せみれば、「東京海上火災保險(香港)有限公司」は、本件商標の使用について、被請求人から黙示の合意を得ているものと推認できるから、本件商標に係る通常使用権者とみて差し支えないものである(以下、「東京海上火災保險(香港)有限公司」を「通常使用権者」という。)。

(2)使用商標及び使用役務について

乙第9号証の通常使用権者のホームページにおける商標の使用についてみるに、該ホームページの中程に表示された写真には、被写体として、重なるように5冊のパンフレットと思しきものが写っており、その最上段のパンフレットの表紙には「Credo」及び「TMF(HK)」の各文字が看取できるものの、これらの文字は、写真中のパンフレットに使用されているものであって、該ホームページにおいて、通常使用権者の役務について使用する商標とみることはできない。

つぎに、乙第5号証の通常使用権者のホームページにおける商標の使用についてみるに、中程に表示された写真中には、「To be a」、「Good Company」及び「TMF(HK)」の各文字が3段に記載されており、該ホームページ上段には通常使用権者の名称、同下部には「保険商品」、「保険金請求について」の記載があるから、該ホームページは、通常使用権者が、保険等の業務について紹介するものであり、そこには、「TMF(HK)」の文字が表示されていると認められる。

(3)社会通念上同一の商標について

上記(2)において認定した「TMF(HK)」の文字については、その構成中の「(HK)」は、通常使用権者の名称の英語表記に照らしてみても、「香港」を表す略記号であると認められるものであり、これを除いた「TMF」の文字は、本件商標と同一である。

そうすると、乙第5号証の通常使用権者のホームページに表示されている「TMF(HK)」の文字は、本件商標と社会通念上同一の商標と認めることができる。

(4)使用時期について

ア 通常使用権者のホームページ(乙5)の表示方法

前記1(2)によれば、乙第5号証のホームページは、乙第4号証のホームページと連携して表示されることが認められる。

イ 新旧ホームページの同一性

乙第4号証の4葉目は、2016年4月20日の通常使用権者のホームページであり、乙第13号証は、2013年11月7日(要証期間内)の通常使用権者のホームページであるところ、両者を比較してみれば、それぞれの中程に表示された横長の写真部分が相違するものの、全体の構成は、ほぼ同一のものである。

また、乙第14号証は、2012年7月30日の通常使用権者のホームページであり、乙第9号証のホームページと比較してみれば、その中程に表示されているのは同一の写真であり、全体の構成からしても、両者は、同じホームページにおける英語表示と日本語表示とみて差し支えない。

ウ 旧ホームページ(乙9)から新ホームページ(乙5)への変更

上記ア及びイの認定判断からすれば、乙第4号証のホームページと乙第5号証のホームページは連携しており、乙第4号証と乙第13号証は、ほぼ同一の構成からなるホームページであることからすれば、これと同様に、乙第13号証のホームページと乙第14号証(英語表示)及び乙第9号証(日本語表示)のホームページは連携して表示されるものと推認することができる。

してみれば、要証期間内である2013年11月7日時点において、乙第13号証のホームページと連携して乙第14号証及び乙第9号証の各ホームページが存在していたものと優に認めることができるものである。

そして、2014年12月末日に、旧ホームページ(乙9)から新ホームページ(乙5)に変更したとする被請求人の主張については、乙第10号証のメールの内容に照らしても、矛盾する点はなく、この変更事実を否定すべき理由は見当たらない。

エ 以上からすれば、乙第5号証のホームページは、要証期間内である2014年12月末日から存在していたものと認められ、該ホームページ上には、本件商標と社会通念上同一の商標が表示されていたと認めることができる。

(5)通常使用権者の日本における役務の提供について

通常使用権者は、被請求人のグループ会社であり、香港において営業等しており、同人の事業に係る保険の契約者には日本人も含まれるといえるところ、平成28年10月27日を期日とする第1回口頭審理において、被請求人は、日本国内において、本件商標に係る「保険の契約」はしていないと陳述している。

この点について、被請求人は、後日、上申書において、「付保規制」により海外の保険会社は、日本国内において日本の企業等とは直接保険契約をすることはできないところ、例外として認められている「国際海上貨物・運送に係る保険の引受」等について、日本国内において該保険の引受けを行っている、また、日本滞在中に生じた被保険者の事故等に関する保険の相談、査定、情報の提供などを日本国内で行っていると主張し、証拠方法として、通常使用権者とM社との間の貨物運送に係る「在庫のオールリスク保険」の更新に関するメール(乙22)を提出している。

しかしながら、乙第22号証のメールは、「オールリスク保険更新のご通知」とするもので要証期間経過後である2016年8月24日に送信されたものであって、その内容は、9月17日に満期となる保険の更新に関するものであるところ、該メールの内容からは、要証期間内に、通常使用権者が日本国内において保険の引受け業務を行った事実を認めることはできない。

また、保険の相談等を日本国内で行っている事実を証明する証拠の提出はない。

その他、通常使用権者が、日本国内において、保険の引受け業務を含め、本件商標に係る指定役務を提供した事実を証明する証拠はない。

してみれば、通常使用権者は、要証期間に日本国内において、その指定役務を提供していたとは認められない。

(6)小括

以上によれば、通常使用権者は、要証期間内に、本件商標と社会通念上同一の商標を、同人の保険等に係るホームページに表示していたものと認められるものの、たとえ、これが形式上、役務の広告に当たるとしても、通常使用権者は、日本国内において保険等の役務を行っていないことからすれば、同人のホームページ上の「TMF(HK)」の記載は、同人の提供する役務に関して付されているものとはいえないというべきであるから、これをもって、通常使用権者の上記役務に関する広告に、標章を付して電磁的方法により提供する行為(商標法第2条第3項第8号)に該当するとはいえない。

その他、被請求人は、被請求人又は通常使用権者が、本件商標の指定役務について、本件商標を使用していることを立証していない。

3 むすび

以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その指定役務のいずれかについて、本件商標を使用していることを証明したものということができない。

また、被請求人は、その指定役務について、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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