結論テキスト
審判費用は,被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2016−890054(T2016−890054/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第5798863号商標(以下「本件商標」という。)は,「ハンディサーチ」の文字を標準文字で表してなり,平成27年4月15日に登録出願,第9類「電子応用機械器具及びその部品,レーダー探査装置,地中探査レーダー,地中内埋設物探知用レーダー装置,レーダー探知機,電磁波を用いる非破壊検査機器,電磁波による物体の位置検出装置,産業用X線機械器具,測定機械器具,電磁波測定装置,レーダー測定装置,電気磁気測定器,コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),コンピュータプログラム(記憶されたもの),アプリケーションソフトウェア,ダウンロード可能なコンピュータソフトウェア,ダウンロード可能なコンピュータプログラム,ダウンロード可能なアプリケーションソフトウェア」を指定商品として,同年9月16日に登録査定,同年10月9日に設定登録されたものである。
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第57号証を提出した。
請求人は,「ハンディサーチ」の片仮名からなる商標を,第9類「電気磁気測定器,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として,平成10年10月14日に商標登録出願を行ったところ,該出願は,商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして,拒絶査定となった(甲3)。
上記登録出願の拒絶査定が確定した後においても,請求人は,「ハンディサーチ」の片仮名を書してなる商標を「電気磁気測定器,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」の範疇に含まれる商品「探査機(電磁波レーダー)」について使用している(該商品に使用している該商標を,以下「引用使用商標」という。)。
(1)商品の開発・販売状況
請求人は,1999年に従来比で約10分の1の小型・軽量化に成功した世界初の一体化RCレーダーNJJ−85Aの開発を行い,商品名を「ハンディサーチ」として販売を開始し,その後,2003年には,カラーディスプレイ,無線通信プリンタ,メモリーカードの操作により操作性をより一層向上させたNJJ−95A,2006年には,探査深度をより高深度化したNJJ−95Bの開発を行ってきたものであり,さらに,ハンディサーチシリーズとして,2009年にNJJ−105,2013年にNJJ−200の開発を行い,販売を開始している(甲5,甲6,甲11)。
また,1999年,2003年,2007年には非破壊検査機器分野のシンクタンクサービスを行っている「株式会社計測技術サービス」において,2014年には測定機器・分析機器の専門商社である「株式会社仙都計器」において,それぞれ,請求人の商品としてRCレーダーのハンディサーチシリーズが販売されている(甲7,甲8)。
そして,請求人の商品「ハンディサーチ」の2008年から2012年までの5年間で累計約1,000台を売り上げ,2007年から2014年までの8年間の売上高は,年平均1億5,000万円を超えている(甲44〜甲51)。
(2)広告
ア 請求人のホームページ上に,2003年3月28日付けで新型コンクリート内部探査機「カラーハンディサーチ」のプレスリリース情報,2013年8月2日付けで「業界初スマートフォンをディスプレイに採用したRCレーダーハンディサーチNJJ−200を開発した内容が掲載されている(甲9,甲11)。
イ 請求人は,2010年6月に「ハンディサーチ画像解読方法の説明」を頒布し,2011年には請求人が刊行している日本無線技報に商品「ハンディサーチ」の開発の経緯を記載した論文を掲載し,2014年にも日本無線技報に「新型ハンディサーチNJJ−200」を紹介する内容を掲載した(甲5,甲10,甲12)。
ウ 商品「ハンディサーチ」のカタログが発行されており(甲13〜甲17),請求人は,カタログを1998年9月以降定期的に制作していることから(累計162,500部製作),本件商標の登録出願前において,需要者及び取引関係者に対して相当数頒布されていることが推測される(甲18〜甲22)。
エ 2012年5月23日には高価買取専門店「株式会社エコランド」のウェブサイトにおいて,請求人の商品として「ハンディサーチNJJ−95A」の買取情報が掲載され,2011年4月7日にはショッピング・オークション相場検索サイト「aucfan」において,請求人の商品として「NJJ−85A」がオークションに出品され,また,2014年4月14日には技術データベースサイト「イプシロン」において,請求人の商品として「NJJ−200」がレンタルされている(甲23〜甲25)。
(3)展示会等への出展
請求人は,2011年11月16日から18日に開催された「非破壊評価総合展2011」,2012年3月31日から4月1日に「社団法人日本非破壊検査協会が開催した非破壊検査体験イベント『ヒハカイ星からやってきたノンディ』」において,「ハンディサーチNJJ−105」を出展し,また,2013年10月30日から11月1日に開催された「非破壊評価総合展2013」において「ハンディサーチNJJ−200」を出展している(甲26〜甲28)。
さらに,請求人は,2014年度に国立科学博物館に「ハンディサーチNJJ−200」を寄贈し,該機器は現在も展示されているところ(甲29,甲30),国立科学博物館は1日に平均4,500人以上来場されており,かつ,通路沿いの見やすい位置に展示されているため,人目につきやすいものと解されるべきである。
(4)雑誌等への掲載
ア 2011年7月13日に,株式会社計測技術サービスが「ハンディサーチNJJ−105らくらく操作マニュアル」を公表し,また,2010年度以降に,YouTube動画サイトにおいて,請求人の商品「ハンディサーチ」の使用方法等を説明する動画が配信されている(甲31,甲32)。
イ 2011年11月7日にテレビ東京「トコトンハテナ」において,2013年6月4日にTBSテレビ「Nスタ」において,2012年5月13日にテレビ朝日「劇的ビフォーアフター」において,それぞれ請求人の商品「ハンディサーチ」を使用している内容が放送されている(甲33〜甲35)。
ウ 2006年10月1日発行の「検査技術(日本工業出版)」の表紙には,請求人の商品「ハンディサーチ」の写真が掲載され(甲36),2009年12月1日発行の「配管技術(日本工業出版)」には,請求人の商品「ハンディサーチ」が紹介されている(甲37)。「検査技術」及び「配管技術」は,日本工業出版から毎月18,000部も発行されているものである。
また,2006年度以降,全国紙である「日刊工業新聞」には,請求人の商品「ハンディサーチ」が何度も紹介されている(甲38〜甲40)。
以上のように,2006年以降,多くの部数が発行されている技術専門誌や全国紙である新聞において請求人の商品「ハンディサーチ」が度々紹介されており,「ハンディサーチ」の名称は,請求人の業務に係る商品を表示するものとして,需要者又は取引者の間に広く認識されているものということができると解するべきである。
エ 2010年1月6日には試験装置,工学機器等中国販売代理店のホームページにおいて,また,2012年8月には「Texas A&M Transportation Institute」のレポート(257ページないし263ページ)において,請求人の商品「ハンディサーチ」を紹介する内容が掲載されている(甲41,甲42)。
さらに,「コンクリート構造物の配筋探査技術者資格認証試験の実技(二次)試験・再試験実施要領」において,一般社団法人日本非破壊検査工業会が,試験に使用する機種として請求人の商品「ハンディサーチ」を2013年4月に掲載している(甲43)。
(5)公報への掲載
構造体の損傷等の探査,非破壊検査調査等に関する発明において,明細書中に商品「ハンディサーチ」シリーズが請求人の商品として紹介されている(甲52〜甲57)。
(6)小括
以上のとおり,請求人は,引用使用商標を,本件商標の登録出願日以前である1999年から継続して「電気磁気測定器,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」の範疇に含まれる商品「探査機(電磁波レーダー)」について使用をしており,引用使用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,請求人の業務に係る商品を表示するものとして,構造体の損傷等を探査する方法,非破壊検査調査を業とする企業の間に広く認識された商標であると解するべきである。
本件商標は,「ハンディサーチ」の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ,該文字は「便利な探索,手ごろな探索」程度の意味合いを認識するものであるから,本件商標をその指定商品中「レーダー探査装置,地中探査レーダー,地中内埋設物探知用レーダー装置,レーダー探知機,電磁波を用いる非破壊検査機器,電磁波による物体の位置検出装置,産業用X線機械器具,測定機械器具,電磁波測定装置,レーダー測定装置,電気磁気測定器」について使用したときは,取引者・需要者が簡単で使いやすい商品であると認識するものであり,単に商品の品質を表示するにすぎないから,本件商標は,商標法第3条第1項第3号に該当する。
また,本件商標をその指定商品中,便利で手ごろな探索を行う上記商品以外の商品に使用したときは,商品の品質の誤認を生ずるおそれがあることから,本件商標は,商標法第4条第1項第16号に該当する。
(1)請求人と被請求人の関係
被請求人の代表取締役は,請求人の元従業員であり,請求人に在職中,商品「探査機(電磁波レーダー)」に「ハンディサーチ」の名称を付けるに際して当初から携わっており,「ハンディサーチ」の名称の商品が請求人の商品であることを十分認識していた(甲4)。また,被請求人の代表取締役は,請求人が以前に「ハンディサーチ」について商標登録出願を行っていた事実を認識していたものと推測される。このように,請求人が「ハンディサーチ」の名称に係る商標登録を受けたいという意思を十分に認識していたのもかかわらず,被請求人の代表取締役は,請求人を退社後,請求人が引用使用商標について日本において商標登録を受けていないことを奇貨として,請求人に無断で,被請求人の名義で本件商標の商標登録出願を行い,設定登録を受けている。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第7号の適用
本件商標は,被請求人の代表取締役が,請求人を退社した後に,「電気磁気測定器,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」の販売を行う企業(被請求人)を設立し,上記(1)のとおり,被請求人の名義で請求人に無断で商標登録出願され,商標登録を受けたものであるから,本件商標の採択及び使用の意図は,引用使用商標の存在と偶然に一致したものとは認め難く,被請求人が引用使用商標を使用している事実を,被請求人の代表取締役が請求人に在職中に知っていて本件商標の登録出願をしたものといわざるを得ない。
以上のとおり,被請求人による,本件商標を商標登録出願する行為,及び本件商標を使用する行為は,著しく社会妥当性を欠くものであり,登録を認めることが商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ないため,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当する。
引用使用商標は,上記2のとおり,構造物の試験・検査・評価・診断などを行う装置の製造を業とする企業の間に広く認識されている。
したがって,本件商標をその指定商品中,請求人の業務に係る商品と同一又は類似する商品「電子応用機械器具及びその部品,レーダー探査装置,地中探査レーダー,地中内埋設物探知用レーダー装置,レーダー探知機,電磁波を用いる非破壊検査機器,電磁波による物体の位置検出装置,産業用X線機械器具,測定機械器具,電磁波測定装置,レーダー測定装置,電気磁気測定器」及びこれらの指定商品に用いられる「コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),コンピュータプログラム(記憶されたもの),アプリケーションソフトウェア,ダウンロード可能なコンピュータソフトウェア,ダウンロード可能なコンピュータプログラム,ダウンロード可能なアプリケーションソフトウェア」に使用する行為は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であって,請求人の業務に係る商品又はこれらに類似する商品に使用するものであるから,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する。
(1)商標の類似性
本件商標と引用使用商標とは,片仮名で「ハンディサーチ」と書してなることから共通である。
(2)引用使用商標の周知性及び独創性
請求人は,「探査機(電磁波レーダー)」を製造,販売するメーカーによるものとしてコンクリート建造物等の構造物の品質確保検査を行う装置として可搬性に優れた形状をしており,注意を喚起する旨の多数の宣伝広告がされ,「構造物の損傷等を探査するする方法,非破壊検査調査」を業とする取引業界において上記2(1)のとおりの販売実績を有することにより,引用使用商標は,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,「探査機(電磁波レーダー)」関連商品の取引者及び一般消費者を含む需要者の間で広く知られており,しかも,その周知性は極めて高いものである。
(3)本件商標の指定商品と請求人の業務に係る商品との間の性質
本件商標の指定商品は,前記第1のとおりの商品であり,これに対し,請求人の業務に係る商品は,「電気磁気測定器,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」に含まれる「探査機(電磁波レーダー)」関連商品である。
そうすると,本件商標を請求人の業務に係る商品と非類似の商品に使用したとき及び「探査機(電磁波レーダー)」関連以外の「コンピュータプログラム」等の商品に使用したときには,商品が,請求人の業務に係る「電気磁気測定器,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」であるかのように,商品の出所に混同を生ずるおそれがある。
(4)商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情
本件商標の指定商品と,請求人の業務に係る「電気磁気測定器,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」に含まれる「探査機(電磁波レーダー)」関連商品は,前記のとおりであるから,請求人と被請求人の取引者及び一般消費者を含む需要者は共通性を有していることが明らかである。(5)小括
以上を総合すると,本件商標を請求人の業務に係る商品と非類似の商品に使用したときは,本件商標は,引用使用商標又は請求人の「探査機(電磁波レーダー)」を強く連想され,本件で想定される一般消費者を含む取引者ないし需要者において普通に払われる注意力を基準とした場合,請求人ないし請求人と関係のある事業主の業務に係る商品であると誤信させ,請求人の商品との混同を生じるおそれがあるから,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
本件商標は,上記のとおり,請求人の業務に係る商品を表示するものとして,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,需要者の間に広く認識されている商標と同一又は類似する商標について使用するものである。
そして,本件商標は,上記のとおり,被請求人の代表取締役が請求人を退社した後に,「電気磁気測定器,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」の販売を行う企業(被請求人)を設立,請求人の業務に係る商品「ハンディサーチ」の競合製品の販売を開始し,その後,被請求人は,不正の利益を得る目的で,被請求人の名義で請求人に無断で商標登録出願され,商標登録を受けたものである。
さらに,請求人と被請求人とは取引の事実はなく,被請求人は請求人の商品「ハンディサーチ」を買い取り,当該商品を中古品として販売したことを契機として,請求人へ損害を加える目的で,本件商標について,請求人の承諾を得ずに,請求人の業務に係る商品の関連商品と同一又は類似する商品を指定商品として,本件商標の登録を受けたものである。
したがって,被請求人の行為は,著しく社会的妥当性を欠くものであり,商標法の予定する秩序に反するものとして到底容認し得ず,不正な図利的目的,他人への加害目的,その他取引則上の信義に反する行為であるから,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当する。
以上のとおり,本件商標は,商標法第3条第1項第3号並びに同法第4条第1項第7号,同項第10号,同項第15号,同項第16号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから,同法第46条第1項第1号に基づき,その登録は無効にすべきである。
被請求人は,本件審判の請求に対し何ら答弁していない。
(1)請求人の提出に係る甲各号証及び同人の主張によれば,以下の事実を認めることができる。
ア 請求人は,長年培ってきた高度なレーダー技術により幅広い分野に最適な製品を開発した法人であり,そのレーダーの歴史は,1939年,世界初のキャビティマグネトロンの開発に成功し,1941年に船艇用レーダーを製造したことに始まる。その後,1952年に国内初の舶用大型レーダーの開発,1954年に国内初の気象レーダーの開発,1978年に国内初の漁場管理レーダーの開発,1980年に国内初の空港気象レーダーの開発,1988年に世界初のコンクリート探査専用レーダーの開発,1990年に世界初の2周波レーダーの開発,1999年に世界初の一体型コンクリート探査専用レーダー(NJJ−85A)の開発,2003年に国内初のチャートレーダーの開発及び国内初の波浪レーダーの開発などが行われた(甲5)。
イ 「ハンディサーチ」の片仮名からなる引用使用商標は,1999年に従来比で約10分の1の小型・軽量化に成功した世界初の一体型RCレーダー「NJJ−85A」について使用され,その後,2003年にカラーディスプレイ,無線通信プリンタ,メモリカードの採用により操作性をより一層向上させた「NJJ―95A」,2006年に探査深度をより高深度化した「NJJ−95B」,2009年に「NJJ−105」が,それぞれ使用され始めた(甲5〜甲9,甲13〜甲16,甲26,甲27,甲31,甲32,甲38,甲39)。また,2013年にはスマートフォンをディスプレーとして使う製品「NJJ−200」が発売され,それにも引用使用商標が使用されている(甲11,甲12,甲17,甲28,甲40)。
そして,上記商品「RCレーダー」(以下「請求人使用商品」という場合がある。)とは,電磁波を使用した非破壊探査装置であり,コンクリート構造物の修繕や改築,保守などの工事において,鉄筋,電気配線管,ガス管,水道管などの切断事故防止を目的として使用され,また,コンクリート構造物に対して品質確保検査の目的でも使用されている製品である(なお,「RC」は「Reinforced Concrete」の略。)(甲5)。
さらに,請求人使用商品の測定結果を,パソコンの画面上で見ることや,パソコンを使用した画像処理やマーキング及び報告書を作成するためのソフトウェアが販売されている(甲13,甲15〜甲17)。
ウ 請求人の請求人のホームページ上に,上記商品である「NJJ−105」,「NJJ−95A」,「NJJ−200」の発売に係るプレスリリース情報が掲載された(甲6,甲9,甲11)。また,商品カタログは,和文のものとしての印刷合計部数が,「NJJ−85A」について40,000部,「NJJ−95A」について29,000部,「NJJ−95B」について35,000部,「NJJ−105」について25,500部,「NJJ−200」について8,000部であった(甲13〜甲22)。 さらに,「日刊工業新聞」において,2006年5月25日付けで「ハンディサーチNJJ−95A」の広告,2011年10月28日付けで「ハンディサーチNJJ−105」の広告が掲載された(甲38,甲39)。
エ 請求人使用商品は,2008年度から2015年度までの8年間で累計約1,300台を売り上げており,また,同期間の売上高は,年度平均1億5,000万円を超えている(甲44〜甲51)。
オ 請求人は,2011年11月16日から同月18日に開催された「非破壊評価総合展2011」及び2012年3月31日から4月1日に社団法人日本非破壊検査協会が開催した非破壊検査体験イベント「ヒハカイ星からやってきたノンディ」において,「ハンディサーチNJJ−105」を出展したこと,また,2013年10月30日から11月1日に開催された「非破壊評価総合展2013」において「ハンディサーチNJJ−200」を出展した(甲26〜甲28)。
さらに,請求人は,2014年度に国立科学博物館に「ハンディサーチNJJ−200」を寄贈し,該機器は,本件商標の登録査定時においても展示されていた(甲29,甲30)。
カ 2011年11月7日にテレビ東京「トコトンハテナ」において,2013年6月4日にTBSテレビ「Nスタ」において,2012年5月13日にテレビ朝日「劇的ビフォーアフター」において,それぞれ,橋,道路又は家屋の構造調査に請求人使用商品を使用している内容が放送された(甲33〜甲35)。
キ 技術専門誌「検査技術」(日本工業出版,2006年10月1日発行)の表紙には,請求人使用商品「ハンディサーチNJJ−95B」の写真が掲載され(甲36),同じく「配管技術」(日本工業出版,2009年12月1日発行)において,論文中の「かぶり厚さ測定の検証」の項に「電磁波レーダは市販されている日本無線製のRCレーダ『ハンディサーチ』を使用した。」との記載がある(甲37)。
また,「日刊工業新聞」において,2013年9月12日付けで「ハンディサーチNJJ−200」の記事が掲載されている(甲40)。
ク 一般社団法人日本非破壊検査工業会が2013年4月に発行した「コンクリート構造物の配筋探査技術者資格認証試験/実技(二次)試験・再試験実施要領」において,試験に使用する機種として請求人使用商品「ハンディサーチ NJJ−105」が採用されている(甲43)。
ケ 構造体の損傷等の探査,非破壊検査調査等に関する発明に係る公開特許公報において,その明細書中に請求人使用商品「探査装置・・・として日本無線株式会社製のハンディサーチ(商品名,型式:NJJ−95A)を用いた実例をもって説明する。」などと記載されて請求人使用商品の表示が使用されている(甲52〜甲57)。
(2)上記(1)の認定事実によれば,請求人は,請求人使用商品に引用使用商標を付して1999年(平成11年)から販売しており,引用使用商標のシリーズとして継続的に販売されていることが認められる。
また,本件商標の登録出願前に,請求人使用商品が引用使用商標と共に,コンクリート構造物の配筋探査技術に関する資格試験に使用される機種として選定されていること,構造物の検査に関する特許明細書の説明の記述に引用されていること,建物の内部を調べる機器としてテレビ番組に取り上げられていることが認められる。
以上のことを総合勘案すれば,引用使用商標は,請求人使用商品を表示するものとして,本件商標の登録出願前から,非破壊検査及び構造物の検査・探査に関連する商品を取り扱う取引者,需要者の間に広く認識されていたものと認めることができ,その状態は,本件商標の登録査定時においても継続していたものといえる。
本件商標は,前記第1のとおり,「ハンディサーチ」の片仮名を標準文字で表してなるところ,該文字は,「大きさが手ごろで取り扱いやすいさま。」を意味する「ハンディ」の語と「調査すること。検索すること。」を意味する「サーチ」の語を結合してなるものであると直ちに看取されるものであり,これよりは,「ハンディサーチ」の称呼及び「手ごろな検索」の観念を生ずるものである。
これに対し,引用使用商標は,前記第2(1)のとおり,「ハンディサーチ」の片仮名からなるものであり,本件商標と同様に,「ハンディサーチ」の称呼及び「手ごろな検索」の観念を生ずるものである。
してみれば,本件商標と引用使用商標とは,外観,称呼及び観念を共通にする同一又は類似の商標ということができる。
本件商標の指定商品は,前記第1のとおりである。
これに対し,請求人使用商品は,前記1(1)イのとおり,電磁波を利用した非破壊探査装置であると認められる。
そして,「非破壊探査」の語と「非破壊検査」の語とは,実質的に同義に使用されていることが認められる。
そうすると,本件商標の指定商品中,「電磁波を用いる非破壊検査機器」と請求人使用商品は,同一又は類似の商品であるといえる。
してみれば本件商標は,請求人使用商品を表示するものとして,本件商標の登録出願以前より需要者の間に広く認識されている引用使用商標と同一又は類似の商標であって,かつ,本件商標の指定商品中「電磁波を用いる非破壊検査機器」は,請求人使用商品と同一又は類似の商品であるから,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当するといわざるを得ない。
(1)本件商標の指定商品と請求人使用商品との間の関連性の程度,取引者及び需要者の共通性について
本件商標の指定商品のうち,「電磁波を用いる非破壊検査機器」以外のものは,「電子応用機械器具及びその部品,レーダー探査装置,地中探査レーダー,地中内埋設物探知用レーダー装置,レーダー探知機,電磁波による物体の位置検出装置,産業用X線機械器具,測定機械器具,電磁波測定装置,レーダー測定装置,電気磁気測定器,コンピュータソフトウェア(記憶されたもの),コンピュータプログラム(記憶されたもの),アプリケーションソフトウェア,ダウンロード可能なコンピュータソフトウェア,ダウンロード可能なコンピュータプログラム,ダウンロード可能なアプリケーションソフトウェア」であるが,いずれも,検査,探査,測定のための機械器具であるか又はこれらを制御するために使用する機器,コンピューター,コンピュータソフトウェア及びコンピュータプログラムであるといえる。
一方,前記1(1)イのとおりの請求人使用商品である,電磁波を利用した非破壊探査装置は,検査,探査,測定のために使用するものである。
また,請求人使用商品に関連する商品として,請求人使用商品の測定結果を,パソコンの画面上に表示させたり,パソコンを使用した画像処理やマーキング及び報告書を作成するためのコンピュータソフトウェアが販売されていることが認められる。
そうすると,本件商標の指定商品と,請求人使用商品は極めて関連性の高い商品であり,取引者,需要者を共通にする場合がある密接な関係を有する商品というべきである。
(2)出所の混同のおそれについて
請求人使用商標は,前記1のとおり,本件商標の登録出願前から,請求人使用商品に使用されて,需要者の間において周知なものとなっていたものであり,その状態は,本件商標の登録査定時においても継続していたといえる。
また,前記2のとおり,本件商標と請求人使用商標とは,同一又は類似の商標である。
さらに,前記(1)のとおり,本件商標の指定商品と請求人使用商品とは,関係性の高い商品であり,取引者,需要者を共通にする場合がある密接な関係を有する商品である。
そうとすれば,本件商標は,これをその指定商品に使用するときには,これに接する取引者,需要者をして,該商品が請求人又は同人と経済的,組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように,商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当するといわざるを得ない。
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第10及び同項第15号に違反して登録されたものであるから,その余の請求の理由については判断するまでもなく,同法第46条第1項第1号の規定に基づき,その登録を無効とすべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
Next Action
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