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Trademark Appeal Case

称呼と商品の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2016−900075(T2016−900075/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5814051号商標の指定商品中,第28類「キックボード,キックスケーター」についての商標登録を取り消す。
本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5814051号商標(以下「本件商標」という。)は,「スペーススクーター」の片仮名を標準文字で表してなり,平成27年2月12日に登録出願,第28類「キックボード,キックスケーター,スケートボード」を指定商品として,同年11月26日に登録査定,同年12月18日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が,登録異議の申立ての理由として引用する国際登録第1213151商標(以下「引用商標」という。)は,別掲のとおりの構成よりなり,2014年(平成26年)年4月15日に国際商標登録出願,第12類「Scooters[vehicles]」及び第28類「Scooters[toys]」を指定商品として,平成28年3月11日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は,本件商標は商標法第4条第1項第10号,同項第11号,同項第15号及び同項第19号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により商標登録を取り消されるべきものであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第26号証を提出した。

1 商標法第4条第1項第11号について

(1)本件商標と引用商標との対比

本件商標は,その構成文字に相応して「スペーススクーター」の称呼を生じ,特定の観念を生じない造語であるといえる。

引用商標は,その構成文字に相応して「スペーススクーター」の称呼を生じ,特定の観念を生じない造語であるといえる。

そうすると,本件商標と引用商標は,全体の外観が一見して相違すること,および,両商標は特定の観念を生じない造語であり観念上対比することができないことは明らかであるが,両商標は,いずれも「スペーススクーター」なる同一の称呼を生じるものであるから,称呼を共通にする類似商標である。

(2)指定商品について

本件商標に係る指定商品「キックボード,キックスケーター,スケートボード」と,引用商標の指定商品「第12類 Scooters[vehicles],第28類 Scooters[toys]」とは少なくとも互いに類似する商品である。

実際の取引の場についてみると,先ず,本件商標の指定商品である「キックボード,キックスケーター」と引用商標の指定商品である「Scooters[toys]」とは,ほぼ同種の商品を示しており,前者は運動用具で,後者はおもちゃという区別も一切なされていない。

キックスケーターの発展と普及を目的として設立されたNPO法人「日本キックスケーター協会」(甲3)のウェブサイトには,「一人乗り専用で人力によって推進させるものであり,ステッキ状の操作及び制動装置が付いたもの」がキックスケーター,キックボード,ローラーボード,キックスクーター,など,複数の異なる名称で取引されている事実がうかがえる(甲4)。

また,国内最大級のインターネット販売サービスを提供している楽天市場やamazon,Yahooショッピング,その他の通販サイトにおいて「キックボード」「キックスクーター」の売れ筋ランキングの検索や商品カテゴリーによる検索をすると,同種の商品が「キックスケーター」「キックボード」「キックスクーター」「スクーター」等さまざまな名称で販売されている事実や,一つの商品にこれらの名称が複数使用されている事実がある(甲5〜甲8)。

これら実際の取引の場において,本件商標に係る商品「キックボード,キックスケ一ター」は「運動用具」,引用商標に係る商品「Scooters[toys]」は「おもちゃ」,というようなカテゴリーに分けられて販売されているという実情もない。

そして,上記のとおり,商取引の場において,本件商標の指定商品「キックボード,キックスケーター」は,引用商標の指定商品「Scooters [toys]」と同じ商品をさすものであることから,これらの商品が,生産部門,販売部門,原材料及び品質,用途,需要者の範囲等のいずれにおいても一致することは述べるまでもない。

以上より,本件商標の指定商品「キックボード,キックスケーター,スケートボード」と,引用商標の指定商品「Scooters[toys]」は,生産部門,販売部門,原材料及び品質,用途,需要者の範囲において一致する実質的に同一又は類似の商品であり,本件商標と引用商標とは商品において類似するものといわなければならない。

(3)まとめ

以上述べたとおり,本件商標は,引用商標に類似し,その指定商品においても類似するものであることから,商標法第4条第1項第11号に該当する。

2 商標法第4条第1項第10号及び同項第15号について

申立人は,オランダを拠点とするスクーターの製造販売会社である。申立人のスクーターは,デッキを前後に体重移動することで前進可能な特殊な機構を持つスクーターであり(甲10),「Space Scooter」として世界各国で販売され,子供や若者に人気を博している(甲11〜甲16)。日本国内での販売については,株式会社福田フィッシュが申立人の許諾を得て,2014年,すなわち本件商標の出願以前からamazon等で「Space Scooter」を販売している(甲16〜甲18)。

加えて,2014年4月3日からは,世界的に有名なサッカー選手であるリオネル・メッシ氏のスポンサーとなっており(甲19〜甲21),「Space Scooter」は,テレビ放送や,インターネット広告,Facebook等の多種多様なソーシャルメディアを通じて急激に知名度が上がった(甲22)。

また,2014年から,メッシ氏がデザイン及びプロモーションを行う「Space Scooter メッシモデル」が発売され,その人気はより高まり,これらに伴って,申立人標章「Space Scooter」は取引者・需要者において広く浸透するに至っている(甲13,甲16〜甲20)。

以上のとおり,申立人が使用する標章「Space Scooter」は(以下「申立人使用標章」という。),申立人の商品を表示するものとして広く一般に知られているところ,本件商標「スペーススクーター」は,申立人使用標章とその称呼において共通し,類似することは明らかである。そして,上記1(2)で述べたとおり,本件商標の指定商品は,申立人使用標章に係る商品「スクーター」(以下「申立人使用商品」という。)と実質的に同一又は類似することから,本件商標は,商標法第4条第1項第10号に該当する。

加えて,申立人使用標章の周知・著名性のため,本件商標がその指定商品について使用された場合には,それがあたかも申立人使用商品,もしくは,申立人と経済的・組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であると,取引者・需要者において,誤認混同を生じる蓋然性が非常に高いものである。したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 商標法第4条第1項第19号について

(1)周知・著名性,商標の類否について

上記2で述べたとおり,申立人標章「Space Scooter」が,本件商標の登録出願時及び登録査定時において,申立人使用商品を示すものとして日本国内又は外国における需要者に広く認識されていたことは明らかであり,また,本件商標「スペーススクーター」が,申立人使用標章とその称呼において共通し,類似することもまた明らかである。

(2)不正の目的で使用するものであることについて

上記2で述べたとおり,本件商標の出願時点で既に申立人使用商品を示すものとして広く知られており,上記1(2)で述べたとおり,本件商標に係る指定商品と,申立人使用商品とは,実質的に同一若しくは類似の商品であり,これらを扱う本件商標権者と申立人とは同業者といえる。

そして,本件商標は,周知・著名でかつ造語からなる申立人使用標章の読みをそのまま片仮名で表記したにすぎない。

同業者でありながら,そのような商標を,申立人使用標章とは全く関係なく偶然の一致で採択するなどということはあり得ず,本権商標権者は周知・著名である申立人標章を熟知した上で,申立人使用標章の周知性・著名性ヘフリーライド(ただ乗り)するという不正の目的をもって,本件商標の登録出願を行ったことは明らかである。

(3)まとめ

以上述べたとおり,本件商標は,日本国内又は外国における周知・著名な申立人使用標章に類似する商標であって,不正の目的を持って使用するものであることから,本件商標は,商標法第4条第1項第19号に該当する。

第4 本件商標に対する取消理由

当審において,平成28年9月28日付けで商標権者に対し通知をした取消理由は,次のとおりである。

<商標法第4条第1項第11号について>

1 本件商標と引用商標の類否

(1)本件商標は,上記第1のとおり「スペーススクーター」の文字からなり,該文字に相応し「スペーススクーター」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

(2)引用商標は,上記第2のとおり「Space Scooter」の文字からなり,該文字に相応し「スペーススクーター」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

(3)そこで,本件商標と引用商標を比較すると,両者は,外観において,片仮名と欧文字という構成文字の差異を有し,称呼においては「スペーススクーター」の称呼を共通にするものである。

そして,観念においては,両商標は特定の観念を生じないものの,いずれも「宇宙,空間」及び「スクーター(乗り物)」などを意味するものとして我が国で親しまれた外来語又は英語の「スペース」又は「Space」及び「スクーター」又は「Scooter」を結合し,本件商標は片仮名で「スペーススクーター」と,引用商標は英語で「Space Scooter」と表したものと容易に認識されるものである。

そうすると,本件商標と引用商標とは,外観においては区別し得るものであって,称呼においては共通し,観念においては特定の観念を生じないものの,両商標を構成する各語の語意に共通性を有するものであるから,両者の外観,称呼,観念等によって取引者,需要者に与える印象,記憶,連想等を総合して全体的に考察すれば,両者は相紛れるおそれのある類似の商標と判断するのが相当である。

2 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否

(1)本件商標の指定商品中「キックボード,キックスケーター」について

ア 申立人提出の甲第4号証ないし甲第8号証によれば,「片足で乗り他の片足で地面をけって走る,ハンドルと車輪のついた小型の乗り物」(以下「本件乗り物」という。)を,「キックボード」,「キックスケーター」及び「キックスクーター」などと称している事実が認められる。

イ また,職権調査によれば,「広辞苑 第6版」(株式会社岩波書店 2008年1月11日発行)の「キックボード」の項に「スティック状のハンドルと小さな車輪のついた細長い板。立って乗り,片足で地面を蹴って進む。」の記載があり,「コンサイスカタカナ語辞典 第4版」(株式会社三省堂 2010年2月10日発行)の「キックボード」の項,「キック・スケーター」の項及び「キック・スクーター」の項にはいずれも「⇒スティックボード」の記載があり,「スティックボード」の項に「スティック状のハンドルが付いた小型のスケートボードのような乗り物.片足をボードの上に乗せ,もう一方の足で地面を蹴って進む.」の記載が確認できる。

ウ 上記ア及びイからすれば,本件乗り物は,「キックボード」,「キックスケーター」,「キックスクーター」及び「スティックボード」など複数の異なった名称で表されていることが認められる。

そうすると,本件商標の指定商品中「キックボード」及び「キックスケーター」は,いずれも本件乗り物をいうものと判断するのが相当である。

なお,申立人提出の上記甲各号証は,本件商標の登録査定日(平成27年11月26日)後の2016年(平成28年)6月21日にプリントアウトされたものと認められるが,上記イの登録査定日前の事情に加え,本件商標の登録査定日からプリントアウトされた日までの間に,かかる乗り物に関する事情が大きく変わったというべき要因があったとは認められないことを考慮すれば,上記アの事情は,本件商標の登録査定時におけるものと推認できる。

(2)引用商標の指定商品中,第28類「Scooters[toys]」について

職権調査によれば,「小学館 ランダムハウス英和大辞典」(株式会社小学館 2002年1月10日発行)の「scooter」の項に「1 (子供用の)片足スケート」の記載,及び「研究社 新英和大辞典」(株式会社研究社 第6版 第10刷 2012年2月発行)の「scooter」の項に「1 スクーター,片足スケート《子供が片足を乗せ片足で地をけって走る》」の記載があることが確認できる。

また,「広辞苑第6版」の「スクーター【scooter】」の項に「2 子供が片足を乗せもう一方の足で地面をけり,滑走して遊ぶ小型のハンドル付きの車」の記載があることが確認できる。

そうすると,引用商標の指定商品中「Scooters[toys]」は,「片足で乗り他の片足で地面をけって走る,ハンドルと車輪のついた小型の乗り物であって,子供用のもの」と認められる。

(3)本件商標の指定商品「キックボード,キックスケーター」と引用商標の指定商品「Scooters[toys]」の類否について

ア 本件商標の指定商品「キックボード,キックスケーター」と引用商標の指定商品「Scooters[toys]」はそれぞれ上記(1)及び(2)のとおりであり,その内容を総合すると,両商品は,いずれも「片足で乗り他の片足で地面をけって走る,ハンドルと車輪のついた小型の乗り物」であって,その差異は前者が年齢等を問わないものであるのに対し,後者が子供用であるという点にあるとみるのが相当である。

イ 両商品の生産部門,販売部門

上記甲各号証及び職権調査(ジェイディ ジャパン(株)(www.razor.co.jp),(株)ラングスジャパン(rangsjapan.co.jp),マイクロスクーター・ジャパン(株)(microscooters.co.jp)の各ホームページ ほか)によれば,本件乗り物は大人用及び子供用のものがあり,それらの全てを取り扱う事業者は少なくないものとみるのが相当である。

そうすると,両商品は販売部門を共通にすることが少なくないものといえる。

ウ 両商品の原材料及び品質,用途

両商品は,いずれも「片足で乗り他の片足で地面をけって走る,ハンドルと車輪のついた小型の乗り物」であり,かかる乗り物であるという品質及び用途を共通するものである。

エ 両商品の需要者の範囲

両商品の需要者は,使用者が子供用の商品を共通にするものであって,いずれも本件乗り物に関心を有する一般需要者である。

オ 両商品の類否

上述のとおり,本件商標の指定商品「キックボード,キックスケーター」と引用商標の指定商品「Scooters[toys]」は,販売部門を共通にすることが少なくなく,品質及び用途を共通にし,いずれの需要者も本件乗り物に興味を有する一般需要者であるから,これらを総合的に考慮すれば,両商品は類似するものと判断するのが相当である。

3 まとめ

上記1のとおり本件商標と引用商標は類似する商標であって,上記2のとおり本件商標の指定商品中,第28類「キックボード,キックスケーター」と引用商標の指定商品中,第28類「Scooters[toys]」は類似するものであるから,本件商標は,その指定商品中,第28類「キックボード,キックスケーター」について,商標法第4条第1項第11号に該当するものといわなければならない。

したがって,本件商標の指定商品中,第28類「キックボード,キックスケーター」についての登録は,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものである。

第5 本件商標権者の意見

本件商標の指定商品中「キックボード,キックスケーター」と引用商標の指定商品中「Scooters[toys]」は,以下のとおり,非類似の商品である。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。

1 「scooter」は,「1(子供用の)片足スケート」(「小学館 ランダムハウス英和大辞典」)及び,「1,スクーター,片足スケート《子供が片足を乗せ片足で地をけって走る》」(「研究社 新英和大辞典」)として各辞典に記載されている。さらに,「スクーター【scooter】」は,「2 子供が片足を乗せもう一方の足で地面をけり,滑走して遊ぶ小型のハンドル付きの車」(「広辞苑第6版」)として,記載がされている。

また,引用商標の指定商品は「Scooters[toys]」であり,[toys]とあえて限定していることから,「おもちや」であることを明確にしている。

これらのことから,「Scooters[toys]」は,「片足で乗り他の片足で地面をけって走る,ハンドルと車輪のついた小型の子供用乗り物おもちや」である。

2 一方,本件商標の指定商品中「キックボード,キックスケーター」は,「片足で乗り他の片足で地面をけって走る,ハンドルと車輪のついた小型の子供用乗り物おもちや」とは,全く類似しない商品である。

我が国の総務省及び経済産業省が実施する「経済センサス」分類表を見るに,「スポーツ用品」として「キックボード」が例示されていることに対し,「娯楽用品・がん具」の例示としては,「キックボード,キックスケーター」との記載はない(乙1)。

また,おもちや会社が会員である「一般社団法人日本玩具協会」における「玩具安全基準(ST基準)」においても,「キックスケーター」は,運動用具に含まれるものとの判断がなされ,明確に玩具とみなさない旨の取り扱いがなされている(乙2)。

これらのことから,「キックボード,キックスケーター」は,「子供用おもちや」ではなく,あくまで「運動用具」であることが明白である。

3 ここで,「片足で乗り他の片足で地面をけって走る,ハンドルと車輪のついた小型の子供用乗り物おもちや」は,少なくとも「子供用おもちや」であることから,当然に子供を対象として設計,製造されており,その使用場所も一般的に,空き地や公園であって,遊ぶことを目的として使用されるものである。一方,「キックボード,キックスケーター」は,運動用具であることから,当然に運動用として設計,製造されており,その使用場所も一般的に,専用コースや仮設コースであり,競技目的として耐えうる原材料を使用し,その強度を確保する必要がある。

このように,そもそも「片足で乗り他の片足で地面をけって走る,ハンドルと車輪のついた小型の子供用乗り物おもちや」と運動用具である「キックボード,キックスケーター」は,その強度,使用場所,使用目的などが異なる。

これらのことから,少なくとも,両商品の原材料及び品質が異なることはもちろんのこと,その使用用途も,「空き地や公園で遊ぶこと」と「専用コースや仮設コースで運動を行うこと」であり相違するものである。さらに,遊ぶ目的の下「おもちや」として購入する者と,運動を行う目的の下「運動用具」として購入する者といった需要者の範囲がすみ分けられること,加えて,完成品と部品との関係にないことが明白である。

4 上述した内容を総合的に考慮すれば,本件商標の指定商品中「キックボード,キックスケーター」と引用商標の指定商品中「Scooters[toys]」は,非類似の商品であるといわざるを得ない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。

第6 当審の判断

1 本件商標は,上記第4の取消理由に記載のとおり,その指定商品中「キックボード,キックスケーター」については,商標法第4条第1項第11号に該当するものと判断する。

2 取消理由に対する本件商標権者の意見について

本件商標権者は,上記第4の取消理由に対して,本件商標権者は,引用商標の指定商品が「Scooters[toys]」であり「おもちや」であることを明確であり,本件商標の指定商品「キックボード,キックスケーター」は,「子供用おもちや」ではなく「運動用具」であることが明白であって,しかも,本願指定商品中の商品「キックボード」が我が国の総務省及び経済産業省が実施する「経済センサス」における分類表において「スポーツ用品」として例示され(乙1),また,「玩具安全基準(ST基準)」においても,「キックスケーター」が運動用具に含まれるものであるから(乙2),両者は,使用場所,使用目的などが異なるから,本件商標の指定商品中「キックボード,キックスケーター」と引用商標の指定商品中「Scooters[toys]」は非類似の商品である旨主張する。

しかしながら,以下のとおり,その主張は採用することができない。

商標法第4条第1項第11号における商品の類否は,「取引の実情に照らし,それらの商品が通常同一営業主により製造又は販売されている等の事情により、それらの商品に同一又は類似の商標を使用するときは同一営業主の製造又は販売に係る商品と誤認混同されるおそれがあるか否かによって判断されるべきである」(平成15年(行ケ)第456号参照)ことから,対比すべき商品の生産部門,販売部門,原材料,品質,需要者の範囲等を総合的に考慮し,両商品に同一又は類似の商標が使用された場合に,これに接する取引者,需要者が商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがあるかどうかにより判断すべきである。

そうすると,本件商標の指定商品「キックボード,キックスケーター」と引用商標の指定商品「Scooters[toys]」は,包括的な産業構造を明らかにし,事業所・企業を対象とする各種統計調査の実施のための母集団情報の整備をする「経済センサス」(総務省ウェブサイト http://www.stat.go.jp/data/e-census/ 参照)及びおもちゃの安全性を高めるための玩具の安全基準である「玩具安全基準(ST基準)」(一般社団法人 日本玩具協会ウェブサイト http://www.toys.or.jp/jigyou_st_top.html 参照)において,異なる商品として分類されていることが認められるものであるものの,上記第4の2(3)のとおり,取引の実情において,販売部門,品質,用途,需要者の範囲において共通性があるものと認められることから,当該両商品に同一又は類似の商標を使用した場合,需要者において商品の出所について誤認混同を生ずるおそれのある,互いに類似する商品というべきである。

3 商標法第4条第1項第10号,同項15号及び同項第19号の該当性について

(1)申立人使用標章の著名性について

ア 申立人は,引用商標2の著名性に係る証拠として,インターネットのウェブサイトの写し(甲11〜甲15)を提出しているが,当該写しは,本件商標の登録出願日(平成27年2月12日)より後の2016年(平成28年)に掲載されたもの又は掲載日付が不明なものであって同年の6月に印刷されたものである。

イ 「amazon.co.jp」のウェブサイトの写し(甲16)によれば,申立人使用商品は,2014年(平成26年)9月から販売され,三菱倉庫株式会社に係る請求明細書及び在庫報告書(甲17,甲18)によれば,同年9月に我が国に輸入され,その後,保管されていたことは認められるが,輸入・保管された商品数は,わずか680台にすぎないものであり,実際に販売された数量は明らかでない。

ウ インターネットのウェブサイトの写し(甲13,甲19〜甲26)によれば,申立人は,世界的なサッカープレイヤーであるリオネル・メッシ氏と2014年(平成26年)にスポンサー契約を行い,販売促進活動を行ったことは認められるが,申立人使用標章が付された商品が本件商標の登録出願日までに,申立人使用商品が我が国及び外国においてどの程度の売上数量・売上高・シェアがあったのかは明らかではない。

エ したがって,提出された証拠により,申立人使用標章が,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,本件商標の登録出願日前より,我が国及び外国の需要者の間に広く認識されていたと認めることはできない。

(2)判断

上記(1)のとおり,申立人使用標章は,我が国及び外国において,本件商標の登録出願時及び登録査定時において申立人の商標として,我が国の取引者,需要者の間で広く知られ,著名となっていたと認めることはできないから,本件商標をその指定商品について使用しても,これに接する取引者,需要者が,該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品又は役務であるかのように誤認することはなく,その出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。

したがって,本願商標は,商標法第4条第1項第10号,同項15号及び同項第19号に該当しない。

4 まとめ

以上のとおり,本件商標の登録は,その指定商品中,第28類「キックボード,キックスケーター」については,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから,同法第43条の3第2項の規定により,取り消すべきものである。

また,その余の指定商品については,取り消すべき理由がないから同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持するものとする。

よって,結論のとおり決定する。

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