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Trademark Appeal Case

要部抽出と称呼の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2016−900407(T2016−900407/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5884213号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5884213号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成28年2月29日に登録出願、第3類「ヘナを配合したせっけん類,ヘナを配合した化粧品」を指定商品として、同年9月12日に登録査定、同月23日に設定登録されたものである。

2 引用商標

本件登録異議の申立ての理由中、商標法第4条第1項第11号、同項第15号及び同項第19号において、登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである(以下、これらの商標をまとめていうときは「引用商標」という。)。

(1)登録第657580号商標(以下「引用商標1」という。)は、「MAC」の欧文字を横書きしてなり、昭和38年7月15日に登録出願、第4類「せつけん類」を指定商品として、同39年11月6日に設定登録され、その後、平成16年11月24日に指定商品を第3類「せっけん類」とする指定商品の書換登録がされたものである。

(2)登録第4028328号商標(以下「引用商標2」という。)は、「M.A.C.」の欧文字及び記号を横書きしてなり、平成7年5月17日に登録出願、第3類「香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、同9年7月18日に設定登録されたものである。

(3)登録第4127857号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、平成9年11月13日に登録出願、第3類「香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、同10年3月27日に設定登録されたものである。

(4)登録第4139137号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲3のとおりの構成からなり、平成7年11月2日に登録出願、第3類「香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、同10年4月24日に設定登録されたものである。

(5)登録第4916333号商標(以下「引用商標5」という。)は、「MAC」の欧文字を横書きしてなり、平成17年3月23日に登録出願、第3類「香料類,化粧品,歯磨き」及び第44類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定商品及び指定役務として、同年12月16日に設定登録されたものである。

(6)登録第4025320号商標(以下「引用商標6」という。)は、「エムエーシー」の片仮名と「M.A.C.」の欧文字及び記号を二段に横書きしてなり、平成7年5月17日に登録出願、第3類「香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、同9年7月11日に設定登録されたものである。

3 登録異議の申立ての理由(要旨)

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 商標の類似

(ア)外観

本件商標と引用商標は、その構成中に「MAC」の欧文字を含む点で共通する。さらに、本件商標中の文字部分は、白色の文字で強調されており、かつ、「Henna」及び「ヘナ」の部分は、白髪染め用の天然原料(甲11)であって、商品の内容物を表示するにすぎないから、「MAC」の文字部分が看者の目を引く。

したがって、本件商標と引用商標は、外観上近似する。

(イ)称呼

本件商標は、その構成文字より、「マックヘナ」、「マックヘンナ」の称呼を生じるが、「ヘナ」、「ヘンナ」の部分は、商品の内容物を表示するにすぎないから、「マック」又は「エムエーシー」の称呼が生じる。

したがって、本件商標は、「マック」、「エムエーシー」の称呼が生じる引用商標と称呼上類似する。

イ 商品の類似

本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と類似する。

ウ したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第15号該当性について

引用商標は、申立人の業務に係る商品「化粧品」を表示するものとして、また、申立人の略称を表示するものとして、長年にわたり継続して使用され、かつ、多数の雑誌やブログ等に取り上げられた結果、本件商標の登録出願時前より、アメリカ、カナダ、イギリス、香港を中心とする外国及び日本国内において、その取引者・需要者に広く認識されている(甲12〜甲24)。

上記(1)のとおり、本件商標は、引用商標と類似する商標である。

してみると、本件商標がその指定商品に使用された場合、取引者・需要者が、申立人又は申立人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第19号該当性について

上記(2)のとおり、引用商標は、日本国内及び外国の需要者の間に広く認識されている商標である。

本件商標は、著名な引用商標に類似する商標であり、本件商標の商標権者(以下「本件商標権者」という。)は、化粧品を取り扱う業者であることから、引用商標の存在を知っていたというべきである。

してみれば、本件商標権者は、引用商標の著名性に便乗し、不正の利益を得る目的をもって、本件商標を登録出願したものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

(4)商標法第4条第1項第8号該当性について

「MAC」は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の略称として、著名性を獲得していた(甲12、甲13)。

本件商標は、その構成中に申立人の著名な略称を含むものであり、かつ、申立人の承諾を得たものではない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。

(5)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号、同項第19号及び同項第8号に違反してされたものであるから、取り消されるべきである。

4 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標

本件商標は、別掲1のとおり、上下の二辺の中央部分に弧状の突起を有し、かつ、緑色で塗られた横長四角状図形の内部に、該横長四角状図形の輪郭に沿って白抜きの細線が2本描かれ、また、横長四角状図形内の上部中央の弧状突起部分には、上記細線2本を分断するように、白抜きで植物の葉と思しき図形が配され、その下に、白抜きで「Mac Henna」の欧文字(「Mac」と「Henna」の間には小文字1字程度の間隔がある。)が左右の二辺に接近するように大きく表され、さらに、その下部中央の弧状突起部分には、白抜きで「マック ヘナ」の文字(「マック」と「ヘナ」の間には半字程度の間隔がある。)が小さく表されているものである。そして、本件商標は、これを全体として観察した場合、緑色を背景色とする横長四角状図形とその内部にいずれも白抜きで表された2本の細線、植物の葉と思しき図形、大きく表された「Mac Henna」の文字及び小さく表された「マック ヘナ」の文字とが、バランスよく表され、構成全体が極めてまとまりのよいものとして印象付けられるといえる。また、本件商標中の文字部分の構成態様をみても、大きく表された「Mac Henna」の文字部分は、そのうちの大文字の「M」と「H」が花文字風にややデザイン化され、これらの文字に続く小文字も同一の書体で表され、「Mac」と「Henna」の各文字の間に外観上の軽重の差は見いだせない。さらに、該欧文字の読みを特定したものと理解される「マック ヘナ」の文字部分も、同一の書体をもって弧状突起部分に小さくまとまって表されているものである。そうすると、本件商標中の文字部分についても、いずれも外観上まとまりよく一体的に表されているとの印象を与えるものといえる。そして、これらの文字より生じると認められる「マックヘナ」の称呼も無理なく称呼されるものである。

一方、「ヘナ(henna)」の語は、「ヘナを配合した天然原料の白髪染めの総称」(甲11)であり、化粧品等の原材料として使用されているところから、その語そのものは、自他商品の識別機能を有しないものであることは否定することができない。しかし、上記のとおり、本件商標は、構成全体が極めてまとまりよく表されているばかりでなく、その構成中の文字部分の構成態様をみても、いずれも外観上まとまりよく一体的に表されているものであり、「Mac」又は「マック」の文字部分が特に強調された態様からなるものではない。また、文字部分から生じる称呼も無理なく称呼されるものである。そうすると、本件商標に接する需要者は、その構成中、「Henna」の文字部分を殊更排除して、「Mac」の文字のみを抽出し、あるいは、欧文字部分全体の読みを特定するために表記されている「マック ヘナ」の文字部分から「マック」の文字のみを抽出して、これより生じる称呼のみをもって商品の取引に当たるものとみることはできない。

したがって、本件商標は、その構成中の文字部分に相応して、「マックヘナ」の一連の称呼のみを生じるものであって、単に「マック」の称呼は生じないものといわなければならない。また、本件商標は、構成全体をもって、特段の観念を生じないものといえる。

イ 引用商標

(ア)引用商標1及び5は、上記2(1)及び(5)のとおり、「MAC」の欧文字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して、いずれも「マック」の称呼を生じるものであって、特定の意味合いを有しない造語を表したと理解されるものといえる。

(イ)引用商標2は、上記2(2)のとおり、「M.A.C.」の欧文字を横書きしてなるものであるところ、各文字にそれぞれピリオドが付されているものであるから、これより生ずる自然の称呼は、「エムエーシー」というのが相当である。また、引用商標2からは、特段の観念は生じないものといえる。

(ウ)引用商標3は、別掲2のとおりの構成からなるものであるところ、その構成中の「A」の両斜線の上部にある2つの小さな黒い点は、「MAC」の文字をそれぞれ区切る中黒を表したと理解される場合が多いといえるから、全体として、「エムエーシー」の称呼を生じるものというのが相当である。また、引用商標3からは、特段の観念は生じないものといえる。

(エ)引用商標4は、別掲3のとおりの構成からなるものであるところ、見方によっては、図案化された欧文字を表したと理解される場合もあるといえるが、その態様は、極めて図案化され、むしろ抽象的図形を表したと理解される場合が多いというのが相当である。したがって、引用商標4は、特定の称呼・観念を生じないものである。

(オ)引用商標6は、上記2(6)のとおり、「エムエーシー」の片仮名と「M.A.C.」の欧文字及び記号を二段に横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して、「エムエーシー」の称呼を生じるものであって、特段の観念は生じないものといえる。

ウ 本件商標と引用商標との対比

(ア)外観

本件商標は、上記アのとおりの構成からなるものであって、その構成中の「Mac」、「マック」の文字部分のみが看者に強く印象付けられる態様のものではない。

これに対して、引用商標は、上記イ(ア)ないし(オ)のとおりの構成からなるものである。

したがって、本件商標と引用商標は、外観において明らかに相違するものであるから、外観上類似するものではない。

(イ)称呼

本件商標から生じる「マックヘナ」の称呼と引用商標1及び5から生じる「マック」の称呼は、後半部分において、「ヘナ」の音の有無の差異を有するものである。

また、本件商標から生じる「マックヘナ」の称呼と引用商標2、3及び6から生じる「エムエーシー」の称呼は、構成する音数、各音の音質・音調等において著しい差異を有するものである。

してみると、本件商標から生じる「マックヘナ」の称呼と引用商標から生じる「マック」又は「エムエーシー」の称呼を、それぞれ一連に称呼した場合は、称呼全体の語調、語感が著しく相違したものとなり、両称呼は、互いに紛れるおそれはないものといえる。

さらに、引用商標4は、特定の称呼を生じないものであるから、本件商標とは、称呼において比較することができない。

したがって、本件商標と引用商標は、称呼上類似するものではない。

(ウ)観念

本件商標と引用商標とは、いずれも特段の観念を生じない商標であるから、観念において比較することができず、したがって、両商標は、観念上類似するものではない。

エ 以上によると、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれの点についても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(2)商標法第4条第1項第15号該当性について

ア 引用商標の著名性

(ア)申立人の提出した証拠によれば、以下の事実を認めることができる。

A 申立人は、1984年にカナダにおいて、プロのメイクアップアーティストのために設立されたブランド「M・A・C」を運営する企業であり、エスティローダの子会社である(甲8、甲10、甲25。なお、甲10には、「1998年4月に『M・A・C』ブランドを販売開始」と記載されている。)。

B 申立人の業務に係るメイクアップ化粧品は、本件商標の登録出願時前である2013年10月2日付けのファッション雑誌「25ans(ヴァンサンカン)」のウェブサイトに、「M・A・C」の表示とともに紹介された(甲14)。また、同じく本件商標の登録出願時前である2015年4月30日及び同年7月29日付けのファッション雑誌「MAQUIA」のウェブサイトにおいて、前者については、引用商標3を付したメイクアップ化粧品が他社の化粧品とともに掲載され、また、後者については、「M・A・C」の表示とともに、申立人のメイクアップ化粧品が紹介された(甲23、甲24)。その他、引用商標3を付したメイクアップ化粧品は、「M・A・C」の表示のもと、ファッション雑誌「CanCam」、「VOGUE」、「ELLE」、「JJ」、「MORE」等のウェブサイトに掲載されるなどしたが、これらは、いずれも本件商標の登録出願時以降のものである(甲15〜甲22)。さらに、申立人の「M・A・C|MAC公式オンラインショップ|公式通販」のウェブサイト(甲25、甲26)には、「M・A・Cについて」として、引用商標が設立された経緯などが記載されているほか、引用商標3の表示のもと、申立人の取扱いに係るメイクアップ化粧品が掲載されているが、これらのウェブサイトの掲載日は明らかではない。

(イ)上記(ア)で認定した事実によると、引用商標3は、申立人の業務に係る商品「メイクアップ化粧品」を表示するものとして、本件商標の登録出願時前より我が国において使用されていた事実を認めることができる。

しかし、引用商標3を使用したメイクアップ化粧品について、本件商標の登録出願時前における広告は、極めて少ないといえるばかりか、引用商標3以外の引用商標が申立人の業務に係る商品について使用された事実を明らかにする証拠の提出はない。また、引用商標を使用したメイクアップ化粧品に関し、本件商標の登録出願時前までの我が国における販売数量、売上高等は明らかではない。したがって、申立人の提出した証拠をもってしては、少なくとも本件商標の登録出願時において、引用商標が、申立人の業務に係るメイクアップ化粧品を表示するものとして、我が国の需要者の間に広く認識されていたということはできない。

そうすると、引用商標が申立人の業務に係るメイクアップ化粧品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及びその登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたということはできない。

イ 出所の混同のおそれ

上記アのとおり、引用商標は、申立人の業務に係るメイクアップ化粧品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及びその登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたということはできない。

また、上記(1)のとおり、本件商標は、引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点についても互いに紛れるおそれのない非類似の商標である。

そうすると、本件商標に接する需要者が引用商標を想起又は連想することはなく、したがって、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、該商品が申立人又は申立人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれのある商標ということはできない。

ウ したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(3)商標法第4条第1項第19号該当性について

上記(2)のとおり、引用商標は、申立人の業務に係るメイクアップ化粧品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及びその登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたということはできない。

また、申立人は、引用商標は、本件商標の登録出願時前より、アメリカ、カナダ、イギリス、香港を中心とする外国及び日本国内の需要者の間に広く認識されていた旨主張するが、その事実を明らかにする証拠の提出はない。そうである以上、引用商標が外国の需要者の間に広く認識されていたということはできない。

さらに、上記(1)のとおり、本件商標は、引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点についても互いに紛れるおそれのない非類似の商標である。

してみると、本件商標権者は、引用商標の著名性に便乗して不正の利益を得るなど、不正の目的をもって本件商標を登録出願したということはできない。その他、本件商標が不正の目的をもって使用する商標であると認めるに足りる証拠の提出はない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。

(4)商標法第4条第1項第8号該当性について

申立人の提出した証拠によれば、本件商標の登録出願時前において、「MAC」が申立人の略称を表示するものとして使用されている事実は見いだせない。そうすると、「MAC」が、申立人の略称を表示するものとして、本件商標の登録出願時に既に、我が国の需要者の間に広く認識されていたということはできない。また、本件商標の登録出願時から登録査定時に至るまでの間に、「MAC」が申立人の略称を表示するものとして、我が国の需要者の間に著名となったと認めるに足りる証拠はない。

してみると、「MAC」は、申立人の略称を表示するものとして、本件商標の登録出願時及びその登録査定時において、我が国の需要者の間に広く認識されていたということはできない。

なお、申立人は、本件商標が商標法第4条第1項第8号に該当するとして、過去の審決(甲12、甲13)を証拠として提出するが、「MAC」が申立人の著名な略称に該当するか否かの判断基準時は、本件商標の登録出願時及びその登録査定時である。そして、その判断に当たっては、申立人の提出した証拠等、当該事実を明らかにする具体的な証拠により、個別具体的に審理、判断されるべきであって、過去の審決の判断に左右されるべきものではない。してみると、過去の審決をもって、「MAC」が申立人の著名な略称であるとする申立人の主張は採用することができない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。

(5)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同項第15号、同項第19号及び同項第8号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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