Trademark Appeal Case
「&」記号の称呼省略の可否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 平成11年異議第91230号 |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1.本件商標
本件登録第4275794号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成10年4月16日に登録出願され、「HAIR & ESTHETE」の文字を横書きしてなり、第3類「せっけん類,化粧品」を指定商品として、同11年5月21日に設定登録されたものである。
2.登録異議の申立ての理由
本件商標は、平成8年7月29日に登録出願され、「Hair Esthete」の欧文字を横書きしてなり、第3類「頭髪用化粧品,頭髪用シャンプー」を指定商品として、同10年2月6日に設定登録された登録第4110891号商標及び平成8年5月28日に登録出願され、「ヘア&エステ」の文字を横書きしてなり、第3類「化粧品,せっけん類」を指定商品として、同10年5月15日に設定登録された登録第4144580号商標と類似する商標であり、かつ、その指定商品も類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
3.本件商標に対する取消理由
本件商標は、「Hair Esthete」の欧文字を横書きしてなり、平成8年7月29日に登録出願、第3類「頭髪用化粧品,頭髪用シャンプー」を指定商品として、同10年2月6日に設定登録された登録第4110891号商標(以下、「引用商標」という。)に類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは互いに類似するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものと認められる。
4.商標権者の意見
本件商標からは「ヘアーアンドエススィート」なる称呼のみが発生するものであると考える。本件商標の構成中、その中央部に配された「&」が「AND」を表わす記号であることは、日本人ならだれでも知っている周知の事実であり、又この「AND」が語、句、文を対等につなぐ接続詞として、ほとんど日本語化していると言える程、日常広く使用されている外来語であることも同じく周知の事実である。そして、この接続詞である「AND」は明瞭に発音されてこそ、語や句などをつなぐ接続詞としての機能を果たせるものであり、接続詞としての機能(用法)を勘案した場合、この「AND」あるいは「&」を構成中に有する商標において、この「AND」あるいは「&」が省略されて称呼されるとは到底考えられない。
取消理由通知書においては、「ANDあるいは&はその前後の語を結合する作用を果すにすぎない」とその機能を低く評価しているが、それとは逆に、この「AND」あるいは「&」を構成中に配したことによって、はじめて商標としての識別力を備えるに至った商標も多数存在しており、この様な重要な働きを担う「AND」あるいは「&」が称呼において省略されることなどあり得るはずがない。
ちなみに、かつて本件異議申立人が出願した「ヘアエステ」なる商標に対しては、平成1年審判第14044号審決公報(乙第1号証)記載の通り、「ヘアエステ」の語は「頭髪の美容,髪の毛の美容」の如き意味合いを看取させるにすぎないとの審決が出され、その登録が拒絶されている一方で、この「ヘアエステ」とは別に、「ヘア&エステ」なる商標に対し、登録商標第4144580号登録検索情報(乙第2号証)記載の通り、その登録が認められている。この様に、「ヘアエステ」なる商標の登録が拒絶され、「ヘア&エステ」なる商標の登録が認められたのは、「AND」あるいは「&」に商標として有すべき識別力に影響を与えるべき力があり、この「AND」あるいは「&」の有無によって「ヘアエステ」と「ヘア&エステ」が商標的には全く別のものとなっているからである。この様に、商標登録の可否を決定する程、重要な働きをする「AND」あるいは「&」の語をいかに簡易迅速を旨とする商取引界といえども、称呼において省略するとは到底考えられない。
又、「AND」あるいは「&」の音訳「アンド」は、それ自体語韻、語調もよく、この「AND」あるいは「&」を中央に配した商標の場合、発声の際のリズム感からしても、この「アンド」を省略して称呼するはずはあり得ない。本件商標の称呼について見た場合にも、この「&(アンド)」という語の介在により全体としてのリズム感は増しており、「ヘアアンドエススィート」という様に、途中で−呼吸間合いを入れて称呼されるはずであり、いかなる場合も「アンド」が称呼において省略されることはない。
この様に、「AND」あるいは「&」は商標の構成上非常に重要な働きをする語あるいは記号であり、いかに簡易迅速を旨とする取引界においても、称呼に際して省略することはあり得ないものであるが、このことは過去の登録例(乙第1号証乃至乙第28号証)によっても裏付けることができる。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
5.当審の判断
本件商標は、前記のとおり、「髪の毛」の意味を有する「HAIR」と「審美家」の意味を有する「ESTHETE」の欧文字の間に「&」を配した構成よりなるところ、その「&」が、英語における接続詞「and」(・・・と・・・、・・・および・・・)の略記号として一般に親しまれているものであるから、「HAIRとESTHETE(髪の毛と審美家)」の意味合いを表示したものとして理解されるといい得るものである。
そうとすると、本件商標は、その商標中の「&」が、前後の語を単に結合するにすぎない記号と認められるものであるから、顕著に表された「HAIR」と「ESTHETE」の文字部分のみが看者の記憶に残るというべきである。
そして、本件商標は、その商標中の「&」を含めて全体として称呼するときは「ヘアアンドエススィート」と比較的冗長であること及び上記認定を併せ考慮すれば、簡易迅速を旨とする商取引においては、「&」の部分が省略され、「HAIR」と「ESTHETE」の文字より生ずる「ヘアエススィート」の称呼をもって取引される場合も決して少なくないと判断するのが相当である。
してみれば、本件商標は、「ヘアアンドエススィート」の称呼を生ずるほか、「ヘアエススィート」の称呼をも生ずるものといわなければならない。
他方、引用商標は、前記のとおり、「Hair Esthete」の欧文字を横書きしてなるものであるから、その構成文字に相応して、「ヘアエススィート」の称呼を生ずること明らかである。
したがって、本件商標と引用商標とは、それぞれ生ずる「ヘアエススィート」の称呼において類似する商標であり、かつ、両者の指定商品は互いに同一又は類似のものであるから、結局、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとして、その登録を取り消すべきものとした先の取消理由(上記3)は妥当なものである。
なお、商標権者の挙げる登録例は、いずれも本件と事案を異にするものであるから、それに基づく主張は採用の限りでない
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、商標第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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