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Trademark Appeal Case

複合語の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2016−10829(T2016−10829/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、「e−文書保存ソリューション」の文字を標準文字で表してなり、第9類「電子計算機用プログラム,電子応用機械器具及びその部品,電気通信機械器具,文字情報・画像情報若しくは音声情報を記憶させたCD−ROM,電子出版物,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD−ROM,インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル,インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」及び第42類「電子計算機の貸与,電子計算機用プログラムの提供,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機などを用いて行う情報処理に関する情報の提供,電子計算機などを用いて行う情報処理に関するコンサルティング,電子計算機・自動車その他その用途に応じて的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法等に関する紹介及び説明,機械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらの機械等により構成される設備の設計,機械器具に関する試験又は研究,電気に関する試験又は研究」を指定商品及び指定役務として、平成27年6月12日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標の構成中『e−文書』の文字は、電子化した文書を指称する際に使用されている語であり、『保存』の文字は、『そのままの状態を保って失わないこと。』等の意味を、『ソリューション』の文字は、『解決(法)。新しい情報システムやビジネスモデルによる企業の問題解決。』等の意味を有する語であって、近時、民間事業者等に保存が義務づけられた文書の電子化が認められたことや、電子化した文書の保存に際し、正当性や原本性の確保、安全な保管・管理といった問題解決のためのコンサルティングやシステム構築・提供等のサービスが『○○ソリューション』と称され、提供されていることから、本願商標は、全体として『電子化した文書を保存する際に生じる問題の解決』程の意味合いを容易に認識させる。したがって、本願商標は、これをその指定商品・役務中、『電子化した文書を保存する際に生じる問題を解決するための商品・役務』に使用するときは、商品の品質、用途又は役務の質、用途を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標にすぎないから、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品・役務以外の商品・役務に使用するときは、商品の品質又は役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審においてした証拠調べ

当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲に示す事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対して、平成28年10月17日付け証拠調べ通知書(以下「本件証拠調べ通知」という。)によってこれを開示し、期間を指定して、これに対する意見を述べる機会を与えた。

第4 証拠調べ通知に対する請求人の意見(要旨)

本件証拠調べ通知により指摘された用例をみても、「e−文書保存ソリューション」そのものを含む用例はなく、また、その多くが名称、商標的な使用であって、必ずしも説明的、記述的な用例とはいえない。インターネット上では、無数の記事から資料が抽出でき、また、他人の商標に注意を払うことなく、一般的な用語のごとく気楽に使用してしまう傾向があり、本件証拠調べ通知で引用された記事、それも、本願商標「e−文書保存ソリューション」自体ではない「文書」「ソリューション」などの用例のみを根拠として、本願商標の自他商品役務識別力を否定される根拠となり得るものではない。

不可分一体になる本願商標「e−文書保存ソリューション」について、一部の記事、それも、本願商標それ自体の使用ではない記事を基礎に、市場において出願人の商標として確立し、独占的に出願人によって使用されている商標の登録を排除されるべきではない。

他の登録例及び審決例などをみても、当該文字、用語が指定商品の品質などを表示するものとして取引上一般的に使用されている事実を発見できない場合は、自他商品・役務識別力を認めるとの判断法則が裁判、審判により確立されている。本件証拠調べ通知に示された事実は、本願商標が記述的に使用されている事実を示す証左たり得るものではないことから、本願商標は、その使用商品・役務に関して自他商品・役務識別力を有するものであって、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものではなく、その登録が認められるべきものである。

第5 当審の判断

1 商標法第3条第1項第3号該当性について

本願商標は、前記第1のとおり「e−文書保存ソリューション」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「e−」の文字は、「電子の、インターネットの」を意味する語(コンサイスカタカナ語辞典第4版 三省堂)、「文書」の文字は「文字や記号を用いて人の意思を書きあらわしたもの。」を意味する語(広辞苑第六版 岩波書店)、「保存」の文字は「そのままの状態を保って失わないこと。原状のままに維持すること。」を意味する語(前出「広辞苑第六版」)、「ソリューション」の文字は「問題解決」などを意味する語(前出「コンサイスカタカナ語辞典第4版」)として、いずれも一般に親しまれよく知られた語からなるものと理解される。

そして、当審において職権で調査したところ、本願商標の構成中「e−文書」の文字は、これを構成する「e−」及び「文書」の文字の有する前記意味に則し、一連として、あるいは「−(ハイフン)」を省いた「e文書」として、「電子化された文書(電子文書)」を意味する語として普通に使用されている事実が確認できる(別掲1)。

これより、本願商標は、その構成文字全体として「電子化された文書(電子文書)の保存に関する問題解決」程の意味合いを容易に理解、認識させるものと認める。

次に、当審において職権で調査したところ、「ソリューション」の文字が、本願商標の指定商品又は役務との関係において、ある問題を解決するための「電子計算機用プログラム」が、該商品が目的とする問題解決の対象を表す語と「ソリューション」の語を結合して、「○○ソリューション」と称して使用されている事実、ある問題を解決するために提供される「電子計算機用プログラムの提供,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機などを用いて行う情報処理に関するコンサルティング」などの役務が、該役務が目的とする問題解決の対象を表す語と「ソリューション」の語を結合して、「○○ソリューション」と称して使用されている事実が確認できる(別掲2、別掲3)。

また、「e−文書法(電子文書法)」(正式名称、「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」)など、民間が保存義務をもつ文書(財務諸表や税務書類など)について、原則的に電子保存を認め、またすでに紙で保存している文書についても、スキャナー読み取りによる電子保存を認める法律が2004年に制定され(別掲1(1))、近時、別掲4のとおり、前記「e−文書法」等に対応した電子文書の保存、管理などを行う製品が販売されている実情にある。

そうすると、本願商標の構成文字から容易に理解、認識させる意味並びに前記「e−文書」及び「○○ソリューション」の文字の使用状況などを勘案すれば、本願商標をその指定商品中、「電子計算機用プログラム,電子応用機械器具及びその部品」、あるいは、その指定役務中、「電子計算機用プログラムの提供,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機などを用いて行う情報処理に関する情報の提供,電子計算機などを用いて行う情報処理に関するコンサルティング」に使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、「e−文書保存ソリューション」からなる本願商標全体として「電子化された文書(電子文書)を保存する際に生じる問題を解決するための商品あるいは役務」程度の意味合いを表す、商品の品質あるいは役務の質を表示したものと認識、理解するというのが相当である。また、本願商標は標準文字で表されたものであるから、態様上顕著な特徴は認められない。

以上から、本願商標は、商品の品質あるいは役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるといわざるを得ない。

したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

2 商標法第4条第1項第16号該当性について

本願商標は、前記1のとおり、その指定商品中、「電子計算機用プログラム,電子応用機械器具及びその部品」、あるいは、その指定役務中、「電子計算機用プログラムの提供,電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機などを用いて行う情報処理に関する情報の提供,電子計算機などを用いて行う情報処理に関するコンサルティング」との関係では、その取引者、需要者に、「電子化された文書(電子文書)を保存する際に生じる問題を解決するための商品あるいは役務」程度の意味合いを表す、商品の品質あるいは役務の質を表示するものと認識される以上、そのような商品あるいは役務以外の指定商品あるいは指定役務に本願商標を使用した場合には、商品の品質あるいは役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるというべきである。

したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第16号にも該当する。

3 請求人の主張について

(1)請求人は、本件証拠調べ通知により指摘された用例をみても、「e−文書保存ソリューション」そのものを含む用例はなく、その多くが名称、商標的な使用であって、必ずしも説明的、記述的な用例とはいえず、辞書などに記述的な用語として掲載されている事実はなく、また、本件証拠調べ通知における一部の記事、それも、本願商標それ自体の使用ではない「文書」、「ソリューション」などの記事を基礎に、市場において出願人の商標として確立し、独占的に出願人によって使用されている商標の登録を排除されるべきではない旨、他の登録例及び審決例などをみても、当該文字、用語が指定商品の品質などを表示するものとして取引上一般的に使用されている事実を発見できない場合は、自他商品・役務識別力を認めるとの判断法則が裁判、審判により確立しており、本願商標は、その使用商品・役務に関して自他商品・役務識別力を有するものであって、その登録が認められるべきものである旨主張する。

しかしながら、商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それゆえに登録を受けることができないとしたものであって、その表示態様が商品の品質等を表すものとして必ず使用されているものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきある(東京高等裁判所平成12年(行ケ)第76号同年9月4日判決、東京高等裁判所平成13年(行ケ)第208号同年12月26日判決参照)。したがって、たとえ、「e−文書保存ソリューション」の文字が、電子計算機用プログラム等に関連する分野において、商品の品質あるいは役務の質等を表示するものとして、実際に使用されている事実が存在していないとしても、取引者、需要者によって、当該商品の品質あるいは役務の質等を一般に認識するものといえるならば、本願商標が商品の品質等を表示するものであると認定、判断することの妨げにはならないものである。そして、電子計算機用プログラム等に関連する分野において、本願商標が商品の品質あるいは役務の質等を表示したものと認識、理解されるということは、前記1で述べたとおりである。

そして、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項の規定に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、当該商標の構成態様と指定商品及び指定役務との関係や商品及び役務の取引の実情をも踏まえて個別具体的に判断されるべきものであるところ、請求人の挙げた審決例は、いずれも本願商標とは、商標の構成態様において異なるものであるから、事案を異にするものというべきであり、また、過去の登録例が存在することをもって、本願商標の前記判断が左右されるものではない。

(2)請求人は、市場において、本願商標が出願人(請求人)の商標として確立している旨の主張をしているが、この主張が、本願商標の使用による識別力を獲得したものとの趣旨(商標法第3条第2項)であると解したとしても、請求人は、本願商標を使用した商品あるいは役務について、その使用開始時期、販売地域、売上数あるいは販売シェアなどがわかる具体的な数値を示す証拠を何ら提出しておらず、他にこれを認めるに足る証拠は見いだせないことから、市場において本願商標が出願人の業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものとなっているとは認められない。

したがって、請求人の主張はいずれも採用することができない。

4 まとめ

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、これを登録することができない。

よって、結論のとおり審決する。

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