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Trademark Appeal Case

F-1の周知性と出所混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年異議第91164号
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4270498号商標の登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4270498号商標(以下「本件商標」という。)は、「エフワン」の文字と「F−1」の文字とを二段に横書きしてなり、平成8年5月30日に登録出願、第28類「おもちゃ,人形,遊戯用器具,ビリヤード用具,囲碁用具,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,マージャン用具」を指定商品として平成11年5月7日に設定登録されたものである。

2 登録異議甲立ての理由

本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第15号、同第19号に該当し、その登録は取り消されるべきである。

3 本件商標に対する取消理由の要点

登録異議申立人フォーミュラ ワン ライセンシング ベスローテン フェンノートシャップ外1名(以下、両者を併せて「申立人」という。)の提出に係る甲各号証によれば、「F−1(エフワン)」は、「Formula 1/フォーミュラーワン」と同義語であって国際自動車連盟「Federation Internationale de Automobile(以下、「FIA」という。)」により、1950年5月より現在まで継続的に開催されてきたモータースポーツの頂点に立つ自動車レースを指称するものであり、我が国においても鈴鹿サーキットを舞台に開催され、テレビ放送、ビデオ、あるいは雑誌、書籍等を通じて広く一般にも知られていることが認められる。

また、申立人は、FIAから「F−1(エフワン)」に関する標章についての商品化事業を行う権限などを付与され、世界各国で種々の商品について多数の使用許諾契約を締結しており、我が国においても株式会社フジテレビジョンを通じて使用許諾がなされ、特に「F−1(エフワン)」(「Formula 1/フォーミュラーワン」)を内容とする家庭用等のコンピュータゲームの製造、販売についての再使用許諾が多くの製造業者になされている事実を認めることができる。

しかして、本件商標は、前記のとおり「エフワン」、「F−1」よりなるものであるから、前記事実からすれば、容易に国際的な自動車レースである「F−1(エフワン)」(「Formula 1/フォーミュラーワン」)を認識させるものである。

してみれば、商標権者が本件商標をその指定商品について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、FIA、申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見の要点

(1)「F−1」がモータースポーツの頂点に立つ自動車レースを指称するものであって、我が国において広く一般に知られていることは認める。

しかし、「F−1」が自動車レースとして我が国で広く知られていることをもって、本件商標がその指定商品について使用されたときに、需要者等が申立人、FIA等の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所の混同を生ずるとはいえない。

すなわち、申立人の提出に係る甲各号証を参照しても、「F−1」のレース自体とFIAを関連づける記載は、わずか用語辞典に認められるのみであって、申立人と「F−1」レースを関連づける記載にいたってはほとんど認められない。

このことから、我が国においてはモータースポーツとしての「F−1」が広く知られていることは認められるが、これは単にスポーツのレースとして知られているのみであって、何人かの業務に係る商品・役務を示す商標として知られているわけではないことが明らかである。

一般の需要者、取引者は「F−1」の文字に接したときに「世界最高峰の自動車レース」を想起するかもしれないが、レース自体はあくまでもスポーツであるので、需要者等が直接的に認識するのはあくまでもモータースポーツとしての「F−1」であって、「F−1」の文字が直ちに申立人等の業務に係る商品又は役務を示す商標であると認識されるとはいい得ない。

つまり、「F−1」の文字の付された商品等が当該モータースポーツを内容とするものである場合に初めて、その主催者又はそれより許諾された関連企業の提供に係る商品であるかのように認識するというべきである。

このことは申立人の提出に係る甲各号証を参照しても明らかである。

(2)このような事情がある場合、確かに申立人の提出に係る甲第11号証及び甲第12号証に示されるように、第9類の「家庭用テレビゲームおもちゃ」について、出所の混同が生ずるとされることはやむを得ない。「家庭用テレビゲームおもちゃ」はゲームソフトを使用する商品であるからである。

ゲームソフトには種々の実際のスポーツの試合をモチーフとする内容のものが多数販売されており、当該ソフトが「F−1」レースを内容とするものであれば、その主催者又はそれより許諾された関連企業の提供に係る商品であるかのように認識され、商品の出所について混同を生ずる可能性は否定できない。

しかし、この判断は本件商標権の指定商品である第28類の「おもちゃ」等については妥当しない。第28類の「おもちゃ」はこのようなソフトを用いたシュミレーションゲームを想定しているものではないからである。

商標法第4条第1項第15号に該当するか否かは、具体的な出所の混同が生じるかどうかの問題である。

本件商標についての判断にあたっては、第9類の「家庭用テレビゲームおもちゃ」と第28類の「おもちゃ」が類似商品として扱われるものであることは問題とならない。具体的な出所の混同の検討にあたって、一般的に類似商品とされているかどうかは関係ないからである。

取消理由通知には「種々の商品について多数の使用許諾契約を締結している」旨が述べられているが、さらに「特に「F−1(エフワン)」(「Formula 1/フォーミュラーワン」)を内容とする家庭用等のコンピュータゲームの製造、販売について再使用許諾が多くの製造業者になされている事実を認めることができる。」と述べられているように、その許諾商品の中心は「F−1」レースを内容とするコンピュータゲームである。

(3)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではないから、本件商標の登録は取り消されるべきではない。

5 当審の判断

本件商標は、その指定商品について使用した場合、「F−1(エフワン)」商標の高い著名性に照らせば、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならないから、商標法第4条第1項第15号に該当するとの理由により、本件商標の登録を取り消すべきものとした先の取消理由(上記3)は妥当なものであって、これについて述べる商標権者の意見(上記4)は、以下の理由により、採用することができない。

(1)商標権者は、申立人の提出に係る証拠をみると、「F−1」のレース自体とFIAを関連づけるものは、わずか用語辞典のみであり、申立人との関連に至ってはほとんどないから、「F−1」が知られているのは、モータースポーツのレースとして知られているのみであって、何人かの業務に係る商品・役務を示す商標として知られているわけではない旨主張する。

確かに、一般の者がF−1の自動車レースの主催者ないし運営者が何人であるかまでは知らない場合が多いとしても、該レースは長年継続して年間16戦程度開催されており(甲第3号証「現代用語の基礎知識」)、その模様やレース結果などが、新聞、雑誌、テレビなどを通じて報道されている事実からすると、「F−1(エフワン)」は、自動車レースの名称のみに止まらず、自動車レースの開催、運営等の役務の商標としても、高い著名性を獲得しているものと認められる。すなわち、商標は一定の出所を表示するものであって、商品又は役務を識別すべき標識であるから、「F−1(エフワン)」商標を使用する者が何人であるか特定される必要はなく、同レースの開催、運営に携わる一定の者が継続して使用している商標であろうとの理解、認識で足りるものといわざるを得ない。

(2)商標権者は、「F−1」の文字の付された商品等が当該モータースポーツを内容とするものである場合に初めて、その主催者又はそれより許諾された関連企業の提供に係る商品であるかのように認識するというべきであるから、「家庭用テレビゲームおもちゃ」について出所の混同が生ずるとされることはやむを得ないが、本件商標の指定商品の「おもちゃ」等については該当しない旨主張する。

しかしながら、上記したとおり「F−1(エフワン)」が自動車レースの名称としてのみならず役務商標としても高い著名性を有しているものと判断し得る以上、たとえ、本件商標の指定商品が当該モータースポーツを内容とするものでないとしても、本件商標がその指定商品について使用された場合、これに接した者は、これより上記自動車レースないしは商標としての「F−1(エフワン)」を直ちに連想、想起するものと認めざるを得ないから、商標権者の上記主張も採用の限りでない。

以上のとおりであって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反してされたものといわざるを得ないから、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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