Trademark Appeal Case
商標周知性の立証不足
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2017−900029(T2017−900029/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5897330号商標(以下「本件商標」という。)は,「Flagship」の文字を標準文字で表してなり,平成28年4月20日に登録出願され,同年10月27日登録査定,第9類「救命用具,保安用ヘルメット,オートバイ用ヘルメット,電線及びケーブル,防火被服,防災頭巾,事故防護用の被服,事故防護用の靴・ブーツ,事故防護用のゴーグル,事故防護用手袋,事故防護用の腕カバー,事故防護用の胸当て,事故防護用ひざ当て,事故防護用ひじ当て,眼鏡」及び第14類「キーホルダー」を指定商品として,同年11月18日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,登録異議申立ての理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証から甲第6号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 引用商標
申立人が,登録異議の申立ての理由として引用する登録第500533号商標(以下「引用商標」という。)は,別掲のとおり,「Flagship」の文字を筆記体風に横書きしてなり,昭和31年6月28日登録出願,同32年4月20日に設定登録され,その商標権は,第14類「時計,時計の部品及び附属品」を指定商品とするものであり,現に有効に存続している(甲2の1,甲2の2)。
2 本件商標と引用商標の類似性
「Flagship」は我が国の需要者・取引者にとって馴染みのある平易な英単語であるから(甲3),本件商標及び引用商標からは,「旗艦・最高のもの」の観念及び「フラッグシップ」の称呼が生じる。したがって,本件商標と引用商標とは,観念上及び称呼上,同一の商標である。
3 本件商標と引用商標の指定商品の関連性
本件商標の指定商品である「キーホルダー」の最終需要者は一般消費者であり,例えば,百貨店等の総合小売業の店舗においては,「金属製の服飾関連小物雑貨」の括りで,「ネクタイピン」等の身飾品と同じ棚で販売されているのが通常である。そして,身飾品等の「服飾関連小物雑貨」は,「時計・宝飾売場」の括りで,「時計」と同一のフロアにおいて併売されているのが取引の実情である。
4 引用商標の著名性
申立人は,引用商標の出願時(昭和31年6月28日)から現在に至るまで継続して,引用商標を付した商品「腕時計」を販売し続けており,各種雑誌に紹介されるなど,申立人の「引用商標を付した商品『腕時計』」は,我が国において著名になっている(甲4〜甲6)。同腕時計は,販売開始から既に60年近くも経過した商品であるにもかかわらず,現在においてもコンスタントに売れ続けているロングセラーとなっている。
5 混同のおそれ
以上のとおり,本件商標と引用商標は,観念上及び称呼上,同一の商標であり,これらの商品同士の関連性,並びに,申立人の引用商標を付した「腕時計」の長年に亘る販売実績に基づく知名度を併せ考えれば,本件商標を付した「キーホルダー」が,引用商標を付した「腕時計」の近辺に陳列され販売されると,本件商標を付した「キーホルダー」が,あたかも申立人の業務に係る商品であるかのごとく受け取られ,混同を生ずるおそれが非常に高いといわざるを得ない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当する。
6 むすび
以上のとおり,本件商標は,その指定商品中,第14類「キーホルダー」について,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録を取り消すべきである。
第3 当審の判断
1 引用商標の周知性について
申立人の提出する証拠及びその主張によれば,申立人は,引用商標の出願時(昭和31年6月28日)から現在に至るまで継続して,引用商標を付した商品「腕時計」を販売していたことが認められる(甲4〜甲6)。
しかしながら,甲第4号証及び甲第5号証は,それぞれ1990年(平成2年)11月及び1994年(平成6年)11月に発行された輸入時計のカタログであり,また,甲第6号証は,2002年(平成14年)11月に発行された週刊誌であるが,いずれも本件商標の出願日から10年以上前に発行されたものである上に,頒布又は発行された部数も不明である。さらに,引用商標を付した腕時計の実際の販売台数,売上げ,シェア,広告宣伝の方法・回数・内容等を確認できる資料の提出もない。
そうすると,申立人が提出した証拠によっては,引用商標が,申立人の業務に係る商品である「腕時計」について,本件商標の登録出願時及び登録査定時に,我が国において周知性を獲得していたと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第15号について
引用商標は「Flagship」の文字よりなるところ,その構成文字は「旗艦・(同じ種類の中で)最高のもの」の意味を有し,我が国においても親しまれた平易な英語であるため(甲3),当該構成文字を商品について使用した場合には,これに接した取引者・需要者に,当該語の有する意味から,当該商品が最高のものであることを想起させる語と認識され得るものであるから,引用商標は本来自他商品の識別標識としての機能がそれほど高いものとはいえない。
そして,上記1のとおり,引用商標は,我が国において,本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知性を獲得していたものと認めることはできない。
そうすると,本件商標をその指定商品中「キーホルダー」に使用した場合,取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断すると,申立人の業務に係る商品「腕時計」と出所の混同を生ずるおそれがあるものとは認められない。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 まとめ
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録は維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
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