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Trademark Appeal Case

著名商標と混同のおそれ

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成10年異議第91862号
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4149979号商標の指定商品中「食肉、肉製品」についての登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4149979号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成8年3月13日に登録出願され、後掲したとおり「ザオウベニバナ」、「蔵王紅花」の各文字を上下二段に横書きしてなり、第29類「食肉,食用魚介類(生きているものを除く。),肉製品,かつお節,豆,加工野菜及び加工果実,卵,加工卵,カレー・シチュー又はスープのもと,なめ物,ふりかけ,こんにゃく,食用たんぱく」を指定商品として、平成10年5月29日に設定の登録がされたものである。

2 登録異議申立ての理由

登録異議申立人(以下、「申立人」という。)は、異議申立の理由を次のように述べ、甲第1号証乃至甲第18号証(枝番を含む。)を提出した。

申立人は、山形市、山形県経済農業協同組合連合会、山形県農業協同組合及び内陸ブロイラー生産組合と一致協力のうえ地鶏をベースに品質の良いおいしい鶏肉を銘柄鶏として供給することを目途に、他の地鶏と差別化を図ることによって安定的経営を確立することを目指した研究・開発プロジェクトを昭和61年頃スタートさせ、約2年後の昭和63年4月頃に商品化され、山形県の特産品として売り出すため、その銘柄は、山形県ゆかりの「蔵王」と県花の「紅花」にちなんで「蔵王べにばな鳥」と決定された。

申立人は、「蔵王べにばな鳥」に係る「肉用鶏」及びその解体加工品の食肉としての「鶏肉」及び「鶏肉の加工品」の総販売元となり、これらの商品に「蔵王べにばな鳥」商標(以下、「申立人商標」という。)を付して、宣伝、広告、販売した結果、申立人商標は、本件商標の登録出願時前には取引者、需要者間に広く認識されていたものであって、本件商標は、申立人商標に類似する商標であり、かつ、本件商標をその指定商品に使用するときは、申立人の業務に係る商品の如くその出所について混同を生ずるおそれがあるから、同法第4条第1項第10号及び同第15号に該当する。

また、申立人に係る申立人商標は、日本国における需要者の間に広く認識されているものであり、本件商標は、この申立人商標と同一若しくは類似するものであり、商標権者は、申立人と関係を有していた者であって、申立人の使用する「蔵王べにばな鳥」商標の存在を十分知っていたものと思われ、本件商標を使用することは当然不当利益を得ることを目的とすること明らかであるから、同法第4条第1項第7号及び同第19号に該当する。

したがって、本件商標の登録は取り消されるべきである。

3 本件商標に対する取消理由

登録異議の申立てがあった結果、商標権者に対し平成11年2月25日付取消理由通知書をもって期間を指定して意見を述べる機会を与えつつ示した本件商標の取消理由は、次のとおりである。

本件商標は、「ザオウベニバナ」の文字と「蔵王紅花」の文字とを二段に書きしてなり、第29類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品とするものであるところ、申立人全農チキンフーズ株式会社の提出に係る甲各号証によれば、申立人の使用に係る「蔵王べにばな鳥」の商標(申立人商標)は、昭和63年4月頃に、山形市、山形県経済農業協同組合連合会、山形県農業協同組合、生産者団体である内陸ブロイラー生産組合及び総販売元である申立人等によって、山形市周辺の肉用鶏をベースにして、餌や飼育方法等について研究の末開発された鶏肉及びこの鶏肉を素材にした肉製品の商標であり、以後、「蔵王べにばな鳥」の商標が付された鶏肉製品は、山形県の特産品として、東北地方ばかりでなく、関東から関西地方等まで広く販売され、本件商標の登録出願前から取引者・需要者の間において広く知られていたものであることを認めることができる。

してみれば、本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている申立人商標と類似の商標であって、しかも、本件商標の指定商品と申立人の使用商品とは、同一の商品を含む極めて密接な関連を有する商品であるから、これに接する取引者・需要者は、申立人又は申立人と何等かの関連を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見

前記3の取消理由通知に対し、商標権者は、意見書においてその意見を次のように述べている。

今般の取消理由通知書に示された取消理由には、以下の4点において、その判断に重大な過誤もしくは誤解や誤認、看過の事実が認められ、到底承服することができないので、以下にその事実を指摘する。

(1)証拠採用の是非の判断

異議申立の理由中には、本件商標と同一の標章からなるとして申立人商標の使用事実に関し、(ア)使用事実立証に無関係な証拠、(イ)使用内容の不明な証拠、(ウ)使用事実に当たらない証拠の三種類の証拠を(エ)使用事実を立証しようとする証拠、の中に含んでいるにも拘わらず、それらの指摘あるいは区別を一切明確にすることなくした、換言すれば、それら不適切なものまでをも証拠に採用した可能性を残したままでなされた今般の判断は明らかに違法という外はない。

(ア)使用事実立証に無関係な証拠

甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証の2(「商品ご案内」銘柄鶏の頁)、甲第4号証の4(銘柄鶏の頁)、甲第4号証の5(銘柄鶏の頁)、甲第6号証の1,2,4,5、甲第9号証、甲第14号証の1〜3、甲第16号証の一部

【根 拠】これらの証拠は、商標法の商品または役務の区分および指定商品または指定役務において、甲第14号証の1〜3の場合を除き、何れも第31類「鳥類」についての使用の事実を示すものであり、さらに甲第14号証の1〜3の場合は、同第42類「飲食物の提供」についての使用の事実を示すものであって、本件商標の商品の区分および指定商品に属すものでもなく、且つまた、類似するものでもない。

(イ)使用内容の不明な証拠

甲第7号証の1、甲第7号証の2、甲第15号証の1,2、甲第16号証、甲第17号証の1〜3

【根 拠】これらの証拠は、看取できないか、指定商品が何であるのか不明、単に鶏名を表示しているにしか過ぎないのではないか、あるいは、使用態様が全く特定されていない等の何れかに該当していて、本件商標の商品の区分および指定商品との関係が判然としないものである。

(ウ)使用事実に当たらない証拠

甲第4号証の2(「たしかなおいしさをたしかなカタチでお届けします。」の頁)、甲第4号証の5(スモークドチキンの頁の写真に映し出されたラベル表示)、甲第5号証の1,2,4、甲第7号証の2、甲第7号証の3の一部、甲第8号証、甲第10号証の1,2、甲第12号証の1、甲第13号証の1〜10の各一部、甲第14号証の1〜3

【根拠】これらの証拠は、何れもその標章の使用態様についてみれば、「蔵王」または「山形蔵王」と「べにばな」とを上下に二段書きするか、「べにばな」に対して「蔵王」または「山形蔵王」を極端に小さく書してなるか、「べにばな」だけを単独使用するものであって、「蔵王」または「山形蔵王」、あるいは「べにばな」なる標章の使用ではあっても、本件商標「蔵王紅花」と同一の標章の使用の事実を証明するものに当たらない。

(エ)判断に係わる証拠

甲第4号証の3(OUR BUSINESS STAGEの頁)、甲第4号証の4(調味肉の頁。但し、カタログ見出しだけで商品に付した状態不明)、甲第5号証の3、甲第6号証の3、甲第7号証の3の一部、甲第11号証の1〜7(但し、台帳データー上の表記で使用態様不明)、甲第13号証の1〜10の各一部

【根拠】提出された証拠、甲第2号証ないし甲第17号証という膨大な数の証拠の中、上記した(ア)ないし(ウ)に該当する証拠を除く、高々(エ)に列挙するだけのものが、本件商標「蔵王紅花」と同一の標章からなるとして申立人が主張する商標についての使用の事実があったかどうかの判断に係わる証拠として止まっているに過ぎない筈である。

(2)申立人商標の特定に関する判断

本件商標「蔵王紅花」と同一の標章からなるとして申立人が主張する申立人商標は、提出された証拠から、漢字3文字と平仮名4文字とを連ねてなる「蔵王べにばな鳥」であって、外観では、その文字の種類の違いに加え、全体として特定の観念を生じさせたり、発声上繋げる必要のある訳でもなく、一連に繋げなければならない蓋然性等も見当たらないことから、看者をして漢字部分の最初の2文字「蔵王」と、次の平仮名部分の4文字「べにばな」、あるいはそれに末尾漢字の「鳥」を連ねた「べにばな鳥」とは、明確に分離、看取される構成の標章であると共に、その知名度により、観光地として全国的にも名高い「蔵王」部分は、他の平仮名部分の4文字「べにばな」、あるいはそれに末尾漢字の「鳥」を連ねた「べにばな鳥」とは際だった違いの出る構成からなる標章であると解釈することに異論を挟む余地はない筈である。

この標章構成上の解釈は、いみじくも、平成10年10月23日付商標登録異議申立理由補充書、第4頁第8〜13行目の記載にあるとおり、当該標章誕生の由来にも符合するばかりではなく、甲第5号証の1および2のロゴマークの原デザインおよびシールにも、そのような印象を期待してなされた事実を伺い知ることが可能であり、その後、本件商標の出願日である平成8年3月13日に至るまでの使用態様が、上記(ウ)に分類した申立人本人が提出した甲号各証の証拠のとおりであって、その正当性を裏付けている。

にも拘わらず、今般の取消理由は、それらの事実を全く無視するか、迂闊にも看過したまま、軽率にも「蔵王べにばな鳥」であると即断して判断したものといわざるを得ず、このような使用商標の特定を誤ってなされた周知性に関する判断は無効であり、到底許容されるものではない。

(3)申立人商標の使用者特定の判断

上記にも見たとおり、申立人商標は、その標章の構成上からも、使用態様の大部分からも、「蔵王」と「べにばな」あるいは「べにばな鳥」とが分断、使用されたものとすべきであり、然りとすれば、申立人商標の周知性の立証には、本件商標が含む指定商品「食肉,肉製品」との関係において、それら標章「蔵王」と「べにばな」あるいは「べにばな鳥」からなる商標が申立人を特定人として、それ以外の他人からは全く使用されていなかった事実を立証しなければならない筈である。

しかしながら、今般の異議申立書には、全くそれを立証するものはなく、それを看過したままなされた今般の取消理由は、周知性認定の根拠を欠き、当然違法である。なお、「蔵王」、「べにばな」が山形県特産品の商標として特定人以外で普通に使用されている事実は、必要に応じ、追って補充する。

(4)申立人商標の指定商品に係わる判断

取消理由には、「申立人の使用に係る「蔵王べにばな鳥」の商標は、昭和63年4月頃に、山形市、.........申立人等により、山形市周辺の肉用鶏をベースにして、餌や飼育方法等についての研究の末開発された鶏肉及びこの鶏肉を素材にした肉製品の商標であり」として、申立人の主張をそのまま採用した形で断定し、その周知性を認める判断をしているが、上記(ア)に分類した申立人自らが明らかにしている甲号各証の証拠からして、「申立人の使用に係る「蔵王べにばな鳥」の商標は、昭和63年4月頃に、山形市、.........申立人等により、山形市周辺の肉用鶏に使用する商標である」とするのが申立人商標の指定商品に関する正確な把握であって、この正確な把握に従って、申立人商標の本件商標の指定商品との係わりについて判断した上、その周知性について結論しなければならないにも拘わらず、それがなされていない今般の取消理由は明らかに正当性を欠き、違法なものであるというに帰する。

5 当審の判断

本件商標についてした先の取消理由は正当であって、本件商標はその指定商品中の「食肉、肉製品」について商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといわざるを得ない(なお、本件登録異議の申立に係る指定商品は「食肉、肉製品」である。)。

そして、この取消理由の認定・判断の誤りを述べる商標権者の意見は次の理由によりいずれも採用することができない。

(1)商標権者は、取消理由は「蔵王べにばな鳥」の標章(申立人商標)の使用事実の認定において証拠の評価・採否等において妥当性を欠くとして、(ア)使用事実に無関係な証拠、(イ)使用内容の不明な証拠、(ウ)使用事実に当たらない証拠としてそれぞれ甲号証を摘示し、それら証拠の評価・採否の不当性を述べている。

しかしながら、以下の点において、その主張はいずれも妥当性を欠くものであって、採用することができない。

(ア)商標権者が使用事実に無関係な証拠として挙げた甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証の2(「商品ご案内」銘柄鶏の頁)、甲第4号証の4(銘柄鶏の頁)、甲第4号証の5(銘柄鶏の頁)、甲第6号証の1,2,4,5、甲第9号証、甲第14号証の1乃至同3、甲第16号証は、いずれも申立人商標に関し、当該食鳥肉(鶏肉)、同鶏肉製品素材ないしはその生産・流通事情に関する関連印刷物(パンフレット、新聞広告、業界紙ほか関連資料)であって、専ら食鳥肉(鶏肉)又は同鶏肉製品として需給に供される状況を示すものと認められる。

例えば、申立人会社に係る製品パンフレット「商品のご案内」中の「銘柄鶏」の頁(甲第4号証の4)をみるに、全国各地で生産されるいわゆる食鳥肉(鶏肉)銘柄の一つとして申立人商標が掲載されていて、その食味特長を示す記述と共に「取り扱い商品」として、いわゆる生肉、みそ漬け、かす漬け等に供される旨解説されている点からも明らかである。このほか前記甲号証についても同様に判断される。そして、これら甲号証は、直接・間接に申立人に係る申立人商標の周知事情を客観的に示すものといえる。

また、甲第14号証の1乃至同3(やきとり屋に関する新聞記事及び同チラシ)についても、当該サービスに係る料理物(鶏肉料理)の使用素材として申立人商標に係る食鳥肉(鶏肉)が用いられていること、すなわち、その流通事情の一端を示すものであって、この点において一定の証拠力を有するものと判断される。

商標権者は、これら甲号証が第31類「鳥類」又は同第42類「飲食物の提供」についての使用であって本件商標の商品の区分及び指定商品に属すものでない旨主張するが、第31類「鳥類」は、専ら愛玩用又は観賞用に供される商品をいうものと解するのが相当であり、また、「飲食物の提供」については、当該提供に係るサービス(役務)とその提供の用に供するもの(食品材料)という点において両者は密接に関連するものであって、申立人商標のサービス分野への周知度を測る点で一定の証拠能力を持つものといえるから、これらの点について述べる商標権者の主張は妥当でなく、採用の限りでない。

(イ)商標権者が使用内容の不明な証拠として挙げた甲第7号証の1、同2、甲第15号証の1、同2、甲第16号証及び甲第17号証の1乃至同3をみるに、なるほど一部の書証(写真)(甲第7号証の1及び同2)において商標の表示等に不鮮明な点があるとしても、それ以外は、いずれも申立人業務と申立人商標又は当該取り扱いに係る食鳥肉(鶏肉)・同鶏肉製品との関係を示し、或いは申立人商標の周知性に関し証明する第三者証明であって、いずれも申立人商標と当該業務主体に関わるものという点で使用状況の一端を示すものと認められる。また、前記写真にしても、申立人による食鳥肉(鶏肉)及び同鶏肉製品に係る具体的な販売活動の一端を示すものという点で十分参考となし得るものである。

したがって、これら証拠の不明瞭さを述べる商標権者の主張は妥当でなく、採用の限りでない。

(ウ)商標権者が申立人商標の使用事実に当たらない証拠として挙げた甲第4号証の2(「たしかなおいしさをたしかなカタチでお届けします。」の頁)、甲第4号証の5(スモークドチキンの頁の写真に映し出されたラベル表示)、甲第5号証の1、同2、同4、甲第7号証の2、甲第7号証の3の一部、甲第8号証、甲第10号証の1、同2、甲第12号証の1、甲第13号証の1乃至同10の各一部、甲第14号証の1乃至同3の各証拠をみるに、なるほど当該証拠(印刷物)又はその一部の頁において申立人商標(「蔵王べにばな鳥」)の構成文字全体が表示されていない場合があるとしても、当該印刷物の他の頁にはそれが明示されている場合が殆どであり、また、他の証拠(甲第9号証、甲第11号証の1乃至同7ほか)によれば、申立人は当初より甲第5号証の1乃至同5に示すロゴマークを基本に相当の期間に亘って申立人商標を継続使用してきた状況が客観的に認められるから、それら一部の表示に不揃いがあるからといって直ちに申立人商標の使用事実(実績)が大きく損なわれるものでなく、前示取消理由において示した認定・判断を覆すに足りない。

また、商標権者は、提出された甲各号証又はその証拠力に関し、本件商標(「蔵王紅花」)と同一の標章の使用事実を証明するものは極く僅かに過ぎない旨述べているが、前記したとおり、申立人商標の使用実績ないしはその周知性は客観的に明らかというべきであり、かかる状況よりして、本件商標からは容易に申立人商標を想起し得る故に申立人の業務に係る商品と混同するとした前示取消理由の認定・判断に誤りはない。

(2)商標権者は、取消理由は申立人商標を特定するに当たり事実を無視し或いは看過したまま「蔵王べにばな鳥」であると即断して判断したものであって、使用商標の特定を誤ってなされた周知性に関する判断は無効である旨述べている。

しかしながら、取消理由は申立人提出の甲各号証に照らし申立人商標が全体として「蔵王べにばな鳥(ザオウベニバナドリ)」として需要者間に認識せられたものである旨認定したものであって、申立人商標の特定に至る過程に何ら誤りはなく、また、たとえ、それが観光地として全国に名高い「蔵王」の漢字と平仮名文字よりなるとしても、それ故に両文字部分に分離され「べにばな」或いは「べにばな鳥」とのみ看取される標章とするのは、却って申立人商標の適正な把握・正当な評価に欠けるものであって、適切でない。

したがって、取消理由は正当であって、その認定・判断の誤りを述べる商標権者の意見は採用の限りでない。

(3)商標権者は、申立人商標が「蔵王」と「べにばな」或いは「べにばな鳥」とに分断、使用されたものであるとの主張を前提にそれらが申立人を特定人としてそれ以外の他人からは全く使用されていなかった事実を立証しなければならない旨主張している。

しかしながら、取消理由は申立人商標が「蔵王べにばな鳥(ザオウベニバナドリ)」として需要者間に認識せられたものと認定し、その上で本件商標の混同惹起の可能性(虞)を判断したものであって、その認定・判断に誤りのないこと前記したとおりであるから、殊更、申立人商標が「蔵王」と「べにばな」或いは「べにばな鳥」とに分断・使用されたものであると強弁する商標権者の主張は取引の実情を無視したものであって、妥当でない。

(4)商標権者は、取消理由は上記(ア)に分類した甲号各証の証拠からして「申立人の使用に係る『蔵王べにばな鳥』の商標は、昭和63年4月頃に、山形市、......申立人等により、山形市周辺の肉用鶏に使用する商標である」とするのが正確な把握である旨述べ、その正確な把握に従って使用商標の本件商標の指定商品との係わりについて判断した上その周知性について結論しなければならない旨述べている。

しかしながら、取消理由は地場産品としての地鶏及び同加工品の開発に関わる地域事情並びに申立人商標の採択に至る過程を証拠に基づき客観的に認定したものであって、その認定判断に誤りはなく、また、この認定を覆すに足りる証拠は見出せないから、確たる根拠なく取消理由の違法性を述べる商標権者の意見は適切でなく、採用することができない。

その他、商標権者の意見(主張)を認めるに足りる証拠はない。

そして、申立人商標の周知・著名性はその流通経路、販売場所(店舗)及び需要者層の範囲等よりして本件商標の指定商品中の「食肉、肉製品」の商品分野に及ぶとみるのが相当であるから、結局、本件商標はその指定商品中の「食肉、肉製品」について商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものといわざるを得ない。

したがって、本件商標の登録は、結論掲記の指定商品について、商標法第43条の3第2項により、取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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