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Trademark Appeal Case

「クリスマス」の識別力と類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2017−900040(T2017−900040/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5895382号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5895382号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり、「アドベントクリスマスカレンダー」の片仮名及び「Advent Christmas Calendar」の欧文字を上下二段に横書きした構成からなり、平成28年3月24日に登録出願、第30類「菓子」を指定商品として、同年10月26日に登録査定、同年11月11日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由において引用する登録商標は、次の2件の商標であり、いずれも現に有効に存続しているものである(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)。

(1)登録第4891202号商標(以下「引用商標1」という。)は、「ADVENTCALENDAR」の欧文字及び「アドベントカレンダー」の片仮名を上下二段に横書きしてなり、平成16年11月22日に登録出願、「菓子」を含む第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同17年9月2日に設定登録され、その後、同27年10月13日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

(2)登録第4877537号商標(以下「引用商標2」という。)は、「ADVENT」の欧文字及び「アドベント」の片仮名を上下二段に横書きしてなり、平成16年11月22日に登録出願、「菓子」を含む第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同17年7月8日に設定登録され、その後、同27年8月18日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。

3 登録異議の申立ての理由

申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するから、同法第43条の2第1号によりその登録は取り消されるべきであるとして、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第57号証を提出した。

(1)商標法第4条第1項第11号について

ア 本件商標と引用商標1の類否について

本件商標は、引用商標1の「アドベント」と「カレンダー」との間に「クリスマス」の語を挿入した形であることが明らかである。そして、本件商標からは「アドベントクリスマスカレンダー」の称呼が生じ、引用商標1からは「アドベントカレンダー」の称呼が生じる。

本件商標と引用商標1とに共通する「アドベント」の語は、「キリスト教で、降誕祭(クリスマス)前の四週間。旧約の民にならい、主キリストの誕生を祝う準備の期間。」を意味する(甲4)。また、「ADVENTCALENDAR/アドベントカレンダー」とは、「12月に子供に与え、クリスマスイブまでの毎日、小さな日めくり部分をめくっていくカレンダー」のことを意味する(甲5)。この語義からも明らかなように、「アドベントカレンダー」の語は、本来的に「クリスマス」とは切っても切れない関係にある。「アドベントカレンダー」といえば「クリスマス」までの所定期間のカレンダーであるから、「クリスマス」の観念から離れて「アドベントカレンダー」を観念することは不可能である。すなわち、「アドベントカレンダー」の語には「クリスマス」の観念が内在している。

よって、本件商標において、「アドベント/Advent」の語と「カレンダー/Calendar」の語との間に「クリスマス/Christmas」の語が挿入され、一連で「アドベントクリスマスカレンダー」の称呼が生じるとはいっても、それによって引用商標1の「アドベントカレンダー」の称呼から生じる観念とは別の観念を生じるものとはいえず、本件商標と引用商標1は、全く同一の観念を生じる商標であることが明らかである。すなわち、本件商標と引用商標1は、観念を同一とする類似の商標である。

また、本件商標と引用商標1には「クリスマス/Christmas」の語を含むか含まないかの違いがあるが、「クリスマス/Christmas」の語は、指定商品「菓子」との関係では、クリスマスケーキ等の語に見られるように、単に商品の用途を表示するにすぎず、それ自体は商品識別力を有しない語である。よって、本件商標と引用商標1との類否の検討、判断において、「クリスマス/Christmas」の語の有無は、両商標を非類似とするほどの影響力を持たない。この点においても、本件商標と引用商標1は類似する商標である。

そして、本件商標と引用商標1の指定商品は、「菓子」について同一である。

イ 本件商標と引用商標2の類否について

本件商標は、引用商標2の「ADVENT/アドベント」を語頭に含む商標であることが明らかである。そして、引用商標2からは、その構成文字に対応して「アドベント」の称呼が生じ、この称呼から、上記アのとおり「キリスト教で、降誕祭(クリスマス)前の四週間。」の観念が生じるのに対し、本件商標からは、その構成文字に対応して「アドベントクリスマスカレンダー」の称呼が生じる。

しかし、本件商標から生じる「アドベントクリスマスカレンダー」の称呼は、語尾の長音を除いても14音構成という極めて長い称呼である。一般に、簡易迅速を旨とする商取引においては、商標の全体を一連に称呼すると冗長となる場合、より短く簡潔な略称も用いられることが経験則上認められる。その場合の略称としては、商標の語頭に近く、かつ、指定商品との関係で識別力の大きい部分が抽出されることが多いことも、経験則上明らかである。

本件商標の場合、ローマ字部分の表記から、「アドベント/Advent」の語と「クリスマス/Christmas」の語と「カレンダー/Calendar」の語を結合させた商標であることが明らかであるから、商標の語頭に近く、かつ、指定商品との関係で識別力の大きい部分といえば、「アドベント/Advent」の部分であり、また、「クリスマス/Christmas」の語は、指定商品「菓子」との関係で商品識別力がない。

よって、本件商標からは、略称として「アドベント」の称呼が生じ、かつ、この称呼から「キリスト教で、降誕祭(クリスマス)前の四週間。」の観念が生じる。この称呼及び観念は、引用商標2から生じる称呼及び観念と同一であるので、両商標は称呼及び観念を同一とする類似の商標である。

そして、本件商標と引用商標2の指定商品は、「菓子」について同一である。

ウ 以上のとおり、本件商標と引用商標は類似する商標であり、指定商品も同一又は類似であるから、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。

(2)商標法第4条第1項第15号について

ア 引用商標1の周知性について

申立人は、引用商標1が付された商品「菓子」を、2004年から現在に至るまで13年間にわたって日本及びシンガポールの多くの直営店舗で販売し、同じく、日本全国で通信販売も行ってきた。

申立人が引用商標1を付して販売している商品は、「12月初めからクリスマスイブまでの毎日、小さな日めくり部分をめくっていくカレンダーであって、各日めくり部分の内部にお菓子が入っている商品」である(甲7〜甲56)。店舗販売、通信販売とも、商品の性質上、クリスマスシーズン(10月〜12月)のみの季節限定の取り扱いであるが、2004年から毎年継続して販売し、需要者から好評を得ている(甲57)。

引用商標1が商品「菓子」と共に掲載されている申立人の国内店舗における配布チラシ(2007年〜2014年分、甲7〜甲13)は、毎年10〜12月にクリスマスシーズン限定で毎年3万部が頒布される。

2016年10〜11月に物産展で配布されたチラシ(甲14)は10万部であり、引用商標1が商品「菓子」と共に掲載されている。

引用商標1が付された商品「菓子」を掲載したクリスマスシーズン限定の通販カタログ(甲15〜甲27)は、2004年から発行が開始され、現在に至るまで毎年30〜50万部が、郵送や簡易宅配(メール便、DM便等)により日本全国に頒布されている。

引用商標1が商品「菓子」と共に掲載されている申立人の新聞折込チラシ(甲28〜甲47)は、2009年から現在まで、毎年11月に2〜4回、北海道新聞に折り込んで頒布されている。頒布数は、1回当たり45〜47万部である。

引用商標1が商品「菓子」と共に掲載されている2009年11月分と2010年11月分の申立人のダイレクトメール(甲48、甲49)は、それぞれ3,000〜4,000部が頒布された。

引用商標1が商品「菓子」と共に掲載された申立人の新聞広告は、2006年11月23日の毎日新聞北海道版(発行部数約45,000部、甲50)、2006年11月23日の朝日新聞北海道版(発行部数約120,000部、甲51)、2006年11月24日の読売新聞北海道版(発行部数約200,000部、甲52)、2009年12月16日の読売新聞(夕刊)関東圏版(発行部数約2,250,000部、甲53)、2009年12月8日の毎日新聞関東圏版(発行部数約1,400,000部、甲54)である。

2010年11月に札幌市営地下鉄の車内に掲示された中吊り広告にも引用商標1が商品「菓子」と共に掲載されている(甲55)。

申立人は、2015年12月7日からほぼ1週間おきに、HTB北海道テレビ放送にて「チョコレー卜の旅」という各2分間のミ二番組を提供しており、同番組の1回分として、2016年11月21日には、「クリスマスを待つ楽しみ〜アドベントカレンダー」というタイトルで、引用商標1が付されたお菓子が紹介された(甲56)。

引用商標1が付された商品「菓子」について2004年11月から2016年12月18日までに寄せられた顧客の声が64通ある(甲57)。

これらの証拠書類から、遅くとも本件商標が出願された平成28年3月24日時点において、引用商標1が申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間で広く知られていたことが理解される。

イ 混同のおそれについて

甲第7号証ないし甲第56号証には、商標「ADVENTCALENDAR/アドベントカレンダー」を付した商品「菓子」のキャッチコピー(「お菓子をほおばりながらクリスマスまでカウントダウン」、「クリスマスが待ち遠しい!12月1日からカウントダウン」など)が記載されている。

これらのキャッチコピーから、引用商標1が付された商品又は甲第7号証ないし甲第56号証の少なくともいずれかに一度でも接したことのある需要者は、「アドベントカレンダー」という語が「クリスマス」と不可分の関係にあることを容易、かつ、確実に認識できる。よって、そのような需要者が本件商標に接した場合、本件商標が付された商品について、引用商標1が付された商品の提供者の商品であるかのごとき混同を生じるおそれ、あるいは該提供者と経済的又は組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品であるかのごとき混同を生じるおそれが十分に考えられる。

特に、本件商標が使用される商品「菓子」の具体的形態が、申立人の商品と同じく「クリスマスイブまでの毎日、小さな日めくり部分をめくっていくカレンダーであって、各日めくり部分の内部にお菓子が入っている商品」である場合には、前記のごとき出所の混同のおそれがあることは必定である。

ウ 以上のとおり、本件商標は、他人の業務に係る商品又は役務と混同を生じるおそれがあるので、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 本件商標について

本件商標は、別掲のとおり、「Advent Christmas Calendar」の欧文字を下段に配し、その読みと認められる「アドベントクリスマスカレンダー」の片仮名を上段に配してなるものであるところ、下段の欧文字部分は、「Advent」、「Christmas」及び「Calendar」の各文字間には半角程度のスペースがあるものの、同じ書体、同じ大きさで表され、一体に看取され得るものといえる。

そして、欧文字部分についてみると、「Advent」、「Christmas」及び「Calendar」が、それぞれ「降臨節」、「クリスマス」及び「暦」の意味を有する語であるとしても、欧文字部分全体は、一種の造語と認識されるものというのが相当であり、上段の片仮名部分も同様である。

また、本件商標全体から生じる「アドベントクリスマスカレンダー」の称呼も、やや冗長であるものの、無理なく一連に称呼し得るものである。

そうすると、本件商標は、「アドベントクリスマスカレンダー」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

イ 引用商標について

引用商標1は、上記2の(1)のとおり、「ADVENTCALENDAR」の欧文字及び「アドベントカレンダー」の片仮名を上下二段に横書きしてなり、引用商標2は、上記2の(2)のとおり、「ADVENT」の欧文字及び「アドベント」の片仮名を上下二段に横書きしてなるものであるから、それぞれの構成文字に相応して、引用商標1からは「アドベントカレンダー」の称呼を生じ、引用商標2からは「アドベント」の称呼を生じるものである。

また、「Advent Calendar」の語は、「降臨節暦」の意味を有し、「advent」の語は、「降臨節」の意味を有する語であるから、引用商標1からは、「降臨節暦」の観念を生じ、引用商標2からは、「降臨節」の観念を生じる。

ウ 本件商標と引用商標との類否について

本件商標と引用商標1及び引用商標2は、上記1及び2のとおりの構成よりなるところ、本件商標と引用商標1とは、「クリスマス」及び「Christmas」の文字の有無に差異を有し、また、本件商標と引用商標2とは、「クリスマスカレンダー」及び「Christmas Calendar」の文字の有無に差異を有するものであるから、外観上、相紛れるおそれはない。

また、本件商標から生じる「アドベントクリスマスカレンダー」の称呼と引用商標1から生じる「アドベントカレンダー」及び引用商標2から生じる「アドベント」の称呼は、「クリスマス」の有無又は「クリスマスカレンダー」の有無という顕著な差異を有するものであるから、称呼上、相紛れるおそれはない。

さらに、本件商標は、特定の観念を生じないものであるが、引用商標1及び引用商標2は、上記(1)のとおり、「降臨節暦」又は「降臨節」の観念を生じるものであるから、相紛れるおそれはない。

以上からすれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれからみても、相紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。

エ 小括

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。

(2)商標法第4条第1項第15号該当性について

ア 引用商標1の周知性について

(ア)申立人の主張は、要旨以下のとおりである。

a 申立人は、引用商標1が付された商品「菓子」を、2004年から現在に至るまで我が国及びシンガポールの直営店舗で販売し、日本全国で通信販売を行ってきた(甲6〜甲57)。

b 甲第7号証ないし甲第54号証は、国内店舗における配布チラシ(2007年〜2014年分、毎年3万部配布)、物産展で配布されたチラシ(2016年10〜11月、10万部配布)、通販カタログ(2004年〜、毎年30万部〜50万部頒布)、新聞折込チラシ(2009年〜、1回あたり45〜47万部頒布)、ダイレクトメール(2009年11月分、2010年11月分、それぞれ3,000〜4,000部頒布)、北海道新聞への折込チラシ(2009年〜、毎年11月に2〜4回、1回あたり45〜47万部頒布)、新聞広告(2006年11月23日の毎日新聞北海道版、同朝日新聞北海道版、2006年11月24日の読売新聞北海道版、2009年12月16日の読売新聞(夕刊)関東版、2009年12月16日の読売新聞(夕刊)関東版、2009年12月8日の毎日新聞関東版)であり、引用商標1が商品「菓子」と共に掲載されている。

c 甲第55号証は、札幌市営地下鉄の中吊り広告(2010年11月)であり、引用商標1が商品「菓子」と共に掲載されている。

d 甲第56号証は、申立人が提供するHTB北海道テレビのミニ番組の動画一覧であり、2016年11月21日放送として「クリスマスを待つ楽しみ〜アドベントカレンダー」と表示されている。

(イ)上記(ア)及び甲各号証によれば、本件商標の登録出願前に、申立人は、我が国において引用商標1を表示した菓子を2004年から販売し、通販カタログ、チラシ、新聞広告等に掲載していたことがうかがえる。

しかしながら、申立人が販売している引用商標1を表示した菓子の売上量やシェア等を裏付ける証拠の提出はない。

また、通販カタログ、チラシ、新聞広告の配布枚数や頒布数等についても申立人が主張するのみで、それらの数字を裏付ける証拠の提出はない。

さらに、申立人は、札幌市営地下鉄の中吊り広告及びHTB北海道テレビのミニ番組の放映を行ったことはうかがえるものの、それらは北海道という限られた地域での広告であり、しかも短期間の掲示又は本件商標の登録出願時より後に1回放映されたにすぎないものである。

以上を総合すると、引用商標1は、申立人が提出した証拠によっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く知られていると認めることはできない。

イ 小括

上記アのとおり、引用商標1は申立人の業務に係る商品であることを表示するものとして需要者の間に広く認識されているものとは認められず、上記(1)のとおり、本件商標と引用商標1とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であり、別異の商標というべきものである。

そうすると、本件商標がその指定商品に使用された場合、これに接する需要者が、引用商標1を連想又は想起するものとはいえず、その商品が申立人若しくは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生じるおそれはない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。

(3)結び

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。

よって、結論のとおり決定する。

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