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Trademark Appeal Case

商標登録の不正目的

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2017−900071(T2017−900071/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5902877号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5902877号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲に示すとおりの構成よりなり,平成28年3月6日に登録出願,同年7月26日に登録査定され,第26類「靴ひも」を指定商品として,同年12月9日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は,本件商標は,商標法第3条第1項柱書の要件を満たさないものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。

(1)本件商標権者について

本件商標権者は,(ア)マーケティングリサーチ並びに経営情報の調査・収集,提供,(イ)書籍の出版並びに編集,(ウ)食品の通信販売,(エ)電子商取引のコンサルティング,システム開発,運営,(オ)前各号に付帯する一切の業務,を目的とする会社であって,靴ひもの製造,販売を目的とする会社ではない(甲2)。

(2)申立人と本件商標権者との関係

ア 平成27年5月1日,本件商標権者の無限責任社員清水悟の友人であり,かつ同社の有限責任社員服部純恵の兄弟である正川琢治(以下「元従業員」という。)が,申立人会社に部長として入社した(甲3)。

イ 申立人は,平成27年夏頃に本件商標権者に対し,会社の販促パンフレット及びWebの制作を依頼した(甲4)。

ウ 申立人は,平成27年にクモの糸よりも細いナノ繊維に特殊加工を加えて,結び目の結束力が飛躍的に増大した靴ひも「Hodoque Nu ホドケーヌ」を開発し,同年11月15日に開催された金沢マラソンの発足記念として100名に,その靴ひもを無料配布した(甲5〜7)。

また,同年,当該靴ひもは,月刊ランナーズにも掲載された(甲8)。

エ 申立人は,改良を重ねた当該靴ひもを,平成28年12月28日より販売開始した(甲8,9)。

オ 平成28年12月末日をもって,元従業員は申立人会社を退職した。

(3)本件商標の登録出願の目的及び商標法第3条第1項柱書の要件該当性

元従業員の申立人会社入社前の住所が,本件商標権者の本店所在地と同一であること(甲3,10),本件商標権者の責任社員が元従業員の知り合い又は親族であることからして,元従業員と本件商標権者のつながりは深く,元従業員及び本件商標権者は,申立人が「Hodoque Nu ホドケーヌ」を商品名として使用しているのを知りながら,申立人が自由にその商品名を使用できないようにするために本件商標を登録出願したものであって,本件商標権者が自ら本件商標を使用するために登録出願したものではない。

したがって,本件商標は,商標法第3条第1項柱書の要件を満たさない。

3 当審の判断

(1)商標法第3条第1項柱書の該当性について

ア 申立人提出の証拠及び主張によれば,次の事実を認めることができる。

(ア)本件商標権者は,登記簿の記録によれば,平成19年4月6日に設立された合資会社であり,本店所在地は「名古屋市天白区久方二丁目15番地の56」,目的は「1.マーケティングリサーチ並びに経営情報の調査・収集,提供,2.書籍の出版並びに編集,3.食品の通信販売,4.電子商取引のコンサルティング,システム開発,運営,5.前各号に付帯する一切の業務」である(甲2)。

(イ)申立人は,平成27年に新商品の靴ひもを開発し,同年11月15日に開催された金沢マラソンの発足記念として100名限定で,「Hodoque Nu」(ホドケーヌ)の名称の靴ひも(以下「申立人商品」という。)を無料配布した(甲5,6)。また,平成27年度に雑誌「月刊ランナーズ」に,掲載の具体的態様は不明ながら,その商品情報が掲載された(甲7)。そして,申立人商品は,平成28年12月より販売開始された(甲8,9)。

(ウ)申立人は,平成27年夏に本件商標権者に,会社の販促パンフレット及びWEB制作を依頼した(甲4)。

(エ)申立人の会社に,平成27年5月1日に企画部長として入社し,平成28年12月末日に同社を退職した元従業員は,平成27年3月の時点において本件商標権者と住所が共通する(甲3,10)。元従業員は,申立人の会社に在職中,申立人商品の無料配布も担当した(甲5)。

イ 上記アの認定事実によれば,本件商標の登録出願(平成28年3月6日)は,申立人商品の販売開始(同年12月)以前であるものの,同27年度にはその商品情報や名称はイベントや雑誌などを通じて公になっており,申立人の関係者以外でも申立人商品の名称を知る機会はあり得たものである。加えて,申立人商品の販売促進も担当していた元従業員は,少なくとも平成27年3月の時点において本件商標権者と住所が共通し,そして,申立人は本件商標権者と取引実績があったことが認められる。

また,本件商標の構成中「Hodoque Nu」及び「ホドケーヌ」の文字は,申立人商品の名称中「Hodoque Nu」及び「ホドケーヌ」の文字と,その構成文字を共通にし,本件商標の指定商品「靴ひも」と申立人商品の「靴ひも」は共通する。

以上よりすると,本件商標権者は,本件商標の登録出願時において,申立人商品の存在を知っていた可能性が高いといえる。

ウ しかしながら,仮に本件商標権者が,その登録査定時において,申立人商品を認識していたとしても,以下のような理由から,本件商標は,商標法第3条第1項柱書の要件を満たさないとはいえない。

(ア)商標法第3条第1項柱書の「自己の業務に係る商品又は役務について使用する商標」として登録を受けられる商標は,現に使用している商標だけでなく,使用する意思があり,かつ,近い将来において使用する予定のある商標も含まれるものと解すべきである。

(イ)本件商標権者は,上記イのとおり,申立人商品の存在を知りながら本件商標を登録出願した可能性が高いとしても,本件商標の登録査定時において,本件商標の使用意思を有していなかったことや,将来的に使用予定がなかったことが具体的に証明されているわけではない。

なお,他人の商標を知っていたことと,登録出願した商標の自己の業務における使用意思や将来的な使用予定がないことは,それぞれ独立した別異の事実であり,前者の事実が認められたからといって,後者の事実が直ちに推認できるようなものでもないことは明らかである。

(ウ)申立人は,本件商標権者は,申立人商品の使用を知りながら,申立人が自由に同商品名を使用できないようにするために本件商標を登録出願したもので,商標権者が自ら本件商標を使用するために登録出願したものではない旨主張する。

しかし,申立人は,本件商標が他人の業務を阻害することを目的として登録出願されたことを具体的に示す証拠を提出しておらず,加えて,そのような出願目的だったが故に,本件商標権者が本件商標の使用意思を有しておらず,将来的な使用予定もなかったといえることを具体的に示す証拠も提出していない。

(エ)また,本件商標権者の登記簿の目的欄の記載(甲2)には,本件商標の指定商品との関連を明示する記載は見当たらないものの,合資会社の目的や登記簿の記載は変更が可能であるため,将来的に事業を行おうとする意図や予定を,登記簿の記載のみから判断することは困難である。

エ 以上のとおり,本件商標権者は,本件商標の登録査定時において,本件商標の使用意思を有していなかった,又は,将来的に使用予定がなかったとまではいえない。

したがって,本件商標は,商標法第3条第1項柱書の要件を満たさないとはいえない。

(2)まとめ

上記のとおり,本件商標は,商標法第3条柱書に違反して登録されたものではないから,同法第43条の2第1号の規定に基づきその登録を取り消すべきものではない。

よって,結論のとおり決定する。

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