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Trademark Appeal Case

著名商標と称呼類似による混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2016−900307(T2016−900307/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第5861532号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5861532号商標(以下「本件商標」という。)は、「UMBROID」の欧文字を標準文字で表してなり、平成28年1月6日に登録出願、第18類「皮革製包装用容器,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,かばん金具,がま口口金,蹄鉄,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,愛玩動物用被服類」を指定商品として、平成28年5月18日に登録査定、同年6月24日に設定登録されたものである

第2 登録異議の申立ての理由

登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第11号又は同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきである旨申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第33号証を提出した。

1 商標法第4条第1項第11号について

本件商標と申立人が引用する登録第1676129号商標、登録第4036503号商標、登録第4077977商標、登録第4356689号商標、登録第4356691号商標、登録第4368886号商標、登録第4370224号商標、登録第4374328号商標、登録第4374329号商標、登録第4482841号商標、登録第4482842号商標、登録第4540797号商標、登録第4820957号商標、登録第5169529号商標及び登録第5430658号商標とは、類似する商標であり、その指定商品も同一又は類似のものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

2 商標法第4条第1項第15号について

「umbro」、「UMBRO」の文字からなる商標及び二重菱形図形と「umbro」又は「umBRO」の文字を組合わせた構成からなる商標は、申立人の業務に係る申立人商品「サッカー用品,サッカーウェア」を表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至っているから、本件商標が申立人商品に使用された場合、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

第3 取消理由の通知

当審において、商標権者に対し、「本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されてものであるから、商標法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。」旨の取消理由を平成29年2月8日付けで通知した。

第4 商標権者の意見

前記第3の取消理由に対し、商標権者は、何ら意見を述べるところがない。

第5 当審の判断

1 商標法第4条第1項第15号該当性について

(1)引用使用商標の著名性について

ア 申立人提出に係る証拠及び主張によれば、以下の事実が認められる。

(ア)「UMBRO」ブランドは、1924年にイギリス北西部のハンフリー・ブラザーズ社(後のアンブロ・インターナショナル社の前身)により生み出されたフットボールブランドで、申立人は、1998年にアンブロ・インターナショナル社から日本における商標権を譲り受け、1999年より両者の協力体制のもと日本国内において継続してアパレル商品、シューズ、バッグ等の販売促進を図ってきた(甲24)。

(イ)英和商品名辞典(株式会社研究社発行)の「Umbro アンブロ」の項に、「英国 Umbro International Ltd.(1920年代創業)の略・通称、同社製のスポーツウェア」等の記載がある(甲23)。

(ウ)申立人が日本国内において、国際的スポーツ用品ブランド「UMBRO」(アンブロ)ブランドの取り扱いを開始した記事が掲載(1998年7月30日、31日)されている(甲24)。

(エ)申立人は、2015年、2016年の「サッカーウェア、サッカーシューズ、トレーニングシャツ、パンツ、Tシャツ、バッグ」等の商品カタログに、「umbro」の文字からなる商標(以下「使用商標1」という。)(別掲1)、「UMBRO」の文字からなる商標(以下「使用商標2」という。)(別掲2)及び二重菱形図形と「umbro」の文字を組み合わせた構成からなる商標(以下「使用商標3」という。)(別掲3)を使用している(甲25)。

(オ)申立人は、JR目白駅にビルボード広告を掲示し、そこに使用商標3又は二重菱形図形と「umBRO」の文字を組み合わせた構成からなる商標(以下「使用商標4」という。)(別掲4)を広告表示している(平成14年1月〜、平成14年5月13日〜、平成18年5月3日〜7月15日、平成26年6月7日〜、平成27年3月6日〜)(甲28)。

以下、使用商標1ないし使用商標4を総称する場合は「引用使用商標」という。

(カ)申立人の「アンブロ」ブランドの「サッカー・フットサルウェア/ブランド別国内出荷金額」は、近年(2013年、2014年、2015年(見込)、2016年(予測))、アディダス、プーマ、ナイキに続く4番目のシェアを獲得するに至っている(甲27)。

(キ)サッカー関連のフリーマガジン(2013年)や雑誌(2013年、2014年)、ファッション関連雑誌等(2013年、2014年)において、使用商標1ないし3を付したウェアやユニフォーム、それらを着用したサッカー選手等の写真、Tシャツ、バッグ、靴等が掲載されている(甲28)。

イ 以上の認定事実に加え、我が国におけるプロサッカーリーグであるJリーグが開催されて以来のサッカー競技の人気の高さ及び海外で活躍するサッカー選手やJリーグのガンバ大阪及びFC東京とのオフィシャルサプライヤー契約の締結により、選手のユニフォームやスパイク、バッグなどの商品に使用商標1ないし3が表示され、さらにビルボード広告に使用商標3及び4が表示されており、「umbro」「UMBRO」「umBRO」の文字が一般の需要者の目に触れる機会も多いこと等を併せ考慮すれば、引用使用商標は、申立人あるいは申立人と協力関係にある会社の取り扱いに係る「スポーツウェア,スポーツシューズ,かばん類」等の商品(以下「申立人商品」という。)を表すものとして、本件商標の登録出願時にはサッカー愛好者を含むファッション関連の需要者の間に広く認識されていたものである。

(2)本件商標と引用使用商標との類似性について

ア 本件商標

本件商標は、「UMBROID」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、語尾の「ID」の文字は、「複数の利用者を識別するための符号」(広辞苑第六版)を意味するインターネット用語として広く知られている語であり、例えば、「LAWSON ID」、「My Sony ID」、「Apple ID」、「Yafoo! JAPAN ID」のように使用されているものである。そして、近年、インターネットを通じて、本件商標の指定商品を含む様々な商品の取引が行われており、それらサービスの利用の際に「ID」が使用されている実情を踏まえると、該文字部分は、自他商品の識別標識としての機能を有しないか又は極めて弱いといえるものである。

また、本件商標の構成中の「UMBRO」の文字部分は、上記(1)の認定のとおり、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国におけるスポーツ、ファッション関連分野の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認め得る「umbro」、「UMBRO」、「umBRO」の表示と同一の綴り文字よりなるものである。

そうすると、本件商標に接する取引者、需要者は、その構成中の引用使用商標と綴りを共通にする「UMBRO」の文字部分に着目し、強く印象付けられるといえるから、本件商標は、構成文字全体から生じる「アンブロイド」の称呼のほか、「UMBRO」の文字部分より、単に「アンブロ」の称呼をも生じるものであって、これよりは、申立人商品を連想、想起し、申立人の著名な「アンブロブランド」の観念を生じるものとみるのが相当である。

イ 引用使用商標

引用使用商標は、「umbro」、「UMBRO」の文字からなる商標及び二重菱形図形と「umbro」又は「umBRO」の文字を組合わせた構成からなるものであり、いずれも該文字部分に相応し「アンブロ」の称呼を生じるものであって、引用使用商標は、上記(1)イのとおり、申立人の業務に係る申立人商品を表すものとして、我が国のスポーツ、ファッション関連分野の取引者、需要者の間に広く認識されていたものであるから、申立人の著名な「アンブロブランド」の観念を生じるものとみるのが相当である。

ウ 小括

本件商標と引用使用商標とは、外観において「ID」の有無において相違するところがあるとしても、「UMBRO」の綴りを同じくし、「アンブロ」の称呼及び申立人の著名な「アンブロブランド」の観念を共通にするものであるから、両商標の類似性は非常に高いというべきである。

(3)本件商標の指定商品と申立人商品との関連性並びに商品の取引者及び需要者の共通性について

本件商標の指定商品は、「皮革製包装用容器,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,かばん金具,がま口口金,蹄鉄,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,愛玩動物用被服類」であるところ、これらの相当部分の商品の主な取引者、需要者は、ファッションに関心の高い一般消費者であといえるものである。他方、申立人商品の「スポーツウェア,スポーツシューズ,かばん類」は、スポーツ用品のほか、ファッション関連商品としても使用されるものであり、その主な取引者、需要者は、スポーツやファッションに関心の高い一般消費者といえる。

そうすると、本件商標の指定商品と申立人商品とは、相当な部分において取引者、需要者を共通にするといえることから、互いに密接な関連性を有する商品といえるものである。

(4)出所の混同のおそれについて

上記(1)ないし(3)を総合すると、引用使用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る申立人商品を表すものとして、我が国のスポーツ、ファッション関連分野の取引者、需要者の間に広く認識されていたものであり、かつ、本件商標と引用使用商標とは、その類似性が非常に高いものである。

そして、本件商標の指定商品と申立人商品とは、密接な関係を有し、それらの取引者、需要者も共通にする場合が多いといえることなどを併せ考慮すれば、本件商標をその指定商品について使用した場合には、これに接する取引者、需要者は、引用使用商標を連想、想起し、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように誤認し、その出所について混同を生じるおそれがあるものというべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

2 まとめ

以上のとおり、本件商標の登録は、商標第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、その余の申立ての理由について論及するまでもなく、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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