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Trademark Appeal Case

地名と著名略称の判断

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年異議第90836号
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4243188号商標の登録を取り消す。

理由テキスト

1.本件商標

本件登録第4243188号商標(以下、「本件商標」という。)は、平成8年11月7日に登録出願され、「WATER FORD」の文字を横書きしてなり、第16類「紙製包装容器,パンフレット,カレンダー,その他の印刷物,書画,写真,写真立て,カルタ,トランプ,紙製文房具,絵画用材料,筆記用具,筆立て,筆箱,文鎮,シール,しおり,定規,書類挟み,製図用具,下敷き,ステッカー,はり札」を指定商品として、同11年2月26日に設定登録されたものである。

2.登録異議の申立ての理由

(1)本件商標は、商品の産地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)本件商標は、申立人の著名な名称の略称よりなる商標であるから、同法第4条第1項第8号に該当するものである。

(3)平成1年5月19日に登録出願され、「WATERFORD」と「ウォーターフォード」の文字を二段に表示してなり、第13類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同4年3月31日に設定登録された登録第2387366号商標、同じく、昭和63年8月22日に登録出願され、「WATERFORD」と「ウォーターフォード」の文字を二段に表示してなり、第20類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成3年4月30日に設定登録された登録第2307557号商標、同じく、昭和62年10月8日に登録出願され、「WATERFORD」の文字を横書きしてなり、第23類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成3年1月31日に設定登録された登録第2294874号商標、同じく、昭和51年4月19日に登録出願され、「WATERFORD」の文字を横書きしてなり、第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同54年8月30日に設定登録された登録第1390485商標、同じく、昭和44年1月13日に登録出願され、「WATERFORD」の文字を横書きしてなり、第19類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同46年12月4日に設定登録された登録第939553商標(以下これらを併せて「引用商標」という。)は、申立人の業務に係る商品「クリスタルグラス製品」を表示するものとして、取引者・需要者の間に広く認識されている商標である。

したがって、引用商標に類似する本件商標をその指定商品に使用するときは、申立人若しくは申立人と関係のある者の業務に係る商品であるかの如くその出所について混同を生ずるおそれがあるから、本件商標は、同法第4条第1項第10号、同第15号に該当する。

(4)本件商標は、不正の目的をもって使用するものと認められるから、商標法第4条第1項第19号に該当する。

3.当審の取消理由

当審では、登録異議申立人の異議理由に基づき商標権者に対して、「本件商標は、アイルランドのウォーターフォードに本社を有し、クリスタルグラス製品を製造・販売する企業として世界的に著名な『WATERFORD CRYSTAL LIMITED』の著名な略称である『WATERFORD』と類似し、かつ、その承諾を得ているものとは認められないものである。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものであるからその登録を取り消す。」旨の通知した。

4.当審の上記3.の取り消し理由に対する商標権者の意見

(1)本件商標に係る平成10年6月22日付拒絶理由通知書(乙第2号証)及び申立人の主張によっても明らかなように、「WATERFORD」なる名称は、ガラス工業等が盛んなアイルランドの地名である。したがって、「WATERFORD」なる地名そのものが、申立人を表す著名な略称に至っているとは考えられない。そして、たとえ「WATERFORD CRYSTAL LIMITED」あるいは「WATERFORD WEDGWOOD PLC.」なる社名が極めて著名であっても、製造販売されるガラス製品等と結合した「WATERFORD CRYSTAL」あるいは「WATERFORD GLASS」として著名であるのは明らかであり、「WATERFORD」のみが申立人、すなわち特定の一つの企業を示す著名な略称になり得るとは考えられない。

また、商標法第4条第1項第8号における「著名な氏名等の略称」であるか否かは、商品との関係において判断すべきであると思料する。申立人がガラス製品の世界的メーカであるとしても、製造販売するガラス製品以外の商品について著名とはいえず、商標法第4条第1項第8号を適用する範囲が一般文房具にま及ぶものではない。さらに、指定商品に係る原材料が共通するからといって商標権の範囲が指定商品以外に拡大解釈される理由もないものと思料する。

(2)日本において、「WATERFORD」あるいはこれを含む商標が、申立人以外の権利者に係る登録商標として登録されている事実(乙第3号証乃至乙第6号証)もあり、これらの商標の存在からしても、「WATERFORD」なる商標が、指定商品を越えて一つの企業を示す略称として著名であるとはいえない。

(3)英語圏である米国及びカナダにおいては、別紙データベース出力に示すように、「WATERFORD」なる商標権が申立人以外の多数の者に認められている。(乙第7号証乃至乙第26号証)

しかも、本件商標は、乙第1号証に示すように、独立して意味のある単語「WATER」と「FORD」とを少なくとも1字分の空間をあげて分離した状態で表示したものであり、これらの単語を連続して記載した「WATERFORD」とは、異なる語感及び意味を生じさせる。

よって、本件商標は商標法第4条第1項第8号に該当するものではない。

5.当審の判断

よって判断するに、本件商標は「WATER FORD」の文字よりなる登録商標である。

ところで、登録異議申立人である「Waterford Wedgwood plc(ウォーターフォードウエッジウッドピーエルシー)」(以下、「申立人」という。)は、1783年にアイルランドのウォーターフォードにおいて、クリスタルグラス製品の製造・販売を開始、その後、一時中断をしたが、1947年に事業を再開、1986年には英国最大の窯である陶磁器メーカー「Wedgwood(ウエッジウッド)」を買収し、世界的に著名なクリスタルグラス製品の製造・販売会社であること、そして、同人が本件商標の登録出願前より単に「WATERFORD」(ウォーターフォード)と略称され著名であることは、申立人提出の甲第10号証(1から5)及びその他の甲各号証により窺い知ることができる。

そうとすれば、本件商標が、「WATER FORD」と1字程度の空間を空けて表されているものであっても、これを構成する文字が申立人会社の著名な略称である「WATERFORD」と全く同じ綴り字よりなるものであるから、本件商標は申立人の著名な商号の略称を含む商標と判断するのが相当である。

してみれば、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものと言わなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものといわざるを得ないから、商標第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり決定する。

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