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Trademark Appeal Case

文字商標の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2017−900009(T2017−900009/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5888513号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第5888513号商標(以下「本件商標」という。)は,「V&W」の文字を標準文字で表してなり,平成28年2月19日に登録出願,第35類「畳類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,葬祭用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,手動利器・手動工具及び金具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,薬剤及び医療補助品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,化粧品・歯磨き及びせっけん類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,農耕用品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,花及び木の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,燃料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,写真機械器具及び写真材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,たばこ及び喫煙用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,建築材料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,宝玉及びその模造品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,愛玩動物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,仮装用衣服の小売又は卸売の業務において行なわれる顧客に対する便益の提供,自動車用マフラーの部品及び付属品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,愛玩動物用の係留具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,愛玩動物用かごの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,愛玩動物の調教用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,寝室用簡易便器及びトイレットペーパーホルダーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,シャワーカーテンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,マッチの小売又は卸売りの業務において行われる顧客に対する便益の提供,医療用機械器具の小売又は卸売りの業務において行われる顧客に対する便益の提供,衣服用ハンガーの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,釣り具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,愛玩動物用被服類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,おむつの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,履物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,自動車エンジン用のオイルフィルター及びエアーフィルターの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,自動車用スピードメーターの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,スイッチの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,二輪自動車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,自転車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,建具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として,同28年9月16日に登録査定され,同年10月14日に設定登録されたものである。

第2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標及び標章は次のとおりである。

1 申立人が引用する商標

(1)登録第4445299号の2商標(以下「引用商標1」という。)

商標の構成:別掲1のとおり

登録出願日:平成11年3月5日

設定登録日:平成13年1月12日

最新更新登録日:平成23年1月11日

指定商品及び指定役務:後掲1のとおり

(2)国際登録第807803号商標(以下「引用商標2」という。)

商標の構成:別掲2のとおり

国際商標登録出願日: 2003年(平成15年)1月29日

設定登録日:平成17年4月15日

最新更新登録日:平成25年3月4日

指定商品及び指定役務:後掲2のとおり

(3)国際登録第1272004号商標(以下「引用商標3」という。)

商標の構成:「VW」

国際商標登録出願日:2014年(平成26年)11月13日

優先権主張:ドイツ 2014年(平成26年)10月14日

指定商品:後掲3のとおり

(4)国際登録第1270484号商標(以下「引用商標4」という。)

商標の構成:別掲1のとおり

国際商標登録出願日 2014年(平成26年)11月12日

優先権主張 ドイツ 2014年(平成26年)10月14日

設定登録日 平成29年5月12日

指定商品:後掲4のとおり

なお,引用商標1,引用商標2及び引用商標4に係る商標権はいずれも現に有効に存続し,引用商標3に係る出願は現在審査に係属しているものである。

また,以下,引用商標1ないし引用商標4をまとめて「引用商標」という。

2 申立人が引用する標章

申立人が引用する標章は,同人の製造販売する自動車及び商号として使用している「VW」の欧文字からなるものである(以下「引用標章」という。)。

第3 登録異議の申立ての理由

申立人は,本件商標は商標法第3条柱書,同法第4条第1項第11号,同第15号及び同法第8条第1項に該当し,その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第43号証(枝番号を含む。)を提出した。

1 引用商標1,引用商標2及び引用商標4の周知・著名性

引用商標1,引用商標2及び引用商標4は,申立人のロゴ化されたハウスマークであり,長年に渡り世界的に使用されてきた結果,自他商品識別力を有するに到っているのみならず,我が国においても周知・著名性を獲得するに到っている。これは,引用商標1と同一の標章が防護標章登録を受けている(登録第4445299号の1 防護第1号)ことからも明らかである(甲6)。引用商標1と登録第4445299号の1商標は実質的には同じ商標といえるから,後者が著名であるという事実は,引用商標1も当然に周知・著名な商標であると認定することができる。

また,引用商標2は引用商標1に色彩を付けたものであり,引用商標4は引用商標1と近似の商標である。上記事実から,引用商標1,引用商標2及び引用商標4は,少なくとも本件商標の登録出願時には,申立人及びその諸製品を表す商標として,日本のみならず世界各国で,取引者,需要者の間において広く認識され,高い著名性を獲得し,その著名性は現在においても継続していることは明らかである。

申立人は,後述するように,自動車以外にも,多岐にわたる商品を取り扱っており,それらの商品の多くに引用商標1,引用商標2及び引用商標4を使用しているから,これらが申立人及びその諸製品を表わすものとして,既に周知・著名となっていることは明らかである。

2 引用商標3及び引用標章の周知・著名性

申立人は,1937年から自動車を製造販売しているが,同人の商号にも用いられている「フォルクスワーゲン」(Volkswagen)は「フォルク」(ドイツ語でVolk「大衆,国民」の意)と「ワーゲン」(ドイツ語のWagen「車」の意)からなる語であり(甲7),「Volkswagen」を略した「VW」の文字は,申立人を表わすものとして我が国を含む世界中において長年使用されている(甲8〜甲13)。また,申立人は自動車「新ビッグ3」と呼ばれる3社のうちの1社であり(甲10),その年間グループ世界販売台数は,2014年に約1,014万台,2015年に約993万台といずれも世界第2位(甲11),2016年は約1,031万台と世界第1位の見込みである(甲12)。申立人の自動車は,我が国には1953年に輸入が開始され(甲13),今日まで途切れることなく販売されており,日本自動車輸入組合(JAIA)の統計によれば,車名別輸入車新規登録台数(乗用車,貨物,バスの合計)において,2007年度ないし2014年度の15年間にわたり連続して第1位,2015年度第2位,2016年度第3位と,常に上位3社にいる(甲14)。

その結果,「VW」が商品の出所識別標識としての識別力を備えるに到っていることは,各種辞書に「VW」は申立人が製造する自動車の略称であることが記載されていて,中には「VW」が登録商標であると表示している辞書もあること(甲7の2,甲15〜甲17),インターネット上のニュース,書籍,統計等においても申立人又は同人の商品を表わす略称として多用されていること(甲8〜甲12,甲14,甲18〜甲39)からも明らかである。

また,新聞や雑誌においては,定められた紙面で出来るだけ多くの情報を伝えるために,国や団体等の名前などを略称で表すことが良く知られているところ,業界紙・業界雑誌に限らず,一般紙や一般需要者向けの雑誌においても,申立人を表わす語として「VW」の語が,文中のみならず,需要者の目を引くための記事見出しに用いられている(甲10,甲12,甲18〜甲35)。記事の内容も,例えばスズキ株式会社との合併問題(甲25,甲28)や,排ガス不正車問題(甲23,甲32〜甲34)等,話題性の高い性質のものが含まれており,特定の取引者や需要者に留まらず,世間一般の関心を惹く内容である。

よって,例えば世間一般の人々が,「トヨタ」「日産」「GM」と見れば「トヨタ自動車」「日産自動車」「ゼネラルモーターズ」を想起する(甲10)のと同様に,「VW」の文字を見れば,瞬時に「フォルクスワーゲン」を想起する程,既に一般に慣れ親しまれている。事実,本件商標に係る審査における拒絶理由通知においても,一般新聞各社の記事の例を挙げて,「VW」が,申立人である「Volkswagen AG」が商品「自動車」及び役務「自動車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用され,本件商標の登録出願前から需要者の間に広く認識されていると認定している(甲40)。

加えて,後述するように,申立人は自動車以外にも多岐に亘る商品を販売しているので,申立人の名前は,自動車に限らず分野を問わず周知・著名であり,よって「VW」の文字もまた,世界的に著名な申立人の略称として,商品の分野を問わずに周知・著名性を獲得している。

3 商標法第4条第1項第11号に該当する理由(申立人は,引用商標1及び引用商標2を引用している。)

(1)商標の類否について

ア 本件商標について

本件商標は,前記したとおりの構成であって,欧文字の「V」と「W」の間に英語における接続詞「and」の略記号として一般に知られている「&」の記号より構成されているところ,本件商標に係る審査における拒絶理由通知で審査官が認定しているように(甲40),「&」は単に前後の文字を結合するにすぎない記号であるから,簡易迅速を旨とする取引においては,「&」の部分が省略される場合も少なくない。そうすると,本件商標からは「ブイダブリュウ」の称呼が生じ,「申立人の名前の略称として需要者の間に広く認識されているVW」の観念が生ずる。

イ 引用商標1について

引用商標1は,黒塗り及び白抜きの円の中に白抜きで縦書きした欧文字「VW」から「ブイダブリュウ」の称呼が生じ,「申立人の名前の略称として,需要者の間に広く認識されているVW」の観念が生ずる。

ウ 引用商標2について

引用商標2は,青地に白抜きの円の中に白抜きで縦書きした欧文字「VW」から「ブイダブリュウ」の称呼が生じ,「申立人の名前の略称として,需要者の間に広く認識されているVW」の観念が生ずる。

エ 商標の類否について

前記したとおりであるので,本件商標と引用商標1及び引用商標2は,全体の外観において違いが見られるものの,その要部は「VW」(ブイダブリュウ)で共通する。

そうすると,本件商標と引用商標1及び引用商標2は,要部の外観・称呼・観念を共通とするものであり,本件商標は,引用商標1及び引用商標2に同一又は類似する商標である。

(2)商品等の類否について

本件商標と引用商標1及び引用商標2の指定商品・役務は類似する。

(3)まとめ

以上のとおり,本件商標は,引用商標1及び引用商標2と同一又は類似する商標であり,同一又は類似の商品等を指定しているにもかかわらず登録されたものであるから,商標法第4条第1項第11号に該当するものである。

4 商標法第4条第1項第15号に該当する理由(申立人は,引用商標1,引用商標2及び引用標章を引用している。)

(1)商標の類否について

ア 本件商標について

本件商標は,前記3(1)アのとおりの構成であって,「ブイダブリュウ」の称呼,及び「申立人の名前の略称として需要者の間に広く認識されているVW」の観念が生ずる。

イ 引用商標1及び引用商標2とその周知・著名性について

引用商標1及び引用商標2の構成,称呼及び観念については,3(1)イ及びウで述べたとおりであり,また前記第3の1で述べたように,引用商標1及び引用商標2は申立人及びその諸製品を表わすものとして,既に周知・著名となっている。

ウ 本件商標と引用商標1及び引用商標2の類否について

前記3(1)エで述べたように,本件商標は引用商標1及び引用商標2と類似する商標であるから,取引者・需要者が商取引において引用商標1及び引用商標2と誤認混同をするものであることは明らかである。

エ 引用標章とその周知・著名性について

引用標章は,欧文字2文字の「VW」より構成され,称呼は「ブイダブリュウ」であって,観念は「申立人の名前の略称として需要者の間に広く認識されているVW」である。また,前記2で述べたとおり,既に我が国において,申立人の名前の略称として,需要者の間に広く認識されている。

オ 本件商標と引用標章の類否について

本件商標の要部は「VW」であるから,引用標章「VW」と外観・称呼・観念が共通する。よって,本件商標は引用標章と類似する商標であるから,取引者・需要者が商取引において引用標章と誤認混同をするものであることは明らかである。

(2)「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれ」について

本件商標と,引用商標1,引用商標2及び引用標章との混同を生ずるおそれについて,最高裁判決(平成10年(行ヒ)第85号:甲41)に沿って検討する。

申立人は,自動車製造・販売メーカーとして世界中に著名であって,引用標章は申立人の名前の略称として,需要者の間に広く認識されている。

よって,本件商標の指定役務のうち,「燃料,自動車用マフラー,自動車エンジン用のオイルフィルター及びエアフィルター,自動車用スピードメーター」等の自動車関連商品についての小売等役務に本件商標を使用するときには,当該役務と申立人の取引者及び需要者は共通するから,当該役務が申立人の業務に係る役務であると混同するおそれがある。また,申立人を含むフォルクスワーゲングループ内には,二輪自動車製造・販売メーカーも含まれており(甲10,甲11,甲26,甲38),さらに,例えばエンジンオイルやバッテリー,ナビゲーションシステム,周辺状況確認用カメラ,LEDライト,USBメモリ,自転車,衣類,帽子,バッグ類,財布,腕時計,タオル,傘,ストラップ,文具等々,自動車以外の多岐にわたる商品に引用商標1,引用商標2及び引用標章を付して使用しているところ(甲42,甲43),本件商標の小売等役務は,それらの商品についての小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供である。

よって,本件商標は,取引者・需要者が商取引において引用標章と誤認混同をするものであることは明らかである。

(3)まとめ

以上のとおり,本件商標は,引用商標1,引用商標2及び引用標章と類似し,その指定役務も引用商標1,引用商標2及び引用標章が付して使用されている商品と類似するため,取引者・需要者が商取引において本件商標を付した役務に接したときに,申立人の業務に係る役務であると誤認混同をするものであるので,商標法第4条第1項第15号に該当するものである。

5 商標法第8条第1項に該当する理由(申立人は,引用商標3及び引用商標4を引用している。)

(1)商標の類否

ア 本件商標について

本件商標は,前記3(1)アのとおりであって,「ブイダブリュウ」の称呼,及び「申立人の名前の略称として需要者の間に広く認識されているVW」の観念が生ずる。

イ 引用商標3について

引用商標3は,欧文字2文字の「VW」より構成され,その称呼が「ブイダブリュウ」であり,観念が「申立人の名前の略称として需要者の間に広く認識されているVW」である。引用商標3の先願権発生日は本件商標の出願日よりも先の平成26年10月14日である。

ウ 引用商標4について

引用商標4は,前記したとおりの構成であって,黒塗り及び白抜きの円の中に白抜きで縦書きした欧文宇「VW」から「ブイダブリュウ」の称呼が生じ,「申立人の名前の略称として,需要者の間に広く認識されているVW」の観念が生ずる。引用商標4は,既に登録査定が下り,登録料の納付をもって登録となるところ,その先願権発生日は,本件商標の出願日(平成28年2月19日)よりも先の平成26年10月14日である。

エ 本件商標と引用商標3及び引用商標4の類否について

上記のとおり,本件商標の要部である「VW」は,引用商標3及び引用商標4と,外観・称呼・観念のいずれも共通する。したがって,本件商標と引用商標3及び引用商標4は類似する商標である。

(2)商品等の類否について

本件商標と引用商標3の指定商品・役務は類似する。また,本件商標と引用商標4の指定商品・役務は類似する。

(3)商標法第8条第1項について

本件商標と引用商標3及び引用商標4とは,上記したように指定商品等について同一又は類似し,商標も類似するものであり,また,本件商標の出願日が平成28年2月19日であり,他方,引用商標3及び引用商標4は,いずれもその先願発生日が平成26年10月14日であるから,本件商標の登録は,明らかに商標法第8条第1項に違反するものである。

(4)まとめ

以上のとおり,本件商標は,引用商標3及び引用商標4と類似し,その指定商品等も同一又は類似しており,そして,引用商標3及び引用商標4よりも後に出願されたものであるから,商標法第8条第1項に違反して登録されたものである。

6 むすび

上記したとおりであるので,本件商標は,商標法第4条第1項第11号,同項第15号及び同法第8条第1項に違反して登録されたものであることは明らかである。

第4 当審の判断

1 引用商標及び引用標章の周知性について

(1)申立人提出の甲各号証及び同人の主張について

ア 申立人について

申立人は,1937年から自動車の製造販売をしているドイツの企業であり,同人の製造販売に係る自動車(以下「申立人商品」という。)は,我が国においては1953年から販売が開始され(甲13),近年の車名別輸入車新規登録台数(乗用車,貨物,バス合計)では,2006年度ないし2014年度は第1位,2015年度は第2位,2016年度は第3位であった(甲14)。

イ 引用商標1,引用商標2及び引用商標4について

申立人は,申立人商品について,我が国において,遅くとも1978年には引用商標1,引用商標2及び引用商標4と実質的に同一といえる商標(色彩の異なるものを含む。)を使用し,現在まで継続して使用している(甲9,甲11,甲13,甲36〜甲39)。

なお,引用商標2は,申立人商品のエンブレムとして使用されているものである。

ウ 引用商標3及び引用標章について

(ア)「小学館 独和大辞典「第2版」コンパクト版」において,「VW」の見出し語として,「(Volkswagen)フォルクスワーゲン(Volkswagenwerk製の自動車)」の記載がある(甲7の2)。

(イ)「研究社 英和商品名辞典」において,「VW」の見出し語として,「西ドイツVolkswagen社の略。マークは,VとWが縦に配列され,円で囲まれている」の記載がある(甲16)。

(ウ)「コンサイス外来語辞典 第4版(株式会社三省堂)」において,「フォルクスワーゲン」の見出し語に,「西ドイツのフォルクスワーゲン社製の小型の大衆車。略してVW」の記載がある(甲17)。

(エ)2016年2月26日付け「DIAMOND online」において,「トヨタ・VW・GMが群雄割拠!/自動車『新ビッグ3』覇権争いの行方」の見出しの下,「2015年のクルマ世界販売が出揃うなか,トップ3は日本のトヨタ自動車が4年連続の首位,2位にドイツのフォルクスワーゲン(VW),3位に米国のゼネラル・モーターズ(GM)となった。」の記載がある(甲10)。

(オ)2016年5月5日付け「KNN KandaNewswork」において,「自動車メーカー世界ランキング2016」の見出しの下,「【2位】フォルクスワーゲングループ993万台」及び,「2014年ランキング」の項に,「順位」として「2」,「企業名」として「VW(フォルクスワーゲン)グループ/ドイツ」及び「販売台数」として「約1,014万台」の記載がある(甲11)。

(カ)2016年11月9日付け「NIKKEI STYLE」において,「トヨタの誤算 なぜVWに首位を譲るのか」の見出しの下,「世界新車販売でトップを競うトヨタ自動車と独フォルクスワーゲン(VW)。トヨタグループ(ダイハツ工業,日野自動車を含む)の2016年1〜9月期の世界販売台数は前年同期比0.4%増の752万9000台。対してVWは同2.4%増の760万9400台でわずかの差で首位に立っている。」の記載がある(甲18)。

(キ)2017年3月11日付け「朝日新聞DIGITAL」において,「VWとタタ,提携へ覚書 インドで共同開発車」の見出しの下,「独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)とインド自動車大手タタ・モーターズは10日,車両の共同開発など長期的な提携関係を目指すことで覚書を結んだ。」の記載がある(甲20)。

(ク)2017年1月24日付け「YOMIURI ONLINE」において,「トヨタが独VWに『世界一』の座を奪われたワケ」の見出しの下,「独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)の2016年の世界販売台数が,グループ全体で1031万台に達し,・・・経営の根幹が大きく揺らいだVW。」の記載がある(甲21)。

(ケ)2016年12月19日付け「日本経済新聞 電子版」において「自動運転で世界連合 トヨタ・VWなど27社」の見出しの下,「・・・トヨタ自動車や日産自動車,ゼネラル・モーターズ,フォルクスワーゲン(VW),BMW,現代自動車,ボルボ・カーなど12社が参加する。」の記載がある(甲22)。

(コ)2017年2月25日付け「毎日新聞」において「VW/黒字に転換 販売台数,世界首位に 16年12月期」の見出しの下,「ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が24日発表した2016年12月期決算は・・・黒字転換した。」の記載がある(甲24)。

(サ)2016年9月27日付け「NHK NEWS WEB」において,「不正発覚から1年 VW 信頼回復に努力」の見出しの下,「ドイツの大手自動車メーカー,フォルクスワーゲンの日本法人の社長は21日,記者団に対し,1年前に発覚したディーゼル車に不正なソフトウエアを搭載していた問題について・・・」の記載がある(甲34)。

(シ)「LEVOLANT/車別徹底ガイド」(2004年4月14日発行)の表紙において,「Volks/Wagen/Bible vol.3」の見出しの下,「●VWでサーキット。オトナの遊び方」,「●‘04VWフルラインナップとそのライバルたち」の記載がある(甲36)。

(ス)「世界の自動車オールアルバム2012年」(2012年6月6日発行)の6頁において,「ひと目でわかる世界のメーカー相関図」の見出しの下,「VW」の文字は,申立人のハウスマークと共に記載されている(甲38)。

(セ)「LEVOLANT」2011年11月号の39頁において,「大注目の『アップ!』をはじめ,ますますVWから目が離せない!」の記載及び「これが最新のフォルクスワーゲン。」の記載がある(甲39)。

(2)上記(1)からすれば,引用商標及び引用標章についての周知性については,以下のとおりである。

ア 申立人は,1937年から自動車の製造販売をしているドイツの企業であり,我が国においては,1953年から販売が開始され,近年の車名別輸入車新規登録台数(乗用車,貨物,バス合計)では,2006年度ないし2014年度は第1位,2015年度は第2位,2016年度は第3位であって,よく知られているドイツの自動車メーカーである。

イ 引用商標1,引用商標2及び引用商標4は,申立人商品について,我が国において,遅くとも1978年から引用商標1,引用商標2及び引用商標4と実質的に同一といえる商標を現在まで継続して使用しており,また,これらの商標は,申立人の自動車とともに,新聞,雑誌,インターネットの記事に取り上げられてきたものと推認できる。

したがって,引用商標1,引用商標2及び引用商標4は,本件商標の登録出願の日前から,申立人商品(自動車)を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標であって,その状況は本件商標の登録査定日においても継続していたものといえる。

ウ 引用商標3及び引用標章は,新聞記事,雑誌の記事及びインターネット上の記事において,「VW」の文字が申立人又は申立人商品を表わす略称として用いられているが,そのほとんどは「フォルクスワーゲン(VW)」の記載や記事中の他の場所で「フォルクスワーゲン」の文字が用いられているもの,又は「Volkswagen(フォルクスワーゲン)」を題材とする記事の中に「VW」と使用されているものである。

そして,引用商標3及び引用標章を構成する「VW」の文字は,辞書類に「フォルクスワーゲン社製の自動車」又は「Volkswagen(フォルクスワーゲン)の略」である旨の記載があるものの,新聞記事,雑誌記事及びインターネット上の記事においては,そのほとんどは「フォルクスワーゲン」の語が一緒に用いられていること,及びその構成が欧文字2字という簡単な構成からなるものであることをあわせみれば,該「VW」の文字単独では申立人商品(自動車)を表示するものとして,あるいは申立人及び申立人商品の略称として需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。

したがって,「VW」の文字からなる引用商標3及び引用標章は,いずれも申立人の業務に係る商品を表示するものとして,あるいは申立人及び申立人商品の略称として需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。

エ 小括

以上のとおり,引用商標1及び引用商標2は,本件商標の登録出願の日前ないし登録査定日において,申立人商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標であり,引用商標3及び引用標章は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,あるいは申立人及び申立人商品の略称として需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものである。

2 商標法第4条第1項第11号該当性について

(1)本件商標について

本件商標は,前記第1のとおり,「V&W」の文字からなり,該文字に相応し「ブイアンドダブリュー」の称呼を生じ,該文字からは,特定の観念を生じないものである。

なお,申立人は,本件商標は「ブイダブリュウ」の称呼,「申立人の名前の略称として需要者の間に広く認識されているVW」の観念が生ずる旨主張しているが,本件商標の構成文字は,標準文字により,同書,同大,同間隔で,まとまりよく一体に表され,該文字から生じる「ブイアンドダブリュー」の称呼も格別冗長というべきものでなく,よどみなく一連に称呼し得るものである。

さらに,上記1(2)のとおり,「VW」の文字は,申立人の略称として需要者の間に広く認識されているものと認められないものである。

してみれば,本件商標は,上記のとおり,「ブイアンドダブリュー」の称呼のみを生じ,特定の観念を生じないものというのが相当であるから,申立人のかかる主張は,採用できない。

(2)引用商標1及び引用商標2について

ア 引用商標1について

引用商標1は,別掲1のとおり,黒い円の中に白抜きの円とV字状の線及びW字状の線が結合した図形からなるところ,これは,全体がまとまりよく一体的に構成されており,円と鋭角に折れ曲がった直線から構成された一種の幾何図形を表したものとして認識し把握されるというべきであるから,該図形からは,特定の称呼を生じないものである。

そして,引用商標1は,上記1(2)のとおり本件商標の登録出願の日前ないし登録査定日において,申立人商品を表示する申立人のハウスマークとして需要者の間に広く認識されている商標であることから,申立人のハウスマークの観念を生じるものである。

なお,申立人は,引用商標1は「ブイダブリュウ」の称呼,「申立人の名前の略称として需要者の間に広く認識されているVW」の観念が生ずる旨を主張している。

しかしながら,仮に,引用商標1が「V」と「W」の文字をロゴ化したものであるとしても,かかる構成においては,需要者をして「V」と「W」の文字を理解,認識させるというより,一種の幾何図形として理解,認識させると判断するのが相当であり,また,引用商標1が「ブイダブリュウ」と称呼されている証左も見いだせない。

してみれば,引用商標1は,上記のとおり,特定の称呼を生じず,申立人のハウスマークとしての観念を生じるものというのが相当であるから,申立人のかかる主張は,採用できない。

イ 引用商標2について

引用商標2は,別掲2のとおり,外円並びにその内側の円とV字状の線及びW字状の線が結合した部分が立体的に表された図形からなるところ,これは,色彩は異なるものの,基本的な構成は引用商標1と同一であり,引用商標1の白抜きで表された幾何図形部分に厚みがあるように陰影をつけ,やや立体的に表現した図形とみるのが相当であるから,引用商標1と外観において同一視できるものである。

してみれば,引用商標2は,引用商標1と同様に特定の称呼を生じず,申立人のハウスマークとしての観念を生じるものである。

ウ 小括

以上のとおり,引用商標1及び引用商標2は,上記のとおり,特定の称呼を生じず,申立人のハウスマークとしての観念を生じるものである。

(3)本件商標と引用商標1及び引用商標2の類否について

ア 本件商標と引用商標1及び引用商標2とを比較すると,外観においては,本件商標は,記号と文字からなる商標であり,引用商標1及び引用商標2は,一種の幾何図形の商標であるから,外観において明らかに異なり,外観上,相紛れるおそれはないものである。

また,称呼においては,本件商標は,「ブイアンドダブリュー」の称呼を生じ,引用商標1及び引用商標2は,特定の称呼を生じないものであるから,称呼上,相紛れるおそれはないものである。

さらに,観念においては,本件商標は,特定の観念を生じないものであり,引用商標1及び引用商標2は,申立人のハウスマークとしての観念を生じるものであるから,観念上,比較することができない。

してみれば,本件商標と引用商標1及び引用商標2は,観念においては比較できないとしても,外観及び称呼において相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものである。

その他,本件商標と引用商標1及び引用商標2が類似するというべき事情も見いだせない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。

3 商標法第4条第1項第15号該当性について

(1)引用商標1,引用商標2及び引用標章の周知性について

上記1(2)のとおり,引用商標1及び引用商標2は,本件商標の登録出願の日前ないし登録査定日において,申立人商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標であるとしても,引用標章は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,あるいは申立人及び申立人商品の略称として需要者の間に広く認識されているものと認めることはできないものである。

(2)本件商標と引用商標1及び引用商標2の類否について

上記2(2)のとおり,本件商標と引用商標1及び引用商標2は,観念においては比較できないとしても,外観及び称呼において相紛れるおそれのない非類似の商標であるから,本件商標と引用商標1及び引用商標2は,別異の商標というべきものである。

(3)本件商標と引用標章の類否について

本件商標は,「V&W」の文字からなり,引用標章は,「VW」の欧文字からなるところ,文字数が,2文字又は3文字という少ない文字構成における「&」の記号の有無は,外観における顕著な差異として印象付けられるものであり,外観上,相紛れるおそれはないものである。

また,称呼においては,本件商標は,「V&W」の文字からなるものであるから,その構成文字に相応して「ブイアンドダブリュー」の称呼を生じるのに対し,引用標章は,「VW」からなるところ,一般に欧文字2字を普通に用いられる方法で表したものは,自他商品識別力を有さず出所識別標識としての称呼を生じないといえることから,引用標章からは,特定の称呼は生じないとみるべきであるから,両者は,称呼上,相紛れるおそれはないものである。

さらに,観念においては,本件商標は,特定の観念を生じないものであり,引用標章も,欧文字2字を組み合わせたにすぎないものであるから,特定の観念を生じないものであって,観念上,両者を比較することができない。

してみれば,本件商標と引用標章は,観念において比較できないとしても,外観及び称呼において相紛れるおそれのない非類似の商標(標章)であって,別異の商標(標章)というべきものである。

(4)本件商標と引用商標1,引用商標2及び引用標章の出所の混同について

上記(1)のとおり,引用商標1及び引用商標2が申立人の業務に係る商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものであるとしても,引用標章は,申立人の業務に係る商品を表示するものとして,あるいは申立人及び申立人商品の略称として需要者の間に広く認識されているものではない。

そして,上記(2)及び(3)のとおり,本件商標と引用商標1,引用商標2及び引用標章は相紛れるおそれのない非類似の商標(標章)であって,まったく別異の商標(標章)というべきものであるから,引用商標1,引用商標2及び引用標章の著名性の有無にかかわらず,本件商標は,これに接する取引者,需要者が,引用商標1,引用商標2及び引用標章を連想又は想起するものということはできない。

してみれば,本件商標は,商標権者がこれをその指定役務について使用しても,取引者,需要者をして引用商標1,引用商標2及び引用標章を連想又は想起させることはなく,その役務が他人(申立人)あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように,その役務の出所について混同を生ずるおそれはないものといわなければならない。

その他,本件商標が出所の混同を生じさせるおそれがあるというべき事情も見いだせない。

したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。

4 商標法第8条第1項該当性について

(1)本件商標と引用商標3について

本件商標は,前記第1のとおり,「V&W」の文字を標準文字で表してなるところ,その構成は,同書,同大,同間隔で,まとまりよく一体に表され,該文字から「ブイアンドダブリュー」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

してみれば,本件商標は,「V&W」の構成文字として捉えられるものであるから,申立人が,本件商標の構成中の「VW」が要部であり,その称呼が「ブイダブリュウ」であり,観念が「申立人の名前の略称として需要者の間に広く認識されているVW」であることを前提とした上で,本件商標と「VW」の欧文字を横書きしてなる引用商標3とが,外観,称呼及び観念のいずれも共通する類似の商標であるとする主張は,その前提が認められないことから,採用することができない。

その他,本件商標と引用商標3が類似するというべき事情も見いだせない。

したがって,本件商標と引用商標3は,観念において比較できないとしても,外観及び称呼において紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。

(2)本件商標と引用商標4について

本件商標は,「V&W」の文字からなるものであるから,その構成に相応して,「ブイアンドダブリュー」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。

一方,引用商標4は,一種の幾何図形を表したものであって,引用商標1と同一の商標であり,上記2(2)のとおり,特定の称呼を生じず,申立人のハウスマークとしての観念を生じるものである。

そして,本件商標と引用商標4を比較すると,本件商標は,記号と文字からなる商標であり,引用商標4は,円と鋭角に折れ曲がった直線から構成された一種の幾何図形の商標であるから,両者は,外観において明らかに異なり,外観上,相紛れるおそれはないものである。

また,称呼においては,本件商標は,「ブイアンドダブリュー」の称呼を生じ,引用商標4は,特定の称呼を生じないものであるから,称呼上,相紛れるおそれはないものである。

さらに,観念においては,本件商標は,特定の観念を生じないものであり,引用商標4は,申立人のハウスマークとしての観念を生じるものであるから,観念上,比較することができない。

してみれば,本件商標と引用商標4は,観念においては比較できないとしても,外観及び称呼において相紛れるおそれのない非類似の商標であって,別異の商標というべきものである。

その他,本件商標と引用商標4が類似するというべき事情も見いだせない。

したがって,本件商標は,商標法第8条第1項に該当しない。

5 商標法第3条柱書について

申立人は,申立ての理由の要約に「商標法第3条柱書」と記載しているが,申立ての根拠及び具体的理由には何らそれに係る記載及び主張がなく,申立ての具体的理由は不明であって,本件商標が商標法第3条柱書に違反しているというべき事情は見いだせない。

してみると,本件商標は,商標法第3条柱書の要件を具備するものである。

6 むすび

以上のとおり,本件商標の登録は,商標法第3条柱書,同法第4条第1項第11号,同第15号及び同法第8条第1項のいずれにも違反してされたものとはいえないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきである。

よって,結論のとおり決定する。

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