Trademark Appeal Case
原材料と普通名称の結合
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2016−12503(T2016−12503/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「桃黒酢」の文字を標準文字で表してなり、第30類に属する願書に記載のとおりの商品を指定商品として、平成27年2月17日に登録出願されたものである。
そして、本願の指定商品は、原審における平成27年8月11日付け手続補正書により、第30類「モモの果汁・果肉・果皮などを原料とした黒酢,モモの果汁・果肉・果皮などと黒酢を加味した調味料」に補正されたものである。
2 原査定における拒絶の理由の要旨
原査定は、「本願商標は、『桃黒酢』の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中、『桃』の文字部分は、『バラ科の落葉小高木。夏に球形の肉厚多汁の実がなり、食用。』として親しまれた語であって、本願の指定商品との関係においては、直ちに原材料(の一部)を理解させるものであり、また、『黒酢』の文字部分は、本願の指定商品又は本願の指定商品の原材料を表す語と認められる。そして、本願の指定商品と関連深い、果実酢を取り扱う業界において、飲みやすいお酢として、りんごやブルーベリーのほか、ざくろやカシスといった果実の果汁などを原料とした黒酢が製造、販売され、これに『○○(果実などの原材料名)黒酢』の文字が使用されている例が見受けられる。そうすると、本願商標をその指定商品に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、『桃の果汁などを原料とした黒酢』又は『桃の果汁と黒酢を原料とした調味料』であることを表示したものと認識するにとどまるとみるのが相当であるから、本願商標は、単に商品の品質、原材料を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審においてした証拠調べ
審判長は、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、別掲に示すとおりの事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき、請求人に対し、意見を申し立てる機会を与えるべく、相当の期間を指定して、平成28年11月1日付けで証拠調べの結果を通知した。
4 証拠調べ通知に対する請求人の意見(要旨)
(1)証拠調べ通知には、どの証拠に基づき、どのような理由で本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するのかが記載されていないことから、請求人は、有効な主張ができない。
したがって、審判長は、本願について、拒絶すべき旨の審決をしようとするときは、その審決に先立ち、請求人に対し、その理由を明らかにして、意見を述べる機会を付与すべきである。
(2)本願商標が、本願の指定商品の品質等を表示するものとして、取引上普通に使用されている事実はない。
(3)「果実名」+「黒」+「酢」の構成からなる使用例は少なく、「果実名」+「黒」+「酢」の構成からなるものであっても、片仮名、平仮名、漢字混じりで使用されているから、漢字のみの3字で一体的に表記されている本願商標よりも一体性に劣る。
(4)「果実名」+「酢」の構成からなる使用例は、黒酢ではなく、本願商標とは異なることから、本願商標のような使用態様が広くなされていることの証拠とはならない。
(5)証拠調べ通知により示された証拠、実際の取引状況等の要素を総合的に考慮すると、「本願商標は、商品の品質(原材料)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる」とは考えることができないという結論に想到するから、自他商品識別力を発揮するものであり、商標法第3条第1項第3号には該当しない。
5 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「桃黒酢」の文字を標準文字で表してなり、第30類「モモの果汁・果肉・果皮などを原料とした黒酢,モモの果汁・果肉・果皮などと黒酢を加味した調味料」を指定商品とするものである。
ところで、本願の指定商品を取り扱う業界においては、原審における拒絶理由通知及び拒絶査定並びに別掲の1ないし3に示したとおり、桃を含む果実を原材料として使用した酢又は黒酢や、桃の果汁等と酢又は黒酢等を原材料とする調味料が一般に製造、販売され、原材料である果実を表す語と商品の普通名称である酢又は黒酢の語とを結合してなる一連の語が使用されている実情が見受けられる。
そうすると、本願商標をその指定商品中の「モモの果汁・果肉・果皮などを原料とした黒酢」について使用するときは、本願商標の構成中の「桃」の文字は、原材料としての「桃(モモ)」を表したものと、同じく、「黒酢」の文字は、商品の普通名称である「黒酢」を表したものと、それぞれ看取、理解されるものであり、これら2語を結合した本願商標は、「桃を原材料とする黒酢」といった意味を表すものとして認識されるとみるのが相当である。
また、本願商標をその指定商品中の「モモの果汁・果肉・果皮などと黒酢を加味した調味料」について使用するときは、本願商標の構成中の「桃」及び「黒酢」の各文字は、いずれも原材料としての「桃(モモ)」及び「黒酢」を表したものと看取、理解されるものであり、これら2語を結合した本願商標は、「桃及び黒酢を原材料とする商品(調味料)」といった意味を表すものとして認識されるとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、その指定商品との関係において、取引者、需要者により、「桃を原材料とする黒酢」又は「桃及び黒酢を原材料とする商品(調味料)」といった意味を表す一連の語であって、商品の品質、原材料を表したものと認識されるにとどまるものである。
したがって、本願商標は、商品の品質、原材料を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。
(2)請求人の主張について
ア 請求人は、本願商標について、同じ種類の文字(漢字)が、同じ大きさ、同じ間隔でまとまりよく全体に配されている構成からなり、また、称呼も「モモクロズ」又は「モモクロス」と短いものであるから、取引者、需要者をして、不可分一体の造語等と認識されるものであり、殊更「桃」と「黒酢」とに分断して考察する必要はなく、仮に、そのように分断されるとしても、当該「桃」が直接的、具体的に果実たる「モモ」のみを指し示すとはいえない旨主張する。
しかしながら、本願商標が、その指定商品及びそれを取り扱う業界における取引の実情を踏まえれば、取引者、需要者により、原材料としての「桃」と商品の普通名称又は原材料としての「黒酢」との2語を結合し、全体として、「桃を原材料とする黒酢」又は「桃及び黒酢を原材料とする商品(調味料)」といった意味を表す一連の語として認識されること、上記(1)のとおりである。
したがって、上記請求人による主張は、採用できない。
イ 請求人は、「桃黒酢」の語が使用されている事例は極めて少ないことからすれば、本願商標が商品の品質等を表示するものとして、取引上、普通に使用されている事実はないというべきであり、また、他に示された事例についても、「黒酢」の語と結合している語が片仮名若しくは平仮名である若しくは漢字であるとしても本願商標よりも冗長な構成からなるもの、又は、「黒酢」ではなく「酢」の語の使用に係るものであるから、本願商標のような使用態様、表示態様が本願の指定商品を取り扱う業界において広く行われているとはいえず、本願商標は、自他商品識別力を発揮するものであり、商標法第3条第1項第3号には該当しない旨主張する。
しかしながら、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号にいう商品の品質等に該当するというには、該商標の査定時又は審決時において、該商標の構成態様及び指定商品に基づき、該商標が使用される商品に係る取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるべきものであり、我が国の取引者、需要者が商品の品質等を表示するものとして認識するものであれば足りるといえ、実際に商品の品質等を表示するものとして使用されていることまでは必要としないと解されるところ、本願商標は、上記(1)において認定、判断したとおり、その指定商品及びそれを取り扱う業界における取引の実情を踏まえれば、取引者、需要者をして、商品の品質、原材料を表したものと認識されるといえるものであるから、「桃黒酢」の文字又はそれと同様の漢字のみの3字からなるものが商品の品質、原材料を表したものとして使用されている事実が少ないからといって、商標登録を受けることができる商標ということはできない。
したがって、上記請求人による主張は、採用できない。
ウ 請求人は、証拠調べ通知には、どの証拠に基づき、どのような理由で、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するのかが記載されておらず、請求人として有効な主張ができないから、本願について、拒絶すべき旨の審決をしようとするときは、その審決に先立ち、請求人に対し、その理由を明らかにして意見を述べる機会を付与すべきである旨主張する。
しかしながら、本願商標については、原審における拒絶理由通知及び拒絶査定において、その構成中の「桃」の文字部分は、本願の指定商品との関係から、直ちに原材料を理解させるものであり、また、「黒酢」の文字部分は、本願の指定商品又はその原材料を表すものとし、さらに、取引の実情として、果実の果汁等を原料とした黒酢が製造、販売され、これに「○○(果実などの原材料名)黒酢」の文字が使用されている例を示した上で、本願商標をその指定商品に使用したときは、これに接する取引者、需要者は、「桃の果汁などを原料とした黒酢」又は「桃の果汁と黒酢を原料とした調味料」であることを表示したものと認識するにとどまるから、単に商品の品質、原材料を普通に用いられる方法で表示するにすぎず、商標法第3条第1項第3号に該当する旨認定、判断しており、これに対して、請求人は、原審において意見書を提出し、また、本件審判の請求をして、本願商標は、商品の品質、原材料を表示するものではなく、同号に該当するものではない旨反論している。
そして、当審においては、職権をもって証拠調べをした結果、本願商標については、原査定において認定、判断したように、商品の品質、原材料を普通に用いられる方法で表示するにすぎず、商標法第3条第1項第3号に該当するものとの心証を得たことから、前記3のとおり、請求人に対してその結果を通知し、相当の期間を指定して意見を申し立てる機会を与えたところ、請求人は、前記4のとおり、意見書を提出し、当該結果(証拠)に対する反論を述べた上で、本願商標について、商品の品質、原材料を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものではなく、十分に自他商品識別力を発揮するものであり、同号に該当するものではない旨主張している。
そうすると、請求人は、上記当審においてした職権証拠調べ通知の趣旨(本願商標の商標法第3条第1項第3号該当性を判断する際に利用され得る証拠を示すものであって、請求人による意見の申立ての機会を与えるもの。)を理解しており、当該通知で示した証拠に対する意見(反論)も述べているといえるから、請求人に対し、更に意見の申立ての機会を与えずに審決をしたとしても、請求人に対する不意打ちにはならないというべきである。
したがって、上記請求人による主張は、採用できない。
(3)まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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