sokuhyo

Trademark Appeal Case

称呼と外観の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2017−900042(T2017−900042/J7)
審判種別異議
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

登録第5894909号商標の商標登録を維持する。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第5894909号商標(以下「本件商標」という。)は、「Lavilin」の文字を標準文字で表してなり、平成28年5月13日に登録出願、第3類「化粧品,せっけん類,香料,薫料,身体防臭用化粧品」及び第5類「制汗剤,その他の薬剤」を指定商品として、同年10月11日登録査定、同年11月11日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する登録商標は、以下とおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。

(1)登録第4435204号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成11年8月11日に登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,つけづめ,つけまつ毛,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」を指定商品として、同12年11月24日に設定登録されたものである。

(2)国際登録第1195682号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成からなり、2013年3月11日にEuropean Unionにおいてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、2013年(平成25年)8月12日に国際商標登録出願、第3類、第5類及び第44類に属する別掲3に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成27年5月15日に設定登録されたものである。

以下、引用商標1及び引用商標2をまとめて「引用商標」という場合がある。

3 登録異議申立ての理由

申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきものであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第28号証を提出した。

(1)引用商標の周知性について

ア 申立人は、1987年に、オーガニック化粧品の製造、販売を業として設立された企業である。そして、ブランド創設以来、一貫してオーガニック化粧品の研究開発、製造、販売に従事してきたところ、申立人の業務に係るオーガニック化粧品(以下「申立人商品」という場合がある。)は、2013年、ドイツのナチュラル・オーガニック化粧品マーケットでシェアNo.1となり、日本をはじめ世界40力国以上の国、地域で事業を展開している(甲6〜甲9)。

イ オーガニック化粧品とは、一般に、自然由来の成分を中心に配合し、「人間の肌が本来持つ自然治癒力を助長、回復させることに着目したスキンケア用品」を指すものであって、これには、国際的な統一規格はないものの、フランス、オーストラリア、アメリカ、ドイツ、イギリスなど欧米を中心に各種の認証機関が、原料の選定や製造方法に厳しい基準を設け、製品の評価、認証を行っている。こうした中、申立人は、オーガニックコスメ認証団体を2008年に発足させた(甲10)。

ウ 申立人商品は、常に優れた品質を維持してきた結果、認証機関から何度も高い評価を受け、現在では、世界有数のオーガニック化粧品ブランドの一つとして認知され世界中で愛用されるに至っている(甲9、甲11、甲13、甲14)。

エ 申立人は、遅くとも2005年には、日本でも申立人商品の販売を行っており(甲12)、現在では、日本全国の百貨店、雑貨店、化粧品店など全国258店舗やオンラインショッピングサイトを介して幅広く販売活動を行っている(甲13〜甲15)。

また、申立人は、各種展示会への出展や地下鉄駅構内の広告等を通じて、幅広く引用商標の訴求を図ってきた(甲16、甲17)。

さらに、申立人商品は、少なくとも2008年以降、多種多用な雑誌、新聞、ウェブサイトに頻繁に取り上げられている(甲18〜甲27)。

オ 以上によれば、引用商標は、2008年頃には既に、オーガニック化粧品のブランドとして、我が国の若い女性のみならず幅広い層において広く知られており、周知性を獲得するに至ったということができる。

(2)商標法第4条第1項第11号該当性について

ア 外観上の類似

本件商標と引用商標とは、需要者、取引者の注意を最もひきやすい語頭において「L」、「a」、「v」の3文字が共通しているため、外観において近似した印象を与えるものである。

イ 称呼上の類似

本件商標は、その構成文字に相応して、「ラヴィリン」の称呼が生じる。これに対し、引用商標は、その構成中の「Lavera」の文字部分に相応して、「ラヴェーラ」又は「ラヴェラー」の称呼が生じる。

そして、両称呼は共に4音からなり、第1音の「ラ」を共通にする。また、第2音の「ヴィ」と「ヴェ」は、共に両唇音であるばかりでなく、帯有する母音「i」と「e」が近似するから、全体の音調、音感が近似している。

ウ 簡易迅速が尊ばれる商取引の場においては、ぱっと見ただけの印象を頼りに取引が行われることが多い。特に、化粧品や医薬品の分野においては、フランス語やドイツ語など、我が国の平均的な需要者等には馴染みの薄い言語に由来する商標が採用されることが多く、その場合、正確な読み方を把握することなく、外観や文字構成から受けるイメージ、記憶をもとに商品を選択することも少なくない。そして、引用商標が我が国において周知であることからすれば、外観及び称呼が類似する両商標は、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがある。

エ 本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品を含むものである。

オ 以上によれば、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(3)商標法第4条第1項第15号該当性について

ア 本件商標と引用商標とは、上記(2)のとおり、外観、称呼において共通する部分が大きく、取引者、需要者は両者から共通した印象やイメージを感受する。加えて、引用商標は、いずれも特定の観念を生じない造語であり、独創性の高い商標である。このように、造語からなる商標については、一般に強い識別性が認められ、他人がその商標と類似する商標を使用した場合には、既成語からなる商標よりも需要者に対する印象、記憶、連想作用等から出所の混同が生ずる幅は広いというべきである。

イ 引用商標は、「化粧品」等に使用され、相当程度知られているものであり、これらの商品は、本件商標の指定商品と取引者、需要者を共通にし、相互に密接に関連がある。

そうとすれば、本件商標の需要者は、本件商標と引用商標の構成上の相違にもかかわらず、本件商標と引用商標から受ける印象やイメージが共通することから、本件商標をその指定商品について使用すると、あたかも申立人又は申立人と組織的又は経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのごとく誤認され、出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(4)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。

4 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

ア 本件商標

本件商標は、前記1のとおり、「Lavilin」の文字を標準文字で表してなるところ、該文字は、我が国において親しまれている成語とはいえないことから、我が国において広く親しまれている英語風の読みに倣い、その構成文字に相応して「ラヴィリン」の称呼を生じるというのが相当であり、特定の意味合いを有しない造語を表したものと理解されることから、特定の観念は生じないものである。

イ 引用商標

(ア)引用商標1

引用商標1は、別掲1のとおり、「Lavera」の文字を大きく横書きにし、その構成中の第2文字目の「a」から末尾の「a」にかけて、その上部に、横書きにした「ラヴェーラ」の文字を小さく書した構成からなるところ、該構成中、大きく書された「Lavera」の文字部分とその上段に書された「ラヴェーラ」の文字部分は、極めてバランスよく一体的に組み合わされているものであり、また、上段の「ラヴェーラ」の文字部分が下段の「Lavera」の文字部分の読みを特定するものと容易に理解されるものである。

そして、引用商標1を構成する「ラヴェーラ」及び「Lavera」の文字は、我が国において親しまれている成語とはいえないものであり、特定の意味合いを有しない造語を表したと理解されるものである。

してみれば、引用商標1は、その構成文字に相応して、「ラヴェーラ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。

(イ)引用商標2

引用商標2は、別掲2のとおり、平行した2本の横線に間に、「lavera」の文字を大きく横書きし、これらの下部に、小さく「NATURKOSMETIK」の文字を横書きした構成からなるものである。

そして、引用商標2における「lavera」の文字部分は、大きく表されていることから、看者の注意を強くひく部分であるのに対し、「NATURKOSMETIK」の文字部分は、小さく表されていることに加え、「自然化粧品」程の意味合いを表すドイツ語と認められる(我が国において、一般的にドイツ語は馴染みの薄い語であるが、上記「NATURKOSMETIK」の文字部分は、我が国でよく知られている英語の「nature」(自然)、「cosmetic」(化粧品)に似た単語といえるから、上記意味合いを理解するとみるのが相当である。)ことから、自他商品及び自他役務の識別機能を有しないか、有するとしても極めて弱いものといえる。

そうすると、引用商標2に接する需要者は、顕著に表された「lavera」の文字部分を捉え、これから生じる称呼のみをもって商品の取引に当たる場合が多いといえるところ、該文字部分は、引用商標1と同様、我が国において親しまれている成語とはいえないものであり、特定の意味合いを有しない造語を表したと理解されるものであるから、我が国において広く親しまれている英語風の読みに倣い、その構成文字に相応して、「ラヴェーラ」又は「ラヴェラ」の称呼を生じるというのが相当である。

したがって、引用商標2は、構成文字全体を称呼した場合の「ラヴェーラナトゥールコスメチック」又は「ラヴェラナトゥールコスメチック」の称呼のほか、「lavera」の文字部分から単に「ラヴェーラ」又は「ラヴェラ」の称呼をも生じるものであり、「lavera」の文字部分は特定の観念を生じないものである。

ウ 本件商標と引用商標との対比

(ア)外観

本件商標は、上記アのとおり、「Lavilin」の文字を標準文字で表してなるものであり、いずれかの文字部分のみが外観上強調されて表されているものではなく、構成文字全体が一つの商標を表したと理解されるものである。

これに対して、上記イのとおり、引用商標1は、「Lavera」の文字部分とその読みを特定したと理解される「ラヴェーラ」の文字部分とがバランスよく組み合わされた構成からなるものであり、また、引用商標2は、平行した2本の横線に間に「lavera」の文字を大きく表し、これらの下部に、「NATURKOSMETIK」の文字を小さく表した構成からなるものである。

そうすると、本件商標と引用商標とは、外観において明らかに異なるものであるから、これらを時と所を異にして離隔的に観察した場合においても、外観上互いに紛れるおそれはない。

この点に関し、申立人は、本件商標と引用商標は、需要者、取引者の注意を最もひきやすい語頭において「L」「a」「v」の3文字が共通しているため、外観において近似した印象を与える旨主張するが、本件商標と引用商標中の「Lavera」又は「lavera」の文字部分は、いずれも全体をもって一つの語を表したと理解されるものであり、語頭部分のみに着目されるものではない。

また、語頭部分の「L(l)」、「a」、「v」の3文字が共通しているとしても、後半部分において、「ilin」の文字と「era」の文字の顕著な差異を有するものであるから、化粧品等の分野の需要者、取引者の通常有する注意力をもってすれば、両者を互いに見誤るおそれはないというべきである。

したがって、本件商標と引用商標とは、外観上類似する商標とはいえない。

(イ)称呼

本件商標から生じる「ラヴィリン」の称呼と引用商標から生じる「ラヴェーラ」の称呼は、語頭の「ラ」の音を共通にするものの、他の「ヴィリン」の音と「ヴェーラ」の音の明瞭な差異を有するものであるから、これらの差異音が両称呼全体に及ぼす影響は極めて大きく、それぞれの称呼を一連に称呼した場合、その語調、語感が著しく相違したものとなり、互いに紛れるおそれはない。

また、本件商標から生じる「ラヴィリン」の称呼と引用商標2から生じる「ラヴェラ」の称呼は、上記と同様に、語頭の「ラ」の音を共通にするものの、他の「ヴィリン」の音と「ヴェラ」の音の明瞭な差異を有するものであるから、称呼上類似するものではなく、さらに、本件商標から生じる「ラヴィリン」の称呼と引用商標2から生じる「ラヴェーラナトゥールコスメチック」又は「ラヴェラナトゥールコスメチック」の称呼も明らかに相違するものである。

したがって、本件商標と引用商標とは、称呼上類似する商標とはいえない。

(ウ)観念

本件商標と引用商標は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、相紛れるおそれはない。

(エ)上記(ア)ないし(ウ)のとおり、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。

エ 小括

以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものとはいえない。

(2)商標法第4条第1項第15号について

ア 引用商標の周知性

(ア)申立人の提出した甲第6号証ないし甲第12号証、甲第18号証ないし甲第27号証を総合すると以下のとおりである。

申立人は、1987年(昭和62年)に、ドイツで創業したオーガニック化粧品の製造、販売を業とする企業であり、申立人の製造、販売に係る商品「オーガニック化粧品」(申立人商品)は、高い品質を保つための厳しい基準を持つNATRUE等の認証を取得しており、申立人商品には、主として引用商標2が表示されている。申立人商品は、2013年(平成25年)、ドイツのナチュラル・オーガニック化粧品マーケットでシェアNo.1となり、2015年(平成27年)4月20日現在、世界40力国以上で販売されている(甲6〜甲11等)。

日本における申立人商品の販売開始時期は、申立人の提出した証拠からは明らかではないが、2005年(平成17年)2月22日付け産経新聞(甲12)によれば、自然化粧品を扱う「ネイチャーズウエイ」ハービスent店では、「ドイツで高い評価を受ける『ラヴェーラ』のメイクアップコスメ」として、申立人商品を販売している記事が掲載され、これより2005年(平成17年)には、自然化粧品を扱う店舗において、申立人商品が販売されていたと認め得るところである。

また、申立人商品は、2007年(平成19年)秋頃から、女性向け雑誌に紹介されはじめ、その後2017年(平成29年)4月頃までに、様々なファッション関連の雑誌や新聞等で紹介された(甲18〜甲27)。

なお、申立人は、申立人商品を全国の店舗やオンラインショップにおいて販売活動を展開し、かつ、各種展示会への出展や地下鉄構内での広告を行った旨主張し、甲第13号証ないし甲第17号証を提出するが、これらの証拠は、作成日又は掲載日が明らかではなく、本件商標の登録出願日(平成28年5月13日)及びその登録査定日(平成28年10月11日)の時点における引用商標の周知性を裏付ける証拠とはなり得ない。

(イ)上記(ア)によれば、引用商標は、申立人の製造、販売に係る商品「オーガニック化粧品」(申立人商品)を表示するものとして、本件商標の登録出願前より、雑誌等において継続して紹介されていた事実を認めることができる。しかし、申立人商品の我が国における本件商標の登録出願日前後から登録査定日までの販売数量、売上高は明らかではなく、また、少なくとも自然化粧品市場でのシェアなども明らかではない。さらに、申立人商品の雑誌等における紹介にしても、そのほとんどが多数掲載された化粧品のうちの一つとして紹介されたにすぎず、さほど目立つ態様での掲載とはいえないし、申立人商品が雑誌等で紹介された事実を除けば、申立人が、本件商標の登録出願前より、一般の需要者に向けて申立人商品の宣伝広告を積極的に行ったと認めるに足りる証拠はない。

そうすると、引用商標は、申立人商品を表示するものとして、自然(オーガニック)化粧品を取り扱う分野の需要者の間においては、ある程度の周知性を獲得していたものと認めることができるものの、その周知性は、自然(オーガニック)化粧品の分野を超えて、化粧品全般に及ぶものと認めることはできない。

したがって、引用商標は、我が国の化粧品を取り扱う分野の取引者、需要者の間に広く認識されていたものとまでは認めることはできず、その著名性が相当程度高いものであったとはいえない。

イ 出所の混同

上記アのとおり、引用商標は、申立人商品を表示するものとして、本件商標の登録出願前より高い著名性を獲得していたものとはいえず、また、上記(1)のとおり、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれの点についても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。

してみれば、本件商標に接する需要者が、引用商標を想起、連想することはないといえるから、本件商標は、これをその指定商品について使用しても、該商品が申立人又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるとはいえない。

その他、本件商標と引用商標とが類似していないにもかかわらず、本件商標を使用した商品と引用商標を使用したオーガニック化粧品との間に出所の混同を生じさせるおそれがあることを認める特段の事情は見いだせない。

ウ 小括

上記ア及びイのとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものとはいえない。

(3)むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。