Trademark Appeal Case
商標の類否と周知性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2017−900034(T2017−900034/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第5893354号商標(以下「本件商標」という。)は、「EVERA」の欧文字を書してなり、2015年3月25日に大韓民国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成27年9月25日に登録出願、第3類「化粧品,化粧用日焼け用オイル,日焼け用ジェル状化粧品,肌用化粧品,抗老化化粧品,メイクアップ用化粧品,浴用及びシャワー用化粧品,痩身用化粧品,ファウンデーションクリーム,しみ取り用化粧品,肌用クレンジングクリーム,コールドクリーム,スキンホワイトニングクリーム,スキンローション,一般化粧水,化粧用の美顔用パック,マッサージ用ジェル,マッサージ用オイル,ボディーローション,ボディオイル,ボディクリーム」、第10類「家庭用美容マッサージ器,家庭用高周波美容マッサージ器,業務用電子式肌用マッサージ器,美容用マッサージ器,美容用マッサージ器の部品,家庭用電子式肌用マッサージ器,個人用のマッサージ器,家庭用電気マッサージ器」、第35類「化粧品の販売の取次又は仲介,医療機器販売の取次又は仲介,個人用のマッサージ器及び業務用美容マッサージ器の取次又は仲介」及び第44類「医療用機械器具の貸与,医療,医療に関する助言,美容,美容に関する助言,美容整形外科医業,スキンケア美容,肌の美容に使用する機械器具の貸与,スキンケア美容に関する助言,メイクアップ,マッサージ,あん摩・マッサージ及び指圧」を指定商品及び指定役務として、同28年8月19日に登録査定、同年11月4日に設定登録されたものである。
第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が本件登録異議の申立てに引用する登録商標は、以下の3件であり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第4435204号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様:別掲1のとおり
登録出願日:平成11年8月11日
設定登録日:平成12年11月24日
最新更新登録日:平成22年11月16日
指定商品:第3類「せっけん類,香料類,化粧品,つけづめ,つけまつ毛,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,歯磨き,家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,つや出し剤,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,靴クリーム,靴墨,塗料用剥離剤」
2 国際登録第1046299号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様:別掲2のとおり
国際商標登録出願日:2010年(平成22年)6月30日
優先権主張:European Union 2010年4月7日
設定登録日:平成23年9月9日
指定商品:後掲1のとおり
3 国際登録第1195682号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様:別掲3のとおり
国際商標登録出願日:2013年(平成25年)8月12日
優先権主張:European Union 2013年3月11日
設定登録日:平成27年5月15日
指定商品及び指定役務:後掲2のとおり
また、引用商標1ないし引用商標3をまとめて、以下「引用商標」という。
第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号に基づき、取り消されるべきものであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第79号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)指定商品の類似
本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似することは明らかである。
(2)商標の類否
本件商標と引用商標との類否判断にあたっては、過去の判例(甲5、甲6)にそって、引用商標の周知、著名性を含む、具体的な取引の実情を勘案して判断すべきである。
(3)引用商標の周知性
ア 世界における取り組み
申立人は、オーガニック化粧品の製造・販売メーカーであり、1987年の設立以降、一貫してオーガニック化粧品の研究開発、製造、販売に従事し、現在では、その高い品質が評価され、日本をはじめ世界35か国以上の国・地域で事業を展開している(甲7〜甲9)。
オーガニック化粧品とは、一般に、自然由来の成分を中心に配合し、「人間の肌が本来持つ自然治癒力を助長、回復させることに着目したスキンケア用品」を指すものである。オーガニック化粧品には、国際的な統一規格はないものの、ドイツなど欧米各国を中心に各種の認証機関が原料の選定や製造方法に厳しい基準を設け、製品の評価・認証を行っている。こうした中、申立人はオーガニックコスメ認証団体を2008年に発足させている(甲10)。
そして、申立人の扱う多種多様な商品(甲8、甲11)は、いずれも厳しい管理のもと、常に優れた品質を維持してきた。長年にわたるこれらの取り組みは世界的に高く評価され、認証機関から何度も高い評価を受け(甲12、甲13)、常に良質な商品を提供し続けてきた申立人の取り組みは世界中で評価され、現在では、世界有数のオーガニック化粧品ブランドの一つとして認知され、世界中で愛用されるに至っている。申立人の、最近の売上高は以下のとおりである。
2008年:7,160,942ユーロ(約8億8,080万円)
2009年:6,486,556ユーロ(約7億9,800万円)
2010年:6,620,606ユーロ(約8億1,430万円)
2011年:7,555,608ユーロ(約9億2,300万円)
2012年:23,623,601ユーロ(約29億570万円)
2013年:14,685,207ユーロ(約18億630万円)
イ 日本における事業展開
我が国においても、自然派志向・健康志向の高まりから、有機栽培(オーガニック)の原料を使用した製品が、食材及び化粧品を中心に注目されている。そのような状況の下、申立人が販売するオーガニック化粧品も人気を博している。
申立人は、少なくとも2004年には、日本でもオーガニック化粧品の販売を行っており(甲14)、現在では、全国の百貨店、ショッピングセンター、雑貨店、化粧品ショップなど合計253の店舗、及びオンラインショッピングサイトにおいて引用商標を付した商品が販売されている(甲15、甲17)。さらに申立人は、各種展示会への出展や、地下鉄駅構内の広告等を通じて、幅広く「Lavera」(ラヴェーラ)ブランドの訴求を図ってきた(甲18〜甲19)。
そして、申立人の商品は、2008年以降、多種多様な雑誌、新聞及びウェブサイトにおいて頻繁に取り上げられ(甲20〜甲76)、ファッション誌をはじめ、育児雑誌や健康雑誌、男性向け雑誌、園芸やバイク、ヨガ、サーフィン、フルート等の専門雑誌にも掲載されており(甲34、甲42、甲55、甲58、甲63、甲66)、幅広い需要者層に注目されていたことが分かる。加えて、申立人の商品は、その品質の高さから、歯科医などの専門家や著名人からも高く評価されてきた(甲77、甲78)。
以上より、引用商標は2008年頃には既にオーガニック化粧品のブランドとして我が国においても広く知られるようになっており、その高い品質と安全性から、女性のみならず幅広い層において支持され、周知性を獲得するに至っている。
ウ まとめ
以上述べたとおり、引用商標を付した商品はドイツを代表するオーガニック化粧品ブランドとして世界35か国以上で販売され、我が国においても2004年頃から全国的に販売活動を展開した結果、オーガニック化粧品の代表的なブランドとして認知されるに至っている。したがって、少なくとも本件商標の出願時には、引用商標は既に周知性を獲得していたことは明らかである。
(4)本件商標と引用商標との類似性
ア 称呼上の類似性
本件商標は、その構成文字に従い「エヴェーラ」の称呼が生ずる。
一方、引用商標は、申立人によるオーガニック化粧品等についての永年継続的かつ大々的な使用によって、申立人の業務に係る商品を表示する商標として取引者、需要者の間に広く認識されている。そのため、引用商標からは、申立人の使用に係る「ラヴェーラ」との称呼が生ずる。
そこで、両商標から生ずる称呼「エヴェーラ」と「ラヴェーラ」を比較すると、語頭音の「エ」と「ラ」の音において相違するにすぎない。しかも、両称呼は、第3音目における「ヴェ」の音にアクセントと伴って称呼されるため、共通する「ヴェーラ」の音が、強く聴者の印象に残るものである。
このように、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、語調語感が近似することから彼此聞き誤るおそれがある類似の称呼であることは明らかである。
イ 取引の実情
簡易迅速が尊ばれる商取引の場においては、ぱっと見ただけの印象や記憶を頼りにして取引が行われることが多い。そして、需要者・消費者は、時と処を異にして商標に接するのが一般的であるから、それぞれの商標に接したときに受けた外観を端緒とする記憶や印象を頼りにして、商品及び役務を区別することになる。特に、化粧品の分野においては、文字の綴りや外観、想定し得る称呼の全体的な語調語感など、商標全体が与える印象が大きな役割を果たすといえる。
そのため、時と処を異にして両商標に接した場合、本件商標の外観や称呼の印象や記憶と、引用商標の外観や称呼の印象や記憶とは相共通する部分が大きく、両者の音調音感は近似していることから、商品の出所について混同を生じる可能性は極めて高い。
そして、引用商標は、その指定商品の分野においてオーガニック化粧品のトップブランドとして認知されている。したがって、本件商標及び引用商標が各指定商品に使用された場合、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがある。これらの事情を総合して全体的に観察すれば、本件商標と引用商標は、互いに類似するというべきである。
ウ 小括
以上述べたとおり、本件商標と引用商標とは類似し、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似することは明らかであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)本件商標と引用商標との類似性
本件商標と引用商標とは、前述のとおり、称呼において共通する部分が大きく、取引者、需要者は両者から共通した印象やイメージを感受するものである。加えて、引用商標を構成する「lavera」(ラヴェーラ)は特定の観念を生じさせない造語であり、独創性の高い商標である。このように、造語より構成される創造商標については、一般に強い識別性が認められ、他人がその商標と類似するような商標を使用した場合には、既成語から構成される商標よりも、需要者に対する印象、記憶、連想作用等から出所の混同が生ずる幅は広いというべきである。
(2)商品間の関連性、需要者の共通性
引用商標は、「化粧品」等に使用され、相当程度知られているものである。そして、これらの商品は、本件商標の指定商品と取引者、需要者を共通にし、相互に密接に関連がある。
そうとすれば、本件商標の需要者は、本件商標と引用商標の構成上の相違にもかかわらず、本件商標と引用商標から共通した印象やイメージを受け、申立人と経済的若しくは組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品、役務ではないかと、その出所について誤認混同するおそれがあるものといえる。
(3)小括
以上より、本件商標をその指定商品、指定役務について使用すると、あたかも申立人の「lavera」(ラヴェーラ)商標に係る商品、役務であるか、または、これと何らかの関連性を有する商品、役務であるかのごとく誤認され、あるいは、その商品の出所について、組織的又は経済的に申立人と何らかの関係がある者の商品、役務であるかのごとく誤認され、出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
第4 当審の判断
1 引用商標の周知性について
(1)申立人の提出した証拠及び申立ての理由によれば、次のとおりである。
ア 申立人は、1987年にドイツで創業した「オーガニック化粧品」の製造・販売メーカーであり、現在では、ドイツをはじめ世界の40か国以上で事業を展開し、多種多様なオーガニック化粧品を扱っている(甲7〜甲9、甲11)。
イ 引用商標3が付された申立人のオーガニック化粧品(以下「申立人商品」という。)は、我が国において、2005年(平成17年)には販売され(甲21、甲22)、現在では、全国の百貨店、雑貨店、化粧品ショップなど合計255の店舗及びオンラインショッピングサイトにおいて取り扱われている(甲15〜甲17)。
ウ 申立人は、引用商標3を使用して、地下鉄駅構内において広告を行っている(甲19)。
エ 申立人商品は、主に引用商標3が使用されて、雑誌、新聞及びウェブサイトにおいて紹介されている(甲22、甲23、甲25、甲26、甲33、甲39、甲40、甲45、甲48、甲52、甲55、甲57、甲60、甲62、甲65、甲67、甲70、甲77)。
(2)上記(1)からすると、次のように判断できる。
申立人は、我が国において、申立人商品である「オーガニック化粧品」について、引用商標3を使用していることが認められる。
しかしながら、申立人商品の我が国における売上げ、シェアなど販売実績を示す証拠は提出されておらず、また、雑誌、新聞及びウェブサイトにおいて紹介されている申立人商品についても、そのほとんどが、多数の化粧品の一つとして、他の化粧品とともに紹介されているにすぎないものであって、加えて、それらの雑誌、新聞の頒布方法、発行された部数等及びウェブサイトのアクセス数なども不明である。
さらに、それらの証拠は、主に2005年から2012年頃のものであり、2012年以降、どのように引用商標を使用していたのかについては、その使用状況を確認できるものは見当たらない上、引用商標1及び引用商標2は、提出された証拠からは、いずれもその使用の事実が確認できない。
その他、引用商標に係る宣伝広告の回数や期間、広告費などを具体的に立証する証拠の提出もない。
してみると、引用商標は、本件商標の登録出願時ないし登録査定時において、申立人の業務に係る商品であることを表示するものとして、需要者の間に広く認識されているものと認めることはできない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「EVERA」の欧文字からなるところ、該文字は、辞書等に載録のないものであって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものである。
そして、欧文字からなる造語の場合は、我が国で一般に普及したローマ字又は英語の読みに倣って称呼されるのが自然であるから、本件商標からは、該文字に相応して「エベラ」の称呼を生じるものである。
してみれば、本件商標は、該文字に相応して、「エベラ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
ア 引用商標1は、別掲1に示した構成よりなるところ、その構成中の「Lavera」及び「ラヴェーラ」の文字は、辞書等に載録のないものであって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものである。
そして、「Lavera」の欧文字の上部には「ラヴェーラ」の片仮名が小さな文字で付されていることから、該片仮名が下段の「Lavera」の欧文字の読みを特定したとみるのが自然であり、引用商標1からは「ラヴェーラ」の称呼を生じるものである。
してみれば、引用商標1は、該文字に相応して、「ラヴェーラ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
イ 引用商標2及び引用商標3は、別掲2及び別掲3に示した構成よりなるところ、その構成中の大きく表された「lavera」の文字部分が独立して、自他商品識別機能を果たし得るといえ、該文字は、辞書等に載録のないものであって、特定の意味合いを想起させることのない一種の造語として認識されるものである。
そして、欧文字からなる造語の場合は、我が国で一般に普及したローマ字又は英語の読みに倣って称呼されるのが自然であるから、引用商標2及び引用商標3からは、該文字に相応して「ラベラ」の称呼を生じるというのが相当である。
してみれば、引用商標2及び引用商標3は、該文字に相応して、「ラベラ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標とを比較すると、両者は、外観においては、前記(1)及び(2)のとおりの構成からなるところ、その全体の構成において、顕著な差異を有するものであるから、両者は、外観上、明確に区別できるものである。
次に、称呼においては、本件商標の「エベラ」の称呼と引用商標1の「ラヴェーラ」の称呼とは、語頭における「エ」と「ラ」の音に顕著な差異を有しており、さらに、本件商標は、語頭音である「エ」の音にアクセントがあるの対し、引用商標1は、一般的に長音の前の音は比較的強く発音されることからすれば、第2音目の「ヴェ」の音の部分にアクセントが置かれるものであるから、それぞれを一連に称呼するときは、全体の語感、語調が相違し、称呼上、明確に聴別できるものである。
また、本件商標の「エベラ」の称呼と引用商標2及び引用商標3の「ラベラ」の称呼とは、語頭における「エ」と「ラ」の音に顕著な差異を有しており、両者の称呼は、共に3音という短い音構成であることから、それぞれを一連に称呼するときは、全体の語感、語調が相違し、称呼上、明確に聴別できるものである。
そして、観念においては、両者は、いずれも特定の観念を生じないものであるから、観念上、比較することができない。
そうすると、本件商標と引用商標とは、観念において比較できないとしても、外観及び称呼において明らかに区別し得るものであるから、互いに紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
前記1のとおり、引用商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国の取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることはできず、前記2のとおり、本件商標は、引用商標とは非類似の別異の商標である。
してみれば、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者が、引用商標を想起ないし連想することはないといえるから、該商品が申立人又は同人と業務上何らかの関係を有する者の取扱いに係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。