Trademark Appeal Case
称呼の類似性判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2017−900047(T2017−900047/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第5897141号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりの構成からなり,平成28年1月15日に登録出願,同年8月2日に登録査定,第29類「食用油脂,乳製品,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ」,並びに,第1類,第3類ないし第5類,第7類ないし第12類,第14類,第16類,第18類,第20類ないし第22類,第24類,第26類,第28類,第30類,第32類ないし第37類,第39類ないし第41類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として,同年11月18日に設定登録されたものである。
2 引用商標
商標異議申立人(以下「申立人」という。)が登録異議の申立てにおいて引用する国際登録第1095273号商標(以下「引用商標」という。)は,「MADRA」の欧文字を横書きしてなり,2011年(平成23年)3月17日に登録出願,第29類「Meat, fish, meat of poultry and game, meat products, meat extracts, bouillons, processed seafood (molluscs and crustaceans); dried, cooked, smoked, preserved and frozen meat products, preserved beans; preserved peas, preserved chickpeas, preserved lentils, preserved soya beans for food; instant soups; preserved olives; pickles, milk and milk products namely, any kind of milk, white cheese, mild and pale yellow cheese made of sheep's milk; yoghurt, drinks based on yoghurt; whipped cream, cream, creme chantilly, powdered milk, kephir, milk beverages (milk predominating), fruit milk, fruit yoghurt, koumiss, dairy products for desserts (milk predominating), butters, jams, marmalades, fruit pulp, compote, dried fruits, pestil (dried layers of fruit pulp), puree of hazelnut and peanut, jellies for food, potato crisps, potato chips.」を指定商品として,平成24年12月7日に設定登録されたものであり,現に有効に存続しているものである。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は,本件商標はその指定商品及び指定役務中,第29類「乳製品,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,カレー・シチュー又はスープのもと」について,商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから,同法第43条の2第1号により,その登録は取り消されるべきであると申立て,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として甲第1号証ないし甲第12号証を提出した。
(1)本件商標と引用商標について
本件商標は,四本足獣と惑星と思しき図形を背景に,欧文字で顕著に「Madras」と横一列に書した構成からなり,引用商標は,欧文字を横一列に書した「MADRA」の構成からなるものである。
(2)本件商標と引用商標の類否について
ア 称呼について
本件商標からは,その文字に相応して「マドラス」の称呼が生じ,一方,引用商標からは,その文字に相応して「マドラ」の称呼が生じる。
そして,両称呼を比較すると,称呼の識別上重要な語頭部分の3音「マドラ」を共通にし,語尾において「ス」の音の有無の差を有するにすぎないものである。
そこで勘案するに,差異音「ス」は,無声摩擦音の弱音であり,かつ,比較的聴取し難い語尾に位置することから,当該「ス」の有無が,それぞれの称呼全体に及ぼす影響は小さいものである。また,「ス」の前音である「ラ」の音は,有声の弾音にして明瞭に強く響く音であるため,後続の「ス」の有無という差異が,さらに聴取し難いものとなる。
したがって,両称呼をそれぞれ称呼するときは,全体の語調,語感が近似し,互いに聴き誤るおそれがある。
イ 外観について
本件商標の図形要素という差異は見られるものの,本件商標の構成中の「madras」の文字部分は,図形要素の前に顕著に大きく横切るように書されているため,文字部分も独立した要部として取引に資されるというのが相当である。
してみれば,本件商標の構成文字の全6文字中,語頭からの5文字である「M」,「A」,「D」,「R」及び「A」を,引用商標と,同一,かつ,同順にし,その差異は,比較的目に留まりにくい語尾に位置する「S」の有無にすぎない。
したがって,本件商標と引用商標は,外観においても共通性を有する商標である。
ウ 観念について
本件商標の構成中の「madras」の文字部分は,「インド南東部の都市チェンナイ,辛口の肉入りカレー,マドラス木綿」(甲3)というような複数の意味合いを有していることがうかがえるが,いずれも需要者,取引者をもって一般的にこれら意味合いが広く認識されている文字ともいい難いものであるから,本件商標の指定商品等との関係上,特定の観念を有しない造語というのが相当である。
一方,引用商標は,成語ではないため,特定の意味合いを有しない造語と把握される。
また,語尾に位置する「S」の有無については,日本で最も親しまれた英語の複数形と単数形の相違であると認識されるのが一般的であるといい得るから,単数形が複数形に変化したからといって,通常,生じ得る観念に,明確な差異が生じるともいえない。
したがって,本件商標と引用商標の観念は,比較することができないが,同時に,判然と区別することのできる要素も見あたらない。
エ 過去の審決例
本事案と類似であると考えられる,語尾の「ス」の有無による商標の類否が判断された過去の審決例をみると,類似と判断された例が複数存在する(甲4〜甲12)。
(3)まとめ
上述のとおり,本件商標と引用商標とは,称呼及び外観において相紛れるおそれのある類似の商標というべきであり,本件商標の指定商品は,引用商標の指定商品と同一又は類似の商品である。
したがって,本件商標の登録は,登録異議の申立に係る指定商品について,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものである。
4 当審の判断
(1)本件商標について
本件商標は,別掲のとおり,横向きの四つ足の仮想動物が,地球儀様の円図形の上部に前足を掛けた図形を背景にし,その中央に「madras」の欧文字を横書きして,まとまりよく,一体的に表してなるものである。
そして,本件商標は,その構成中の「madras」の欧文字部分から,「マドラス」の称呼を生じ,該文字は,「インド南東部の都市チェンナイ(Chennnai)の旧称,(主に英)辛口の肉入りカレー」等の意味を有する英語(甲3)であるとしても,我が国において広く親しまれた語とはいえないから,特定の観念を生じないものと認められる。
(2)引用商標について
引用商標は,上記2のとおり,「MADRA」の欧文字を横書きしてなり,これからは,「マドラ」の称呼を生じ,特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標の類否について
本件商標と引用商標の類否を検討すると,本件商標は,別掲のとおり,「madras」の欧文字と図形からなるのに対し,引用商標は,「MADRA」の欧文字からなるものであるから,両者は,図形の有無,構成文字が異なり,外観上,明瞭に区別し得るものである。
次に,本件商標から生じる「マドラス」と引用商標から生じる「マドラ」の称呼とを比較するに,両称呼は,語尾において,「ス」の音の有無という差異を有するところ,本件商標が4音であって引用商標が3音という,共に短い音構成からなる両称呼における該差異音が及ぼす影響は,小さいものとはいえず,それぞれを称呼するときは,全体の語調,語感が相違し,十分に聴別することができるものである。
さらに,観念においては,両商標は,特定の観念を生じないものであるから,観念上,類似するところのないものである。
そうすると,両商標は,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても,相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
その他,両商標が類似するというべき事情は見いだせない。
したがって,本件商標の登録異議の申立てに係る第29類「乳製品,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,カレー・シチュー又はスープのもと」と引用商標の指定商品とが,同一又は類似であるとしても,本件商標は,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(4)まとめ
以上のとおり,本件商標の登録は,その指定商品及び指定役務中,登録異議の申立てに係る第29類「乳製品,肉製品,加工水産物,加工野菜及び加工果実,カレー・シチュー又はスープのもと」について,商標法第4条第1項第11号に違反してされたものとはいえないから,同法第43条の3第4項の規定により,維持すべきである。
よって,結論のとおり決定する。
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